ツツジ科スノキ属の20〜40cm程の高さの低木に実が生るブルーベリーの一種で、ブルーベリー界の王様と呼ばれている。
ビルベリーの果実はアントシアニン類などを豊富に含むため、「眼精疲労や近視によい」「視力回復に良い」「動脈硬化や老化を防ぐ」などといわれているが、ヒトでの有効性・安全性についての信頼できる十分なデータがない。ビルベリーの葉を経口で大量摂取すると死亡する可能性があると言われているので、葉の摂取は避ける。
ブルーベリーの目の健康効果についての科学的根拠はない
コケモモ属のベリー類の総称で、食用として日本、オーストラリア、ニュージーランドなど各地で栽培されている。果実は北アメリカでは古くから食用されてきたが、20世紀に入り果樹としての品種改良が進み多くの品種が作られ、ほとんどの品種はアメリカ産である。
ブルーベリーやビルベリーを使用した健康食品やサプリメントが「目の網膜に良い」と視力改善効果を謳い、広く市販されている。しかし、国立健康・栄養研究所の論文調査や海外での研究ではブルーベリーやビルベリーおよびそれらに含まれるアントシアニンによる視力改善効果は認められておらず、目に良いとして宣伝される科学的根拠はない。また、血管を丈夫にする、糖尿病・脳卒中に有効とされるが、ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータが見当たらない。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、食事以外での過剰摂取は避けた方がよい。
ブルーベリーやビルベリーを使用した健康食品やサプリメントが「目の網膜に良い」と視力改善効果を謳い、広く市販されている。しかし、国立健康・栄養研究所の論文調査や海外での研究ではブルーベリーやビルベリーおよびそれらに含まれるアントシアニンによる視力改善効果は認められておらず、目に良いとして宣伝される科学的根拠はない。また、血管を丈夫にする、糖尿病・脳卒中に有効とされるが、ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータが見当たらない。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、食事以外での過剰摂取は避けた方がよい。
ビタミンや鉄分などの栄養素に富むホウレンソウ(ほうれん草)
マグネシウムが豊富で、体内の血流を促進し、脳にも十分な血液が届く。また、ビタミンA、葉酸、ルテイン、鉄分を多く含み貧血予防に繋がる。しかし、シュウ酸が多く含まれているため、多量に摂取し続けるとカルシウムの吸収が阻害され、また、体内ではカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結石を作り腎臓や尿路障害の原因となることがある。
からだのさまざまな機能を良くする善玉菌ビフィズス菌
母乳栄養児の糞便に多く存在する。約30菌種に分類されているが、ヒトの腸内からはおよそ10種類のビフィズス菌が発見され、その種類は個人によって異なる。主に大腸に存在し、糖から酢酸、乳酸を生産する。生産された乳酸や酢酸が腸内のpH値を下げ、とくに酢酸には強力な殺菌作用があり、有害菌の活性を抑制して腐敗物質など有害物質の生成を抑える。
ビフィズス菌はニコチン酸、葉酸などのビタミンB群やビタミンKなどを作ることが知られ、さらに、若い女性、老人、各種の疾患由来の便秘に対して改善する効果が見いだされている。
また、インフルエンザなどに対する感染防御、抗がん、免疫力増強、血中脂質改善、大腸内環境の改善などが報告されている。
ビフィズス菌はニコチン酸、葉酸などのビタミンB群やビタミンKなどを作ることが知られ、さらに、若い女性、老人、各種の疾患由来の便秘に対して改善する効果が見いだされている。
また、インフルエンザなどに対する感染防御、抗がん、免疫力増強、血中脂質改善、大腸内環境の改善などが報告されている。
分岐鎖アミノ酸(BCAA、バリン・ロイシン・イソロシン)
分枝鎖アミノ酸(BCAA)は体内では生産されない必須アミノ酸である。タンパク質を構成するアミノ酸では、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの3種の分枝鎖アミノ酸がある。分枝鎖アミノ酸が十分にあると脳内の疲労物質の合成が押さえられ、中枢性疲労が軽減される。
筋タンパク質中の必須アミノ酸の約35~40%が分枝鎖アミノ酸で、筋肉のタンパク質分解を抑制するといわれている。哺乳類にとって必要とされるアミノ酸の40%を占め、活動エネルギー源となることから、運動時に摂取すると良いと考えられている。
ただし、アミノ酸の代謝にはビタミンB群が必須であり、同時摂取しないと十分な効果は発揮できない。
臨床では火傷の治療、肝硬変、肝性脳症などの治療に用いられている。大豆・チーズ・マグロの赤身などに多く含まれているほか、BCAAを含むサプリメントも市販されている。
筋タンパク質中の必須アミノ酸の約35~40%が分枝鎖アミノ酸で、筋肉のタンパク質分解を抑制するといわれている。哺乳類にとって必要とされるアミノ酸の40%を占め、活動エネルギー源となることから、運動時に摂取すると良いと考えられている。
ただし、アミノ酸の代謝にはビタミンB群が必須であり、同時摂取しないと十分な効果は発揮できない。
臨床では火傷の治療、肝硬変、肝性脳症などの治療に用いられている。大豆・チーズ・マグロの赤身などに多く含まれているほか、BCAAを含むサプリメントも市販されている。
認知症の予防効果が期待されるフェルラ酸の多様な効果
フェルラ酸はフィトケミカルとして植物の細胞壁などに存在するポリフェノールの一種で、抗酸化作用がある。また、米ぬかから精製されたフェルラ酸はアルツハイマー型認知症に有効との論文がいくつか報告されている。アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの凝集を防ぎ、アルツハイマー病の治療や予防に効果があるという。
脳機能,特に認知症改善に期待されるホスファチジルセリン
ホスファチジルセリンは大豆由来レシチンから生産される。脳機能改善、アルツハイマー病の改善と進行遅延作用、ストレス緩和作用、脳内グルコース代謝の活性化、アセチルコリン分泌促進、イオンポンプの活性化、神経細胞の樹状突起増加などの各作用が報告されているが、そのメカニズムは明らかでない。
科学的根拠として、痴呆症、記憶障害、アルツハイマー病、運動ストレス、心理的ストレス、認知症の患者に対する二重盲検試験があり、有意な改善効果が報告されている。
科学的根拠として、痴呆症、記憶障害、アルツハイマー病、運動ストレス、心理的ストレス、認知症の患者に対する二重盲検試験があり、有意な改善効果が報告されている。
ポリフェノールは種類も多く,抗酸化等,作用もさまざま
ポリフェノールは分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基(OH))を持つ植物成分の総称。ほとんどの植物に含有され、その数は5,000種以上に及ぶ。光合成によってできる植物の色素や苦味の成分であり、アントシアン、タンニンやカテキンなどのタンニン類、ケルセチンやイソフラボンなどのフラボノイド類からなる。フラボノイドを豊富に含んでいる食品としてはチョコレート、ココア、緑茶、紅茶、ワインなどが知られている。
ポリフェノールは抗酸化作用により活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん物質の活性化抑制、老化抑制などの効果があると言われている。
大豆のイソフラボン、柿のタンニン、茶のカテキン、玉ネギのケルセチン、ブルーベリーのアントシアニン、ココアのカカオマスポリフェノールなど、分子内にフェノール水酸基をもつ化合物の総称で、その種類は5000種にものぼる。糖分の一部が変化したもので、植物の葉や花、樹皮などに含まれている。
ポリフェノールの主なはたらきは強い抗酸化作用であり、動脈硬化、がんの予防・改善、血糖値低下、虫歯菌の増殖抑制などの作用があるといわれる。
ポリフェノールは抗酸化作用により活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん物質の活性化抑制、老化抑制などの効果があると言われている。
大豆のイソフラボン、柿のタンニン、茶のカテキン、玉ネギのケルセチン、ブルーベリーのアントシアニン、ココアのカカオマスポリフェノールなど、分子内にフェノール水酸基をもつ化合物の総称で、その種類は5000種にものぼる。糖分の一部が変化したもので、植物の葉や花、樹皮などに含まれている。
ポリフェノールの主なはたらきは強い抗酸化作用であり、動脈硬化、がんの予防・改善、血糖値低下、虫歯菌の増殖抑制などの作用があるといわれる。
植物の色素成分で,強い抗酸化作用を有するフラボノイド
フラボノイドは植物に広く存在する色素成分でクロロフィルやカロチノイドと並ぶ植物色素の代表的な総称。
植物の花、葉、茎、果実などに、黄色または橙色を与えている。広義には赤、紫、青を発するアントシアニンもフラボノイドに分類される。特殊なものを除き植物の色素は、カロチノイドかフラボノイドのどちらかに属する。
フラボノイドを多量に含む赤ワインや茶類の機能性が注目されている。ルチン、ヘスぺリジン、エリオシトルリンなど称してビタミンPと呼ぶことがある。
生理的作用としては強い抗酸化機能を有し、同時に抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンE、クエン酸と使用すると抗酸化作用の相乗効果を示す。抗変異原性、発がん抑制、抗菌、抗ウイルス、抗アレルギー、抗血液凝固、血圧降下、消臭作用、血管保護および血流増加、動脈硬化予防、老化抑制作用など多様な作用が推測されている。
2個のベンゼン環を3個の炭素原子で結びつけたジフェニルプロパノイド(C6-C3-C6)構造をもつ化合物の総称。C3部分が酸素を介して閉環したクロマン骨格(フラバンの構造式で四角で囲んだ部分)をもつ三環性のものがよく知られ、植物界に広く存在し、食品の色素、苦味、甘み成分になるほか、抗酸化性、エストロゲン作用と抗発がん性と心保護剤としての可能性が提唱されている。植物体内での合成はマロニルCoAとヒドロキシケイヒ酸CoAからはじまり、カルコンで閉環してフラボン構造が出来た後、側鎖にーOH基、-OCH3基などの修飾を受けたり、糖を付けたりして多数のフラボノイドに分かれる。
現在では5,000種類のフラボノイドが記載され、6つの主要な亜群が知られ、フラボン(アピゲニン、ルテオリンなど)、フラボノール(ケルセチン、ミリセチンなど)、フラバン(ナリンゲニン、ヘスペリジンなど)、カテキン類ナイシフラバノール(エピカテキン、ガロカテキンなど)、アントシアニジン(シアニジン、ペルアルゴニジンなど)、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼインなど)である。これらのフェノール構造を持つ一連の天然物フラボノイドは果物、野菜、穀物、樹脂、根、茎、花、お茶、ワインなどに含まれている。この多くは花、果物、葉の魅力的な色素・味を提供している。
効用としては抗酸化作用、発がん抑制、動脈硬化予防、血管保護および血流増加、老化抑制など多彩な作用が推測されている。
老化とフラボノイド
老化の進行を早める後天的因子として、ストレス、紫外線、放射線、温度、栄養、煙草、酒などがあるが、これらの因子による原因として、スーパーオキシド、O2-などの活性酸素が脂質を中心とする細胞成分を破壊・異常化し、しかも連続的・不可逆的に拡大していく活性酸素、フリーラジカルによる作用が注目されている。このような細胞成分の過酸化連鎖を防ぐために、体内ではビタミンC、E、SOD、NADPH、GSH系などの抗酸化機能が働いているが、フラボノイド類の活性酸素消去能はより直接的、強力で、これを外部から投与することによって老化の防止に役立つと思われる。(近藤雅雄)
植物の花、葉、茎、果実などに、黄色または橙色を与えている。広義には赤、紫、青を発するアントシアニンもフラボノイドに分類される。特殊なものを除き植物の色素は、カロチノイドかフラボノイドのどちらかに属する。
フラボノイドを多量に含む赤ワインや茶類の機能性が注目されている。ルチン、ヘスぺリジン、エリオシトルリンなど称してビタミンPと呼ぶことがある。
生理的作用としては強い抗酸化機能を有し、同時に抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンE、クエン酸と使用すると抗酸化作用の相乗効果を示す。抗変異原性、発がん抑制、抗菌、抗ウイルス、抗アレルギー、抗血液凝固、血圧降下、消臭作用、血管保護および血流増加、動脈硬化予防、老化抑制作用など多様な作用が推測されている。
2個のベンゼン環を3個の炭素原子で結びつけたジフェニルプロパノイド(C6-C3-C6)構造をもつ化合物の総称。C3部分が酸素を介して閉環したクロマン骨格(フラバンの構造式で四角で囲んだ部分)をもつ三環性のものがよく知られ、植物界に広く存在し、食品の色素、苦味、甘み成分になるほか、抗酸化性、エストロゲン作用と抗発がん性と心保護剤としての可能性が提唱されている。植物体内での合成はマロニルCoAとヒドロキシケイヒ酸CoAからはじまり、カルコンで閉環してフラボン構造が出来た後、側鎖にーOH基、-OCH3基などの修飾を受けたり、糖を付けたりして多数のフラボノイドに分かれる。
現在では5,000種類のフラボノイドが記載され、6つの主要な亜群が知られ、フラボン(アピゲニン、ルテオリンなど)、フラボノール(ケルセチン、ミリセチンなど)、フラバン(ナリンゲニン、ヘスペリジンなど)、カテキン類ナイシフラバノール(エピカテキン、ガロカテキンなど)、アントシアニジン(シアニジン、ペルアルゴニジンなど)、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼインなど)である。これらのフェノール構造を持つ一連の天然物フラボノイドは果物、野菜、穀物、樹脂、根、茎、花、お茶、ワインなどに含まれている。この多くは花、果物、葉の魅力的な色素・味を提供している。
効用としては抗酸化作用、発がん抑制、動脈硬化予防、血管保護および血流増加、老化抑制など多彩な作用が推測されている。
老化とフラボノイド
老化の進行を早める後天的因子として、ストレス、紫外線、放射線、温度、栄養、煙草、酒などがあるが、これらの因子による原因として、スーパーオキシド、O2-などの活性酸素が脂質を中心とする細胞成分を破壊・異常化し、しかも連続的・不可逆的に拡大していく活性酸素、フリーラジカルによる作用が注目されている。このような細胞成分の過酸化連鎖を防ぐために、体内ではビタミンC、E、SOD、NADPH、GSH系などの抗酸化機能が働いているが、フラボノイド類の活性酸素消去能はより直接的、強力で、これを外部から投与することによって老化の防止に役立つと思われる。(近藤雅雄)
ビタミン,ミネラル,食物繊維が多い「プルーンエキス食品」
プルーンは西洋スモモともいわれ、西アジア・コーカサス地方原産のバラ科サクラ属落葉樹の実である。プルーンエキス食品は健康補助食品としてビタミンAとB1が多く、カリウム,鉄、リン、カルシウムおよびマグネシウムなどのミネラル類を豊富に含む。これら栄養素の生理作用のみならず、プルーンには水溶性の食物繊維であるペクチンが多く、ヨーロッパでは古くから便秘薬代わりに摂取され、整腸・緩下作用が知られている。
ビタミンAに変化するプロビタミンA「βカロテン」の効果
野菜、果物、海藻などに色素として含まれるカロテノイドの一つで、プロビタミンAともいわれる。
カロテノイドにはα-、β-、γ-カロテン、リコピンなどの種類があるが、いずれも体内でビタミンAに変化し、免疫力の増加、皮膚や粘膜の増強、老化防止、がん、動脈硬化、心臓病,眼病,風邪などの予防に効果があるといわれている。
れちのーる
カロテノイドにはα-、β-、γ-カロテン、リコピンなどの種類があるが、いずれも体内でビタミンAに変化し、免疫力の増加、皮膚や粘膜の増強、老化防止、がん、動脈硬化、心臓病,眼病,風邪などの予防に効果があるといわれている。
れちのーる
キャベツから見出されたキャベジン,「ビタミンU」とは
正式名は塩化メチルメチオニンスルホニウムといい、キャベツから見出されたため「キャベジン」とも呼ばれ、生体内で合成されるビタミン様物質である。主な作用としては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍をはじめ、胃酸過多による胸のむかつき、食欲不振など、胃のトラブルを解消するといわれている。キャベツのほかにパセリ、レタス、セロリ、アスパラガス、牛乳、卵、青海苔などに含まれている。
特定保健用食品「ヘム鉄」は鉄の吸収を高め貧血を予防
鉄は体内で鉄を吸収するタンパク質であるフェリチン(貯蔵鉄)、鉄を輸送するタンパク質のトランスフェリン(輸送鉄)、そして様々な生理作用を持つヘムタンパク質(機能鉄)に分かれる。
ヘムは、プロトポルフィリンという赤い色素に2価鉄が結合したものです。鉄は、体内での需要と供給のバランスから、成長期や運動、女性の生理、妊娠などによって鉄分が不足すると、ヘムの生産量が減少しますので、ヘムタンパク質の機能が発揮できず、貧血、息切れ、疲れやすいなどといった様々な症状が出やすくなります。
そこで、食品から鉄分を摂取する際に鉄の吸収率が大きな問題となって、鉄の吸収率の高いヘム(10~30%吸収;肉類、レバーなどの動物性食品に多い)を「ヘム鉄」と呼び、吸収があまりよくない鉄分(1~5%吸収;野菜、穀類などの植物性食品に多い)を「非ヘム鉄」と分けるようになりました。ヘム鉄は非ヘム鉄と異なって、穀類に含まれるフィチン酸、お茶に含まれるタンニン、あるいは食物繊維などによる吸収阻害がありません。
ヘム鉄を多く含んでいる食品の摂取は鉄分補給に効果的ですし、また、消費者庁から「特定保健用食品」として許可されたヘム鉄飲料などが市販されています。
(近藤雅雄:ヘム鉄、2015年7月9日掲載)
ヘムは、プロトポルフィリンという赤い色素に2価鉄が結合したものです。鉄は、体内での需要と供給のバランスから、成長期や運動、女性の生理、妊娠などによって鉄分が不足すると、ヘムの生産量が減少しますので、ヘムタンパク質の機能が発揮できず、貧血、息切れ、疲れやすいなどといった様々な症状が出やすくなります。
そこで、食品から鉄分を摂取する際に鉄の吸収率が大きな問題となって、鉄の吸収率の高いヘム(10~30%吸収;肉類、レバーなどの動物性食品に多い)を「ヘム鉄」と呼び、吸収があまりよくない鉄分(1~5%吸収;野菜、穀類などの植物性食品に多い)を「非ヘム鉄」と分けるようになりました。ヘム鉄は非ヘム鉄と異なって、穀類に含まれるフィチン酸、お茶に含まれるタンニン、あるいは食物繊維などによる吸収阻害がありません。
ヘム鉄を多く含んでいる食品の摂取は鉄分補給に効果的ですし、また、消費者庁から「特定保健用食品」として許可されたヘム鉄飲料などが市販されています。
(近藤雅雄:ヘム鉄、2015年7月9日掲載)
代謝を調節する水溶性ビタミンの多様な生理と健康効果
水溶性ビタミンは水に溶けやすいビタミンの総称で、ビタミンA,D,E,K以外のビタミンである。
1.ビタミンB1(チアミン)
生理作用:ビタミンB1は糖質が体内で代謝されるときに必要な酵素の補酵素として作用している。食物から摂取された糖質はグルコースに変えられ、血液中を血糖(グルコース)として運ばれ、各臓器で利用される。このグルコースを完全に燃焼し細胞内でエネルギーに変えるには、解糖系、TCA回路、呼吸鎖などの経路が必要である。この解糖系とTCA回路を結ぶ酵素にピルビン酸デヒドロゲナーゼがあり、この酵素の反応には補酵素としてチアミンにリン酸が結合したチアミンピロリン酸が必要である。
欠乏症:糖質が多い食生活の場合にビタミンB1が欠乏すると、脚気(多発性神経炎、浮腫)やウエルニッケ脳症(精神障害、運動障害、眼球運動麻痺)を起こす。
2.ビタミンB2(リボフラビン)
生理作用:ビタミンB2は生体内ではフラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)として存在している。両者は多種類の酸化還元酵素に固く結合して存在するが、これらの酵素はフラビン酵素として知られ、生体内の酸化還元反応に関与している。また水素伝達系の構成員として水素の運搬をする。すなわちビタミンB2は糖質、脂質、タンパク質からエネルギー(ATP)の生成に関与している。
欠乏症:口角炎、舌炎、皮膚炎
3. ビタミンB6(ピリドキシン)
自然界にはビタミンB6の作用のある物質としてピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの三つの型がある。生体内ではリン酸エステルとして存在しており、ピリドキサールリン酸(PLP)が活性型である。
生理作用:PLPは酵素の作用でアミノ酸と結合して、アミノ酸の代謝に広くかかわっている。したがって、タンパク質の摂取が多くなると、ビタミンB6の必要量が増加する。
欠乏症:ヒトでは腸内細菌によってビタミンB6が合成されることもあり、欠乏症は起こりにくい。欠乏が起これば皮膚炎、貧血を起こす。
4.ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)
ニコチン酸とニコチン酸アミドを総称してナイアシンという。体内ではリボース、リン酸、アデノシンと結合してニコチン酸アミド・アデニン・ジヌクレオチド(NDA)あるいはニコチン酸アミド・アデニン・ジヌクレオチド・フォスフェート(NDAP)として存在し、補酵素として作用する。
生理作用:NDAおよびNDAPは多くの脱水素酵素の補酵素として水素の伝達反応に関与し、糖質、脂質、タンパク質の代謝に広く関与している。
欠乏症:ペラグラ(皮膚炎、下痢、中枢神経症状(認知症))、口舌炎、胃腸病
5.パントテン酸
パントテン酸は補酵素コエンザイムA(CoA)の構成成分である。
生理作用:体内でパントテン酸は補酵素であるCoAとなり、脂肪酸の分解と合成など広範な代謝にかかわっている。
欠乏症:動物がパントテン酸欠乏になると、成長障害、皮膚炎等などが起きることがある。ヒトでは腸内細菌がパントテン酸を合成するので欠乏症はあまりみられないが、重症の栄養失調症では手足の麻痺や疼痛がみられる。
6.ビオチン
ビオチンは酵素タンパク質と固く結合してビオチン酵素を形成している。
生理作用:ビオチンは代謝過程で生成する二酸化炭素を糖質や脂質に固定するピルビン酸カルボキシラーゼやアセチルCoAからマロニルCoAカルボキシラーゼなどの補酵素として重要な役割を果たす。
欠乏症:ビオチンは腸内細菌によって合成され吸収利用されるので、通常の食生活では欠乏することはない。しかし生卵白を大量に食べると、卵白中のアビジンという糖タンパク質とビオチンが結合して吸収を阻害するため、欠乏を起こすことがある。卵白を加熱するとアビジンの作用は消失する。ビオチン欠乏では、皮膚炎、筋肉痛、食欲不振、悪心などの症状を呈する。
7.葉酸(フォラシン)
ホウレンソウから抽出した成分が乳酸菌の増殖に有効であることが見出され、葉酸と命名した。
生理作用:葉酸の活性型であるテトラヒドロ葉酸は、1炭素原子の転移反応の補酵素として作用する。たとえばグリシンからのセリンの合成、核酸塩基の合成、コリンの合成、ヘモグロビンのポルフィリン核の合成などに関与している。
欠乏症:葉酸が欠乏すると巨赤芽球性貧血となり、さらに口内炎、舌炎、下痢などの症状を呈する。
8.ビタミンB12(コバラミン)
分子中にコバルトを含むのでコバラミンとよばれる。生体内では補酵素型であるアデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキシコバラミンとして存在する。
生理作用:生体内での補酵素作用としてはメチル基、転移反応、核酸の合成、アミノ酸や糖質の代謝に関与している。
欠乏症:ビタミンB12は赤血球の成熟に関係があり、欠乏すると悪性貧血を起こす。しかし腸内細菌が合成するので、一般的に欠乏症は起こりにくい。
9.ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCにはアスコルビン酸(還元型ビタミンC)とデヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)がある。アスコルビン酸は酸化されるとデヒドロアスコルビン酸となるが、この物質は還元されるともとのアスコルビン酸に戻る。ビタミンCは体内に広く分布しているが、摂取量が多くても体内の貯留量はそれほど増えず、尿中に排泄される。
生理作用:アスコルビン酸の強い還元力で下記のような生体内の種々の酸化還元反応に関与して、アスコルビン酸はデヒドロアスコルビン酸になる。
① 過酸化脂質の生成抑制、ビタミンEの作用を増強。
② 肝臓の解毒物質の代謝に関与。
③ コラーゲン(結合組織タンパク質)の生成に関与。
④ 副腎皮質ホルモンの合成に関与。
⑤ フェニルアラニン・チロシン代謝に関与。
⑥ 鉄の吸収促進。腸管内での吸収を高める。
⑦ 発ガン物質であるニトロソアミンの生成抑制。
欠乏症:ビタミンCの欠乏により、結合組織のコラーゲンの生成が不足し、毛細血管が損傷しやすく、歯ぐきや皮下の出血が起こる。そのような症状を壊血病という。また小児では骨の形成不全がみられる。
1.ビタミンB1(チアミン)
生理作用:ビタミンB1は糖質が体内で代謝されるときに必要な酵素の補酵素として作用している。食物から摂取された糖質はグルコースに変えられ、血液中を血糖(グルコース)として運ばれ、各臓器で利用される。このグルコースを完全に燃焼し細胞内でエネルギーに変えるには、解糖系、TCA回路、呼吸鎖などの経路が必要である。この解糖系とTCA回路を結ぶ酵素にピルビン酸デヒドロゲナーゼがあり、この酵素の反応には補酵素としてチアミンにリン酸が結合したチアミンピロリン酸が必要である。
欠乏症:糖質が多い食生活の場合にビタミンB1が欠乏すると、脚気(多発性神経炎、浮腫)やウエルニッケ脳症(精神障害、運動障害、眼球運動麻痺)を起こす。
2.ビタミンB2(リボフラビン)
生理作用:ビタミンB2は生体内ではフラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)として存在している。両者は多種類の酸化還元酵素に固く結合して存在するが、これらの酵素はフラビン酵素として知られ、生体内の酸化還元反応に関与している。また水素伝達系の構成員として水素の運搬をする。すなわちビタミンB2は糖質、脂質、タンパク質からエネルギー(ATP)の生成に関与している。
欠乏症:口角炎、舌炎、皮膚炎
3. ビタミンB6(ピリドキシン)
自然界にはビタミンB6の作用のある物質としてピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの三つの型がある。生体内ではリン酸エステルとして存在しており、ピリドキサールリン酸(PLP)が活性型である。
生理作用:PLPは酵素の作用でアミノ酸と結合して、アミノ酸の代謝に広くかかわっている。したがって、タンパク質の摂取が多くなると、ビタミンB6の必要量が増加する。
欠乏症:ヒトでは腸内細菌によってビタミンB6が合成されることもあり、欠乏症は起こりにくい。欠乏が起これば皮膚炎、貧血を起こす。
4.ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)
ニコチン酸とニコチン酸アミドを総称してナイアシンという。体内ではリボース、リン酸、アデノシンと結合してニコチン酸アミド・アデニン・ジヌクレオチド(NDA)あるいはニコチン酸アミド・アデニン・ジヌクレオチド・フォスフェート(NDAP)として存在し、補酵素として作用する。
生理作用:NDAおよびNDAPは多くの脱水素酵素の補酵素として水素の伝達反応に関与し、糖質、脂質、タンパク質の代謝に広く関与している。
欠乏症:ペラグラ(皮膚炎、下痢、中枢神経症状(認知症))、口舌炎、胃腸病
5.パントテン酸
パントテン酸は補酵素コエンザイムA(CoA)の構成成分である。
生理作用:体内でパントテン酸は補酵素であるCoAとなり、脂肪酸の分解と合成など広範な代謝にかかわっている。
欠乏症:動物がパントテン酸欠乏になると、成長障害、皮膚炎等などが起きることがある。ヒトでは腸内細菌がパントテン酸を合成するので欠乏症はあまりみられないが、重症の栄養失調症では手足の麻痺や疼痛がみられる。
6.ビオチン
ビオチンは酵素タンパク質と固く結合してビオチン酵素を形成している。
生理作用:ビオチンは代謝過程で生成する二酸化炭素を糖質や脂質に固定するピルビン酸カルボキシラーゼやアセチルCoAからマロニルCoAカルボキシラーゼなどの補酵素として重要な役割を果たす。
欠乏症:ビオチンは腸内細菌によって合成され吸収利用されるので、通常の食生活では欠乏することはない。しかし生卵白を大量に食べると、卵白中のアビジンという糖タンパク質とビオチンが結合して吸収を阻害するため、欠乏を起こすことがある。卵白を加熱するとアビジンの作用は消失する。ビオチン欠乏では、皮膚炎、筋肉痛、食欲不振、悪心などの症状を呈する。
7.葉酸(フォラシン)
ホウレンソウから抽出した成分が乳酸菌の増殖に有効であることが見出され、葉酸と命名した。
生理作用:葉酸の活性型であるテトラヒドロ葉酸は、1炭素原子の転移反応の補酵素として作用する。たとえばグリシンからのセリンの合成、核酸塩基の合成、コリンの合成、ヘモグロビンのポルフィリン核の合成などに関与している。
欠乏症:葉酸が欠乏すると巨赤芽球性貧血となり、さらに口内炎、舌炎、下痢などの症状を呈する。
8.ビタミンB12(コバラミン)
分子中にコバルトを含むのでコバラミンとよばれる。生体内では補酵素型であるアデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキシコバラミンとして存在する。
生理作用:生体内での補酵素作用としてはメチル基、転移反応、核酸の合成、アミノ酸や糖質の代謝に関与している。
欠乏症:ビタミンB12は赤血球の成熟に関係があり、欠乏すると悪性貧血を起こす。しかし腸内細菌が合成するので、一般的に欠乏症は起こりにくい。
9.ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCにはアスコルビン酸(還元型ビタミンC)とデヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)がある。アスコルビン酸は酸化されるとデヒドロアスコルビン酸となるが、この物質は還元されるともとのアスコルビン酸に戻る。ビタミンCは体内に広く分布しているが、摂取量が多くても体内の貯留量はそれほど増えず、尿中に排泄される。
生理作用:アスコルビン酸の強い還元力で下記のような生体内の種々の酸化還元反応に関与して、アスコルビン酸はデヒドロアスコルビン酸になる。
① 過酸化脂質の生成抑制、ビタミンEの作用を増強。
② 肝臓の解毒物質の代謝に関与。
③ コラーゲン(結合組織タンパク質)の生成に関与。
④ 副腎皮質ホルモンの合成に関与。
⑤ フェニルアラニン・チロシン代謝に関与。
⑥ 鉄の吸収促進。腸管内での吸収を高める。
⑦ 発ガン物質であるニトロソアミンの生成抑制。
欠乏症:ビタミンCの欠乏により、結合組織のコラーゲンの生成が不足し、毛細血管が損傷しやすく、歯ぐきや皮下の出血が起こる。そのような症状を壊血病という。また小児では骨の形成不全がみられる。
代謝を調節する脂溶性ビタミンの多様な生理と健康効果
脂溶性ビタミンとは水に溶けにくく油(脂)に溶けやすいビタミンの総称で。ビタミンA,D,E,Kを指す。
1.ビタミンA(レチノール)
ビタミンAは動物性食品に含まれるレチノールと、植物に広く分布するプロビタミンAであるカロテノイド類が存在する。カロテンには3種類あるが、食品中にはβ-カロテンがもっとも多く、しかもビタミンA効力がもっとも高い。
生理作用:①眼の網膜にある視覚を司る物質であるロドプシンの構成成分となっている、②上皮組織における粘膜の糖タンパク質の合成に関与し、機能を維持している、③成長促進、細胞増殖と分化の制御、免疫機能の維持に関与している。
欠乏症:ビタミンAが不足すると、ロドプシンの生成が低下するため、暗いところで物を見る機能が遅れ、夜盲症となる。上皮細胞の角質化が起こり、皮膚、粘膜の乾燥により、細菌感染に対する抵抗力の低下がみられる。
過剰症:過剰に摂取すると肝臓に蓄積されて、急性の脳圧亢進症、慢性では成長停止、関節痛、脂肪肝などがみられる。
2.ビタミンD(カルシフェロール)
天然には植物起源のビタミンD2と動物起源のビタミンD3があり、両者の生理活性はほぼ同じである。紫外線照射によりビタミンDに変化するものをプロビタミンDといい、ビタミンD2はきのこなどに含まれるプロビタミンD2から、ビタミンD3は動物の皮膚に含まれるプロビタミンD3から生じる。
生理作用:ビタミンDは体内で活性型に変えられ、カルシウムの吸収や骨への沈着、骨からのカルシウムの動員を司っている。このカルシウムの代謝は種々のホルモンも関与している。
欠乏症:幼児期に不足するとくる病、成人では骨軟化症を引き起こす。
過剰症:食欲不振、体重減少が起こり、血中カルシウム濃度が高くなるので腎臓、心臓、動脈にカルシウムが沈着し、動脈硬化や腎不全を起こす。
3.ビタミンE(トコフェロール)
ビタミンEは天然には8種類あるが、重要なのは生理活性がもっとも高いα-トコフェロールである。
生理作用:ビタミンEは抗酸化作用(酸化防止作用)が強く、多価不飽和脂肪酸が酸化されるのを防ぐ作用がある。細胞内にはビタミンEの大部分が生体膜に組み込まれて存在しており、ビタミンEは抗酸化作用を通して生体膜を正常に保つ作用をしている。
欠乏症:ビタミンEが不足すると、血漿のビタミンE濃度が低下し、細胞膜が破壊されやすくなり、赤血球が溶血しやすくなる。動物ではビタミンE欠乏により不妊症や筋肉の萎縮が起こることが報告されているが、ヒトでは明確ではない。
過剰症:明らかではない。
4.ビタミンK(フィロキノン)
生理作用:血液の凝固にはプロトロンビンが必要であり、肝臓でのプロトロンビン合成にビタミンKが関与している。またビタミンKはビタミンDとともに骨の石灰化を促進して、骨形成に重要な役割を果たしている。
欠乏症:ビタミンKが欠乏すると血液中のプロトロンビンが減少して、血液の凝固を遅延させる。
過剰症:嘔吐、腎障害
1.ビタミンA(レチノール)
ビタミンAは動物性食品に含まれるレチノールと、植物に広く分布するプロビタミンAであるカロテノイド類が存在する。カロテンには3種類あるが、食品中にはβ-カロテンがもっとも多く、しかもビタミンA効力がもっとも高い。
生理作用:①眼の網膜にある視覚を司る物質であるロドプシンの構成成分となっている、②上皮組織における粘膜の糖タンパク質の合成に関与し、機能を維持している、③成長促進、細胞増殖と分化の制御、免疫機能の維持に関与している。
欠乏症:ビタミンAが不足すると、ロドプシンの生成が低下するため、暗いところで物を見る機能が遅れ、夜盲症となる。上皮細胞の角質化が起こり、皮膚、粘膜の乾燥により、細菌感染に対する抵抗力の低下がみられる。
過剰症:過剰に摂取すると肝臓に蓄積されて、急性の脳圧亢進症、慢性では成長停止、関節痛、脂肪肝などがみられる。
2.ビタミンD(カルシフェロール)
天然には植物起源のビタミンD2と動物起源のビタミンD3があり、両者の生理活性はほぼ同じである。紫外線照射によりビタミンDに変化するものをプロビタミンDといい、ビタミンD2はきのこなどに含まれるプロビタミンD2から、ビタミンD3は動物の皮膚に含まれるプロビタミンD3から生じる。
生理作用:ビタミンDは体内で活性型に変えられ、カルシウムの吸収や骨への沈着、骨からのカルシウムの動員を司っている。このカルシウムの代謝は種々のホルモンも関与している。
欠乏症:幼児期に不足するとくる病、成人では骨軟化症を引き起こす。
過剰症:食欲不振、体重減少が起こり、血中カルシウム濃度が高くなるので腎臓、心臓、動脈にカルシウムが沈着し、動脈硬化や腎不全を起こす。
3.ビタミンE(トコフェロール)
ビタミンEは天然には8種類あるが、重要なのは生理活性がもっとも高いα-トコフェロールである。
生理作用:ビタミンEは抗酸化作用(酸化防止作用)が強く、多価不飽和脂肪酸が酸化されるのを防ぐ作用がある。細胞内にはビタミンEの大部分が生体膜に組み込まれて存在しており、ビタミンEは抗酸化作用を通して生体膜を正常に保つ作用をしている。
欠乏症:ビタミンEが不足すると、血漿のビタミンE濃度が低下し、細胞膜が破壊されやすくなり、赤血球が溶血しやすくなる。動物ではビタミンE欠乏により不妊症や筋肉の萎縮が起こることが報告されているが、ヒトでは明確ではない。
過剰症:明らかではない。
4.ビタミンK(フィロキノン)
生理作用:血液の凝固にはプロトロンビンが必要であり、肝臓でのプロトロンビン合成にビタミンKが関与している。またビタミンKはビタミンDとともに骨の石灰化を促進して、骨形成に重要な役割を果たしている。
欠乏症:ビタミンKが欠乏すると血液中のプロトロンビンが減少して、血液の凝固を遅延させる。
過剰症:嘔吐、腎障害