健康情報14.レーズンの腸内環境改善など9つの健康効果

 レーズン中の食物繊維は腸内環境の改善に伴う整腸作用、大腸がんの予防、鉄分は貧血予防、カリウムはむくみ予防・血圧調整、ホウ素はエストロゲン、ビタミンDの活性化による骨粗鬆症の予防、ポリフェノールはアンチエイジング、生活習慣病予防など、多様な健康効果が期待されています。その効果を纏めると、①整腸作用、②貧血予防、③むくみ・高血圧予防、④抗酸化作用、⑤エネルギー補給、⑥美肌効果、⑦骨の健康保持、⑧眼の健康と疲労回復、⑨GI値が低く、食後血糖上昇の抑制(糖尿病の予防)の9つが挙げられます(詳細はPDFを参照)。
 レーズン摂取の目安は1日50~60粒程度(30gのレーズン、約97kcal)です。一般的に、高齢になると共に便通が悪くなるようです。私も同じでしたが、毎食後、野菜と15粒前後のレーズンを摂取してから、便通は改善しました。

 レーズン中の主な栄養成分を「食品成分表」及び「食品の微量元素含量表」にて調べました。
 可食部100g当たり、エネルギー301kcal、たんぱく質2.7g、脂質0.2g、炭水化物80.7g、食物繊維4.1g、ポリフェノール0.4g、ビタミンB群、A,E、ナトリウム12mg、カリウム740mg、カルシウム65mg、マグネシウム31mg、鉄2.3mg、ホウ素0.76mgでした(詳細は下記PDF)。
 食品成分の特徴として、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。不溶性は腸に刺激を与えて便通を促し、腸内の有害物質の排泄を促進する効果があります。水溶性は善玉菌のエサとなって腸内環境を整える作用や、最近の研究結果ではレーズンの酒石酸と食物繊維の組合せが、大腸機能と腸内環境改善・健康保持に大きな役割を果たし、結腸がんの予防も示唆されています。
 ミネラルについては、カリウムがナトリウムの約62倍と多いため、体内の余分なナトリウムを排出し、ミネラルバランスを整え、むくみや高血圧の予防・改善の効果が伺えます。また、ホウ素(すべての哺乳類に必須な元素であると考えられています)が多く、エストロゲンやビタミンDを活性化することから、骨粗鬆症を抑制し骨を丈夫に保つ働きが示唆されます。
 ポリフェノールとしては、エピカテキンアントシアニンが含まれていますので、加齢や生活習慣病の原因となる活性酸素の除去、疲れ目の改善に役立つと思われます。下記PDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月14日掲載)
PDF:レーズンの主な健康効果

研究回想4.ALAによる保健・医療・環境・農業研究の回想

 1990年代に、コスモ石油株式会社中央研究所の田中徹博士が光合成菌を使い、ポルフィリンの前駆物質δ(5)-アミノレブリン酸(ALA)を製造する「発酵法」を開発してから、ALAの低コスト大量生産が可能となりました。この偉大な発見によって、研究用試薬としてだけでなく、多方面への研究に利用されるようになりました(これまで、ALAの人工合成は回収率が悪く、高価でした、そのためにポルフィリン・ヘムの研究はなかなか進みませんでした)。
 2000年代に入り、コスモ石油は5-アミノレブリン酸(ALA)の植物への影響に関する研究を本格的にスタートしています。そして、2004年10月にはALA含有製品製造販売会社が設立され、国内販売に続き海外販売も本格的に展開しています。
 同時期、コスモ石油の研究員数名が筆者の職場であった国立健康・栄養研究所にALAのカプセルを持参したので、私はそれを濃度を変えて服用し、自らの血液および尿中のポルフィリン代謝物を測定し、安全性と有効性を確認しました。その後、田中氏と宮成節子氏と3人で新大久保のなまず屋(2008年に閉店)で会食し、さまざまなALAの夢を語ったことを昨日のように覚えています。そして、数年でしたが、健康と病気に関する研究が行われました(下記PDF参照)。

 2007年、小生が研究所を退職して大学に移動。翌年、コスモ石油(株)SBIホールディングス(株)との合弁会社SBIアラプロモ(株)が設立されました。そして、田中氏と河田聡史氏が研究所の場所を探していた時、丁度小生が勤務する東京都市大学の総合研究所内に貸研究室が空いていたことから、ここにALA研究所を開設しました(大学では健康医科学研究室として開設)。そこで、筆者が2002年、国立公衆衛生院を退職した時に自宅の庭に建てた「健康科学研究所」の実験台、ALA測定専用カラム、紫外線照射器、実験器具、ポルフィリン代謝物分析の本、外部研究資金などをALA研究所に寄附し、夢を託しました(これを機に小生の研究所は閉鎖)。そして、田中氏の卓越した研究能力と精力的な企画・運営・指導、そして優秀な研究所スタッフの努力によって、ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといったさまざまな分野で急速に注目されていきました。今では、脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化など、また、健常者に対しては免疫力増強、運動機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されるようになりました。
 一方、2011年3月11日の東北の大震災以降、突然、世田谷の大学総合研究所内から神戸に移転しました。その後、SBIファーマ(株)が立ち上がり、研究所は神戸から川崎(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)4F)に移り、組織も大分変わったようです。共に人生をかけた研究でした、頑張って欲しいと願っています。
 なお、ALAは指定難病急性ポルフィリン症鉛中毒の発症時に体内に過剰に蓄積するALAと同じものです。したがって、これらの患者さんの摂取は、事例はありませんが病気が悪化するかもしれません。また、発症に関わるかもしれません。服用は控えてください。
 下記PDFにALA研究を回想し、成果の一部をPDFに纏めました。(近藤雅雄、2025年9月15日掲載)
PDF:ALA研究とその成果

鉄欠乏性貧血症の発症原因,症状,予防,治療及び注意事項

 健常者の中年女性2人に1人が鉄欠乏性貧血の予備群と言われています。また、ポルフィリン症の患者さんに鉄欠乏性貧血が多く診られます。最近、鉄剤の摂取で急性肝炎になった中年女性2例を経験しました。鉄剤サプリメントの摂取には十分注意してください。

1.各年齢層における発症の原因
 ①乳幼児期:未熟期、食事摂取不良、牛乳貧血
 ②思春期:急速な成長、偏食、月経開始に伴う鉄需要の増加
 ③成人期:病的出血(消化管、泌尿器、痔核)、胃切除後、低・無酸症、月経異常(月経過多、子宮筋腫)、妊娠、出産、授乳
 ④高齢者:食事摂取不良(入れ歯、咀嚼力の低下)、病的出血(消化管、泌尿器、痔核)、胃切除後、低・無酸症、ヘリコバクターピロリ菌感染
 ⑤その他:異食症や消化管の悪性腫瘍などが挙げられます。

2.症状
 症状としては①顔が蒼白い、②疲れ易い、③すぐに息がきれる、④ 胸がドキドキする(動悸)があります。その他、⑤集中力の低下や意欲の低下(落ち着きがない)、⑥抑うつ気分、頭痛、めまい、体力・作業能率と感染抵抗力の低下、脱毛、むくみ易い、脆弱爪など全身の症状が認められます。爪の変化としてはスプーン爪(18%)、爪の脆さ、爪に凹凸が出現、縦皺が見立ち平坦になる、⑦舌炎、口内炎、口角炎、嚥下障害を合併などが挙げられます。

3.予防
 予防として、鉄含有食材と同時に鉄の小腸吸収を促進する食材を意識的に日常的に摂取してください。例えば、牛・豚・まぐろなどの赤身肉やレバーに含まれる“ヘム鉄”からの鉄の吸収率は約30%、これに対して、納豆、枝豆、そら豆、小松菜、ほうれん草といった植物系食材に含まれる“非ヘム鉄”からの吸収率は約5%ですが、両者一緒に摂るのが効果的です。非ヘム鉄(3価鉄は吸収されません)の摂取にはビタミンCや有機酸を含む食品を一緒に摂取すると、2価鉄に還元されて吸収が良くなります。また、ヘム鉄サプリメントの服用も有効ですが、基本は食事からの摂取です。
 吸収を抑制する食品としては食物繊維の大量摂取やリン酸塩やカルシウム塩を多く含む加工食品、タンニンを多く含むコーヒー、緑茶、紅茶、抗酸化物質のポリフェノール、また、穀類のぬかや胚芽および豆類に多く含まれるフィチン酸により鉄の吸収が妨げられますので注意が必要です。

4.治療
 治療として、病院から鉄剤の飲み薬が処方されますが、むかつきや吐き気、便秘(または下痢)といった副作用など、内服での治療が難しい場合には注射で投与します。血液検査でフェリチン値(貯蔵鉄)が正常化するまでに半年要します。緊急時には輸血が行われます。

5.注意事項
 鉄欠乏性貧血は、鉄の供給不足が原因ですので、サプリメントとして鉄やヘム鉄を摂取する患者さんや健康志向で摂取する健常人が多くみられます。しかし、鉄剤の摂取により急性肝炎になった症例を数例診てきました。鉄剤の摂取は自己判断でなく、血液の専門医の管理の下、適切な治療を受けてください。
 なお、「鉄欠乏性貧血~ヘム合成とミネラルバランスの関する新知見」として2021年11月8日に本資料室に掲載してありますので、こちらの方も参考にしてください。(近藤雅雄、2025年3月10日掲載)

健康情報2.お茶の元素分析によるミネラル量と質の違い

 茶のミネラル(無機質)成分とその量は意外と知られていません。
 筆者らは国立健康・栄養研究所(現国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)千葉市環境保健研究所との共同研究で各種茶を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)にて24種の元素定量を行いました。その結果、総ミネラル量は鳥龍茶が2594.3ppmで最も高く、麦茶が961.2ppmと最も低値(鳥龍茶>ほうじ茶>緑茶ほまれ>煎茶>静岡煎茶>宇治茶顆粒>カテキングリーン>玄米茶>宇治煎茶>麦茶)でした。この内、全茶においてマグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)量が総ミネラル量の94.3(鳥龍茶)~98.1%(玄米茶)を占め、Mg量は60.4(鳥龍茶)~77%(玄米茶)、Mn量は1.9(麦茶)~40.4%(ほうじ茶)でした。

 抗酸化元素および必須元素Co、Cr、Cu、Mg、Mo、Mn、Ni、Se、V、Znの総量は総ミネラル量とほぼ比例していました。鳥龍茶はCo, Cr、Cu、Mg、Se、Vが多く,麦茶はZnが多いことがわかりました。
 汚染元素の定義はありませんが、Al、As、Cd、Pb、Snについて検討しました。茶腫の名前は避けますが、中にはアルミニウム(Al,175.6ppm)、砒素(As,0.425ppm)、鉛(Pb,3.608ppm)、錫(Sn,0.372ppm)と他の元素に比べて高値を示すものがありました。この数値はヒ素(宇治煎茶の22倍)、ビスマス(24倍)、鉛(20倍)、錫(16倍)に当たります。
 以上、茶中の元素量は栽培される土壌等の環境によっても影響を受けますが、茶種によって元素バランスおよび量がかなり異なっていることが分かりました。また、砒素、カドミウム、鉛含有量の多いものが確認されました。茶腫については成分分析表示のない物も多く,ミネラルの成分表示の公開も含めた検討が必要です。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)

健康情報1.健康食品は十分に情報を得てから摂取したい

 コロナ禍における自粛生活は健康食品の利用を加速させました。
 健康食品の使用目的は病気の予防ですが、病気の90%は活性酸素が原因と言われています(日本抗酸化学会)。こうした観点から、とくに活性酸素を除去する抗酸化成分を含む商品が、がん予防、動脈硬化予防、老化防止、免疫増強作用、美容などを宣伝文句に多数販売されています。
 しかし、この抗酸化物質を過剰摂取するとプロオキシダント作用、すなわち、本来活性酸素を除去するはずの健康食品が、逆に体内で大量の活性酸素を発生する原因となる場合があります。また、食物や医薬品との相互作用も考えられ、安全性についての保証は何一つなく、注意が必要です。さらに期待される効果がまったくない健康食品も多々ありますので、よく情報を得てから購入・摂取して下さい。
 栄養成分は基本的に食品から摂取することによって自然治癒力の強化など、さまざまな効果が発揮されます。 (近藤雅雄、2025年3月6日掲載)

運動力・持久力など、生活活動をサポートする5-アミノレブリン酸

 ミトコンドリアで生産される5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid,ALA)はタンパク質を構成するアミノ酸ではなく、生命維持に不可欠な赤い色素ヘム(赤血球中に存在するヘモグロビンのヘム等)を生産する生命の根幹物質です。
 このALAについてさまざまな検討を実験動物と人で検討しました。その結果、①エネルギー生産量の向上による代謝促進、②体温上昇による免疫力向上、③運動負荷による疲労回復亢進、持久力の向上などの効果があることがわかってきました。
 健康寿命の延伸とQOL(生活の質)の向上には適切な食生活と運動習慣、休養が大切ですが、ALAはこれら健康生活をサポートするようです。そこで、ALAの健康効果についてわれわれの研究成果を科学的根拠に基づき解説しました。下記のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年2月27日掲載)
PDF:運動力・持久力など、生活活動をサポートするALAの健康効果

飲む健康ゴーヤエキス・プラス・難消化性デキストリン

~苦瓜(ゴーヤ)の豊富な栄養素と難消化性デキストリンを一包に凝縮~

Ⅰ.ゴーヤの主な成分と健康効果

 ゴーヤにはたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン類、ミネラル類の5大栄養素を含み、エネルギー量は17Kcal です。この内、とくにビタミンB1、B2 、βカロテン、ビタミンC、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。
 ゴーヤは夏バテ・疲労回復、血糖値の調節、脂質異常の調節、血圧調節、むくみ・便秘の解消、ダイエット、老化防止・美肌作り、紫外線・シミ対策、貧血予防、肌荒れ・ニキビ予防などに有効であると言われています。とくにビタミンCはキュウリの14mgやトマトの15mgに対して5倍以上も含まれ、野菜の中で唯一、加熱に強いという特性を持っています。また、鉄分はほうれん草の約2.3倍含まれ、葉酸とともに貧血の予防になります。ビタミンB群は生体エネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)の生産に不可欠で、疲労回復、皮膚や粘膜の正常化に、カリウムは腎臓でナトリウムの排泄に働きますので血圧の低下に各々役立ちます。
 苦み成分としてチャランチンとモモルデシン、コロコリン酸が含まれ、チャランチンとコロコリン酸は植物インスリンとも言われ、血糖値の正常化、糖尿病の血糖値改善(食後高血糖改善)に役立つと古くから注目されています。ヒトのインスリンと同様に肝臓や筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、グリコーゲンの合成を促すことが報告されています。動物実験では糖尿病改善効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗癌作用、免疫調節なども報告されています。チャランチンやモモルデシンには活性酸素を還元する作用も報告されています。
 食物繊維は100g中水溶性0.5g、不溶性2.1g含まれ、腸内の善玉菌の増殖を促進し、糞便量を増やし、腸内環境を整えます。サポニンはコレステロールや老廃物を排出し、動脈硬化、糖尿病、がんの予防、胆汁酸の分泌や産生を促してコレステロール値を下げます。

Ⅱ.難消化性デキストリンの健康効果

 難消化性デキストリンは天然の澱粉から作られた水溶性の食物繊維で①食後血糖上昇抑制作用②食後中性脂肪上昇抑制作用③血清脂質低下作用④内臓脂肪低減作用⑤整腸作用⑥ミネラル吸収促進作用などの効果が報告され、安全な食品として消費者庁で認められています。

Ⅲ.飲む健康ゴーヤエキス+難消化性デキストリン

 難消化性デキストリンはゴーヤエキスと同時に摂取することで水溶性と不溶性のバランスが保たれることが推測され、食物繊維の効果とゴーヤの栄養分の効果に相加・相乗効果が期待できると期待されます。とくに、糖代謝と脂質代謝の改善に対する効果とビタミン、ミネラルなどの吸収促進が期待されます。
 飲む健康ゴーヤエキス+難消化性デキストリンはゴーヤの栄養素を丸ごと水、熱湯などで溶かしておいしく召し上がれます。そして、現代人の摂取量が不足している食物繊維を補給することができます。

飲用の注意
 ゴーヤには血糖低下作用のある成分が含まれていますので、効果の現れやすい子どもや高齢者および糖尿病患者の場合は飲みすぎに注意してください。また、妊娠中にゴーヤを食べると流産を起こしやすいと言われています。さらに腹痛や下痢といった消化器症状、頭痛などが現れた場合は摂取を見合わせた方がよいでしょう。(近藤雅雄、2018年10月28日掲載)
下記PDFもご参照ください。
PDF:飲む健康ゴーヤ

5-アミノレブリン酸(ALA)による免疫増強とその機序

1.はじめに
 現代のストレス社会ではヘムオキシゲナーゼによってヘムの分解が亢進し、ヘム量が減少します。ヘムはアミノレブリン酸(ALA)からミトコンドリア内で生産でされる生体赤色素であり、呼吸やエネルギー生産、神経、内分泌、免疫の機能保持など、生命維持に不可欠な根源物質です。そこで、免疫機能の中枢である胸腺に対して、ALA・ヘムとの関連を検討しました。

2.研究方法
 雌雄高齢マウス(約35~45週齢;BALB/ cAJcl,日本クレア(株))に体重1kg当り2~10mgのALAを投与するように1日の飲水量に配合し7日間自由摂取させました(各群5匹)。実際の摂取量は飲水量から計算しました。飼料はCE-2(日本クレア(株))を自由摂取させました。飼育終了後、胸腺重量、胸腺細胞数、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性、グルタチオンペルオキシダーゼ(GpX)活性、ヘム合成関連物質の測定およびジーンチップによる遺伝子発現解析、リンパ球の幼若化能およびサブセットなどを測定しました。

3.結果
1)胸腺免疫機能に及ぼす影響
 ALA投与によって胸腺重量および胸腺細胞数が有意に増量し、その影響は高齢マウスで著しく、さらに雌に比べて雄の方が著しいことを見出しました。ALA投与により細胞の分化・増殖が亢進したものと示唆されました。胸腺細胞のリンパ球(CD4, CD8)サブセットが雌雄マウス共に増加傾向を示しました。さらに、ALA投与によって活性酸素を消去するSOD活性が有意に増加しました。

2)ヘム合成に及ぼす影響
 血液細胞および胸腺細胞共にALAを代謝する酵素が次々と活性化され、ヘム合成量が増加しました。この結果は、ALA投与によって胸腺の機能が回復・亢進することを示している。胸腺重量の増加は病理標本を作成・検討した結果、胸腺内リンパ球数の増加を認めました。

3)胸腺遺伝子発現に及ぼす研究
 胸腺細胞からt-RNAを抽出し、遺伝子解析を行いました。その結果、ALA投与によって934個の遺伝子の発現量に変化が見られました。さらにトランスクリプトミクス解析からSOD遺伝子の発現などが確認されました。

4.おわりに
 胸腺は加齢にしたがって萎縮し、それと共に免疫機能が低下することが分かっています。しかし、ALA投与によって萎縮抑制のみならず、若年期の重量にまで回復することを発見しました。さらにSOD活性の回復による抗酸化機能の増強が確認されたことは極めて重要な知見です。つまり、ALAは高齢者の免疫力増強と若返りに効能があることを示しています。
 これまでに胸腺の萎縮を抑制または回復させる因子は発見されておらず、ALAは免疫機能に影響を与える新しい因子として、今後大いに注目されるでしょう。
 一方で、健常者においては性差・年齢にかかわらず一日に約0.5~3mgのALAが尿中に排泄されています。同様な結果はマウスでも認められることから、ALA投与による生体影響についてはさらなる科学的検証が必要です。
 現在、ALAが健康食品や医薬品として商品化されていますが、ポルフィリン代謝異常症を有する人は避けた方が良いでしょう。(近藤雅雄:平成28年11月25日掲載)
PDF:ALAによる免疫増強とその機序

健康を体感できる食品「サルバチア ホワイト チアシード」

 チアシードは中南米原産サルビア科の植物。現地では古来から「生命維持にはチアシードと水があれば足りる」と言われ、他の穀物に混ぜたり飲み水に入れたりして摂取されています。粒の大きさはゴマよりも小さく、いちごの表面の粒位で、白と黒がある。白い粒の方が栄養学的効果は高く、これを品種改良したスーパーチアシードが「サルバチア」。水を含んだ時にもチアシードは約10倍、サルバチアは14倍と膨みます。
 サルバチアの主な栄養成分は、脂肪33%(オメガ3系脂肪酸は総脂肪の59%)、炭水化物36%(食物繊維81%)、たんぱく質20%、ビタミン・ミネラル11%を含む完全栄養食品です。ダイエット時の食事や運動時の栄養補給、生活習慣病予防やアンチエイジングなど多方面で健康保持を目的として注目されています。
 また、生体の機能保持に不可欠なオメガ3系脂肪酸(DHAやEPAなど)はサーモンの8倍以上、葉酸はほうれん草の5倍、マグネシウムはブロッコリーの5倍、ミネラルは牛乳の6倍、抗酸化物質はブルーベリーよりも多く、たんぱく質も大豆より多いことが報告されています。これだけの栄養素を一度にとることができる完全栄養食品はなかなかなく、男女・年齢問わず、日常の食生活に取り入れたい食品です。(近藤雅雄、2016年11月22日掲載)
PDF:健康を体感できる完全栄養食品「サルバチアホワイトチアシード」

野菜果物に多く含まれ、目の健康に良いゼアキサンチン

 ゼアキサンチンルテインと構造が類似したカロテノイドで、光によるダメージから網膜を守ることが報告されています。目の網膜、とくに黄斑とレンズ(水晶体)の部分に集中していますが、エイジング(加齢)にしたがって濃度が減少するため、加齢黄斑変性のリスクが高まります。また、喫煙者でも黄斑色素濃度の低下が見られると言われています。米国では、加齢黄斑変性患者が1千万人以上存在し、この内、45万人以上が既に視力を失っていると言われています。ハーバード大学が行った研究ではルテインとゼアキサンチン摂取の多いグループは低いグループに比し、加齢黄斑変性の危険性がかなり低いと言われています。
 ゼアキサンチンは自然由来のカロチノイドの一つで野菜や果物に多く含まれています。パプリカ、ホウレンソウ、カボチャ、マンゴー、トウモロコシ。この中で、パプリカはゼアキサンチンとルテインが多く含まれていますが、赤いパプリカはゼアキサンチンが多く、黄色いパプリカはルテインが多く含まれています。(近藤雅雄、2016年2月14日掲載)

野菜や果物に多く含まれ、目の網膜の健康に働くルテイン

 ルテインとはカロテノイド(食品に含まれる赤、黄、橙などの色素の総称)の一種で、ゼアキサンチン(黄斑中央部の主要な構成物質ですが、網膜周辺部位ではルテインが主要な構成物質です)と共に黄斑部にとくに多く含まれていますが、体内で合成できない栄養素で加齢によって減少します。
 ルテインは抗酸化作用によって目の酸化ストレスを防ぎ、パソコンなどから放射される強い青色光や紫外線から黄斑部を守ります。エイジングによって体内のルテイン量が減少し、加齢に伴う白内障や視力低下・失明を招く加齢黄斑変性などの様々な目の障害を増加させるとの指摘があり、今後の研究が期待されています。ルテインを含む緑黄色野菜や果物を日常的に摂取している人は、網膜を保護する黄斑色素の濃度が高く、加齢黄斑変性や白内障になる確率が低いと言われています。さらにDHAを一緒に摂ると目に対する抗酸化作用が増強すると言われています。
 ルテインはケール、シソ、モロヘイヤ、ヨモギ、パセリ、乾燥プルーン、アボガド、ホウレンソウ、小松菜などの野菜医や果物に含まれています。(近藤雅雄、2016年2月14日掲載)

こころとからだの健康(13)目の病気の予防に必要な栄養素と食品

 近年、スマホやコンピュータ、大画面テレビなどの急速な発展による生活環境の変化に伴って眼精疲労・ドライアイを自覚する人が増加すると共に白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの失明に至る眼病が注目されるようになりました。これら背景にはスマホやコンピュータの発展以外に高齢人口の増加と日常的なストレス、偏った食事、無理なダイエットなどによるビタミンやミネラル類の過不足など、栄養障害が考えられることから目の病気も生活習慣に関わる疾病と言えます。

 目はこころとからだの健康維持に重要であり、目の病気は様々な行動の妨げとなるなど、日常生活への負の影響は計り知れない。疲れ目やかすみ目で悩んでいる人、スマホやパソコンなどで目を四六時中酷使している人や自動車やトラックのドライバー、飛行機のパイロットなどは一度自分の食生活を見直すことが大切です。普段の食事を意識して摂取する習慣を身に付けたい。食事で摂取できない時は視力回復のサプリメントや緑黄色野菜、果物などを積極的に摂りいれる工夫も必要です。

 世界の中でも日本人の視力低下は著しく、最近の調査では約83%の人がメガネかコンタクトを使用し、近視の低年齢化が問題となっています。目に関することわざは多数ありますが、その中で「目は心の鏡」「目は人の眼(まなこ)」と言われるように、目はこころとからだの入力部位であり、こころとからだを映し出している。目は生体すべての感覚情報の約80%を占めると言われ、生体に入る情報は目に依存していると言えます。

 人間において、視力が形成されるのは生まれてから後天的に徐々に発達し、5~7歳位までに完成すると言われています。したがって、この期間における目のケアーにはとくに十分に注意されたい。また、目は12~13歳頃から老化が始まると言われている。生涯において目を大切にするこころを持って、目の健康に気を配り、食環境と同時にストレス解消の方法を自分なりに考え、美しい目を保持したいものです。

 本稿では目の病気の予防・対策に必要な栄養素・食品について調査を行いました。論文の内容はⅠ.視覚と目の病気(1.視覚の性質、2.目の病気、3.失明の原因となる疾患)、Ⅱ.眼病の予防に良いとされる栄養素と食品(1.眼精疲労・ドライアイに良い栄養素、2.近視抑制に良い栄養素、3.白内障、加齢黄斑変性などに良い栄養素、4.抗酸化物質の機能、5.ブルーベリーは目が良くなる食べ物の代表)、Ⅲ.眼に良い栄養素(1.抗酸化物質、2.ビタミン類、3.ミネラル類、その他)からなります。(近藤雅雄、2016年2月8日掲載)
 内容詳細は以下のPDFを参照して下さい。
PDF:眼の病気の予防・対策に必要な栄養素と食品

油脂の健康効果~「こめ油」「クリル」「亜麻仁油」の健康効果

1.こめ油
原料:米糠
成分:米糠に特有の成分γ‐オリザノール(オリザノールA、オリザノールC)とオレイン酸、ビタミンE(α‐トコフェロール、α‐トコトリエノール)、ビタミンK、鉄などを含む。γオリザノールとはフェルラ酸とステロールとが縮合したエステル類の総称。
効果:以下のように多様な効果が知られています。
①自律神経調節作用:自律神経失調症の緩和に有効、自律神経のバランスを整え、肩こり、眼精疲労、腰痛、更年期に起こりやすい不定愁訴などの症状を改善する。
②皮膚の健康維持作用:皮膚の血行をよくするとともに、皮脂腺の機能を高め乾燥性の皮膚疾患を改善する。老化した角質を取り除き、皮膚の表面を膜で保護する。また、シミの原因となるメラニン色素の増殖を抑え、紫外線吸収作用があり、皮膚の酸化および老化を防ぐ。皮膚の血管を拡張し、血液循環を促進する。
③血中脂質改善効果:脂質代謝に関与し、コレステロールを低下させる。また、コレステロールの吸収・合成を抑制する効果が知られ、高コレステロール血症や動脈硬化症など脂質異常症の予防・治療薬に多く利用されている。
④生殖機能改善作用:無月経、卵巣機能障害、性腺刺激作用などの効果。
⑤抗酸化作用:ポリフェノール成分で、ビタミンEとともに抗酸化作用が知られ、脂質過酸化防止、リノール酸の体内作用の強化、ホルモンバランスの改善、脳や皮膚の老化防止などが知られている。
⑥その他、抗ストレス作用、成長促進やがん治療効果、心身症改善効果などが知られ、医薬品および化粧品としても利用されています。
 医薬品としての副作用は発疹・かゆみなどのアレルギー症状、眠気•嘔吐、吐き気•下痢、脱力感、倦怠感、また、0.1%未満ですが、めまいやふらつき、頭痛、便秘、食欲不振、腹痛、口内炎、動悸、むくみ、などの症状が報告されています。

2.クリル
原料:オキアミ類
成分:EPAとDHA
効果:オキアミから抽出されるクリルにはDHA、EPAを豊富に含んでいる。DHAは脳内に存在する主要な多価不飽和脂肪酸であり、脳の発達と機能のために重要です。脳のシナプスに豊富に含まれ、ニューロンでのシグナル伝達に関与していることが示唆されています。記憶の要である大脳辺縁系の海馬にも多く含まれています。
 脳の代謝・血流改善作用として、①血管壁や赤血球の細胞膜を柔らかくする。②神経伝達物質の産生量を増やすことが知られている。また、ストレス耐性を強化する働きもあるという。注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもに症状のわずかな改善が認められたという報告があります。 さらに抗酸化成分のアスタキサンチンが含まれ脂質過酸化防止に有用です。

 アスタキサンチンはビタミンEの約1000倍の抗酸化力とされ、自然界で最強の抗酸化物質との指摘があります。主な効能は脂質の酸化防止、LDLコレステロールの低下、動脈硬化の予防・改善、糖尿病性白内障の進行抑制、ストレスなどによる皮膚の免疫能低下の抑制、紫外線による皮膚の酸化防止、炎症抑制、ビタミンAの生産、概日リズムの調節などが言われています。最近、脳血管性認知症やアルツハイマー病、糖尿病の合併症、白内障、加齢性黄斑変性症などの予防効果が期待できると注目されています。

3.亜麻仁油
原料:亜麻仁種子
成分:αリノレン酸
効果:オメガ3系脂肪酸の一種であるαリノレン酸は、体内でエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)に変換される。亜麻仁油にはα-リノレン酸がゴマの約100倍含まれ、脂質異常症患者の血中中性脂肪と超低比重リポタンパク質(VLDL)値を全般に低下させると言われています。
 効果としては学習能力や記憶力の向上、認知症予防、アレルギー症状の緩和、血流改善、エストロゲン作用、便秘解消、高血圧、動脈硬化、心血管疾患、骨粗鬆症、糖尿病、がんなどの生活習慣病予防など多様な効果があると言われています。ドイツでは慢性の便秘、緩下剤誘発性結腸障害、過敏性腸症候群、腸炎、憩室炎での使用を承認しています。(近藤雅雄、2015年11月23日掲載)

こころとからだの健康(10)脳に良い食品、機能性食品とその成分

 脳は大脳(皮質、辺縁系、基底核)、間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)および小脳から構成され、心身(こころとからだの働き)の司令塔です。特に大脳皮質は感覚・運動の統合、意志、創造、思考、言語、理性、感情、記憶を司る人間としての最も重要な器官であり、その中でも前頭連合野は人間としての中枢とも言うべき、様々な重要な働きをし、哺乳動物の中では一番重たい。
 脳は骨格筋、肝臓に次いで基礎代謝量が高く、多くの栄養素を必要としているため、栄養の摂取バランスの異常や不足は脳の機能にダメージを与え、こころとからだに様々な影響を与えます。その代表的なものとして、近年、アルツハイマー病やうつ病などの疾病が大きな問題となっています。
 2012年の世界保健機関の報告によると、認知症患者は毎年770万件増加し、その数は世界中で3,560万人と推定されています。これが2030年までに倍増、2050年までに3倍以上(1億人以上)になると予測されています。認知症には①アルツハイマー型、②脳血管性認知症、③レビー小体型認知症、④ピック病(前頭側頭型認知症)、⑤混合型認知症、⑥その他などがありますが、この内、70%近くがアルツハイマー病です。
 そこで、認知症やうつ病などの脳の障害を予防し、脳(こころとからだの司令塔)の働きをよくする食品および有効成分について文献調査を行い、こころとからだの健康に役立つ資料としまた。
 掲載した食品および機能性物質は以下の24食品、24物質であり、その詳細はPDFに掲載しました。

1.脳(アンチエンジング)の活性化が期待される食品
 亜麻の種(亜麻仁油)、イチョウ葉、オリーブオイル、カワカワ、くるみ、ココア、コーヒー、魚、ザクロ、センテラ(ゴツコーラ、ブラーミ、ツボクサ)、SOD様作用食品、セイヨウオトギリソウ、セイヨウカノコソウ、ダークチョコレート、納豆、ニンニク、ビルベリー、ブルーベリー、ほうれん草、豆類、松葉、ムール貝、ヨヒンベ(ヨヒンビン)、緑茶の24食品。

2.脳に良いとされる機能性物質
 アスタキサンチン、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、γ‐アミノ酪酸(GABA、ギャバ)、ギンコライド、グルタチオン、コエンザイムQ10、サポニン、ジメチルアミノエタノール、食物繊維(不溶性食物繊維、水溶性食物繊維)、タウリン、テアフラビン、テアニン、DHA、トリプトファン、ビフィズス菌、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、フェルラ酸、ホスファチジルセリン、ポリフェノール、フラボノイド、メラトニン、レシチンの24物質です。
 内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2015年10月6日掲載)
PDF:脳に良い食品、機能性食品とその成分

コリン前駆体「ジメチルアミノエタノール」の脳への影響

 ジメチルアミノエタノールはコリンの類縁体であり、神経化学伝達物質ですアセチルコリンの生化学的前駆体です。自然界ではイワシやアンチョビといった魚類に多く含まれています。脳に対してポジティブに作用する例とネガティブに作用する例の両方が報告されています。
 効果として、短期的には注意力や集中力の向上、気分の高揚が見られますが、長期投与の効果は不明です。摂取量が適量よりも多すぎると寿命を縮める結果になるのではないかと危惧されています。長寿を目的とした摂取には科学的根拠がなく、避けた方がよいでしょう。(近藤雅雄、2015年10月6日掲載)

植物センテラ(ゴツコーラ、ブラーミ、ツボクサ)の人への影響

 インド・南アジア・東ヨーロッパなどが原産の植物で、葉の部位が西洋ハーブとして利用されています。インド医学であるアーユルヴェーダに取り入れら、中国の「神農本草経」に記載があるという。
 北米の先住民は皮膚炎の治療薬や利尿剤として使用し、東洋医学では身体的な悩みからくるうつ病などの治療に使われています。
 効能としてはリラックス効果や記憶力の回復、精神状態(うつ状態、ストレス状態)の改善や鎮静効果、また、脳内の神経伝達物質を調整し、脳の働きを活性化するという。その他、去痰、風邪によるうっ血解消、産後の回復を早める、血行促進、静脈炎の腫れや痛み緩和などが知られています。動物実験では学習能力と記憶力が改善されたとの報告があります。(近藤雅雄、2015年10月6日掲載)

スーパーフード亜麻の種(亜麻仁油)のサプリメント効果

 日本ではあまり見かけませんが、海外ではスーパーにて普通に売られているスーパーフード。種は小さいが100g当たり脂肪41 g、食物繊維28 g、タンパク質20 gと豊富に含まれています。
 最近、亜麻の種子から得られる亜麻仁油(アマニ油)にオメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸をはじめとする不飽和脂肪酸が豊富に含まれることから、脳に良いサプリメントとして販売されています。ドイツでは慢性の便秘、緩下剤誘発性結腸障害、過敏性腸症候群、腸炎、憩室炎での使用を承認しています。
 効果としては学習能力や記憶力の向上、認知症予防、アレルギー症状の緩和、血流改善、エストロゲン作用、便秘解消、高血圧、動脈硬化、心血管疾患、骨粗しょう症、糖尿病、がんなどの生活習慣病予防など様々な効果があると言われているが、十分な科学的根拠はありません。
 安全性については、食品に含まれる量を摂取する場合は問題ないが、妊婦・授乳中の女性については十分なデータがないため摂取を避ける。(近藤雅雄、2015年10月5日掲載)

地中海に面した地域で汎用されているオリーブオイルの効果

 オリーブオイルは地中海に面した地域(イタリア、スペイン、ギリシャなど)で汎用されています。ギリシャでは日常的に様々な料理に使われ、消費量は世界一。他の食用油脂に比べて酸化されにくく固まりにくい性質を持つ。
 ポリフェノールと良質の脂肪がからだと脳のエネルギー源となるほか、関節や粘膜の炎症を抑える効果があるという。主成分であるオレイン酸は腸を刺激して排便を促す効果があります。ただし体質によっては、過剰摂取により下痢を起こす場合もあると言われています。
 オリーブオイルは大腸がんの予防として注目されています。日本では男女ともに大腸がんが急増していますが、オリーブオイルを大量に使っている南イタリアやギリシャ、スペインでは大腸がんが少ない。また、高GI食にオリーブオイルを加えると食後の血糖値が抑えられ、さらにダイエット効果(やせる)があるといわれています。(近藤雅雄、2015年10月5日掲載)

「くるみ」は栄養価が高く、脳や心臓の健康に効果がある

 くるみは紀元前7000年前から人類が食用していたとも言われ、日本では縄文時代から食用していたとされる。米国カリフォルニア州と中国での生産が多く、日本では長野県東御市が生産量日本一です。脂質が実全体の70%を占め、必須脂肪酸オメガ3系脂肪酸(脂質を構成する脂肪酸)の一種であるα-リノレン酸も豊富に含み(くるみ(いり)100g当たり8.96gに対してアーモンドにはわずか0.01gしか含まれていない)、脳の細胞膜の構成成分となるなど、脳機能の維持に役立ちます。また、ビタミン(抗酸化に重要なEやエネルギー生産に必要なB群など)やミネラル(カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛)が豊富に含まれており、栄養価が高く、脳や心臓の健康効果があるという。また、くるみにはポリフェノール(カテキン、タンニン、エラジタンニンなど)が含まれ、脳内化学伝達物質を活性化し、認知機能を向上させる可能性が示唆されています。

 2015年、米国の大規模研究によって、くるみを消費した成人の記憶力・集中力・情報処理速度などの認知機能は年齢・性別・民族性に関係なく高いことが分かりました。くるみを1日に一握り分食べている人の記憶力は、食べていない人と比較して19%高いという。
 くるみを毎日食べると、腸内環境の改善、生活習慣病予防、認知機能の維持、美肌、睡眠の質の向上などが期待できますが、カロリーが高いため1日7〜10粒(約30g)程度を目安に、適量を守ることが重要です。食べ過ぎると体重増加や消化不良の可能性があるため注意が必要です。(近藤雅雄、2015年10月5日掲載、2025年10月1日更新)

ビタミン,ポリフェノール,アミノ酸等を含む「ザクロ」の効能

 ザクロは、1999年から2000年頃、果汁にエストロゲンが含まれるとして閉経後のアルツハイマー型認知症に有効であるとブームとなりました。しかし、国民生活センターが流通しているザクロジュースやエキス錠剤など10 銘柄について分析した結果、いずれもエストロゲンは検出されませんでした。古くから薬用に供されてきましたが、科学的根拠は十分ではありません。
 可食部はカリウムが比較的多く含まれ、ビタミンC,B1,B2,ナイアシン等のビタミン類、タンニンやアントシアニン等のポリフェノール類、グルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸類等が含まれ、美肌効果や生活習慣病に良いといわれています。(近藤雅雄、2015年10月5日掲載)