健康情報15.運動により分泌される筋マイオカインの健康効果

 筋肉には骨格筋(横紋筋)、心筋(横紋筋)、内臓や血管の平滑筋の3種類存在する。この中で、骨格筋は体重の約26~36%を占める人体最大の臓器で身体活動を支えている。
  骨格筋には①運動作用、②姿勢保持作用、③熱の発生、④張力の発生、⑤筋ポンプなどの作用がある。しかし、近年、運動によって骨格筋から血液中に分泌される物質、マイオカインが次々と見出されている。いわゆる運動ホルモンで、運動による健康効果として注目されている。

Ⅰ.マイオカインとは
 マイオカインは骨格筋細胞内で生産され血中に分泌される物質の総称で、多くの種類が報告されている。生活習慣によってマイオカインの分泌量に個人差が見られ、日常的によく動く人は「善玉」が多く分泌される。一方、動かない人は「悪玉」が増え、筋の萎縮・老化を速める。つまり、運動(からだを動かすこと)は善玉マイオカインの分泌を促進し、健康を維持する鍵となる。

Ⅱ.マイオカインの主な生理作用
 マイオカインは脳、肝、膵、皮膚、血管、筋、骨、脂肪細胞など、ほぼ全身を標的組織として作用する。その主なものは脂質代謝の改善、白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への変換、内臓脂肪減少、糖代謝の向上、糖尿病の予防、抗炎症作用、脳神経細胞の活性化、海馬の神経細胞新生、学習記憶力強化、認知症予防、食欲抑制、抗がん作用、免疫増強作用、全身エネルギー代謝の調節、血管の健康維持、筋肥大促進、筋増強促進、骨形成、骨粗鬆症予防など多様な効果が報告されている。
 運動による健康増進や生活習慣病、がん、神経変性疾患サルコペニアなど各種疾病の予防、健康と若さを保ちフレイル予防アンチエイジング健康寿命延伸に期待されている。

Ⅲ.マイオカインを増やす生活習慣
マイオカインの分泌に欠かせないのが健康増進の3原則(運動,栄養,休養)。各個人にあった心身のケアを考えたい。
1.運動:運動の種類や強度によって分泌されるマイオカインの種類や量が変わるため、さまざまな種類の運動を行うことを心掛ける。継続的な運動は持続的にマイオカインの分泌を促すため、体力や生活環境に合わせて軽い運動(ウォーキングやストレッチなど)を習慣化すると良い。とくに高齢者ではウォーキングに加え、身体を細目に動かすよう気を配る。
 一方、競技用スポーツや激しい運動(全力のランニングなど)は免疫力低下、筋の疲労、酸化ストレスなどさまざまなリスクがあるので注意する。
 筆者は、下記PDFに記載したように独自の運動を計画的に、楽しく、習慣化している。

2.栄養:筋の維持には、体重1kgにつき1日1g以上(筋量を増やす場合は1.2~1.5g)の蛋白質摂取が推奨され、同時にビタミン、ミネラル、糖質、脂質の5大栄養素をバランス良く摂取するのが基本です。また、酸化ストレスから心身を守るためにポリフェノール、ビタミン、そして牡蠣、レバー、海藻、ナッツ類などに多く含まれている抗酸化ミネラル*(セレン、亜鉛、銅、マンガン、鉄)を含むさまざまな食品摂取に心がけ、楽しく運動後のケアを行う。
*抗酸化ミネラルとは体内に発生した活性酸素を分解するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は亜鉛、銅、マンガン、グルタチオンペルオキシダーゼはセレン、カタラーゼは鉄を、各々構成元素として含むことから、これら必須元素の摂取が注目される。

3.休養:質の高い睡眠と入浴は心身のリフレッシュに有効です。筋線維は運動によって傷つくが、それを修復するには、十分な休息が必要です。アクチンとミオシンという筋フィラメントが修復されれば、より強い筋を得ることができる。(近藤雅雄、2026年5月9日掲載)
詳細は下記PDFを参照して下さい。

PDF:骨格筋運動ホルモン:マイオカイン

老人のつぶやき5.戦争や軍事活動によって破壊される地球

 人類の誕生以来、領土、資源、思想、宗教などといった多様な名目で、規模を変えながら綿々と続く争い。現在も、2020年12月24日、ロシアがウクライナを侵攻してから未だに戦争が続いている。そして、2024年から始まったイランとイスラエルの戦争、2026年には米国が参入しイスラエルと米国によるイラン攻撃米国のベネズエラ攻撃等々、ロシアと米国が関わる戦争に世界は混乱し、地球は悲鳴を上げている。
 国際秩序が崩壊しつつある現在、これら国際法で違法とされている戦争は、人命損失だけでなく、地球環境を破壊する行為であり、看過できない。その破壊は修復不可能であり、大量のエネルギーを消費し、土地、大気、海洋、森林を汚染し、気候・自然資源の悪化、生物多様性の減少など、甚大な被害をもたらす。このような不可逆的な環境破壊行為を許してはいけない。国際社会は地球環境を破壊するような戦争や軍事活動をできなくする新たなルールを作るべきです。 (近藤雅雄,2026年4月3日掲載)

戦争をなくしてみんなの地球を守ろう(作:近藤雅雄)

地球上には沢山の生き物が生活している
助け合いながら

この美しき地球は
人類だけのものではない
戦争は人類によって惹き起こされるが
どんな事情があれ、許されない

戦争は悪である
これを惹き起こす人間は最悪である

この世に表(陽)と裏(陰)があるように
平和を望む人と戦争を好む人がいる
しかし殆どの人は平和を望んでいる

みんなの力で
戦争しない国際ルールを作って
それを厳しく守れば
戦争を平和に変えることができる

地球は一人のもの、一国のものではない
地球はみんなのものだ
生き物たちすべての
みんなの地球だ

一人ひとりのいのちの尊さと
人を愛する心 感謝の心を持って
沢山の生き物が棲むこの美しい地球を
みんなの力で大切にしよう

世界の平和と地球の環境保全に貢献する
たくさんの仲間を増やそう

PDF:老人のつぶやき5

老人のつぶやき4.戦争と地球環境、世界の国際秩序は

 人類の持続した発展を願う上で、最も基本的で重要なことは、地球を大切にするこころを学ぶことです。そして、地球環境に負荷をかける生き方を改め、環境の改善・保全に全力で取組むことです。

 2020年12月8日、新型コロナウイルス(COVID-19)が中国武漢で発生して以来、南極大陸を除くすべての地域に瞬く間に広がりました。そして、日本では甚大な社会的、経済的不安を起こし、保健、医療、福祉、教育、食糧・食生活、地域社会、レジャー、仕事、働き方等々、国民生活に大きな影響を与えました。

 一方、世界では2022年2月24日のロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻、2026年1月3日の米国のトランプ大統領によるベネズエラへの攻撃、国家元首(大統領)拘束、2026年3月3日イランへの攻撃と最高指導者の殺害、イラン・イスラエル戦争イスラエル・米国によるイラン攻撃ホルムズ海峡の封鎖、また、北朝鮮の核開発など、世界情勢が急速に変化し、国際秩序に混乱が生じはじめています。これらを解決するには新たな政治・経済・環境・安全・人権・保健・医療等に対する国際的な監視・評価・審判機構の設置など、国際秩序の健全化への取組が望まれます。
また、人類が誕生して以来、綿々と「戦争と環境破壊」が続いていますが、いずれは人類の生存と地球環境に何らかの不可逆的な影響が出てくるのではないかと不安です。国際社会は直ちに地球と人類の持続した発展を図るべく地球環境の改善・保持に取組むべきです。

 私たち人類は自国愛ファーストではなく、この美しい地球に感謝するとともに、この美しい地球を次代に引継ぐことを第一に考え行動すべきです。愛国教育も大事ですが、それ以上に地球を愛するこころを育てる教育の方がもっと大切と思います。

 国際的な紛争・戦争、侵略、地球環境の破壊、人権侵害、関税の一方的引上げなどが公然と行われている現代、これら人類の平和な生活への脅威に関わる問題、国際秩序の安定と地球環境の保全は国連、各国政府機関、および国際的なNGOによって協働して進められていますが、残念ながら軍事大国の大統領による影響を受け易く、活動が平和裏に進まないことがあります。このようなことがないよう、新たな「国際秩序と地球環境を守る組織」を構築し、すべての国が人類・地球の持続的発展と平和を目指した活動に取組むよう期待したい。この取組は世界で唯一の被爆国であり、東京大空襲、沖縄大惨劇を経験した日本が中心となって進めてほしいと思います。(近藤雅雄、2026年4月2日掲載)

老人のつぶやき3.平和で美しい日本の持続的発展を願う

 次の世代へ平和で美しい日本を引き継ぐことは、今を生きる私たち共通の願いであり、責任でもあります。自然の豊かさ、文化の深さ、そして何より人々の心が穏やかでいられる社会を、守り続けたいとの願いで、つぶやきました。子どもたちの未来が心配で、ついついネガティブ思考・愚痴が多くなります。

 「喜怒哀楽」といった4つの基本的な人間の感情において、悲しい時に涙するのは動物の中で人間だけであり、感情をコントロールして「前へ」向う上で、また人間の魂を支えていく上でとても大切なことです。例えば、悲しみを抱えた場合、泣くことによって悲しみを乗り越え「前へ」進むことができます。もし、泣かない人間が多くなった時、社会はどうなるのでしょうか。
 1941年6月、民俗学者の柳田国男が発表した「涕泣(ていきゅう)史談」に「最近の日本人は泣かなくなったように見える」とあります。この年の12月に真珠湾攻撃が発生し、米・英国との太平洋戦争に突入しました。そして現代、日本は円安、物価高騰、詐欺等犯罪の多様化、SNSによる誹謗中傷、外交問題等々、「怒り」が多く見られるようになりました。

 日本は、ロシア、中国、北朝鮮といった近隣の国々や同盟国である米国などの動向、また地震などの突発的大規模自然災害によって大きく変わることが推測されます。
 また、社会的にIT、汎用AI、生成AI、フィジカルAI、デジタル化や各種詐欺などが国民生活に与える影響が加速しています。これらIT,AIに関わる企業の国及び国民への影響は大きく、正しい方向へと歩むことができるようマスコミ及び国は監視・指導するよう願っています。その他、様々な問題が日本及び世界で起こっています。

 これら、現代社会が抱える諸問題に対して、日本の持続的発展を願い、様々な不安を取り除くよう国家・国民が総力を挙げて取組むことを願っています。多くの政治的問題は与党を中心に遂行されます。その責任は非常に重たいですが、それ以上にメディアや野党の責任も大きい。メディアや与党、野党がしっかり機能していれば、日本は国民の願う方向に進んでいく筈です。

 気になる噂について、「老人のつぶやき27項目」として下記PDFに挙げました。国はこれら産業・経済・農業・教育・人口・インフラ・防災・外交・医療・福祉・科学等に関わる諸課題に対して謙虚に総力を挙げて取組んでほしい。戦後、平和への思いを掲げた世界唯一の平和憲法第2章第9条を変えることなく、したたかに生きることも肝要かと思います。(近藤雅雄、2026年4月1日掲載)

PDF:老人のつぶやき27項目

老人のつぶやき2.いのちを大切に~生きるこころと感謝

 人は、この世に生まれてきたことに対して、「感謝のこころを持って生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった人としての基礎を育む」。これが人間形成の基盤と成すこころの教育です。地球上の全人類が同じ思いであると嬉しいです。
 人を含め、遺伝子を持つ生命(細胞)は必ず死を迎えます。は生きることが出来なくなった状態です。したがって、生命(いのち)とは生きている状態を指します。
 その生命とは次代を生産し、育てること。そして、知識や技術を次代に引継ぐことです。
 生きるとは満たされること。日々何かに満たされれば、次(明日)に繋がります。その繰返しが生きる糧となります。私たちは感謝の気持ちを持ち、楽しい、美しい景色を見て人生を謳歌したいものです。近藤雅雄(2026年3月25日掲載)

生きるこころ

生きるこころとは
それは生きる希望、夢です
希望、夢を心に抱き、明日に向かって生きようとするこころです
1日でも長く生きたいと思うこころです

飼い主に可愛がられていた忠犬ハチ公は、朝晩渋谷駅まで送り迎えしました
しかし、職場で飼い主が脳出血で死んでしまいます
それを知らないハチは帰ってくるはずのない飼い主を毎日迎えに行きました
10年間、雨が降っても雪が降っても、何も食べなくても、駅に行きました
それは毎日の希望、期待、夢でした
しかし、願叶わずひっそりと亡くなってしまいました
悲しい話ですが、1日でも長く生きたいというこころを学びます

すべての生き物(動物)は1日でも長く生きたいのです
明日への希望、夢を心に抱き、生きたいのです
私の希望、夢は孫の成長を1日でも長く見続けたい
そして、家族の笑顔を1日でも長く見続けたい

生きるこころを育てるには
生きる力、感謝するこころ
いのちを大切にするこころ
他者を思いやるこころ
前向きなこころ
諦めないこころ
そして、生涯、学ぶこころを育むことが大切です

しかし、生きるこころを奪う人間
生きるこころを奪う権力はいりません

以上、PDFにしました。

PDF:生きるこころ

老人のつぶやき1.退職前・後および若年期と高齢期の変化

 2021年7月、2回目の新型コロナウイルスワクチン接種後、健診で血液がんが発見、5年生存率36~40%と告げられる。以降、仕事を退職し、終活に取組んでいます。

 退職前は講義、講演、論文書きなど、教育・研究者として毎日充実した人生でした。また、人、物、環境とすべてが良い方向に行き、戦争もなく幸せな時代でした。研究環境ではタイプライター、ワープロ、コンピュータ、またポケベルPHS、携帯電話、スマートフォンなどと目まぐるしい社会の変遷を経験しました。
 一方で、地球環境は公害に代表されるように、多くの問題を出しました。1967年6月、私が勤めた厚生省国立公衆衛生院では大気汚染、水質汚染、騒音などによる公害に係わる衛生に関する調査・研修・研究を目的に公害衛生学部が新設されました。しばらくして、わが国からは公害と言う言葉は殆ど無くなると同時に国立公衆衛生院の公害衛生学部は1972年7月に地域環境衛生学部と名称変更されましたが、その後も環境汚染の公衆衛生学的対策に関するさまざまな最先端の教育・研究が続けられました。
 ところが、地球規模的には途上国が先進国と同じように公害を出している現状がありますが、これは頂けません。公害は人類共通の課題として学習し、地球の持続した発展を願うべく再度出さないことが大切です。さらに、ロシア、米国、イスラエルなどが行っている戦争、北朝鮮などが行っている核実験や弾道ミサイルの試射、そして世界中で発生している森林火災などは公害の最たるもので、すべてを破壊します。地球の温暖化生物多様性の減少、海洋汚染、大気汚染、放射性物質の放出等々、絶対に肯定できるものではありません。直ちに止めてほしいものです。

 退職後は自分自身のこころとからだの養生と生命(いのち)を課題として研究していますが、日々緊張感が薄れてきます。75歳の後期高齢期を境として、聴力、視力、咀嚼・嚥下力、筋力の衰えを実感すると共に知力(思考・記憶)、行動力の衰えを自覚します。そこで、養生のためこれらを少しでも是正すべく、視力、聴力、咀嚼力、筋力、知力及び意識の向上が図られる方法を調査・研究し、栄養管理と共に視力や聴力など感覚力の矯正、筋肉維持や学習のトレーニングを毎日の仕事と位置付け、実行しています。その効果は少しずつ表れていることを自覚しますが、これがいつまで続くかは不明です。

 今年77歳、がん患者として残り僅かな命ですが、珈琲を飲んでいる時や勉強している時、家族の笑顔を見たり花や金魚など自然に触れる時、“幸せ”を実感すると共にいのちに感謝します。これが生きるこころとなって、明日への希望、夢、期待に繋がって行くのでしょう。そして、子どもや孫の未来が平和で幸せであることを願って、笑顔で逝きたいと思っています。人は生まれた直後は生理学上泣きますが、死ぬ直後は両親・家族、いのちに感謝しつつ笑って逝きたいものです。(近藤雅雄、2026年3月24日掲載)

教育回想14. 東京都市大学人間科学部「紀要」の発行と巻頭言

 昭和13(1938)年,東急電鉄創業者五島慶太氏は世田谷区の等々力に東横商業女学校を創設しました。昭和30(1955)年,学校法人五島育英会(以下,法人と略)が設立され,翌年に東横学園女子短期大学と校名変更されました。時代は変わり,平成21(2009)年4月には武蔵工業大学(工学部,知識工学部,環境学部)と統合,新たに人間科学部と都市生活学部が創設され,5学部からなる総合大学として東京都市大学が誕生しました。そして,令和4(2022)年4月,人間科学部は等々力キャンパスから世田谷キャンパスに移転しました。また,人間科学部は2023年度より児童学科から人間科学科と科名変更され,「児童学」と「人間総合科学」の2つのコースとなりました。

<  さて, 1965年に創刊された東横学園女子短期大学紀要は新たに東京都市大学人間科学部紀要として引き継がれました。この紀要への投稿原稿には必ず査読が入り,学術論文誌として審査したことを覚えています。どれも萌芽性・独創性が高く,優れた論文ばかりでした。大学は教育機関であると同時に研究機関でもあります。紀要は学部の顔・看板として研究活動や学問的な特色を示すと同時に教員の研究業績及び学部の評価対象物ともなります。総合大学となってから16年が過ぎましたが,紀要の内容はグレードアップし,成長・進化しています。益々の発展を期待しています。

 紀要は大学のホームページで読むことができます。第1号に巻頭言を書いた記憶がありますが,USBに原本がありましたので,以下のPDFに示しました。当時は執筆時間が無く校正もしていないので,読みにくいです。ほんの少し修正しました。(近藤雅雄、2025年12月1日掲載)
PDF:人間科学部紀要巻頭言

病気と治療10.わが国の医学および医療の問題を独自検証

問わず語り~いつまで続ける西洋医学単一医療

 明治7(1874)年、わが国の医師法と医療制度の根源を成す「医制」が発布されて以来、西洋医学を基礎とした体制が150年以上続いています。医師は患者に対して、診断・治療を理由に、各種検査や投薬、手術、放射線療法、食事療法などすべてを遂行でき、また、看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者の職務を指示・管理できます。
 日本では専門医制度が発展し、資格を取得した医師による診療が行われています。大学病院など「特定機能病院」では極端に専門化し、高度医療の提供を開始しましたが、逆に専門領域以外の病気は診なくなりました。例えば、血液のがん患者が高血圧症を合併した場合は循環器の専門家に紹介します。肝機能の数値が高ければ肝臓の専門家に回します。このように患者は院内の他科に紹介されます。そして、その都度検査や薬が処方されます。日本の医療の基本は検査と薬物治療です。専門及び総合病院にはからだ全体を診る医師(総合診療医)は少ないので、患者は専門の各科または他の病院へ移動します。
 そして、やがて患者は各診療科の専門医から処方された多くの薬の副作用とその複合作用でどんどん衰弱、がんは転移、さらに、さまざまな検査(とくにCTやレントゲン検査などによる酸化ストレス)と心身疲弊で免疫力が低下、全身のバランス、生体リズム・恒常性が崩れた段階で手遅れ、手の施しようがなく、両手を挙げる如く、お手上げとなりかねません。しかし、総合診療医制など、現代医療が抱えている多くの問題を検証し、抜本的な改革をすれば手遅れにならず、手当てできるようになるでしょう。
 米国では1990年を境にがん死亡率は低下しています。そして、さまざまな医療改革(代替・補完療法(CAM)や食事療法を取入れ、1991年、日本の厚生労働省に当たる行政機関に代替医療局(現在は公衆衛生局)を設置し、1998年には国立補完代替医療センター(NCCAM)を開設した)によって、西洋医学に伝統医学、代替・補完療法などを加えた統合医療が行われています。しかし日本では公衆衛生の部署すら無く、がんの死亡率は今も増え続けています。
 そこで、日本医療の進化を図るために、現代医学が抱えている多くの問題の中から抜本的な改革が必要と思われる以下の4章,15項目について独自検証しました。

 第1章.代替・補完医療と統合医療の進展(①いつまで続ける医師主体の医療,②西洋医学一辺倒の日本の医療,③米国が国立補完代替医療研究センター開設,④薬物依存治療偏重の是非,⑤医師の診察のあり方を問う,⑥大学医学部のカリキュラムの見直し,⑦がん死亡率が減少しない)。第2章.総合診療の拡充を期待(①総合診療を行う医師が少ない,②何故、総合診療医が育たない)。第3章.我が国の医療進化を期待(①医療機関のあり方,②医師の数と家庭医が足りない,③厚生労働省医政局への期待)。第4章.その他の諸問題(①永遠と続く安楽死問題,②臓器移植の停滞,③医師の偏在対策)
 内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月23日掲載、2025年11月11日更新)
PDF:日本の医療を独自検証2

病気と治療9.がん診療連携拠点病院の相談支援強化に期待

 某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)には「がん相談支援センター(以下、センターと略)」があり、「がんに関する治療や検査、療養と就労、教育との両立についてなど、さまざまな心配事や不安についてご相談をお受けします」とあります。そこで、早速相談してみました。
 内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
 電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。

「がん相談支援センター」への期待
 厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
 センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
 また、特定機能病院日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)

病気と治療8.総合病院における「チーム医療」推進を期待

 厚生労働省は「チーム医療の推進について(案)」を7つ挙げています。その内の一つ、『チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。』とあります。しかし、私が3度の入院中で経験した現状とは異なっていました。

 この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
 薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。

チーム医療への期待
 病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
 「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)

著書26.絆:明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ

「夢を紡ぐ,夢を繋ぐ」、夢の翼
 子どもの頃は、いつも夢で溢れ、ちょっとした不思議なもの・些細なことでも目を見張る感性があり(Sense of wonder)、明日を夢見ていた。

 少年期から青春時代にかけては一気に世界が広がり、将来への望みが多くなり、多様な夢を見る夢多き時代でした。しかし、夢の多くが夢で終わり、消えていった。
 老人になると、未来への夢を見なくなり塞ぎがちになるが、夢に生きる老人は新鮮に光輝いている。明日を夢見るこころを忘れてはならない。

 そして、いきもの大好き家族の夢を紡ぎ、夢を繋ぐことが大切であることを知る。
 夢は、こころとからだの健康と繋がっている。健康な人はこころもからだも生き生きとし、次々と夢を描いてはそれを叶えていく。夢は人生だ。

 幸福と平和の夢の実現にはただ憧れているだけではなく、強い意志とその翼が必要だ。
 夢の翼は、個性であり、知の創造であり、知の結集である。そして、ロマンであり、情熱であり、未来へ飛翔する不滅の力であり、真の勇気であり、愛であり、感謝である。世界の人々が手をつなぎ、平和な多様性のある地球社会がやってくることを夢見る。

 夢は人生であり、計画だ。皆が光り輝く夢を見て、教育(今日行くところがある)と教養(今日用事がある)を高め、皆がそれぞれの人生を楽しく前向きに歩んでいく。
 そんな「夢を紡ぐ、夢を繋ぐ」“”を大切にしたい。

  “絆”「わが家系の回想」(明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ)
 本書(絆:近藤雅雄編,5人兄弟執筆,A4,92ページ,2021年4月1日出版)は、筆者が生まれ育った「近藤家」の未来への資料として纏めました。執筆した理由は、私たちは一人で生まれ、育ったのではなく、多くの人との関わり、絆があって誕生し、育つということを知って欲しい。そして、自分のルーツを知り、未来に向かって歩む力を身に付けるために。
 内容は明治生まれの父と母の生涯、その後を時代ごとに回想しました。父母は名古屋で生まれ、育ち、成長、やがて結婚し、東京で5人の子どもが誕生するまでの誕生期(1904~1949年)、5人の子どもが結婚し、子どもを授かるまでの黎明期(1950~1981年)、父母との永遠の別れと同時に5人の兄弟が成長し、新たな時代への転換となる創生期(1982~1997年)、5人兄弟の子どもが成長、孫が誕生し、次代への引継ぎと「千代の会」結成並びにその発展期(1998~2020年)、そして5人の兄弟すべてが高齢者となると同時に孫が成長、未来への扉が開き、持続可能な時代へと発展・移行を期する持続期(2021年~)として分けて整理しました。
 本書が10年後、20年後、50年後も引き継がれ、近藤家のすべての人が高い志、夢をもって新たな時代を担うべく、大きく成長し、社会へ貢献していって欲しいとの思いから纏めました。そして、両親の血を受継ぐすべての人が「いのちの尊さと感謝の気持ちを持って、人間として正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図って欲しいと願っています。また、後継者にはどのような遺伝子を受継いでいるかを知る貴重な資料ともなるでしょう。
 そして、地球上のすべての人が光輝く遺伝子をもって生まれてくるのです。その遺伝子が争いごとではなく、正しく教育・醸成され、人類が差別・格差なく、平和で、持続した国際社会の発展と持続した地球環境の保全に貢献することを願っています。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)

教育回想12. 東京都市大学付属小学校、平成24年度卒業式祝辞

 2009年4月、学校法人五島育英会は大学から幼稚園までの各学校に「東京都市大学(略称:都市大)」の共通名称を冠し、「東京都市大学グループ」を結成しました。
 法人のホームページには「都市大グループの使命は、優れた感性と品性を備え、世界から待望される有為な人材を育てあげていくこと」とあります。そして、「グループのスケールメリットを生かしながら、持続可能な社会発展に貢献し、未来を見すえた国際性に富んだ人材を輩出していきます」とあります。
 グループには東京都市大学、東京都市大学等々力中学校・高等学校、東京都市大学付属中学校・付属高等学校、東京都市大学塩尻高等学校、東京都市大学付属小学校、東京都市大学二子幼稚園、そして東急自動車学校があります。私は東京都市大学の人間科学部学教員としてこのグループ誕生を目にし、運営・教育・研究を2015年まで携わりました。大変すばらしい大学であり、グループでした。
 在職中に、法人より東京都世田谷区成城にある東京都市大学付属小学校の平成24年度卒業式の祝辞を依頼され、大学学長であり都市大グループの総長の代行として挨拶させていただく機会を得ました。6年間頑張った12歳の卒業式です。出来る限り心に残る祝辞となるよう配慮しました。同時に、同じ生徒数以上の保護者も同席するということで、両者に配慮した祝辞を考えましたが、結局簡単な祝辞に終わってしまいました。内容はPDFに示しましたのでご参照ください。

 祝辞を終えて、校長室で談話していた時に、小学校の職員から卒業生の親が私に挨拶をしたいと言っているというので、お会いしました。その人は優等生の父親で、某医科大学病院の医師でした。以前に医師の患者が指定難病ポルフィリン症の疑いということで検査を依頼され、診断を確定し、報告したことがあったのです。
 偶然のことでしたが、医師及びご息女は立派なご家庭で、私は医師及び付属小学校とのご縁に感謝すると共に、患者さんの容態お聞きし、元気でいるということで二重に嬉しかった思い出があります。
 この卒業式は、今から12年前のことなので、現在、ご息女は24歳頃と推察します。おそらく、大学院または既に社会人として頑張っていることでしょう。
 また、私にとってこの卒業式は、実にさわやかな式で、感謝するひと時でした。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
  PDF:東京都市大学付属小学校卒業式祝辞   

ミネラルの健康・栄養:生命維持に必須な元素とその過不足

 生命維持に必須なミネラルの基本的概念と生理的意義を理解することを目的として、健康・栄養と食生活および欠乏や過剰などについて纏めました(下記PDF参照)。

生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル

 生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。

 われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
 また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
 さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
 健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康

PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
   

こころとからだの健康(20) 言葉はこころなり~伝えたい言葉

 国際社会は未だに悲惨な戦争と地球環境の破壊を繰り返しています。その原因の一つとして人間教育の貧困が挙げられます。
 我が国は、「新しい時代を拓く心を育てるために」次世代を育てる心を失う危機、として1998年、中央教育審議会が中間報告、第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう、第2章 もう一度家庭を見直そう、第3章 地域社会の力を生かそう、第4章 心を育てる場として学校を見直そうの4項目からなる答申を出しました。
 戦後80年、日本は自由で民主的な国家として、人々が豊かで安心して暮らせる社会を形成し、世界の平和に貢献しようと努力してきました。そして、教育の重要性を掲げ、幼児期、学童期に人間形成の基盤をなすこころの教育として、「さまざまな体験や体感を通して、感謝のこころを持って、生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった、人としての基礎を育む」ことを人間教育の基本として学んでいる。因みに、日本は世界の平和指数(治安・安全性)ランキングでは世界163か国中17位(2024年)でした。
 ここでは、私の40年以上にわたる医学・生命科学に関わる教育・研究活動で経験したこころの教育において、学んだことを「次代に伝えたい言葉」として①言葉は人間の原点である、②言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素、③次代に伝えたい言葉、④私の好きな言葉、⑤災害時の言葉と防災、として添付のPDFに綴りました。この中に、1つでもこころに響くものがあれば嬉しいです。(近藤雅雄、2025年7月27日掲載)

こころは言葉によってコロコロ変わるから“こころ”と言う
言葉は人間の原点であり, 人を動かし、国を動かす
言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素である


言葉は人間社会の原点である
 言葉を話すのは人間だけである。言葉は人類の発展に大きく貢献し、書物となり永遠と続く。そして、言葉は人を動かし、国を動かす。言葉には力がある。したがって、地球の平和や環境は言葉によって大いに影響を受ける。言葉はこころと連動している。
 すなわち、こころは言葉の影響を最も受けやすく、威圧的な言葉、汚い言葉、人の悪口、否定的な言葉を使うのを止め、笑顔で、プラスの言葉を口にしていけば、自分も相手もこころがとても良い状態に安定していき、自分のおかれた状況がたとえどんな状態であっても、次第に好転していくと信じることができる。言葉には魂がある(言霊)
 一つしかないいのちであれば、人生を感謝と喜びに満ち、明るく、おおらかに「前へ」プラス思考で生きる。同様に、一つしかない地球であれば、地球に住む国々が仲良く、感謝と喜びに満ち、地球環境をより良くして行く。このような社会を望んでいます。(2025年7月27日掲載)
PDF:伝えたい言葉

研究回想3.研究の道しるべ、持続した発見と社会貢献

 教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
 学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。

 学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。

 新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。

 私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。

 また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果

研究回想2.ポルフィリン研究会の創設と学術雑誌の創刊

 1980年、研究者としてスタートした「生化学若い研究者の会」の夏の学校にて、分科会「ヘムの生合成とその代謝調節」のオーガナイザーを行い、その内容を学術報告書として纏めました。その時に、将来ポルフィリンに関する研究会並びに学術専門雑誌を創ることを夢見ましたが、約10年後、夢が叶えられました。この内容については2025年5月21日掲載の「研究回想」と一部重複しますが、ここでは創設の「思い」、規約や組織、患者会との関わりなどを加筆しました。(下記PDF参照)

1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
 1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
 さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
 これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
 その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。

2.ポルフィリン誌の創刊
 研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)

PDF:ポルフィリン研究会の創設と研究会誌の創刊
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研究回想1.私の人生を懸けたポルフィリン症研究への思い

概 要
 人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
 このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
 1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
 そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
 そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
 ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い

先端素材関連物質のポルフィリン代謝系への影響と評価

 先端技術産業の進展は著しく、これら先端技術を支える素材には数多くの物質が検討され、過去にほとんど用いられてこなかった新しい物質が広く利用されるようになりました。とくに、ホウ素族元素化合物ガリウム・ヒ素(GaAs)およびインジウム・ヒ素(InAs)などとして半導体や超伝導物質などとして広く有用されています。さらに希土類元素においてもその特異的な物理化学的特性からその単体および化合物はスマホはじめ先端技術産業における合金、エレクトロニクス、セラミックス、触媒、原子炉材料のほか、磁性や誘導性を利用した超電導物質の素材として、また、医用材料として各種先端機器や人工歯根材料に、さらに、農業用肥料としても広く利用されています。
 これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていません。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残ります
 そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験を行いました。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認しました。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われました。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝

鶏の卵殻の色、卵の鮮度・栄養価・無精卵と有精卵の違い

 卵殻は昔から白が定番でしたが、最近は赤、青、ピンクなどと購買意欲を掻き立てるきれいな色の卵が店頭に並び、値段も異なっているため消費者を惑わせています。しかし、鶏卵の中身はどれも同じで栄養価は変わりません。因みに、蛋白質12%、脂質10%、各種ミネラルやビタミンを含みますが炭水化物やビタミンCが非常に少ないのが特徴です。卵黄と卵白の比率は31:69ですがそれぞれに含まれる成分は異なります。うずらの卵は鶏卵よりも脂質、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。

 卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。

 有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)


ポルフィリン症の現状と課題:患者のQOL向上医療への提案

 指定難病ポルフィリン症は根治療法のない典型的な難治性疾患であり、患者は仕事がない・出来ない、高額な医療費を生涯負担し続けなければならないなどと言った不条理が続いています。
 また、医師はポルフィリン症と気付かずに診断が送れたり、誤診したり、また診断されても治療を拒否したり、妊娠・出産を否定するといったことが日常的に起こっています。
 そして、患者の多くが結婚、出産を控える。これらのことが過去から現在、そして、未来へも引き継がれようとしています。これらの問題に対して、患者家族が安心して社会生活ができ、安心して高度医療が受けられるよう、社会の理解が必要である。そして、それが実現されるよう早急な対策が望まれます。
 急性ポルフィリン症の男女比では女性の方がホルモンの関係で圧倒的に発症者が多い。一方で、9病型すべてのポルフィリン症は1920年に最初の報告があってから2010年までに926例が医学中央雑誌に記載されていますが、誤診や診断されたとしても医師が報告しないなどの理由で、相当数の患者が未報告のままと思われます。実際はこの10倍前後(約1万人)の数値が推測され、その大部分は十分な治療を受けられないままと思われます。

 ポルフィリン症は光線過敏性皮膚症状や精神・神経・感覚、代謝・内分泌、肝・消化器、造血・循環器,筋・運動器、腎臓・泌尿器など、多彩な症状を呈することから早急な対応が求められます。そのためには、
1.「多彩な症状」に対応できる医師の不足と医療費の高騰。
2.希少疾患患者の立場に立った医療研究の激減。
3.診断が難しいなどの理由で誤診率の高い。
4.根治治療法がなく、対症療法が主であるが、禁忌薬が多く医薬品の対応が難しい。
5.患者のストレスに対する心身のケアーが不十分。
など、さまざまな問題に対する対応策をに真摯に向き合い、改善していく必要があります。

以上、ポルフィリン症の現状と課題について、下記PDFに示しました。(近藤雅雄、2025年4月27日掲載)
PDF:ポルフィリン症の現状と課題