教育回想14. 東京都市大学人間科学部「紀要」の発行と巻頭言

 昭和13(1938)年,東急電鉄創業者五島慶太氏は世田谷区の等々力に東横商業女学校を創設しました。昭和30(1955)年,学校法人五島育英会(以下,法人と略)が設立され,翌年に東横学園女子短期大学と校名変更されました。時代は変わり,平成21(2009)年4月には武蔵工業大学(工学部,知識工学部,環境学部)と統合,新たに人間科学部と都市生活学部が創設され,5学部からなる総合大学として東京都市大学が誕生しました。そして,令和4(2022)年4月,人間科学部は等々力キャンパスから世田谷キャンパスに移転しました。また,人間科学部は2023年度より児童学科から人間科学科と科名変更され,「児童学」と「人間総合科学」の2つのコースとなりました。

<  さて, 1965年に創刊された東横学園女子短期大学紀要は新たに東京都市大学人間科学部紀要として引き継がれました。この紀要への投稿原稿には必ず査読が入り,学術論文誌として審査したことを覚えています。どれも萌芽性・独創性が高く,優れた論文ばかりでした。大学は教育機関であると同時に研究機関でもあります。紀要は学部の顔・看板として研究活動や学問的な特色を示すと同時に教員の研究業績及び学部の評価対象物ともなります。総合大学となってから16年が過ぎましたが,紀要の内容はグレードアップし,成長・進化しています。益々の発展を期待しています。

 紀要は大学のホームページで読むことができます。第1号に巻頭言を書いた記憶がありますが,USBに原本がありましたので,以下のPDFに示しました。当時は執筆時間が無く校正もしていないので,読みにくいです。ほんの少し修正しました。(近藤雅雄、2025年12月1日掲載)
PDF:人間科学部紀要巻頭言

病気と治療10.わが国の医学および医療の問題を独自検証

問わず語り~いつまで続ける西洋医学単一医療

 明治7(1874)年、わが国の医師法と医療制度の根源を成す「医制」が発布されて以来、西洋医学を基礎とした体制が150年以上続いています。医師は患者に対して、診断・治療を理由に、各種検査や投薬、手術、放射線療法、食事療法などすべてを遂行でき、また、看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者の職務を指示・管理できます。
 日本では専門医制度が発展し、資格を取得した医師による診療が行われています。大学病院など「特定機能病院」では極端に専門化し、高度医療の提供を開始しましたが、逆に専門領域以外の病気は診なくなりました。例えば、血液のがん患者が高血圧症を合併した場合は循環器の専門家に紹介します。肝機能の数値が高ければ肝臓の専門家に回します。このように患者は院内の他科に紹介されます。そして、その都度検査や薬が処方されます。日本の医療の基本は検査と薬物治療です。専門及び総合病院にはからだ全体を診る医師(総合診療医)は少ないので、患者は専門の各科または他の病院へ移動します。
 そして、やがて患者は各診療科の専門医から処方された多くの薬の副作用とその複合作用でどんどん衰弱、がんは転移、さらに、さまざまな検査(とくにCTやレントゲン検査などによる酸化ストレス)と心身疲弊で免疫力が低下、全身のバランス、生体リズム・恒常性が崩れた段階で手遅れ、手の施しようがなく、両手を挙げる如く、お手上げとなりかねません。しかし、総合診療医制など、現代医療が抱えている多くの問題を検証し、抜本的な改革をすれば手遅れにならず、手当てできるようになるでしょう。
 米国では1990年を境にがん死亡率は低下しています。そして、さまざまな医療改革(代替・補完療法(CAM)や食事療法を取入れ、1991年、日本の厚生労働省に当たる行政機関に代替医療局(現在は公衆衛生局)を設置し、1998年には国立補完代替医療センター(NCCAM)を開設した)によって、西洋医学に伝統医学、代替・補完療法などを加えた統合医療が行われています。しかし日本では公衆衛生の部署すら無く、がんの死亡率は今も増え続けています。
 そこで、日本医療の進化を図るために、現代医学が抱えている多くの問題の中から抜本的な改革が必要と思われる以下の4章,15項目について独自検証しました。

 第1章.代替・補完医療と統合医療の進展(①いつまで続ける医師主体の医療,②西洋医学一辺倒の日本の医療,③米国が国立補完代替医療研究センター開設,④薬物依存治療偏重の是非,⑤医師の診察のあり方を問う,⑥大学医学部のカリキュラムの見直し,⑦がん死亡率が減少しない)。第2章.総合診療の拡充を期待(①総合診療を行う医師が少ない,②何故、総合診療医が育たない)。第3章.我が国の医療進化を期待(①医療機関のあり方,②医師の数と家庭医が足りない,③厚生労働省医政局への期待)。第4章.その他の諸問題(①永遠と続く安楽死問題,②臓器移植の停滞,③医師の偏在対策)
 内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月23日掲載、2025年11月11日更新)
PDF:日本の医療を独自検証2

病気と治療9.がん診療連携拠点病院の相談支援強化に期待

 某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)には「がん相談支援センター(以下、センターと略)」があり、「がんに関する治療や検査、療養と就労、教育との両立についてなど、さまざまな心配事や不安についてご相談をお受けします」とあります。そこで、早速相談してみました。
 内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
 電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。

「がん相談支援センター」への期待
 厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
 センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
 また、特定機能病院日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)

病気と治療8.総合病院における「チーム医療」推進を期待

 厚生労働省は「チーム医療の推進について(案)」を7つ挙げています。その内の一つ、『チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。』とあります。しかし、私が3度の入院中で経験した現状とは異なっていました。

 この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
 薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。

チーム医療への期待
 病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
 「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)

著書26.絆:明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ

「夢を紡ぐ,夢を繋ぐ」、夢の翼
 子どもの頃は、いつも夢で溢れ、ちょっとした不思議なもの・些細なことでも目を見張る感性があり(Sense of wonder)、明日を夢見ていた。

 少年期から青春時代にかけては一気に世界が広がり、将来への望みが多くなり、多様な夢を見る夢多き時代でした。しかし、夢の多くが夢で終わり、消えていった。
 老人になると、未来への夢を見なくなり塞ぎがちになるが、夢に生きる老人は新鮮に光輝いている。明日を夢見るこころを忘れてはならない。

 そして、いきもの大好き家族の夢を紡ぎ、夢を繋ぐことが大切であることを知る。
 夢は、こころとからだの健康と繋がっている。健康な人はこころもからだも生き生きとし、次々と夢を描いてはそれを叶えていく。夢は人生だ。

 幸福と平和の夢の実現にはただ憧れているだけではなく、強い意志とその翼が必要だ。
 夢の翼は、個性であり、知の創造であり、知の結集である。そして、ロマンであり、情熱であり、未来へ飛翔する不滅の力であり、真の勇気であり、愛であり、感謝である。世界の人々が手をつなぎ、平和な多様性のある地球社会がやってくることを夢見る。

 夢は人生であり、計画だ。皆が光り輝く夢を見て、教育(今日行くところがある)と教養(今日用事がある)を高め、皆がそれぞれの人生を楽しく前向きに歩んでいく。
 そんな「夢を紡ぐ、夢を繋ぐ」“”を大切にしたい。

  “絆”「わが家系の回想」(明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ)
 本書(絆:近藤雅雄編,5人兄弟執筆,A4,92ページ,2021年4月1日出版)は、筆者が生まれ育った「近藤家」の未来への資料として纏めました。執筆した理由は、私たちは一人で生まれ、育ったのではなく、多くの人との関わり、絆があって誕生し、育つということを知って欲しい。そして、自分のルーツを知り、未来に向かって歩む力を身に付けるために。
 内容は明治生まれの父と母の生涯、その後を時代ごとに回想しました。父母は名古屋で生まれ、育ち、成長、やがて結婚し、東京で5人の子どもが誕生するまでの誕生期(1904~1949年)、5人の子どもが結婚し、子どもを授かるまでの黎明期(1950~1981年)、父母との永遠の別れと同時に5人の兄弟が成長し、新たな時代への転換となる創生期(1982~1997年)、5人兄弟の子どもが成長、孫が誕生し、次代への引継ぎと「千代の会」結成並びにその発展期(1998~2020年)、そして5人の兄弟すべてが高齢者となると同時に孫が成長、未来への扉が開き、持続可能な時代へと発展・移行を期する持続期(2021年~)として分けて整理しました。
 本書が10年後、20年後、50年後も引き継がれ、近藤家のすべての人が高い志、夢をもって新たな時代を担うべく、大きく成長し、社会へ貢献していって欲しいとの思いから纏めました。そして、両親の血を受継ぐすべての人が「いのちの尊さと感謝の気持ちを持って、人間として正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図って欲しいと願っています。また、後継者にはどのような遺伝子を受継いでいるかを知る貴重な資料ともなるでしょう。
 そして、地球上のすべての人が光輝く遺伝子をもって生まれてくるのです。その遺伝子が争いごとではなく、正しく教育・醸成され、人類が差別・格差なく、平和で、持続した国際社会の発展と持続した地球環境の保全に貢献することを願っています。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)

教育回想12. 東京都市大学付属小学校、平成24年度卒業式祝辞

 2009年4月、学校法人五島育英会は大学から幼稚園までの各学校に「東京都市大学(略称:都市大)」の共通名称を冠し、「東京都市大学グループ」を結成しました。
 法人のホームページには「都市大グループの使命は、優れた感性と品性を備え、世界から待望される有為な人材を育てあげていくこと」とあります。そして、「グループのスケールメリットを生かしながら、持続可能な社会発展に貢献し、未来を見すえた国際性に富んだ人材を輩出していきます」とあります。
 グループには東京都市大学、東京都市大学等々力中学校・高等学校、東京都市大学付属中学校・付属高等学校、東京都市大学塩尻高等学校、東京都市大学付属小学校、東京都市大学二子幼稚園、そして東急自動車学校があります。私は東京都市大学の人間科学部学教員としてこのグループ誕生を目にし、運営・教育・研究を2015年まで携わりました。大変すばらしい大学であり、グループでした。
 在職中に、法人より東京都世田谷区成城にある東京都市大学付属小学校の平成24年度卒業式の祝辞を依頼され、大学学長であり都市大グループの総長の代行として挨拶させていただく機会を得ました。6年間頑張った12歳の卒業式です。出来る限り心に残る祝辞となるよう配慮しました。同時に、同じ生徒数以上の保護者も同席するということで、両者に配慮した祝辞を考えましたが、結局簡単な祝辞に終わってしまいました。内容はPDFに示しましたのでご参照ください。

 祝辞を終えて、校長室で談話していた時に、小学校の職員から卒業生の親が私に挨拶をしたいと言っているというので、お会いしました。その人は優等生の父親で、某医科大学病院の医師でした。以前に医師の患者が指定難病ポルフィリン症の疑いということで検査を依頼され、診断を確定し、報告したことがあったのです。
 偶然のことでしたが、医師及びご息女は立派なご家庭で、私は医師及び付属小学校とのご縁に感謝すると共に、患者さんの容態お聞きし、元気でいるということで二重に嬉しかった思い出があります。
 この卒業式は、今から12年前のことなので、現在、ご息女は24歳頃と推察します。おそらく、大学院または既に社会人として頑張っていることでしょう。
 また、私にとってこの卒業式は、実にさわやかな式で、感謝するひと時でした。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
  PDF:東京都市大学付属小学校卒業式祝辞   

ミネラルの健康・栄養:生命維持に必須な元素とその過不足

 生命維持に必須なミネラルの基本的概念と生理的意義を理解することを目的として、健康・栄養と食生活および欠乏や過剰などについて纏めました(下記PDF参照)。

生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル

 生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。

 われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
 また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
 さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
 健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康

PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
   

こころとからだの健康(20) 言葉はこころなり~伝えたい言葉

 国際社会は未だに悲惨な戦争と地球環境の破壊を繰り返しています。その原因の一つとして人間教育の貧困が挙げられます。
 我が国は、「新しい時代を拓く心を育てるために」次世代を育てる心を失う危機、として1998年、中央教育審議会が中間報告、第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう、第2章 もう一度家庭を見直そう、第3章 地域社会の力を生かそう、第4章 心を育てる場として学校を見直そうの4項目からなる答申を出しました。
 戦後80年、日本は自由で民主的な国家として、人々が豊かで安心して暮らせる社会を形成し、世界の平和に貢献しようと努力してきました。そして、教育の重要性を掲げ、幼児期、学童期に人間形成の基盤をなすこころの教育として、「さまざまな体験や体感を通して、感謝のこころを持って、生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった、人としての基礎を育む」ことを人間教育の基本として学んでいる。因みに、日本は世界の平和指数(治安・安全性)ランキングでは世界163か国中17位(2024年)でした。
 ここでは、私の40年以上にわたる医学・生命科学に関わる教育・研究活動で経験したこころの教育において、学んだことを「次代に伝えたい言葉」として①言葉は人間の原点である、②言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素、③次代に伝えたい言葉、④私の好きな言葉、⑤災害時の言葉と防災、として添付のPDFに綴りました。この中に、1つでもこころに響くものがあれば嬉しいです。(近藤雅雄、2025年7月27日掲載)

こころは言葉によってコロコロ変わるから“こころ”と言う
言葉は人間の原点であり, 人を動かし、国を動かす
言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素である


言葉は人間社会の原点である
 言葉を話すのは人間だけである。言葉は人類の発展に大きく貢献し、書物となり永遠と続く。そして、言葉は人を動かし、国を動かす。言葉には力がある。したがって、地球の平和や環境は言葉によって大いに影響を受ける。言葉はこころと連動している。
 すなわち、こころは言葉の影響を最も受けやすく、威圧的な言葉、汚い言葉、人の悪口、否定的な言葉を使うのを止め、笑顔で、プラスの言葉を口にしていけば、自分も相手もこころがとても良い状態に安定していき、自分のおかれた状況がたとえどんな状態であっても、次第に好転していくと信じることができる。言葉には魂がある(言霊)
 一つしかないいのちであれば、人生を感謝と喜びに満ち、明るく、おおらかに「前へ」プラス思考で生きる。同様に、一つしかない地球であれば、地球に住む国々が仲良く、感謝と喜びに満ち、地球環境をより良くして行く。このような社会を望んでいます。(2025年7月27日掲載)
PDF:伝えたい言葉

研究回想3.研究の道しるべ、持続した発見と社会貢献

 教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
 学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。

 学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。

 新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。

 私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。

 また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果

研究回想2.ポルフィリン研究会の創設と学術雑誌の創刊

 1980年、研究者としてスタートした「生化学若い研究者の会」の夏の学校にて、分科会「ヘムの生合成とその代謝調節」のオーガナイザーを行い、その内容を学術報告書として纏めました。その時に、将来ポルフィリンに関する研究会並びに学術専門雑誌を創ることを夢見ましたが、約10年後、夢が叶えられました。この内容については2025年5月21日掲載の「研究回想」と一部重複しますが、ここでは創設の「思い」、規約や組織、患者会との関わりなどを加筆しました。(下記PDF参照)

1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
 1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
 さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
 これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
 その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。

2.ポルフィリン誌の創刊
 研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)
PDF:ポルフィリン研究会の創設
EPSON scanner Image

研究回想1.私の人生を懸けたポルフィリン症研究への思い

概 要
 人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
 このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
 1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
 そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
 そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
 ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い

先端素材関連物質のポルフィリン代謝系への影響と評価

 先端技術産業の進展は著しく、これら先端技術を支える素材には数多くの物質が検討され、過去にほとんど用いられてこなかった新しい物質が広く利用されるようになりました。とくに、ホウ素族元素化合物ガリウム・ヒ素(GaAs)およびインジウム・ヒ素(InAs)などとして半導体や超伝導物質などとして広く有用されています。さらに希土類元素においてもその特異的な物理化学的特性からその単体および化合物はスマホはじめ先端技術産業における合金、エレクトロニクス、セラミックス、触媒、原子炉材料のほか、磁性や誘導性を利用した超電導物質の素材として、また、医用材料として各種先端機器や人工歯根材料に、さらに、農業用肥料としても広く利用されています。
 これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていません。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残ります
 そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験を行いました。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認しました。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われました。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝

鶏の卵殻の色、卵の鮮度・栄養価・無精卵と有精卵の違い

 卵殻は昔から白が定番でしたが、最近は赤、青、ピンクなどと購買意欲を掻き立てるきれいな色の卵が店頭に並び、値段も異なっているため消費者を惑わせています。しかし、鶏卵の中身はどれも同じで栄養価は変わりません。因みに、蛋白質12%、脂質10%、各種ミネラルやビタミンを含みますが炭水化物やビタミンCが非常に少ないのが特徴です。卵黄と卵白の比率は31:69ですがそれぞれに含まれる成分は異なります。うずらの卵は鶏卵よりも脂質、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。

 卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。

 有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)


ポルフィリン症の現状と課題:患者のQOL向上医療への提案

 指定難病ポルフィリン症は根治療法のない典型的な難治性疾患であり、患者は仕事がない・出来ない、高額な医療費を生涯負担し続けなければならないなどと言った不条理が続いています。
 また、医師はポルフィリン症と気付かずに診断が送れたり、誤診したり、また診断されても治療を拒否したり、妊娠・出産を否定するといったことが日常的に起こっています。
 そして、患者の多くが結婚、出産を控える。これらのことが過去から現在、そして、未来へも引き継がれようとしています。これらの問題に対して、患者家族が安心して社会生活ができ、安心して高度医療が受けられるよう、社会の理解が必要である。そして、それが実現されるよう早急な対策が望まれます。
 急性ポルフィリン症の男女比では女性の方がホルモンの関係で圧倒的に発症者が多い。一方で、9病型すべてのポルフィリン症は1920年に最初の報告があってから2010年までに926例が医学中央雑誌に記載されていますが、誤診や診断されたとしても医師が報告しないなどの理由で、相当数の患者が未報告のままと思われます。実際はこの10倍前後(約1万人)の数値が推測され、その大部分は十分な治療を受けられないままと思われます。

 ポルフィリン症は光線過敏性皮膚症状や精神・神経・感覚、代謝・内分泌、肝・消化器、造血・循環器,筋・運動器、腎臓・泌尿器など、多彩な症状を呈することから早急な対応が求められます。そのためには、
1.「多彩な症状」に対応できる医師の不足と医療費の高騰。
2.希少疾患患者の立場に立った医療研究の激減。
3.診断が難しいなどの理由で誤診率の高い。
4.根治治療法がなく、対症療法が主であるが、禁忌薬が多く医薬品の対応が難しい。
5.患者のストレスに対する心身のケアーが不十分。
など、さまざまな問題に対する対応策をに真摯に向き合い、改善していく必要があります。

以上、ポルフィリン症の現状と課題について、下記PDFに示しました。(近藤雅雄、2025年4月27日掲載)
PDF:ポルフィリン症の現状と課題

ポルフィリン症の治療:治療指針,治療と予防管理,薬剤

 指定難病ポルフィリン症の臨床的所見、遺伝形式、遺伝子異常および生化学的特徴などがほぼ確立していますが、治療および予防に関与する薬剤情報は以外と少ない。とくに、誘発因子としての薬剤に関しては症状の誘発・増悪に直接関与するため、治療および予防上極めて重要です。

Ⅰ.急性ポルフィリン症の治療指針、治療と予防管理
 急性ポルフィリン症(AIP,VP,HCP,ADP)は何らかの誘発因子によって最終産物のヘムの利用率が高まると、最初の酵素肝δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS1)が高活性となるため、障害酵素までの途中中間代謝物が増量・蓄積します。この中間代謝物が組織・臓器にさまざまな影響を与え、多様な症状が出現します。したがって、治療としては、肝ヘム合成の律速酵素である ALAS1活性を抑えると同時にヘムの減少を抑えることによって中間代謝物の生産・蓄積が抑えられ、症状は無くなります。これを利用したものが治療薬となります。
 すなわち、治療薬として用いるのは次の二つになります。第1はストレスや禁忌薬剤などヘム分解を誘発する因子の除去、第2はALAS1活性を抑制するグルコース輸液療法、ヘミン療法シメチジン(タガメット)療法、ALAS1mRNA標的療法、そして症状に対する対症療法からなります。ただし、禁忌薬物が多いので対症療法には細心の注意が必要です。
 早期に診断し、誘発因子を避けることができれば予後は良好です。重症の場合には血漿交換が適応となります。

Ⅱ.皮膚ポルフィリン症の治療指針、治療と予防管理
 皮膚ポルフィリン症(EPP,CEP,PCT,HEP,XLPP)の治療として、遮光と共にCEPでは外用薬、PCTでは瀉血などが治療の主成を成しています。しかし、効果については必ずしも一定していません。
 PCTは血清鉄や尿中ポルフィリンが高値の場合は瀉血療法を行います。瀉血療法を繰り返して過剰鉄を除去すると症状は著しく改善します。また、鉄キレ-ト剤としてデスフェリオキサミン(デフェロキサミン)が、HCV合併PCTではインタ-フェロン投与の有効性が、各々報告されています。PCTの軽症例では誘発因子(飲酒、鉄、エストロゲンなど)の除去および感染の治癒によって尿中ポルフィリンが正常化すると同時に症状が改善されます。
 また、PCTとEPPについてはシメチジン投与の有効性が報告されています。しかし、EPPは赤芽球型であり、ALAS2の抑制は認められない。EPPは予後が比較的良好ですが、肝障害がある場合は肝不全を起こすことがあるので注意してください。(近藤雅雄、2025年4月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症の治療

血液の稀少がん「原発性マクログロブリン血症」の概要

 難病の研究者として、血液のがんである超稀少疾患「原発性マクログロブリン血症」の発症率が100万人に2~3名という殆ど知られていない疾患であるが、診断されずに放置されている症例あるいは死亡例、診断されても医師が報告しない症例が多いのではないかと思われます。そこで、本症の診断、病態、治療、予後、Q&Aなどについて、総論として纏めました。
 血液学では、骨髄で生産されるB細胞(リンパ球)は形質細胞に分化し、ウイルスなどの異物に対する免疫グロブリン(抗体)を生産します。ところが、原発性マクログロブリン血症ではB細胞から形質細胞へ分化する途中のリンパ形質細胞ががん化(遺伝子変異)し、体内にて異物(抗原)を攻撃する免疫蛋白(IgGやIgAなどの抗体)が出来ず、攻撃能力のないIgM型M蛋白が異常に増加する疾患です。したがって、免疫力が低いため、感染予防には十分な配慮が必要です。

 本原稿を執筆するに至った経緯は、患者数は意外と多いと思われ、早期発見を促したいことと、発見された場合に医師は情報公開を必ずするよう求めるのが目的です。
1.100万人に数人という超稀少疾患で、5年生存率が36~50%で根治は望めないことから、早く治療法が見つかるように様々なデータを記録として残さなければならない。
2.70歳以上の高齢者に比較的多く、合併症が死因となることが多い。しかし、早期診断によって合併症を防ぐことができる。
3.超稀少疾患のためか本疾患についての成書が見当たらない。そこで、筆者は患者向けの一般書を出版(下写真)したが、その一部を下記のPDFにて紹介した。
4.超稀少疾患は情報が少なく、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。医師は患者データを広く医学会や論文として公表していく義務がある。公表していない症例数も意外と多いと思われる。
5.病院の選択は重要で、がんは治療による副作用が多いため、多分野の専門医がいる総合病院に罹ることが望ましい。また、がん患者に対するチーム医療及びがん相談センターの取り組みが充実している病院を選ぶ。
6.原発性とは原因が不明ということである。しかし原因が不明である病気は存在しない。その原因を明らかにすべき研究の推進を期待する。特に、遺伝子治療薬の進歩が著しく、パンデミックで有名な新型コロナウイルスmRNAワクチン接種も本症発症の誘因となることは否定できない。このワクチンについて、多くの事故、副作用、死者がでたが、政府・医療行政・マスコミは遺伝子医薬品バイオ医薬品)のリスク評価・総括がないまま感染症法5類に移行した。

 以上、医学研究の進展を期待して。内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月10日掲載)。
PDF:原発性マクログロブリン症(WM)

教育回想10.東京都市大学人間科学部、平成26年度入学式挨拶

 今日は孫が通う中学校の入学式です。
 漸く暖かくなり、桜満開で、まさに入学式には良い天候が続きます。そこで、これまでの入学式の挨拶の中で、忘れられない祝辞は多くありますが、その中から筆者の大学勤務の最期となった平成26年度の東京都市大学の入学式で人間科学部の父母への挨拶(以下のPDF参照)をあげました。
 学部長として満期の6年間、学部の運営・教育・研究業務を行い、中でも学部の改革として新学科及び大学院修士課程の設置構想案、さらに大学の組織・構造改革の提案など、いろいろな改革に向けた活動を行ない、大学及び法人組織への働きがけしたのを覚えています。
 それ以外に、社会的貢献として、難病患者の市民権を得る行動、難病制度の法改正を目指して国会議員及び厚生労働省の要職への陳情や面接、そして議員連盟を作って難病の現状を広く紹介すると同時に全国署名活動を行い60万人以上の署名を集め、厚生労働大臣に大臣室にて手渡したこと。その結果、新たな指定難病制度の法制化を実現することできたことは、大きな成果として、心の中に深く刻まれております。大変忙しい定年前の最後の年でしたが、大学を軸としたこれらの活動が大変充実していたことは幸せでした。(写真は都市大学近藤研究室にて。近藤雅雄、2025年4月8日掲載)
PDF:父母挨拶

「病気と治療1~7」のまとめ:病院と医師の治療の質向上を願う

 「病気と治療」の連載では望ましくない治療体験を7回に亘って掲載しました。これに対して望ましい治療経験はありませんでした。
 第1回目の原稿「病気と治療1.脊髄強打による圧迫骨折等脊髄損傷の治療経験」で、筆者は「多くの病院、医師は社会・人間に役立つ医療を提供していますが、一部の病院あるいは一部の医師に不適切な態度・技術‣知識・運営が見られることがあります。患者は命を預ける弱者であり、病院、医師に従うしかありません。病院、医師の社会に対する責任は重いのです。」と記載しました。

 これまでに500名以上の全国病院医師と、共同研究者として論文や医学会での発表を行ないましたが、この中には臨床研究にまったく関わらなかった名前だけの医師、患者の組織,血液や尿などの検体を採取しただけの医師など、研究への関わり方はさまざまでした。しかし、一緒に議論して研究した医師や共著論文を執筆した医師は「研究の質の向上は治療・教育の質の向上を担保する」ごとく、真に優秀な医師でした。
 医師には研究するこころを持っている医師とそうでない医師がいます。研究するこころを持った医師は向上心があり、その治療は優秀なのが多い。研究するこころを持っていない医師には患者に寄り添う医師と寄り添わない医師がいます。患者に寄り添う医師には仁愛のこころがある人が多い。問題は研究するこころを持たず、患者に寄り添わない医師が意外に多いことです。
 医学部に入学した医師の偏差値は高いが、「研究能力や仁愛のこころ」といった面では偏差値は無関係です。近年、研究できない(しない)医師があまりにも多くなりました。医学部の医学教育では、医師としての道徳教育を重視してほしいと願うばかりです。最高学府である大学医学部の附属病院の医師は同時に医学研究者でもあることを肝に銘ずるべきです。また、ガバナンスがいい加減であることが多く見られます。
 こころが病んでいる患者に対する病気の治療には多くの患者の物語があり、そのこころを少しずつ和らいでいくことによって患者の自然治癒力が高まり、病気の治療・回復に向かうことが多いです。まず、患者と多く接することが第一に必要なことあって、病気の治療の基本です。
 この資料室で「病気と治療」を書いた理由は、病院医師の治療に対する意識の向上と自己点検・評価並びに必要な改善・改革を行い、病院および医師に望ましくない行為が起こらないような仕組みを作ってほしいという思いからです。特に特定機能病院日本医療機能評価機構の認定を受けた病院では日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価が必要であると思います。以下に、医療従事者に求められる言葉(こころ)と態度を挙げました。

医療従事者に求められる言葉と態度、12の習慣(近藤)

1.医療は経営に重きを置くのではなく、患者に寄り添った優れた治療を優先する。
2.保健・医療・福祉の基本は布施行であり、高い志と知・技・心・態が求められます。
3.敬愛の精神を持って、常に謙虚で自己を厳しく律する。言葉の使い方を大切にする。
4.医療従事者、とくに医師の言葉は患者の免疫力・治癒力、さらに生死に大きく影響する。
5.成功者は自分のためではなく、患者のためになることを第一に考える(他者理解)。
6.患者に「治る」「治してあげる」という断定的な言葉を言ってはいけない。治るのは患者の治癒力による。
7.患者に寄り添い、患者の身体に聴診器や手を当て、病気の全体を総合的に判断する。
8.患者に嘘を言ってはいけない。知ったかぶりをしない。わからないことはその場で調べる。
9.患者に治療を行う前には必ず説明し、同意を得るのが基本です。また、EBMを順守するのが基本です。
10.症例から学ばぬ者は過ちを繰り返します。
11.研究の質向上は治療・教育の質の向上を担保する。
12.臨床研究の課題は身近に多く存在する。常に「研究するこころ」と「患者に感謝するこころ」を持つことを忘れてはいけない。
(近藤雅雄、2025年4月6日掲載)

病気と治療7.肺炎で大学病院に入院した時の治療経験

 75歳時(2025年1月6日)、強度の息切れを自覚し、自宅でパルスオキシメータを使って酸素飽和度を測定したところ87%(90%以下は呼吸不全)でした。そこで、血液のがんで通院している特定機能病院日本医療機能評価機構認定病院の某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)の血液腫瘍内科に行き、血液検査,胸部レントゲン・CT・心電図検査,採血100ml以上(検査及び使用内容不明)を行いました。しかし、検査報告はないまま「びまん性肺炎」と診断されました。その根拠は不明で、自分の身体に何が起こっているのかもわからないまま入院期間約2週間の書面にサインをしました。入院中に関わった医師の数は6名(内2人が研修医)でしたが、何故か呼吸器の医師はいませんでした。また、主治医、担当医が不明のままで、治療計画などのインフォームド・コンセントもまったくなく、医師によって治療や検査の説明も異なり、混乱しました。
 入院4日目、第2回目の血液検査とレントゲン撮影をしましたが、その報告もありませんで。また、入院以来ペニシリン系の抗菌剤を点滴投与していましたが、蕁麻疹,痒み,下痢などの副作用が強く、何度も医師や看護師に伝えましたが、何の対応もありません。翌日の入院5日目、いきなり看護師が来て、ペニシリン系からセファム系の抗菌剤に変わりましたが、やはり副作用が強く、看護師に相談しましたが、何の対応もありませんでした。呼吸器の病気でありながら、入院中に聴診器を当てる医師は皆無でした。
 入院6日目、看護師が突然来て、いきなり酸素ボンベの酸素流量を1.5→1.0に下げました。理由は、「医師の指示で酸素は少ない方が良い」と言っていました。その後、T医師が来て、「肺炎の入院期間は通常1週間です」と言い、血液検査により、まだCRPは0.811(正常値<0.200)と正常上限の4倍高値で酸素飽和度93%(厚生労働省のガイドラインでは93%は酸素吸入が必要とある)、肝機能障害、腎機能障害、血液像の異常、貧血、血中蛋白異常など多くの異常が診られましたが、翌日退院を強いられました。退院と言うより追い出されたと言う感じでした。入院時には約2週間と言ってましたが、医師によって対応が異なり医師間で意思の疎通が図られていないことが分かり混乱しました。
 退院当日、医師は来なかったので入院中の診断・治療経過は不明のままでした。帰路、体調は悪く、息苦しく、大学病院と医師への不信感が増すだけでした。

退院時に請求された入院診療費の疑惑

 退院時、入院診療費は218,230円でした。高額医療費が社会問題となっていますが、レセプト(医療費の明細書)から利用していない不明の項目が以下のように多数ありました。
1.利用不明の医薬品
①ピコスルファートNa内服薬(下剤),1回、②カロナール錠,3回、③デエビゴ錠(不眠症治療薬)、3回、④レルベア100エリプタ30吸入用1回。筆者は使用した医薬品類はすべて記録していましたが、その記述・記憶がありません。また、これら薬剤は肺炎治療と無関係です。

2.「医学管理等」の疑惑
 筆者は75歳後期高齢者であり、保険点数1割負担です。以下に不明の請求がありました。 ①退院時薬剤情報管理指導料1回90点,②退院時リハビリテーション指導料1回300点、③薬剤管理指導料2回,325点、③初期加算(リハビリテーション科),1回,245点でした。合計960点であり、金額からすると9600円です。この金額は病院の不正収入と言えます。
 これら「医学管理料等」については、①薬剤師は1回病室に来て薬を置いていっただけである。また、薬の処方にミスがあり、薬剤師として不適切であった。②医師がリハビリを勝手にオーダーしたが、リハビリの実態はありません。

 以上から、今回経験した入院医療はチーム医療(医師、看護師、薬剤師、リハビリ)とはとても言えず、また医師の質、入院費用についても問題だらけでした。(近藤雅雄、2025年4月5日掲載、2026年1月18日更新)

「前へ」の詩:生きるために人生の目的をしっかり持つ

 1949年、団塊世代の最後に生まれ、戦後の急速な経済発展を経験し、小・中・高、大学時代、そして社会人として、仕事と仲間と環境に恵まれ生きてきました。平和な時代でした。
 時代が変わったのは2020年の「パンデミック」、そして、2022年の「ロシアによるウクライナ侵攻」、たった数年間で平和であった時代が大きく変わろうとしていました。
 古希を過ぎ75歳、終の人生を迎えるにあたって、過去の多くの出来事を記録し、後世に遺すことは、次代に生きる人に役立つかもしれない。また、生きるヒントになるかもしれない。しかし、「パンデミックと戦争」そして「ITやAIの急速な進展」による世界への影響、そして日本では「南海トラフ首都直下地震富士山の噴火など」の災害予測と「台湾有事」「関税問題」などと時代は逆行し、次代がどのようになるか想像がつかない方向へと突入している。

 人は誰にでも死は訪れる。死を考えた時、大切な言葉を一つ挙げるならば、それは「前へ」でした。死に行く者も、生きていればさまざまな喜怒哀楽、ストレスが日々変化して訪れます。それをうまくコントロールし、「前へ」突進む努力、社会貢献に愛する努力をする。そのためにも人生の目的を持って努力する。そうすれば、新しい景色を見ることができるであろう。そして、その景色が人類・人間社会にとって本当に幸せなものなのかもしれない。

 人間は、前向きで、素直に社会に貢献する謙虚な姿勢を持ち続けることが大切でdす。それを行動に移し、新たな道を拓き、家族と共に生きて行く。そして、「1日でも長く健康で、おおらかに前へ生きる」、が最も基本的で豊かな人生といえます。そこに「感謝する人がいて、そして、感謝される」そういう人生は真に幸せです。
 添付したPDFに「人類と地球の世界平和に向かって「前へ」踏み出そう」という詩を掲載しましたので参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月4日掲載)
PDF:前へ生きる{詩」