急性ポルフィリン症の精神症状に対する昔の治療法と今

 指定難病ポルフィリン症の中で、急性ポルフィリン症は腹痛・嘔吐などの消化器症状で急性発症し、四肢のしびれ・脱力などの末梢神経障害を伴う遺伝性の疾患です。腹痛はほとんど必発で激しいわりに圧痛・デファンスなど他覚的所見に乏しく、イレウスやヒステリーと誤診されることが多いことが報告されています。神経症状は、末梢神経障害がほぼ必発で四肢のしびれ・脱力などからギランバレー症候群などと、また、意識障害・痙攣などの中枢神経症状や不穏・うつ症・せん妄・幻覚など精神症状を来すことから統合失調症と、それぞれ誤診されることが多いことが報告され、その誤診率は平均67%です。私が研究を始めた1970年頃は発症後の致死率は90%以上で、何人かの患者さんは、親は「気がふれて死んだ」と言っていました。国内患者数の70%以上の患者さんを診てきた私はこの「気がふれて」が気になって本症の病因解明、早期診断法、治療法の開発などの研究を行なってきましたが、2000年以降の致死率は0となりました。
 一方、統合失調症や双極性障害、急性ポルフィリン症などの精神症状に対する治療法は、1950年代に精神神経安定剤クロルプロマジンが発見されてから大きく変わりました。それ以前は、瀉血療法、水責め療法と旋回椅子療法、発熱療法、インスリン・ショック療法、カルジアゾール痙攣療法から電気痙攣療法など現代では信じられない非科学的で驚くべき身体的療法などが行われていたようです。しかし、この中で、瀉血療法は肝臓に鉄が沈着・蓄積する晩発性皮膚ポルフィリン症などでは鉄除去を目的とした治療として現代でも用いられています。

瀉血療法
 瀉血とは患者さんの静脈を切開して血液を抜く「血抜き」で、18世紀以前に行われていた療法です。血液量が減少すれば血圧は下がり、めまい・ふらつき・意識レベル低下などが起こり、大人しくなるのは当然です。似たような療法で大量の下剤や嘔吐剤を飲ませることも行われていました。これは下痢・嘔吐による脱水のため電解質バランスが崩れ、見かけ上大人しくなっただけです。これらの療法は現在行われていません。しかし、瀉血療法はヘモクロマトーシス、慢性C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎や晩発性皮膚ポルフィリン症(肝組織には鉄沈着、脂肪変化、壊死、慢性の炎症性変化および繊維化が見られ、肝硬変および肝細胞癌を起こすことがある)などの鉄過剰症における鉄除去を目的とした有効で安価な方法として適用されています。

 過去に精神科で行われていた驚くべきさまざまな治療法が知られていますが、精神疾患はそれほど謎の多い病気であったことを伺い知ることができます。それが、1952年にクロルプロマジンが開発されてから現在に至るまでに新しい向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬が次々と開発され、精神疾患の治療法が大きく変わりました。そして、精神医学は精神薬理学、精神病理学、神経病理学、神経化学、遺伝子学、再生医学など、脳科学の著しい発展により新たな領域へと展開しています。なお、クロルプロマジンは急性ポルフィリン症の疼痛、有痛性のしびれ、不眠などに対する治療薬として広く用いられてきましたが、現在は禁忌薬として分類されています。(近藤雅雄、2025年5月16日掲載)

文 献
1.越智和彦 (1959) 精神分裂病の身体療法と予後について、脳と神経11(9):749-763.
2.天野直二(2015)精神医学における創造性について~歴史を踏まえて~、信州医誌63(1):3-7.
3.近藤雅雄(1995)日本臨牀 特集 ポルフィリン症、日本臨牀社.
4.Solomon H Snyder (1990) 脳と薬物、東京化学同人.

ポルフィリン症の治療:治療指針,治療と予防管理,薬剤

 指定難病ポルフィリン症の臨床的所見、遺伝形式、遺伝子異常および生化学的特徴などがほぼ確立しているが、治療および予防に関与する薬剤情報は以外と少ない。とくに、誘発因子としての薬剤に関しては症状の誘発・増悪に直接関与するため、治療および予防上極めて重要である。

Ⅰ.急性ポルフィリン症の治療指針、治療と予防管理
 急性ポルフィリン症(AIP,VP,HCP,ADP)は何らかの誘発因子によって最終産物のヘムの利用率が高まると、最初の酵素肝δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS1)が高活性となるため、障害酵素までの途中中間代謝物が増量・蓄積する。この中間代謝物が組織・臓器にさまざまな影響を与え、多様な症状が出現する。したがって、治療としては、肝ヘム合成の律速酵素である ALAS1活性を抑えると同時にヘムの減少を抑えることによって中間代謝物の生産・蓄積が抑えられ、症状は無くなる。これを利用したものが治療薬となる。
 すなわち、治療薬として用いるのは次の二つになる。第1はストレスや禁忌薬剤などヘム分解を誘発する因子の除去、第2はALAS1活性を抑制するグルコース輸液療法、ヘミン療法シメチジン(タガメット)療法、ALAS1mRNA標的療法、そして症状に対する対症療法からなる。禁忌薬物が多いので対症療法には細心の注意が必要である。
 早期に診断し、誘発因子を避けることができれば予後は良好である。重症の場合には血漿交換が適応となる。

Ⅱ.皮膚ポルフィリン症の治療指針、治療と予防管理
 皮膚ポルフィリン症(EPP,CEP,PCT,HEP,XLPP)の治療として、遮光と共にCEPでは外用薬、PCTでは瀉血などが治療の主体をなしている。しかし、効果については必ずしも一定しない。
 PCTは血清鉄や尿中ポルフィリンが高値の場合は瀉血療法を行う。瀉血療法を繰り返して過剰鉄を除去すると症状は著しく改善する。また、鉄キレ-ト剤としてデスフェリオキサミン(デフェロキサミン)が、HCV合併PCTではインタ-フェロン投与の有効性が、各々報告されている。PCTの軽症例では誘発因子(飲酒、鉄、エストロゲンなど)の除去および感染の治癒によって尿中ポルフィリンが正常化すると同時に症状が改善される。
 また、PCTとEPPについてはシメチジン投与の有効性が報告されている。しかし、EPPは赤芽球型であり、ALAS2の抑制は認められない。EPPは予後が比較的良好だが、肝障害がある場合は肝不全を起こすことがあるので注意する。(近藤雅雄、2025年4月20日)

PDF:ポルフィリン症の治療

病気と治療5.大学病院でメニエール病の診断と治療経験

 70歳時、2019年11月23日、昼寝から目を覚ますと、左耳が聞こえなかった。突発性難聴か?しかし、起き上がると浮動感と激しい高音性耳鳴り、耳閉塞感、吐き気、熱感などの症状がありました。そこで、2年前に受診した特定機能病院日本医療機能評価機構認定病院の某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)の耳鼻科に電話しました。耳鼻科の医師から「急ぐ必要はないので2日後に受診するように」と指示され、今度は大丈夫であろうと思い受診することに決めました。
 2日後、耳鼻咽喉科外来を受診。2年前に耳鳴で世話になった医師の名前はなかった。大学病院では役職のない医師の入れ替えが結構早い。初めて見る外来医師の指導で型通り、重心動揺計、耳音響放射検査、標準純音聴力検査、めまいの検査、血液および尿検査を受けました。血液及び尿検査はすべて正常でした。聴覚は、左耳の低音部の難聴が指摘され蝸牛型メニエール病(急性低音障害型感音性難聴)と診断されました。内リンパ水腫(メニエール病)の治療薬が処方され、症状の改善が見られましたが、12月13日に左耳の難聴が再発したため、12月17日から入院して1週間ステロイド治療を受けました。しかし、残念ながら改善はみられず、退院しました。
 一方、入院中にさまざまな体験をしたがその一部を紹介します。
①入院した病室のベッドに主治医、担当医他4名(合計6名)の名前が書かれていたが、病室に来た医師はいなかった。
②医師の紹介が耳鼻咽喉科のホームページにあったが、担当医の名前はなかった。
③看護師が医師や病院の悪口を頻繁に言っているのが気になった。
④入院中胸痛があり、看護師に伝えたが何の対応もなく、恐怖感を覚えた。
⑤2種類の薬物を、別々に点滴していたが、看護師は時間がないといい、2種類の薬物を同時点滴しようとした。私は薬物動態に影響が出るかもしれないと言い、断った。
⑥隣の診療椅子で、中年の男性患者が若手の女医に「何とか助けてください」と懇願していたが、診察が終わると女医は無表情のまま無言で立ち去った。
‥‥‥など、残念なことばかりでした。大学は医学教育、医師の再教育、病院医療のあり方、チーム医療などについて自己点検・評価する必要性があるのではないか。(近藤雅雄、2025年4月3日掲載)

病気と治療4.大学病院耳鼻科による耳鳴の診察と治療

 64歳時(2017年12月18日)、大学の講義中に右耳でメリメリ、パチパチといった金属音のような耳鳴が発生(線香花火のよう)したので、地域の耳鼻科開業医3施設を受診しました。何処も同じ検査をして、治りませんでした。そして言うことも同じで、「耳鳴と付き合っていくしかない」でした。そこで、特定機能病院日本医療機能評価機構認定病院の某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)耳鼻科を受診しました。
 MRI検査を行い、外来医師より「右椎骨動脈狭窄、蝸牛神経圧迫症、右耳鳴金属音」などと診断されました。担当医は「とくに治療法と言うものはないが、特効薬がある」と矛盾した事を言いましたが、“特効薬”に興味を持ちました。しかし、処方された薬はてんかん治療薬に良く用いられる「テグレトール」でした。勿論、効果はありませんでした。それ以降は、この医師がいる病院では治療を期待することはできないと判断し、受診するのを止めました。現代の最先端医療では耳鳴りを治すことができない。だから風邪と同じく、市販薬がドラッグストアに沢山並んでいる。
 耳鳴解消の市販薬としてはナリピット錠、パニオンコーワ錠、アリナミンEXプラス、ナリピタン、当帰芍薬散などを購入して試しましたが、どれも効果はありませんでした。当帰芍薬散ナリピット錠などはよくテレビで宣伝していますが、人によって効果は様々であり、万人に効くというわけではありません。
 現在は、右耳で放電現象的な激しい金属的耳鳴りが発生し、約30秒ごとに7秒前後パチパチと24時間鳴り続けていますが原因は不明です。そして両耳で通常の唸るような耳鳴りが24時間起こっています。 (近藤雅雄、2025年4月2日掲載)

病気と治療3.喘息のステロイド治療ミスで意識不明に

 46歳時(1996年7月24日)、過労による喘息発作が発症したので、知り合いの都立病院肝臓内科の医師に電話し、呼吸器の専門医の紹介をお願いしました。呼吸器内科の若手女医を紹介され、外来を受診、ステロイド剤投与による治療が行われました。しかし、投与計画の医療過誤により自宅にて急性発作、意識が消えた。そして、私は救急車で特定機能病院日本医療機能評価機構認定病院の某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)の救急外来に搬送されました。そのまま呼吸器病棟に入院となり、16日間治療を受け命拾いをしました。退院後、都立病院呼吸器内科の女医には報告しても過去のことであり、この医師は後ろを振り向くような人ではなく、前しか見ない人であろうと思い、伝えませんでした。

≪参考≫
 ステロイド薬の正式名称は「副腎皮質ステロイド薬」といい、副腎皮質から内分泌されるステロイドホルモンを化学合成した医薬品(合成薬)です。
 副腎皮質は生命維持に不可欠な臓器で左右の腎臓の上に一つずつ、計2個ある。この副腎皮質から糖質コルチコイド、電解質コルチコイド、男性ホルモンが内分泌される。臨床でよく使われるのは炎症やアレルギー、ストレスを抑える上でもっとも強力な作用を持つ糖質コルチコイド(コルチゾール)です。医薬品ではプレドニゾロンやデキサタゾンなど作用の違いなどによって20種類以上が合成されています。正しく使えばよい薬ですが、長期間の投与や投与量を間違えると、さまざまな副作用(高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、胃潰瘍、感染症など)や命の危険が生じることが知られています。 (近藤雅雄、2025年4月1日掲載)

忘れてはいけない新型コロナウイルス感染とパンデミック

 2019年12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染症が大流行、世界を震撼させた。世界保健機構(WHO)は新型コロナウイルスをCOVID-19と命名し、2020年3月11日、「新型コロナウイルスはパンデミックとみなすことができる」と宣言した。
 このパンデミックからクラスターという言葉が初めて使われた。集団感染に移行することから個人と個人の距離を十分に開ける政策、アクリル板で遮断する対策、喚起、アルコールによる手指の消毒、マスクの着用が当たり前となり、習慣化した。
 多様なイベント(スポーツやコンサートなど)では大声を出さない、マスクの着用、人数規制などさまざまな対策が施され、典型的なのが2021年の東京オリンピックである。無観客となり、これまでのオリンピックの景色を一変させた。
 このパンデミックの原因、推移、行政対応等は風化させることなく、次代に引き継いでいかないといけない。ここでは①新型コロナウイルス発生の疑義、②迷走する診断法と疫学、③迷走する治療法、④各国の感染対策と予防、⑤わが国の行政対応、⑥教育の現場と社会の混乱、⑦パンデミックの収束、⑧パンデミックその後、公衆衛生の重要性などについて記録した。以下のPDFを参照してください。(2025年3月20日掲載)
PDF:新型コロナウイルス

ALA投与による脳腫瘍内ポルフィリンの過剰生産とその機序

 悪性脳腫瘍患者に5-アミノレブリン酸(ALA)を経口投与すると、ALAは腫瘍組織に取り込まれ紫外線照射によって赤色蛍光を発するプロトポルフィリン(PPⅨ)が大量生産されることを見出した。
 そこで、蛍光ガイド下摘出術によって得た腫瘍部位をポルフィリン・パターン分析した結果、非蛍光部位(非腫瘍部位)に比してコプロポルフィリンⅢおよびハルデロポルフィリンが4倍、PPⅨが6倍といった有意な増量(P<0.01)を見出した。この機序を検討するために、ポルフィリン代謝関連酵素活性を測定した結果、腫瘍組織のミトコンドリア内の鉄導入酵素活性とPPⅨとの間に有意な負の相関関係(r=-0.412, P<0.05)を認めた。さらに誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて腫瘍組織を元素分析した結果、鉄含有量の減少を確認した。鉄とPPⅨとの間には有意差が認められなかったが、負の相関関係(r=-0.321)を確認した。
 以上の結果から、脳腫瘍組織にALAが取り込まれ、鉄不足による鉄導入酵素活性の低下によってPPⅨの蓄積が生じるものと示唆された。詳細は下記PDFを参照されたい。
 現在、悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化として「アラベル内服剤」がSBIファーマ株式会社で開発され、販売さている。(2025年3月14日掲載)

PDF:脳腫瘍論文2025,3

「漢方薬」の「薬」はくすり,クスリには必ずリスクがある

 漢方薬に関心のある人が多いと思います。西洋医学で治らない病気であれば、中医学を調べようと言うことでしょうか。
 漢方薬も薬(クスリの反対はリスク)ですので必ず副作用はあります。これまでにも多くの事故、副作用事例が報告されています。
 約35年前に経験した実話です。某開業医より漢方薬を処方された患者が腹痛・嘔吐など急性腹症はじめ急性ポルフィリン症と同じような消化器症状、精神・神経症状などが発症したため、確定診断を目的に某国立大学医科学研究所附属病院の医師から検査依頼を受けたことがありました。検査の結果、尿中の5-アミノレブリン酸(ALA)が高値で、ポルホビリノゲン(PBG)は正常でした。また、尿中のポルフィリン排泄パターンおよび血液中のポルフィリンパターン、ALA脱水酵素活性鉛中毒と一致、さらに、血液検査を行った結果、鉛が大量出てきたので急性ポルフィリン症ではなく、急性鉛中毒と診断しました。患者は鉛のキレート療法で治療したそうです。
 鉛を含む漢方薬を処方した開業医は2名いましたが、両者共偶然に同じ某有名私立大学医学部出身でした。2人は大学から厳しく指導されたそうです。
 漢方薬もクスリですので副作用はあります。漢方薬を服用するときには複数の医師や漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を持つ薬剤師と相談することをお勧めします。
(近藤雅雄、2025年3月13日掲載)

子どもの薬の正しい使い方と安全管理、副作用・相互作用、保管・記録

 くすりについての知識は経験上知り得たものが殆どであり、改めて学ぶことはないと思う人が多いのが現状ではないでしょうか。しかしながら、子どもに対しては保護者がくすりの安全性を十分理解した上で投与することが責務となり、くすりに対する知識が必要となります。その理由は、医師または薬剤師から処方される薬にはすべてリスク(副作用、危険性)があり、処方を間違えるといのちにかかわる重大事故につながりかねないからです。
 したがって、誰でも一度はくすりについての基礎的知識を学び、病気の治療・予防、さらに医薬品の管理について学んでおく必要があります。とくに、子どもを持つ保護者、保育園や幼稚園など保育・教育に関わる先生および施設では必ず学習してほしいと思います。
 そこで、本論文では医薬品に関する基礎知識、くすりの正しい使い方、くすりの副作用と相互作用、妊娠・授乳とくすり、くすりの保管、くすりの記録についてまとめました。以下のPDFを参照して下さい。(掲載年月:平成28年4月23日)

PDF:こどもと薬

急性ポルフィリン症の治療薬,ヒトヘミン承認までの過程

 海外では希少疾患である急性ポルフィリン症の治療薬としてヘム製剤が使用されています。しかし、わが国では未承認薬であるため個人輸入するしかなく、また、保険適用ではないので月に約40万円という高額な費用となります。輸入した患者家族は「個人輸入して病院で使ってもらったが、総額100万円を要した」と言っていました。
 そこで、海外で用いられているが、日本では承認されていないヘム製剤が使用できないために起こる不幸が無くなるよう、いのちを守るための運動を開始しました。まず、厚生労働大臣宛に「ヒトヘミン(海外商品名:NORMOSANG)への承認申請及び健康保険適用のお願い」と題して、請願を行いました。
 一方で、シミック株式会社は急性ポルフィリン症の治療に対して理解を示し、Orphan Europe (Paris, France, 以下「オーファンヨーロッパ」)と国内未承認医薬品NormosangⓇの国内開発に関するライセンス契約を締結しました。この締結には我が耳を疑いましたが、大変ありがたい話でした。
 そして、同社は「日本人急性ポルフィリン症患者に対するヒトヘミン(Heme Arginate)の安全性および有効性の検討」を治験目的として国(厚生労働省)の医薬食品局審査管理課に「ヘミン薬品第Ⅰ相試験開始前相談。第Ⅰ/Ⅱ相試験、日本人急性ポルフィリン症患者におけるヘミンの安全性、有効性および薬物動態の検討を目的とした多施設共同オープン試験」の内容を提出し、医薬食品局審査管理課と10回以上の照会に対する回答およびヒアリングを行い、第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相安全性確認試験を経て、医薬品の国内適用に対する未承認薬の承認が2013年3月6日、得られました。
 この承認に至るまで7年と言う長い道のりでしたが、ヘミン製剤が急性ポルフィリン症の治療薬として使用でき、同時に保険適用となりました。大変素晴しいことです。詳細は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2013年5月25日掲載)

PDF:未承認薬認可までの長い道のり

ポルフィリン症の誘発薬剤及び治療・予防に安全な薬剤

 先天性ポルフィリン症の発症には生体内外の環境因子が深く関与することが多い。特に、多くの薬剤が本症の発症・増悪に関与していることから、これら薬剤の正確な把握が重要です。そこで、本研究ではポルフィリン症の誘発薬剤および治療・予防としての安全薬剤について、現状までの諸情報をまとめました。さらに、直接ポルフィリン代謝異常を引き起こす薬物についてもまとめました。(近藤雅雄ほか:ポルフィリン 8巻2号:87-96ページ、1999年)詳細内容は下記PDFを参照してください。
PDF:薬剤論文HP