教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。これについては、「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場から、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
猫がアワビの胆を食べて光線過敏症を起こし耳が落ちた
「和漢三才図会」(正徳3年、1713年)に鳥貝の腸を食べると猫の耳が落ちるという奇妙な記述があります。また、アワビの肝臓を与えると激しいかゆみのため耳をひっかき取ってしまうという報告もありますが、猫ばかりでなくヒトにおいても、「東京医事新誌」(1899年)にアワビの内臓を食べると顔面の浮腫を伴う皮膚炎が生じることが報告されています。また、食品中のクロロフィル分解産物が健康障害を起こすことが知られています。
これらの理由は1977年になって、クロロフィルがクロロフィラ-ゼという酵素によって分解されたフェオホルバイドaによる光線過敏症であることが明らかにされました。アワビの中腸腺に遠紫外線を暗い部屋で照射すると強い美麗な赤色蛍光を発しますが、これはピロフェオホルバイドaによるものであり、フェオホルバイドaの数十倍の活性を有します。これらは野沢菜漬、高菜漬などの塩蔵漬け菜中にも認められます。紫外線で赤色蛍光を発するのはポルフィリンやクロロフィルとその分解物フェオホルバイドなど、意外と多く知られています。
また、フェオホルバイドは、緑茶やクロレラなどの緑色野菜を加工した食品に含まれる可能性があり、とくに蒸しの浅い玉露や抹茶ではフェオホルバイドの生成量が多いことが報告されています。これらの食品を摂取する際は、量に注意してください。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
これらの理由は1977年になって、クロロフィルがクロロフィラ-ゼという酵素によって分解されたフェオホルバイドaによる光線過敏症であることが明らかにされました。アワビの中腸腺に遠紫外線を暗い部屋で照射すると強い美麗な赤色蛍光を発しますが、これはピロフェオホルバイドaによるものであり、フェオホルバイドaの数十倍の活性を有します。これらは野沢菜漬、高菜漬などの塩蔵漬け菜中にも認められます。紫外線で赤色蛍光を発するのはポルフィリンやクロロフィルとその分解物フェオホルバイドなど、意外と多く知られています。
また、フェオホルバイドは、緑茶やクロレラなどの緑色野菜を加工した食品に含まれる可能性があり、とくに蒸しの浅い玉露や抹茶ではフェオホルバイドの生成量が多いことが報告されています。これらの食品を摂取する際は、量に注意してください。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
鶏の卵殻の色、卵の鮮度・栄養価・無精卵と有精卵の違い
卵殻は昔から白が定番でしたが、最近は赤、青、ピンクなどと購買意欲を掻き立てるきれいな色の卵が店頭に並び、値段も異なっているため消費者を惑わせています。しかし、鶏卵の中身はどれも同じで栄養価は変わりません。因みに、蛋白質12%、脂質10%、各種ミネラルやビタミンを含みますが炭水化物やビタミンCが非常に少ないのが特徴です。卵黄と卵白の比率は31:69ですがそれぞれに含まれる成分は異なります。うずらの卵は鶏卵よりも脂質、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。
卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。
有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)

卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。
有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)


卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する
卵を割らずに鮮度を評価する方法としては、以下のような方法が知られています。
1.水の中に入れると、新鮮な卵は水に沈んで横向きに倒れる。しかし、古くなった卵は、水に浮いたり、底で垂直に立ったりする。
2.10%の濃い食塩水に卵を沈めると、新鮮な卵はすぐに沈む。しかし、古い卵は、水に浮いてくるか、時間が経ってから沈む。
3.光に透かすと、新鮮な卵は、卵黄が小さく、白身が濃厚で白く濁っているように見える。鮮度が落ちた卵は、卵黄が大きく、白身が薄くて透明感がある。
などが知られていますが、卵の殻にポルフィリンが付着していることは意外と知られていません。
卵の殻に紫外線を照射するだけで卵の鮮度が分かる
卵の殻には、消費者の購買意欲をそそるような色付き卵(褐色、ピンク色、青色など)が市販され、私たちの目を楽しませてくれます。これら色付き卵や白い卵の殻に暗室で紫外線(400nm付近の遠紫外線)を照射するととても美麗な赤色蛍光を発する(下の写真参照)。この蛍光は色付きに限らずすべての卵類は新鮮な程強く、逆に古いほど弱いことがわかりました。つまり、赤い蛍光物質はプロトポルフィリンと言ってヘム生合成の中間体です。
鶏などの鳥類では、血漿中のプロトポルフィリンが卵管を介して卵殻(カルシウムと結合)に移動(排泄)するのではないかと推測されます。
ポルフィリンは巨大なπ電子を持っていて、長い間太陽や蛍光灯などに曝されたり、空気で酸化されるとエネルギーを放出し、壊れていきます。したがって、鮮度が良いほど、紫外線を照射により赤色蛍光を発する。逆に古い卵は、赤色蛍光が弱い。
白い卵の白色レグホンや赤玉鶏、名古屋コーチン(名古屋種)、烏骨鶏、アロウカナ、ウズラなどの卵類を調べましたが、新鮮な程卵が赤く美麗な輝きを放しました。その原因を分析したところすべてプロトポルフィリンでした。鳥類図鑑ではアロウカナの青い色素の原因はビリベルジンと書いてあったのを記憶していますがそれは間違いです。因みに、ポルフィリンに銅がキレートすると青色になります。
卵のご提供を賜りました愛知県農業総合試験所に感謝します。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)
1.水の中に入れると、新鮮な卵は水に沈んで横向きに倒れる。しかし、古くなった卵は、水に浮いたり、底で垂直に立ったりする。
2.10%の濃い食塩水に卵を沈めると、新鮮な卵はすぐに沈む。しかし、古い卵は、水に浮いてくるか、時間が経ってから沈む。
3.光に透かすと、新鮮な卵は、卵黄が小さく、白身が濃厚で白く濁っているように見える。鮮度が落ちた卵は、卵黄が大きく、白身が薄くて透明感がある。
などが知られていますが、卵の殻にポルフィリンが付着していることは意外と知られていません。
卵の殻に紫外線を照射するだけで卵の鮮度が分かる
卵の殻には、消費者の購買意欲をそそるような色付き卵(褐色、ピンク色、青色など)が市販され、私たちの目を楽しませてくれます。これら色付き卵や白い卵の殻に暗室で紫外線(400nm付近の遠紫外線)を照射するととても美麗な赤色蛍光を発する(下の写真参照)。この蛍光は色付きに限らずすべての卵類は新鮮な程強く、逆に古いほど弱いことがわかりました。つまり、赤い蛍光物質はプロトポルフィリンと言ってヘム生合成の中間体です。
鶏などの鳥類では、血漿中のプロトポルフィリンが卵管を介して卵殻(カルシウムと結合)に移動(排泄)するのではないかと推測されます。
ポルフィリンは巨大なπ電子を持っていて、長い間太陽や蛍光灯などに曝されたり、空気で酸化されるとエネルギーを放出し、壊れていきます。したがって、鮮度が良いほど、紫外線を照射により赤色蛍光を発する。逆に古い卵は、赤色蛍光が弱い。
白い卵の白色レグホンや赤玉鶏、名古屋コーチン(名古屋種)、烏骨鶏、アロウカナ、ウズラなどの卵類を調べましたが、新鮮な程卵が赤く美麗な輝きを放しました。その原因を分析したところすべてプロトポルフィリンでした。鳥類図鑑ではアロウカナの青い色素の原因はビリベルジンと書いてあったのを記憶していますがそれは間違いです。因みに、ポルフィリンに銅がキレートすると青色になります。
卵のご提供を賜りました愛知県農業総合試験所に感謝します。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)

高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析
研究目的
わが国が世界的に健康長寿を誇るようになったのには、医学の進歩のみならず、わが国の風土と歴史の中に根付いた日本型食生活の影響が大きく関与していると思われる。しかしながら、死因の3位までの疾患は生活習慣の偏りがその主な原因であると考えられることから、超高齢・少子化の進む中で、高齢者のQOLを高め、これら疾患の罹患を予防し、健康で長生きできるような食生活の提唱が望まれる。
本研究では、以下の5つの課題について検討した。
1.食品中の抗酸化成分の総合評価
2.日本人高齢者の食事摂取状況の解析
3.抗酸化食品ピーマン食摂取による高齢者への介入試験
4.中・高齢者の血液中抗酸化ミネラル濃度の解析
5.老齢動物の抗酸化および免疫能増強の開発
QOLを高める上で極めて重要な因子である免疫能の向上とその機序解明を目的とした日本型食生活を踏まえた先駆的な栄養学的研究を行った。また、中・高齢者の血液中の免疫能に直接影響を与える抗酸化元素濃度や抗酸化酵素活性などを測定し、酸化ストレスに対する防御機能についての検討を行った。さらに、国民健康・栄養調査の結果をもとに、日本人の年齢別食生活の傾向を把握し、高齢者の食生活の特性に基づいた免疫能調節因子の検索を行った。そして、高齢者の抗酸化および免疫力を増強させる因子の検討を行い、新たな増強因子を発見した。
以上の結果をもとに、高齢者の免疫能および抗酸化能を高める食品類を選択し、日本型食生活を中心とした高齢者への介入試験を行い、免疫能を高め、高齢者のQOLを高めるような食生活の提唱をする。なお、紙面の都合上、酸化ストレスが免疫細胞に及ぼす影響に対する分子生物学的手法を用いた解析実験に関しては割愛した。
本内容は農林水産省農林水産技術会議平成14~17年度「日本型食生活の生体調節機能効果の解明」によるプロジェクト研究課題「高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析」で得られた成績の一部を修正して以下のPDFに纏めた。(近藤雅雄、2025年3月25日掲載)
PDF:高齢者の健康増進研究
わが国が世界的に健康長寿を誇るようになったのには、医学の進歩のみならず、わが国の風土と歴史の中に根付いた日本型食生活の影響が大きく関与していると思われる。しかしながら、死因の3位までの疾患は生活習慣の偏りがその主な原因であると考えられることから、超高齢・少子化の進む中で、高齢者のQOLを高め、これら疾患の罹患を予防し、健康で長生きできるような食生活の提唱が望まれる。
本研究では、以下の5つの課題について検討した。
1.食品中の抗酸化成分の総合評価
2.日本人高齢者の食事摂取状況の解析
3.抗酸化食品ピーマン食摂取による高齢者への介入試験
4.中・高齢者の血液中抗酸化ミネラル濃度の解析
5.老齢動物の抗酸化および免疫能増強の開発
QOLを高める上で極めて重要な因子である免疫能の向上とその機序解明を目的とした日本型食生活を踏まえた先駆的な栄養学的研究を行った。また、中・高齢者の血液中の免疫能に直接影響を与える抗酸化元素濃度や抗酸化酵素活性などを測定し、酸化ストレスに対する防御機能についての検討を行った。さらに、国民健康・栄養調査の結果をもとに、日本人の年齢別食生活の傾向を把握し、高齢者の食生活の特性に基づいた免疫能調節因子の検索を行った。そして、高齢者の抗酸化および免疫力を増強させる因子の検討を行い、新たな増強因子を発見した。
以上の結果をもとに、高齢者の免疫能および抗酸化能を高める食品類を選択し、日本型食生活を中心とした高齢者への介入試験を行い、免疫能を高め、高齢者のQOLを高めるような食生活の提唱をする。なお、紙面の都合上、酸化ストレスが免疫細胞に及ぼす影響に対する分子生物学的手法を用いた解析実験に関しては割愛した。
本内容は農林水産省農林水産技術会議平成14~17年度「日本型食生活の生体調節機能効果の解明」によるプロジェクト研究課題「高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析」で得られた成績の一部を修正して以下のPDFに纏めた。(近藤雅雄、2025年3月25日掲載)
PDF:高齢者の健康増進研究
健康情報13.栄養素の豊富な「にがうり」で疲労回復
季節の変わり目は、気象の変化による持病の悪化や自律神経の乱れなどによってさまざまな症状がでます。そこで、この間を健康で乗り切るための一例を紹介します。夏バテ等の疲労回復に効果がある「にがうり」を紹介します。
「にがうり(苦瓜)」は、ゴーヤとも呼ばれていますが、このゴーヤとは沖縄地方の方言。ゴーヤには蛋白質、炭水化物、脂質、ビタミンC、ビタミンB1、B2、B6、K、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、ビオチン(B7)、葉酸(B9)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などの機能性栄養素および食物繊維を豊富に含んでいます。
ゴーヤは疲労回復、血糖値の調節、脂質代謝の調節、貧血予防、血圧調節、むくみ・便秘の解消、ダイエット、老化防止・美肌、紫外線・シミ対策、肌荒れ・ニキビ予防などに有効であると言われています。とくに、ビタミンCはキュウリの14mgやトマトの15mgに対して5倍以上も含まれ、野菜の中でピーマンと同様、加熱に強いという特性を持っています。また、鉄分はほうれん草の約2.3倍含まれ、葉酸とともに貧血の予防になります。ビタミンB群は生体エネルギー(ATP)の生産に不可欠で、疲労回復、皮膚や粘膜の正常化に、カリウムは腎臓でナトリウムの排泄に働くので血圧の低下にそれぞれ役に立ちます。
苦み成分としてチャランチンとモモルデシン、コロソリン酸が含まれています。チャランチンとコロソリン酸は植物インスリンとも言われ、糖尿病の血糖値改善に役立つと古くから注目されています。ヒトのインスリンと同様に肝臓や筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、グリコーゲンの合成を促すことが報告されています。
動物実験では糖尿病改善効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗がん作用、免疫調節なども報告されています。チャランチンやモモルデシンには活性酸素を還元して無毒化する作用も報告されています。
食物繊維は100g中水溶性0.5g、不溶性2.1g含まれ、腸内の善玉菌の増殖を促進し、糞便量を増やし、腸内環境を整えることでしょう。便秘改善に役立ちます。サポニンはコレステロールや老廃物の排出を促進し、動脈硬化、糖尿病、がんの予防、胆汁酸の分泌や産生を促します。
ただし、ゴーヤには血糖低下作用のある成分が含まれていますので、子どもや高齢者、糖尿病患者の食べ過ぎには注意してください。(近藤雅雄、2025年3月8日、掲載)
「にがうり(苦瓜)」は、ゴーヤとも呼ばれていますが、このゴーヤとは沖縄地方の方言。ゴーヤには蛋白質、炭水化物、脂質、ビタミンC、ビタミンB1、B2、B6、K、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、ビオチン(B7)、葉酸(B9)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などの機能性栄養素および食物繊維を豊富に含んでいます。
ゴーヤは疲労回復、血糖値の調節、脂質代謝の調節、貧血予防、血圧調節、むくみ・便秘の解消、ダイエット、老化防止・美肌、紫外線・シミ対策、肌荒れ・ニキビ予防などに有効であると言われています。とくに、ビタミンCはキュウリの14mgやトマトの15mgに対して5倍以上も含まれ、野菜の中でピーマンと同様、加熱に強いという特性を持っています。また、鉄分はほうれん草の約2.3倍含まれ、葉酸とともに貧血の予防になります。ビタミンB群は生体エネルギー(ATP)の生産に不可欠で、疲労回復、皮膚や粘膜の正常化に、カリウムは腎臓でナトリウムの排泄に働くので血圧の低下にそれぞれ役に立ちます。
苦み成分としてチャランチンとモモルデシン、コロソリン酸が含まれています。チャランチンとコロソリン酸は植物インスリンとも言われ、糖尿病の血糖値改善に役立つと古くから注目されています。ヒトのインスリンと同様に肝臓や筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、グリコーゲンの合成を促すことが報告されています。
動物実験では糖尿病改善効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗がん作用、免疫調節なども報告されています。チャランチンやモモルデシンには活性酸素を還元して無毒化する作用も報告されています。
食物繊維は100g中水溶性0.5g、不溶性2.1g含まれ、腸内の善玉菌の増殖を促進し、糞便量を増やし、腸内環境を整えることでしょう。便秘改善に役立ちます。サポニンはコレステロールや老廃物の排出を促進し、動脈硬化、糖尿病、がんの予防、胆汁酸の分泌や産生を促します。
ただし、ゴーヤには血糖低下作用のある成分が含まれていますので、子どもや高齢者、糖尿病患者の食べ過ぎには注意してください。(近藤雅雄、2025年3月8日、掲載)
健康情報12.冬至は「かぼちゃとゆず湯」で乗りきる
季節の変わり目は、気象の変化による持病の悪化や自律神経の乱れなどによってさまざまな症状がでます。そこで、この間を健康で乗り切るための一例を紹介します。
冬至とは24節気の一つで、1年で昼が最も短く、太陽の光が弱まって、夜が長い日になります。そして、冬至の日には冬至かぼちゃや冬至粥(小豆入りのお粥)を食べると風邪や中風(現在の脳出血、脳梗塞に当たるもの)にならないという言い伝えがあります。
かぼちゃは本来夏の野菜です。切ったり、傷を付けたりしなければ長期保存が出来るので、夏の太陽を浴びたかぼちゃを大事に保存し、風邪が流行したり緑黄色野菜が不足したりする冬期にかぼちゃを食べるという先人の教えもあります。
かぼちゃは「南瓜」とも書き、別名「唐茄子」、「南京」、「ボウブラ」とも呼ばれますが、原産地は中央アメリカです。日本には戦国時代の末期頃にポルトガル人によってカンボジア経由で持ち込まれました。このときにカンボジアがなまって「かぼちゃ」になったそうです。かぼちゃは野菜の中でも栄養価が高い優れた野菜であり、β-カロテン、ビタミンC,ビタミンEといった抗酸化ビタミンを大量含んでいます。したがって、体内に蓄積した酸化毒(活性酸素)の除去と感染症予防には不可欠な野菜です。寒い日にはかぼちゃを食べて風邪を予防しましょう。次は柚子(ゆず)です。
ゆず湯というのは、お湯に入り、病気を治す湯治(とうじ)=冬至という語呂合わせからきているそうです。また、柚子(ゆず)=「融通(ゆうずう)」がききますように、という願いも込められているそうです。柚子の高貴な香りと酸味は邪気を避け、運を呼び込む前の厄払いの目的でも使われています。
「ゆず湯に入ると、一年間風邪をひかない」と昔から言われています。柚子には血行を促進して冷え性を和らげ、身体を温めて風邪を予防する働きがあります。果皮、果肉、種のすべてに効能があり、果皮にはビタミンCやクエン酸が含まれていて美肌効果があります。果肉にはヘスペリジンというポリフェノールが柑橘類の中では極めて多くミカンの20倍、レモンの3倍で、血管の強化、血流、高血圧、脂質代謝、肩こりや冷えの改善などの効果があります。種にはペクチン、ピネン、リモネン、ナリンジンなどが含まれ糖・脂質代謝調節、抗炎症作用など多様な効果が知られています。
捨てるところがない柚子はまさにSDGs (Sustainable Development Goals)に適した柑橘類の王様といえます。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
冬至とは24節気の一つで、1年で昼が最も短く、太陽の光が弱まって、夜が長い日になります。そして、冬至の日には冬至かぼちゃや冬至粥(小豆入りのお粥)を食べると風邪や中風(現在の脳出血、脳梗塞に当たるもの)にならないという言い伝えがあります。
かぼちゃは本来夏の野菜です。切ったり、傷を付けたりしなければ長期保存が出来るので、夏の太陽を浴びたかぼちゃを大事に保存し、風邪が流行したり緑黄色野菜が不足したりする冬期にかぼちゃを食べるという先人の教えもあります。
かぼちゃは「南瓜」とも書き、別名「唐茄子」、「南京」、「ボウブラ」とも呼ばれますが、原産地は中央アメリカです。日本には戦国時代の末期頃にポルトガル人によってカンボジア経由で持ち込まれました。このときにカンボジアがなまって「かぼちゃ」になったそうです。かぼちゃは野菜の中でも栄養価が高い優れた野菜であり、β-カロテン、ビタミンC,ビタミンEといった抗酸化ビタミンを大量含んでいます。したがって、体内に蓄積した酸化毒(活性酸素)の除去と感染症予防には不可欠な野菜です。寒い日にはかぼちゃを食べて風邪を予防しましょう。次は柚子(ゆず)です。
ゆず湯というのは、お湯に入り、病気を治す湯治(とうじ)=冬至という語呂合わせからきているそうです。また、柚子(ゆず)=「融通(ゆうずう)」がききますように、という願いも込められているそうです。柚子の高貴な香りと酸味は邪気を避け、運を呼び込む前の厄払いの目的でも使われています。
「ゆず湯に入ると、一年間風邪をひかない」と昔から言われています。柚子には血行を促進して冷え性を和らげ、身体を温めて風邪を予防する働きがあります。果皮、果肉、種のすべてに効能があり、果皮にはビタミンCやクエン酸が含まれていて美肌効果があります。果肉にはヘスペリジンというポリフェノールが柑橘類の中では極めて多くミカンの20倍、レモンの3倍で、血管の強化、血流、高血圧、脂質代謝、肩こりや冷えの改善などの効果があります。種にはペクチン、ピネン、リモネン、ナリンジンなどが含まれ糖・脂質代謝調節、抗炎症作用など多様な効果が知られています。
捨てるところがない柚子はまさにSDGs (Sustainable Development Goals)に適した柑橘類の王様といえます。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
健康情報11.季節の変わり目は「キムチ」で健康強化
季節の変わり目は、気象の変化による持病の悪化や自律神経の乱れなどによってさまざまな症状がでます。日本には四季があり、冬から春、春から夏、夏から秋、秋から冬と4階の変化を感じます。この間を健康で乗り切るための「キムチ」の例を紹介します。
例えば梅雨(抗酸化食品キムチ)
5月の連休が終わると、次に来るのはじめじめした梅雨、その次に来るのが暑い夏。この季節を乗り越えるための食品の一つとして「キムチ」を紹介します。
キムチの原材料によって栄養成分は異なりますが、よく使われる野菜(白菜や大根)にはたくさんのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。そのために米中心の食生活に不足しがちなビタミンB1の吸収を高めたり、腸炎、結腸炎などの疾病を抑制する働きや体内の脂肪を減らして動脈硬化や肥満を予防したり、活性酸素を消去したりする効果があります。
キムチは梅雨に限らず、1年中の食べ物ですが、季節の移り変わりにはとくに免疫力を高めるのに効果的な食材です。その理由として、キムチ唐辛子のトウガラシはシシトウ、パプリカ・ピーマンの仲間で、暑さに強く、真夏でも実がつきます。そして、ピーマンと同様ルテオリンなどの強力な抗酸化ポリフェノールを多く含みますので、抗酸化能および免疫能の増強に効果的な食品といえます。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
例えば梅雨(抗酸化食品キムチ)
5月の連休が終わると、次に来るのはじめじめした梅雨、その次に来るのが暑い夏。この季節を乗り越えるための食品の一つとして「キムチ」を紹介します。
キムチの原材料によって栄養成分は異なりますが、よく使われる野菜(白菜や大根)にはたくさんのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。そのために米中心の食生活に不足しがちなビタミンB1の吸収を高めたり、腸炎、結腸炎などの疾病を抑制する働きや体内の脂肪を減らして動脈硬化や肥満を予防したり、活性酸素を消去したりする効果があります。
キムチは梅雨に限らず、1年中の食べ物ですが、季節の移り変わりにはとくに免疫力を高めるのに効果的な食材です。その理由として、キムチ唐辛子のトウガラシはシシトウ、パプリカ・ピーマンの仲間で、暑さに強く、真夏でも実がつきます。そして、ピーマンと同様ルテオリンなどの強力な抗酸化ポリフェノールを多く含みますので、抗酸化能および免疫能の増強に効果的な食品といえます。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
健康情報10.ニンジンに含まれるβ-カロテンの抗がん作用
ニンジンには抗酸化物質であるβ-カロテンが大量含まれ、がんの予防に有名です。β-カロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、ビタミンAの安全な供給源です。
ビタミンAを過剰に摂取すると障害がでることが知られていますが、β-カロテンは多少過剰に摂取しても身体に蓄えられ、必要に応じてビタミンAに変換されるため障害が起きません。しかし、β-カロテンだけを健康食品から大量摂取すると逆にがんの発症リスクがあることが報告されています。つまり、ニンジンとして摂取すれば、相乗・相殺効果が現れ、抗がん作用も高まります。とくに高齢者ではニンジンとキャベツや赤ピーマン、リンゴと一緒に摂取すると免疫増強、抗酸化作用や抗がん作用、老化防止の効果がさらに高まることでしょう。(近藤雅雄、2025年3月7日)
ビタミンAを過剰に摂取すると障害がでることが知られていますが、β-カロテンは多少過剰に摂取しても身体に蓄えられ、必要に応じてビタミンAに変換されるため障害が起きません。しかし、β-カロテンだけを健康食品から大量摂取すると逆にがんの発症リスクがあることが報告されています。つまり、ニンジンとして摂取すれば、相乗・相殺効果が現れ、抗がん作用も高まります。とくに高齢者ではニンジンとキャベツや赤ピーマン、リンゴと一緒に摂取すると免疫増強、抗酸化作用や抗がん作用、老化防止の効果がさらに高まることでしょう。(近藤雅雄、2025年3月7日)
健康情報9.「りんご」は病気の予防と健康増進に不可欠
りんごは不思議な果物です。りんごに含まれているビタミンCは100g中に4mgで、食品の中ではさほど多いわけではありません。しかし、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが増えると考えられます。国立がん研究センターが行った5年間の調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの血液中ビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。したがって、リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加したことを、サプリメントに直すと1日約500mgのビタミンCを摂取したことと同等になります。このことは、サプリメントよりも食品から摂取する方が効率的であるといえます。
ビタミンCは、抗酸化力が強く、さまざまな生活習慣病の予防に有効です。脳卒中、脳梗塞、がん、壊血病などの予防、ストレス解消、色素沈着の防止、白内障予防などに有効であると報告されています。さらに、りんごには良質な食物繊維が含まれ、血液中の中性脂肪を減らすのに効果的です。このりんごの水溶性食物繊維(リンゴペクチン)を摂取するとアレルギーの引き金と考えられているヒスタミンを下げる効果が明らかになっています。また、りんごは肌荒れや「にきび」の原因となる便秘を解消する力が強く、かつ、アラビノオリゴ糖はビフィズス菌を特異的に増殖させることも見出されています。さらに、カリウムなどのミネラルが豊富であり、血圧上昇を抑えます。また、ポリフェノールもたくさん含まれています。りんごが赤くなると医者が儲からなくなるといわれますが、まさに、りんごはさまざまな病気の予防、健康増進に不可欠な果物です。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
ビタミンCは、抗酸化力が強く、さまざまな生活習慣病の予防に有効です。脳卒中、脳梗塞、がん、壊血病などの予防、ストレス解消、色素沈着の防止、白内障予防などに有効であると報告されています。さらに、りんごには良質な食物繊維が含まれ、血液中の中性脂肪を減らすのに効果的です。このりんごの水溶性食物繊維(リンゴペクチン)を摂取するとアレルギーの引き金と考えられているヒスタミンを下げる効果が明らかになっています。また、りんごは肌荒れや「にきび」の原因となる便秘を解消する力が強く、かつ、アラビノオリゴ糖はビフィズス菌を特異的に増殖させることも見出されています。さらに、カリウムなどのミネラルが豊富であり、血圧上昇を抑えます。また、ポリフェノールもたくさん含まれています。りんごが赤くなると医者が儲からなくなるといわれますが、まさに、りんごはさまざまな病気の予防、健康増進に不可欠な果物です。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
健康情報8.ピーマンのヒト介入試験から分かったこと
ピーマンの栄養効果を調べるために、ピーマンを高齢者に2週間お昼の弁当に加えて食べていただくという介入試験を元国立健康・栄養研究所、現国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所にて行いました。その結果、免疫機能、抗酸化機能、脂質異常改善作用などがあることがわかりました。これらの作用は主にピーマンに含まれているポリフェノールの一種、ルテオリンという物質によることがわかりました。ルテオリンはさらに抗アレルギー機能、抗癌作用があることが最近の研究によってわかっております。抗がん作用については、ルテオリンのがん細胞を死滅するメカニズムも解明されています。食品としてピーマンを摂取する場合は熱に強いビタミンCや食物線維も豊富ですので大変からだにいいようです。ピーマンは子どもの嫌いな食品の第一位を長年維持していますが、実はからだにはとってもいいことがわかりました。
ピーマンはさまざまな種類、仲間がありますが、その中でも、赤ピーマンには抗酸化物質であるルテオリン、ケルセチン、ルチンなどと言った、おなじみのポリフェノールを大量含んでいることを私たちは見出しました。ルテオリンには、さらに抗糖尿病作用、炎症抑制作用、抗加齢作用といった多くの作用が科学的に証明されています。また、ビタミンCは野菜果物中で一番多く含まれ、レモンの3.6倍含まれています。さらにビタミンEはバナナの9倍など抗酸化ビタミンの宝庫とも言えます。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
ピーマンはさまざまな種類、仲間がありますが、その中でも、赤ピーマンには抗酸化物質であるルテオリン、ケルセチン、ルチンなどと言った、おなじみのポリフェノールを大量含んでいることを私たちは見出しました。ルテオリンには、さらに抗糖尿病作用、炎症抑制作用、抗加齢作用といった多くの作用が科学的に証明されています。また、ビタミンCは野菜果物中で一番多く含まれ、レモンの3.6倍含まれています。さらにビタミンEはバナナの9倍など抗酸化ビタミンの宝庫とも言えます。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
健康情報7.野菜・果物同時摂取で病気の予防と健康増進
病気の90%以上は酸化ストレスによって発症すると言われています(日本抗酸化学会)。そこで、野菜と果物の同時摂取による病気の予防と健康増進を目指して調査研究しました。
これまでの栄養研究は単独の食品や栄養素に関するものばかりでした。しかし、実際に私たちが食事をするとき、私たちの体内では複数の栄養素によるさまざまな相互作用が生じ、単独栄養素の作用が強められたり打ち消されたりしていると考えられます。すなわち、単独の栄養成分(因みに健康食品が相当します)を摂取するより、食品そのものを摂取することによって相乗効果、相殺効果が生まれ、体に不足している必要な成分が利用されていきます。
さて、現代人の食生活調査を行った結果、野菜と果物摂取量が全年齢で不足していることがわかりました。厚生労働省、文部科学省、農林水産省は野菜1日350g以上、果物は200g以上摂取することが望ましいと提言しています。そこで、多くのメーカーが野菜ジュースなどの開発を行い市販していますが、そのほとんどが大量の糖質(蔗糖)を含み、肥満や糖尿病などの生活習慣病を加速させる不健康飲料ばかりです。
しかし、野菜の中で抗酸化成分が優れている「赤ピーマン」と「にんじん」、そして、果物ではさまざまな病気の予防・健康増進に効果がある「りんご」を日常的に摂取している人は多くが健康であることがわかりました。
さらに、これら野菜および果物の同時摂取は相殺効果、相加・相乗効果も加わって栄養状態が改善され、からだに不足している抗酸化力、免疫力が一層高まり、日常不足しがちな食物繊維、カルシウム、カリウムが増え栄養状態が改善されます。
野菜や果物の同時摂取は量よりも質も大切です。
参考文献
1.近藤雅雄:第6回健康食品フォーラム報告書「食育と健康食品」p.26-41, 2005
2.近藤雅雄ほか:高齢者の食生活と免疫強化、日本抗加齢医学会雑誌、Vol.2No.3, 2006
3.近藤雅雄:食品成分による高齢者の免疫機能調節、食品技術総合辞典、朝倉書店、p.94-99, 2008
4.近藤雅雄ほか:高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析、食品の安全性および機能性に関する総合研究、平成14-17年度、農林水産省農林水産技術会議資料
(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
PDF:ベジフルP
これまでの栄養研究は単独の食品や栄養素に関するものばかりでした。しかし、実際に私たちが食事をするとき、私たちの体内では複数の栄養素によるさまざまな相互作用が生じ、単独栄養素の作用が強められたり打ち消されたりしていると考えられます。すなわち、単独の栄養成分(因みに健康食品が相当します)を摂取するより、食品そのものを摂取することによって相乗効果、相殺効果が生まれ、体に不足している必要な成分が利用されていきます。
さて、現代人の食生活調査を行った結果、野菜と果物摂取量が全年齢で不足していることがわかりました。厚生労働省、文部科学省、農林水産省は野菜1日350g以上、果物は200g以上摂取することが望ましいと提言しています。そこで、多くのメーカーが野菜ジュースなどの開発を行い市販していますが、そのほとんどが大量の糖質(蔗糖)を含み、肥満や糖尿病などの生活習慣病を加速させる不健康飲料ばかりです。
しかし、野菜の中で抗酸化成分が優れている「赤ピーマン」と「にんじん」、そして、果物ではさまざまな病気の予防・健康増進に効果がある「りんご」を日常的に摂取している人は多くが健康であることがわかりました。
さらに、これら野菜および果物の同時摂取は相殺効果、相加・相乗効果も加わって栄養状態が改善され、からだに不足している抗酸化力、免疫力が一層高まり、日常不足しがちな食物繊維、カルシウム、カリウムが増え栄養状態が改善されます。
野菜や果物の同時摂取は量よりも質も大切です。
参考文献
1.近藤雅雄:第6回健康食品フォーラム報告書「食育と健康食品」p.26-41, 2005
2.近藤雅雄ほか:高齢者の食生活と免疫強化、日本抗加齢医学会雑誌、Vol.2No.3, 2006
3.近藤雅雄:食品成分による高齢者の免疫機能調節、食品技術総合辞典、朝倉書店、p.94-99, 2008
4.近藤雅雄ほか:高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析、食品の安全性および機能性に関する総合研究、平成14-17年度、農林水産省農林水産技術会議資料
(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
PDF:ベジフルP
健康情報6.昔,中・高生の間で流行った「ペットボトル症候群」とは
1992年5月、聖マリアンナ医科大学の研究グループは、糖尿病性ケトアシドーシスの症状となった若い人達の多くがペットボトルの飲料水を飲んでいたことからペットボトル症候群と命名されました。喉の渇きのために砂糖の入ったスポーツドリンク、清涼飲料水を大量に飲み続けることによって起こる急性の糖尿病です。
また、ペットボトルの飲料水を飲むと血糖値がすぐ上がるので元気となる。しかし、またすぐ血糖値が下がり、今度はイライラしたり、狂暴になったりする。当時、中学や高校では校内暴力が流行った時代で、これをペットボトル症候群と言っていました。
最近、自動販売機が増えさまざまな飲料水が並べられています。コーヒー飲料など糖質の多い飲料水が多くありますが、これらは缶類が多い。ペットボトルはお茶や水など、糖質の少ない飲料が多くなっています。したがって、ペットボトル症候群が再び流行ることは無いと思いますが、糖質の多い飲み物はカロリーが高いので注意してください。余った糖質は白色脂肪細胞に中性脂肪として貯蔵され、肥満の原因になります。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
また、ペットボトルの飲料水を飲むと血糖値がすぐ上がるので元気となる。しかし、またすぐ血糖値が下がり、今度はイライラしたり、狂暴になったりする。当時、中学や高校では校内暴力が流行った時代で、これをペットボトル症候群と言っていました。
最近、自動販売機が増えさまざまな飲料水が並べられています。コーヒー飲料など糖質の多い飲料水が多くありますが、これらは缶類が多い。ペットボトルはお茶や水など、糖質の少ない飲料が多くなっています。したがって、ペットボトル症候群が再び流行ることは無いと思いますが、糖質の多い飲み物はカロリーが高いので注意してください。余った糖質は白色脂肪細胞に中性脂肪として貯蔵され、肥満の原因になります。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康情報5.珈琲は各種がん,糖尿病などのリスクを下げる
コーヒーの苦味が嫌いな方もいますが、実はコーヒーはからだにとても良い飲み物なのです。皆さんがよくご存知のカフェインには、興奮作用のほかに抗疲労、抗肥満、口臭予防などの効能があります。
最近、クロロゲン酸という成分が注目されています。クロロゲン酸は、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸とキナ酸とのエステルです。桂皮酸はベンゼン環を持ち、熱で分解され芳香を放ちます。また、キナ酸は酸味と弱い苦味を持ち、加水分解されやすいことから、このクロロゲン酸は、コーヒー特有の褐色の色や苦味、香りの元だといわれています。
クロロゲン酸成分は、赤ワインのアントシアニン、お茶のカテキン、そしてココアのカカオポリフェノールなどと同じくポリフェノールの仲間です。その強い抗酸化作用によって、がんや糖尿病、動脈硬化の予防に有効だそうです。
コーヒーの飲用(1日3杯)は肝がん、子宮体がん、大腸がんや結腸がん、脳腫瘍のリスクを下げるとの報告があります。
こうした効果はコーヒーに含まれる炎症を和らげる成分やクロロゲン酸やカフェインによるインスリン抵抗性の改善作用によるものと考えられています。
からだをゆっくりと休め、心地よい芳醇が漂うレギュラーコーヒーを一杯召し上がって自分の時間を楽しんでみてはいかがですか。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
最近、クロロゲン酸という成分が注目されています。クロロゲン酸は、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸とキナ酸とのエステルです。桂皮酸はベンゼン環を持ち、熱で分解され芳香を放ちます。また、キナ酸は酸味と弱い苦味を持ち、加水分解されやすいことから、このクロロゲン酸は、コーヒー特有の褐色の色や苦味、香りの元だといわれています。
クロロゲン酸成分は、赤ワインのアントシアニン、お茶のカテキン、そしてココアのカカオポリフェノールなどと同じくポリフェノールの仲間です。その強い抗酸化作用によって、がんや糖尿病、動脈硬化の予防に有効だそうです。
コーヒーの飲用(1日3杯)は肝がん、子宮体がん、大腸がんや結腸がん、脳腫瘍のリスクを下げるとの報告があります。
こうした効果はコーヒーに含まれる炎症を和らげる成分やクロロゲン酸やカフェインによるインスリン抵抗性の改善作用によるものと考えられています。
からだをゆっくりと休め、心地よい芳醇が漂うレギュラーコーヒーを一杯召し上がって自分の時間を楽しんでみてはいかがですか。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康情報4.ルイボスティーによる病気の予防と健康効果
平成12(2000)年2月17日から21日まで聖マリアンナ医科大学の工藤吉郎教授と共にプライベートで鹿児島と宮崎に住むポルフィリン症患者(活性酸素が原因で起こる多彩な症状を呈する病気)の調査に行きました。患者の皆さんは高齢にもかかわらず大変お元気なので鹿児島在住の多様性ポルフィリン症(VP)の患者さんにその秘訣を伺うと、ルイボスティ-を紹介されました。患者さんは「これを飲むと皮膚症状や血圧などが改善され、さらに糖尿病にも効く」と言っていました。
そこで、ネットで調べるとルイボスとは南アフリカの喜望峰山脈地帯でのみ自生するマメ科の属する針葉樹で、学名はアスパラサス・リネアリスとありました。南十字星が輝くこの地の澄み切った空気と灼熱の太陽の下、化学肥料を一切使用せず、自然栽培され、海抜450m以上の高原地帯でのみ育生される非常に珍しいハーブティーであるということです。カルシウムやカリウム、マグネシウムなどからだにいいミネラルや活性酸素を除去するフラボノイドを大量に含んでいるため、南アフリカやヨーロッパでは古くから不老長寿のお茶として愛飲されているそうです。
ここで、興味を惹かれたのは、南アフリカという場所です。17世紀に一人のVP患者(活性酸素によって光線過敏症と腹部・神経症状を共に有する病型)のオランダ人宣教師が入国してから、VPが一気に広がり、現在では白人千人に対して3名という世界でも珍しく多い国です。筆者は、このルイボスティーはポルフィリン症をはじめ国民の多くが捜し求めていた活性酸素によって発症する多くの病気の予防薬または治療薬と思いました。ルイボスティーはカフェインがゼロで安く、苦味が少なくまろやかなので小さな子供も安心して飲めます。
加えて、玉ねぎの皮(茶色の部分)を乾燥させ、その一掴みをやかんに入れ、沸騰させ、5~10分後、皮を取り除き普通のお茶と同じように飲む。この時にルイボスティ-を1包入れると更に効果が出るそうです。鹿児島の患者さんはこれを長年飲み続けているそうですが、健康長寿です。なによりも、自分たちがからだに良いことをしていると自覚されていることがプラシーボ効果となってさらに良い方向に作用しています。これが元気の秘訣です。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
そこで、ネットで調べるとルイボスとは南アフリカの喜望峰山脈地帯でのみ自生するマメ科の属する針葉樹で、学名はアスパラサス・リネアリスとありました。南十字星が輝くこの地の澄み切った空気と灼熱の太陽の下、化学肥料を一切使用せず、自然栽培され、海抜450m以上の高原地帯でのみ育生される非常に珍しいハーブティーであるということです。カルシウムやカリウム、マグネシウムなどからだにいいミネラルや活性酸素を除去するフラボノイドを大量に含んでいるため、南アフリカやヨーロッパでは古くから不老長寿のお茶として愛飲されているそうです。
ここで、興味を惹かれたのは、南アフリカという場所です。17世紀に一人のVP患者(活性酸素によって光線過敏症と腹部・神経症状を共に有する病型)のオランダ人宣教師が入国してから、VPが一気に広がり、現在では白人千人に対して3名という世界でも珍しく多い国です。筆者は、このルイボスティーはポルフィリン症をはじめ国民の多くが捜し求めていた活性酸素によって発症する多くの病気の予防薬または治療薬と思いました。ルイボスティーはカフェインがゼロで安く、苦味が少なくまろやかなので小さな子供も安心して飲めます。
加えて、玉ねぎの皮(茶色の部分)を乾燥させ、その一掴みをやかんに入れ、沸騰させ、5~10分後、皮を取り除き普通のお茶と同じように飲む。この時にルイボスティ-を1包入れると更に効果が出るそうです。鹿児島の患者さんはこれを長年飲み続けているそうですが、健康長寿です。なによりも、自分たちがからだに良いことをしていると自覚されていることがプラシーボ効果となってさらに良い方向に作用しています。これが元気の秘訣です。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康情報3.日本茶(緑茶)による病気予防と健康効果
日本茶にはご存知のようにビタミンを豊富に含み、とくにビタミンCが多く含まれているため、風邪の予防や美肌効果があると言われてきました。また、カテキンが多く含まれているためがんや動脈硬化など、生活習慣病の予防に効果があると言われています。カテキンの名前の由来は「勝て‐菌に」と言われているように殺菌力に優れています。カテキンは日本茶の苦味成分であるポリフェノールの一種で、虫歯の予防やアレルギー抑制、花粉症などにも効果があると言われています。日本人が元気なのはお茶を飲む習慣があるからかもしれません。
一方、お茶にはタンニンが含まれていますので食事中に飲むと鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収が妨げられますので注意が必要です。また、コーヒーと同様カフェインが含まれていますので、寝る前に飲むと交感神経が興奮して眠れなくなることがあります。
お茶を飲む場合は疲れたときに一服、甘い和菓子と一緒に召し上がると効果抜群です。また、お茶の葉だけに含まれているテアニンは、こころとからだをリラックスさせ、ストレスを解消させる効果があります。お茶は飲むタイミングに気を付ければ百薬の長といえます。
しかし、この話は浸出液のことではなく、茶葉のことです。これだけたくさんの栄養素を含んでいるので、その摂り方に注意してください。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
一方、お茶にはタンニンが含まれていますので食事中に飲むと鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収が妨げられますので注意が必要です。また、コーヒーと同様カフェインが含まれていますので、寝る前に飲むと交感神経が興奮して眠れなくなることがあります。
お茶を飲む場合は疲れたときに一服、甘い和菓子と一緒に召し上がると効果抜群です。また、お茶の葉だけに含まれているテアニンは、こころとからだをリラックスさせ、ストレスを解消させる効果があります。お茶は飲むタイミングに気を付ければ百薬の長といえます。
しかし、この話は浸出液のことではなく、茶葉のことです。これだけたくさんの栄養素を含んでいるので、その摂り方に注意してください。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康情報2.お茶の元素分析によるミネラル量と質の違い
茶のミネラル(無機質)成分とその量は意外と知られていません。
筆者らは国立健康・栄養研究所(現国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)と千葉市環境保健研究所との共同研究で各種茶を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)にて24種の元素定量を行いました。その結果、総ミネラル量は鳥龍茶が2594.3ppmで最も高く、麦茶が961.2ppmと最も低値(鳥龍茶>ほうじ茶>緑茶ほまれ>煎茶>静岡煎茶>宇治茶顆粒>カテキングリーン>玄米茶>宇治煎茶>麦茶)でした。この内、全茶においてマグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)量が総ミネラル量の94.3(鳥龍茶)~98.1%(玄米茶)を占め、Mg量は60.4(鳥龍茶)~77%(玄米茶)、Mn量は1.9(麦茶)~40.4%(ほうじ茶)でした。
抗酸化元素および必須元素Co、Cr、Cu、Mg、Mo、Mn、Ni、Se、V、Znの総量は総ミネラル量とほぼ比例していました。鳥龍茶はCo, Cr、Cu、Mg、Se、Vが多く,麦茶はZnが多いことがわかりました。
汚染元素の定義はありませんが、Al、As、Cd、Pb、Snについて検討しました。茶腫の名前は避けますが、中にはアルミニウム(Al,175.6ppm)、砒素(As,0.425ppm)、鉛(Pb,3.608ppm)、錫(Sn,0.372ppm)と他の元素に比べて高値を示すものがありました。この数値はヒ素(宇治煎茶の22倍)、ビスマス(24倍)、鉛(20倍)、錫(16倍)に当たります。
以上、茶中の元素量は栽培される土壌等の環境によっても影響を受けますが、茶種によって元素バランスおよび量がかなり異なっていることが分かりました。また、砒素、カドミウム、鉛含有量の多いものが確認されました。茶腫については成分分析表示のない物も多く,ミネラルの成分表示の公開も含めた検討が必要です。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
筆者らは国立健康・栄養研究所(現国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)と千葉市環境保健研究所との共同研究で各種茶を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)にて24種の元素定量を行いました。その結果、総ミネラル量は鳥龍茶が2594.3ppmで最も高く、麦茶が961.2ppmと最も低値(鳥龍茶>ほうじ茶>緑茶ほまれ>煎茶>静岡煎茶>宇治茶顆粒>カテキングリーン>玄米茶>宇治煎茶>麦茶)でした。この内、全茶においてマグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)量が総ミネラル量の94.3(鳥龍茶)~98.1%(玄米茶)を占め、Mg量は60.4(鳥龍茶)~77%(玄米茶)、Mn量は1.9(麦茶)~40.4%(ほうじ茶)でした。
抗酸化元素および必須元素Co、Cr、Cu、Mg、Mo、Mn、Ni、Se、V、Znの総量は総ミネラル量とほぼ比例していました。鳥龍茶はCo, Cr、Cu、Mg、Se、Vが多く,麦茶はZnが多いことがわかりました。
汚染元素の定義はありませんが、Al、As、Cd、Pb、Snについて検討しました。茶腫の名前は避けますが、中にはアルミニウム(Al,175.6ppm)、砒素(As,0.425ppm)、鉛(Pb,3.608ppm)、錫(Sn,0.372ppm)と他の元素に比べて高値を示すものがありました。この数値はヒ素(宇治煎茶の22倍)、ビスマス(24倍)、鉛(20倍)、錫(16倍)に当たります。
以上、茶中の元素量は栽培される土壌等の環境によっても影響を受けますが、茶種によって元素バランスおよび量がかなり異なっていることが分かりました。また、砒素、カドミウム、鉛含有量の多いものが確認されました。茶腫については成分分析表示のない物も多く,ミネラルの成分表示の公開も含めた検討が必要です。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康情報1.健康食品は十分に情報を得てから摂取したい
コロナ禍における自粛生活は健康食品の利用を加速させました。
健康食品の使用目的は病気の予防ですが、病気の90%は活性酸素が原因と言われています(日本抗酸化学会)。こうした観点から、とくに活性酸素を除去する抗酸化成分を含む商品が、がん予防、動脈硬化予防、老化防止、免疫増強作用、美容などを宣伝文句に多数販売されています。
しかし、この抗酸化物質を過剰摂取するとプロオキシダント作用、すなわち、本来活性酸素を除去するはずの健康食品が、逆に体内で大量の活性酸素を発生する原因となる場合があります。また、食物や医薬品との相互作用も考えられ、安全性についての保証は何一つなく、注意が必要です。さらに期待される効果がまったくない健康食品も多々ありますので、よく情報を得てから購入・摂取して下さい。
栄養成分は基本的に食品から摂取することによって自然治癒力の強化など、さまざまな効果が発揮されます。 (近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
健康食品の使用目的は病気の予防ですが、病気の90%は活性酸素が原因と言われています(日本抗酸化学会)。こうした観点から、とくに活性酸素を除去する抗酸化成分を含む商品が、がん予防、動脈硬化予防、老化防止、免疫増強作用、美容などを宣伝文句に多数販売されています。
しかし、この抗酸化物質を過剰摂取するとプロオキシダント作用、すなわち、本来活性酸素を除去するはずの健康食品が、逆に体内で大量の活性酸素を発生する原因となる場合があります。また、食物や医薬品との相互作用も考えられ、安全性についての保証は何一つなく、注意が必要です。さらに期待される効果がまったくない健康食品も多々ありますので、よく情報を得てから購入・摂取して下さい。
栄養成分は基本的に食品から摂取することによって自然治癒力の強化など、さまざまな効果が発揮されます。 (近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
植物内のポリフェノール類を増量させる方法を発見した
現代人の免疫能は低下し、特に高齢者の免疫能は著しく低下している。その主な原因として、急速な食生活の変化、肥満、加齢、ストレスなど、各種酸化ストレスによる影響が示唆されている。この活性酸素が原因で起こる各種疾病の防御を目的としてフラボノイド類の摂取が注目されている。
フラボノイド類には約5-7,000種ともいわれる多数の物質が報告され、その構造は極めて似ているが、その抗酸化機能は各種異なる。これらフラボノイドの標準統一分析方法は未だになく、各々の抗酸化物質の抗酸化能についてもはっきりしていない。
そこで、約30種類の抗酸化物質についてその作用を検討すると同時に、世界に先駆けてUV検出器とHPLC分析による各種フラボノイドの一斉同時自動分析法の開発を行った。さらに、各種野菜・果物のフラボノイドを分画定量し、その含有量およびペンタキープ(ALA肥料、コスモ石油(株))投与による影響を検討した。
その結果、これまでに多くの抗酸化物質の中で、ルテオリンが細胞内・外での活性酸素消去能が最も高いことを証明し、さらに、ALA(δアミノレブリン酸;ヘム合成の出発物質)を投与し、栽培した植物中のフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ルテオリン(図)をはじめフラボノイド類が平均約10倍増量することを見出した。
PDF:ALA-ポリフェノール
フラボノイド類には約5-7,000種ともいわれる多数の物質が報告され、その構造は極めて似ているが、その抗酸化機能は各種異なる。これらフラボノイドの標準統一分析方法は未だになく、各々の抗酸化物質の抗酸化能についてもはっきりしていない。
そこで、約30種類の抗酸化物質についてその作用を検討すると同時に、世界に先駆けてUV検出器とHPLC分析による各種フラボノイドの一斉同時自動分析法の開発を行った。さらに、各種野菜・果物のフラボノイドを分画定量し、その含有量およびペンタキープ(ALA肥料、コスモ石油(株))投与による影響を検討した。
その結果、これまでに多くの抗酸化物質の中で、ルテオリンが細胞内・外での活性酸素消去能が最も高いことを証明し、さらに、ALA(δアミノレブリン酸;ヘム合成の出発物質)を投与し、栽培した植物中のフラボノイドおよびミネラル量に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ルテオリン(図)をはじめフラボノイド類が平均約10倍増量することを見出した。
PDF:ALA-ポリフェノール
運動とミネラル:激運動による血液中モリブデン量の減少
運動は動物にとって生命を維持する上で不可欠な仕事であるが、激しい運動(競技用スポーツ)の場合はそれなりの管理が必要となる。そこで、日常的に激しい運動を行っている男子大学駅伝選手および女子高校バスケットボール選手の体内ミネラルの影響について、とくに汗や代謝によって失われる微量元素の血液中の変動を検討した。
その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。
PDF:運動とミネラル
その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出した。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出した。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)したが、男子では有意差は見られなかった。
以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかった。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなった。
PDF:運動とミネラル