教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。これについては、「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場から、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
研究回想2.ポルフィリン研究会の創設と学術雑誌の創刊
1980年、研究者としてスタートした「生化学若い研究者の会」の夏の学校にて、分科会「ヘムの生合成とその代謝調節」のオーガナイザーを行い、その内容を学術報告書として纏めました。その時に、将来ポルフィリンに関する研究会並びに学術専門雑誌を創ることを夢見ましたが、約10年後、夢が叶えられました。この内容については2025年5月21日掲載の「研究回想」と一部重複しますが、ここでは創設の「思い」、規約や組織、患者会との関わりなどを加筆しました。(下記PDF参照)
1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。
2.ポルフィリン誌の創刊
研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)
PDF:ポルフィリン研究会の創設

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1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。
2.ポルフィリン誌の創刊
研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)
PDF:ポルフィリン研究会の創設

先端素材関連物質のポルフィリン代謝系への影響と評価
先端技術産業の進展は著しく、これら先端技術を支える素材には数多くの物質が検討され、過去にほとんど用いられてこなかった新しい物質が広く利用されるようになった。とくに、ホウ素族元素化合物はガリウム・ヒ素(GaAs)およびインジウム・ヒ素(InAs)などとして半導体や超伝導物質などとして広く有用されている。さらに希土類元素においてもその特異的な物理化学的特性からその単体および化合物はスマホはじめ先端技術産業における合金、エレクトロニクス、セラミックス、触媒、原子炉材料のほか、磁性や誘導性を利用した超電導物質の素材として、また、医用材料として各種先端機器や人工歯根材料に、さらに、農業用肥料としても広く利用されている。
これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていない。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残る。
そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験をおこなった。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認した。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われた。以下のPDF参照。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝
これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていない。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残る。
そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験をおこなった。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認した。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われた。以下のPDF参照。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝
ポルフィリン代謝を攪乱する多くの無機、有機化学物質
自然界にはV、Ni、Mg、Cu、Zn、Fe、Coなどと結合した金属ポルフィリンが知られている。V、Niポルフィリンはシアノバクテリアから生産されたと推測されている原油中に多く含まれている。
Mgポルフィリンは植物のクロロフィルとして、CoはビタミンB12として、また、Zn、Feはプロトポルフィリンと配位して生体内に存在する。Cuとポルフィリンとの結合も親和性が高く、このような無機元素との関りが深い。
一方で、Pb、Cr、Cd、Sn、As、Hg、Al、Tlなどが体内に侵入すると、それぞれ機序は異なるが、ポルフィリン代謝系酵素のほとんどがSH酵素であり、その働きを阻害してポルフィリンの代謝異常を引き起こす。したがって、ポルフィリン代謝関連物質の測定は先端産業および工業用に汎用される各種元素の環境および動植物への影響・評価の指標として有用である。
筆者らは、Pb、Cr、Cd、Sn、Mn、As、Hg、Al、Tl、Cu、Fe、Ga、In、Sm、Laやフリルフラマイド(AF2)、ダイオキシン、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、セドルミド、カルバマゼピン、フェンスクシミド、DDC、グリセオフルビン(GF)、フェノバルビタール、アリル基含有化合物、放射線、X線、アルコール、トリクロロエチレン、などのポルフィリン代謝系への影響をin vivo、in vitroで明らかにしてきた。酵素障害について下記のPDF参照。(近藤雅雄、2025年5月6日、掲載)
PDF:元素とポルフィリン代謝
Mgポルフィリンは植物のクロロフィルとして、CoはビタミンB12として、また、Zn、Feはプロトポルフィリンと配位して生体内に存在する。Cuとポルフィリンとの結合も親和性が高く、このような無機元素との関りが深い。
一方で、Pb、Cr、Cd、Sn、As、Hg、Al、Tlなどが体内に侵入すると、それぞれ機序は異なるが、ポルフィリン代謝系酵素のほとんどがSH酵素であり、その働きを阻害してポルフィリンの代謝異常を引き起こす。したがって、ポルフィリン代謝関連物質の測定は先端産業および工業用に汎用される各種元素の環境および動植物への影響・評価の指標として有用である。
筆者らは、Pb、Cr、Cd、Sn、Mn、As、Hg、Al、Tl、Cu、Fe、Ga、In、Sm、Laやフリルフラマイド(AF2)、ダイオキシン、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、セドルミド、カルバマゼピン、フェンスクシミド、DDC、グリセオフルビン(GF)、フェノバルビタール、アリル基含有化合物、放射線、X線、アルコール、トリクロロエチレン、などのポルフィリン代謝系への影響をin vivo、in vitroで明らかにしてきた。酵素障害について下記のPDF参照。(近藤雅雄、2025年5月6日、掲載)
PDF:元素とポルフィリン代謝
猫がアワビの胆を食べて光線過敏症を起こし耳が落ちた
「和漢三才図会」(正徳3年、1713年)に鳥貝の腸を食べると猫の耳が落ちるという奇妙な記述があります。また、アワビの肝臓を与えると激しいかゆみのため耳をひっかき取ってしまうという報告もありますが、猫ばかりでなくヒトにおいても、「東京医事新誌」(1899年)にアワビの内臓を食べると顔面の浮腫を伴う皮膚炎が生じることが報告されています。また、食品中のクロロフィル分解産物が健康障害を起こすことが知られています。
これらの理由は1977年になって、クロロフィルがクロロフィラ-ゼという酵素によって分解されたフェオホルバイドaによる光線過敏症であることが明らかにされました。アワビの中腸腺に遠紫外線を暗い部屋で照射すると強い美麗な赤色蛍光を発しますが、これはピロフェオホルバイドaによるものであり、フェオホルバイドaの数十倍の活性を有します。これらは野沢菜漬、高菜漬などの塩蔵漬け菜中にも認められます。紫外線で赤色蛍光を発するのはポルフィリンやクロロフィルとその分解物フェオホルバイドなど、意外と多く知られています。
また、フェオホルバイドは、緑茶やクロレラなどの緑色野菜を加工した食品に含まれる可能性があり、とくに蒸しの浅い玉露や抹茶ではフェオホルバイドの生成量が多いことが報告されています。これらの食品を摂取する際は、量に注意してください。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
これらの理由は1977年になって、クロロフィルがクロロフィラ-ゼという酵素によって分解されたフェオホルバイドaによる光線過敏症であることが明らかにされました。アワビの中腸腺に遠紫外線を暗い部屋で照射すると強い美麗な赤色蛍光を発しますが、これはピロフェオホルバイドaによるものであり、フェオホルバイドaの数十倍の活性を有します。これらは野沢菜漬、高菜漬などの塩蔵漬け菜中にも認められます。紫外線で赤色蛍光を発するのはポルフィリンやクロロフィルとその分解物フェオホルバイドなど、意外と多く知られています。
また、フェオホルバイドは、緑茶やクロレラなどの緑色野菜を加工した食品に含まれる可能性があり、とくに蒸しの浅い玉露や抹茶ではフェオホルバイドの生成量が多いことが報告されています。これらの食品を摂取する際は、量に注意してください。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
鶏の卵殻の色、卵の鮮度・栄養価・無精卵と有精卵の違い
卵殻は昔から白が定番でしたが、最近は赤、青、ピンクなどと購買意欲を掻き立てるきれいな色の卵が店頭に並び、値段も異なっているため消費者を惑わせています。しかし、鶏卵の中身はどれも同じで栄養価は変わりません。因みに、蛋白質12%、脂質10%、各種ミネラルやビタミンを含みますが炭水化物やビタミンCが非常に少ないのが特徴です。卵黄と卵白の比率は31:69ですがそれぞれに含まれる成分は異なります。うずらの卵は鶏卵よりも脂質、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。
卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。
有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)

卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。
有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)


卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する
卵を割らずに鮮度を評価する方法としては、以下のような方法が知られています。
1.水の中に入れると、新鮮な卵は水に沈んで横向きに倒れる。しかし、古くなった卵は、水に浮いたり、底で垂直に立ったりする。
2.10%の濃い食塩水に卵を沈めると、新鮮な卵はすぐに沈む。しかし、古い卵は、水に浮いてくるか、時間が経ってから沈む。
3.光に透かすと、新鮮な卵は、卵黄が小さく、白身が濃厚で白く濁っているように見える。鮮度が落ちた卵は、卵黄が大きく、白身が薄くて透明感がある。
などが知られていますが、卵の殻にポルフィリンが付着していることは意外と知られていません。
卵の殻に紫外線を照射するだけで卵の鮮度が分かる
卵の殻には、消費者の購買意欲をそそるような色付き卵(褐色、ピンク色、青色など)が市販され、私たちの目を楽しませてくれます。これら色付き卵や白い卵の殻に暗室で紫外線(400nm付近の遠紫外線)を照射するととても美麗な赤色蛍光を発する(下の写真参照)。この蛍光は色付きに限らずすべての卵類は新鮮な程強く、逆に古いほど弱いことがわかりました。つまり、赤い蛍光物質はプロトポルフィリンと言ってヘム生合成の中間体です。
鶏などの鳥類では、血漿中のプロトポルフィリンが卵管を介して卵殻(カルシウムと結合)に移動(排泄)するのではないかと推測されます。
ポルフィリンは巨大なπ電子を持っていて、長い間太陽や蛍光灯などに曝されたり、空気で酸化されるとエネルギーを放出し、壊れていきます。したがって、鮮度が良いほど、紫外線を照射により赤色蛍光を発する。逆に古い卵は、赤色蛍光が弱い。
白い卵の白色レグホンや赤玉鶏、名古屋コーチン(名古屋種)、烏骨鶏、アロウカナ、ウズラなどの卵類を調べましたが、新鮮な程卵が赤く美麗な輝きを放しました。その原因を分析したところすべてプロトポルフィリンでした。鳥類図鑑ではアロウカナの青い色素の原因はビリベルジンと書いてあったのを記憶していますがそれは間違いです。因みに、ポルフィリンに銅がキレートすると青色になります。
卵のご提供を賜りました愛知県農業総合試験所に感謝します。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)
1.水の中に入れると、新鮮な卵は水に沈んで横向きに倒れる。しかし、古くなった卵は、水に浮いたり、底で垂直に立ったりする。
2.10%の濃い食塩水に卵を沈めると、新鮮な卵はすぐに沈む。しかし、古い卵は、水に浮いてくるか、時間が経ってから沈む。
3.光に透かすと、新鮮な卵は、卵黄が小さく、白身が濃厚で白く濁っているように見える。鮮度が落ちた卵は、卵黄が大きく、白身が薄くて透明感がある。
などが知られていますが、卵の殻にポルフィリンが付着していることは意外と知られていません。
卵の殻に紫外線を照射するだけで卵の鮮度が分かる
卵の殻には、消費者の購買意欲をそそるような色付き卵(褐色、ピンク色、青色など)が市販され、私たちの目を楽しませてくれます。これら色付き卵や白い卵の殻に暗室で紫外線(400nm付近の遠紫外線)を照射するととても美麗な赤色蛍光を発する(下の写真参照)。この蛍光は色付きに限らずすべての卵類は新鮮な程強く、逆に古いほど弱いことがわかりました。つまり、赤い蛍光物質はプロトポルフィリンと言ってヘム生合成の中間体です。
鶏などの鳥類では、血漿中のプロトポルフィリンが卵管を介して卵殻(カルシウムと結合)に移動(排泄)するのではないかと推測されます。
ポルフィリンは巨大なπ電子を持っていて、長い間太陽や蛍光灯などに曝されたり、空気で酸化されるとエネルギーを放出し、壊れていきます。したがって、鮮度が良いほど、紫外線を照射により赤色蛍光を発する。逆に古い卵は、赤色蛍光が弱い。
白い卵の白色レグホンや赤玉鶏、名古屋コーチン(名古屋種)、烏骨鶏、アロウカナ、ウズラなどの卵類を調べましたが、新鮮な程卵が赤く美麗な輝きを放しました。その原因を分析したところすべてプロトポルフィリンでした。鳥類図鑑ではアロウカナの青い色素の原因はビリベルジンと書いてあったのを記憶していますがそれは間違いです。因みに、ポルフィリンに銅がキレートすると青色になります。
卵のご提供を賜りました愛知県農業総合試験所に感謝します。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)

血液の稀少がん「原発性マクログロブリン血症」の概要
難病の研究者として、血液のがんである超稀少疾患「原発性マクログロブリン血症」の発症率が100万人に2~3名という殆ど知られていない疾患であるが、診断されずに放置されている症例あるいは死亡例、診断されても医師が報告しない症例が多いのではないかと思われます。そこで、本症の診断、病態、治療、予後、Q&Aなどについて、総論として纏めました。
血液学では、骨髄で生産されるB細胞(リンパ球)は形質細胞に分化し、ウイルスなどの異物に対する免疫グロブリン(抗体)を生産します。ところが、原発性マクログロブリン血症ではB細胞から形質細胞へ分化する途中のリンパ形質細胞ががん化(遺伝子変異)し、体内にて異物(抗原)を攻撃する免疫蛋白(IgGやIgAなどの抗体)が出来ず、攻撃能力のないIgM型M蛋白が異常に増加する疾患です。したがって、免疫力が低いため、感染予防には十分な配慮が必要です。
本原稿を執筆するに至った経緯は、患者数は意外と多いと思われ、早期発見を促したいことと、発見された場合に医師は情報公開を必ずするよう求めるのが目的である。
1.100万人に数人という超稀少疾患で、5年生存率が36~50%で根治は望めないことから、早く治療法が見つかるように様々なデータを記録として残さなければならない。
2.70歳以上の高齢者に比較的多く、合併症が死因となることが多い。しかし、早期診断によって合併症を防ぐことができる。
3.超稀少疾患のためか本疾患についての成書が見当たらない。そこで、筆者は患者向けの一般書を出版(下写真)したが、その一部を下記のPDFにて紹介した。
4.超稀少疾患は情報が少なく、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。医師は患者データを広く医学会や論文として公表していく義務がある。公表していない症例数も意外と多いと思われる。
5.病院の選択は重要で、がんは治療による副作用が多いため、多分野の専門医がいる総合病院に罹ることが望ましい。また、がん患者に対するチーム医療及びがん相談センターの取り組みが充実している病院を選ぶ。
6.原発性とは原因が不明ということである。しかし原因が不明である病気は存在しない。その原因を明らかにすべき研究の推進を期待する。特に、遺伝子治療薬の進歩が著しく、パンデミックで有名な新型コロナウイルスmRNAワクチン接種も本症の発症の誘因となることは否定できない。このワクチンについて、多くの事故、副作用、死者がでたが、政府・医療行政・マスコミは遺伝子医薬品(バイオ医薬品)のリスク評価・総括がないまま感染症法5類に移行した。
以上、医学研究の進展を期待して。内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月10日掲載)。
PDF:原発性マクログロブリン症(WM)
血液学では、骨髄で生産されるB細胞(リンパ球)は形質細胞に分化し、ウイルスなどの異物に対する免疫グロブリン(抗体)を生産します。ところが、原発性マクログロブリン血症ではB細胞から形質細胞へ分化する途中のリンパ形質細胞ががん化(遺伝子変異)し、体内にて異物(抗原)を攻撃する免疫蛋白(IgGやIgAなどの抗体)が出来ず、攻撃能力のないIgM型M蛋白が異常に増加する疾患です。したがって、免疫力が低いため、感染予防には十分な配慮が必要です。
本原稿を執筆するに至った経緯は、患者数は意外と多いと思われ、早期発見を促したいことと、発見された場合に医師は情報公開を必ずするよう求めるのが目的である。
1.100万人に数人という超稀少疾患で、5年生存率が36~50%で根治は望めないことから、早く治療法が見つかるように様々なデータを記録として残さなければならない。
2.70歳以上の高齢者に比較的多く、合併症が死因となることが多い。しかし、早期診断によって合併症を防ぐことができる。
3.超稀少疾患のためか本疾患についての成書が見当たらない。そこで、筆者は患者向けの一般書を出版(下写真)したが、その一部を下記のPDFにて紹介した。
4.超稀少疾患は情報が少なく、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。医師は患者データを広く医学会や論文として公表していく義務がある。公表していない症例数も意外と多いと思われる。
5.病院の選択は重要で、がんは治療による副作用が多いため、多分野の専門医がいる総合病院に罹ることが望ましい。また、がん患者に対するチーム医療及びがん相談センターの取り組みが充実している病院を選ぶ。
6.原発性とは原因が不明ということである。しかし原因が不明である病気は存在しない。その原因を明らかにすべき研究の推進を期待する。特に、遺伝子治療薬の進歩が著しく、パンデミックで有名な新型コロナウイルスmRNAワクチン接種も本症の発症の誘因となることは否定できない。このワクチンについて、多くの事故、副作用、死者がでたが、政府・医療行政・マスコミは遺伝子医薬品(バイオ医薬品)のリスク評価・総括がないまま感染症法5類に移行した。
以上、医学研究の進展を期待して。内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月10日掲載)。
PDF:原発性マクログロブリン症(WM)

ヘムは生命の根源物質であり生体恒常性の根幹に関与する
私たちの身体には270種類の組織があり、37兆2千億個の細胞数(Eva Bianconi et al, Annals of Human Biology, 2013)がお互い仲良く連絡し合って、生命・個体を維持しています。これら細胞の生命活動の中心となるのがヘムで、造血、代謝、解毒、神経、内分泌、免疫、抗酸化、抗加齢、運動などのさまざまな生体機能の根幹反応に関与する赤い色素物質です。例えば、血液中のヘモグロビンは“ヘム”とグロビンが結合したヘム蛋白として酸素を運搬する。血色素とも言います。これらヘムは各組織臓器でさまざまな蛋白質と結合し、ヘム蛋白質として生体の恒常性(ホメオスタシス)機能に重要な働きをしています。またヘムはストレス蛋白質であるヘム分解酵素によって分解されビリルビンに変換されますが、このビリルビンが各種ストレスによって発生した細胞内の活性酸素を分解します。図に関しては以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月1日掲載)
PDF:ヘムと生体恒常性維持機能
PDF:ヘムと生体恒常性維持機能
紫外線(UV)照射によるポルフィリンからの活性酸素の発生
標準ポルフィリンに紫外線を照射し、発生する活性酸素ラジカルの種類およびその量をESR(電子スピン共鳴装置)にて検討しました。その結果、酸性条件での発生は少なく、中性条件下での多くの発生を確認しました。すなわち、ヒドロキシルラジカル(・OH)はウロポルフィリン (UP)ⅠおよびⅢ型が、一重項酸素(1O2)はコプロポルフィリン(CP)ⅠおよびⅢ型に多く、スーパーオキシドラジカル(O2-)はプロトポルフィリン(PP), CPⅠ、UPⅠからの発生が認められました。
(出典:市川勇、近藤雅雄:ポルフィリン2(2):93-102,1993.フリーラジカルとポルフィリン代謝に関連する皮膚の老化機構解明に関する基礎的研究.コスメトロジー研究報告Vol4/‛96:58-65,1996.)


(近藤雅雄、2025年3月30日掲載)
(出典:市川勇、近藤雅雄:ポルフィリン2(2):93-102,1993.フリーラジカルとポルフィリン代謝に関連する皮膚の老化機構解明に関する基礎的研究.コスメトロジー研究報告Vol4/‛96:58-65,1996.)


(近藤雅雄、2025年3月30日掲載)
ヘムを中心とした細胞・組織内活性酸素除去システムとは
意外と知られていないのが生体の「三原色」です。例えば怪我などで皮下内出血したときに、まず「赤色のアザ」ができますが。時間が経つと「青色のアザ」となり、最後に「黄色」となって消えていきます。この色の変化に興味を持ちました。この3つの変化はストレスによっても組織で起こることが分かりました。この黄色い色素はビリルビンといって細胞を各種ストレスから守っていたのです。
今日、私たちの普段の生活から多様なストレスを受け、細胞内に活性酸素が発生します。この活性酸素はヘム分解酵素遺伝子を発現し、ヘム分解酵素(ヘムオキシゲナーゼ,HO-1)を誘導し、赤い色素“ヘム”を分解して青い色素“ビリベルジン”を生産します。このビリベルジンは還元酵素によって黄色い色素“ビリルビン”に変わります。実は、このビリルビンが細胞内の活性酸素を除去し、細胞を活性酸素から守っていたのです。これまで、ビリルビンは黄疸の原因物質として悪者扱いでしたが、実は大変重要な働きをしていたのです。その他、ヘム蛋白であるカタラーゼやペルオキシダーゼも活性酸素を分解する酵素として有名です。この壮大な活性酸素除去システムが、ヘムを中心として行なわれていたのです。
以下のPDFを参照ください。(近藤雅雄、2025年3月12日掲載)
PDF:生体色素と三原色
今日、私たちの普段の生活から多様なストレスを受け、細胞内に活性酸素が発生します。この活性酸素はヘム分解酵素遺伝子を発現し、ヘム分解酵素(ヘムオキシゲナーゼ,HO-1)を誘導し、赤い色素“ヘム”を分解して青い色素“ビリベルジン”を生産します。このビリベルジンは還元酵素によって黄色い色素“ビリルビン”に変わります。実は、このビリルビンが細胞内の活性酸素を除去し、細胞を活性酸素から守っていたのです。これまで、ビリルビンは黄疸の原因物質として悪者扱いでしたが、実は大変重要な働きをしていたのです。その他、ヘム蛋白であるカタラーゼやペルオキシダーゼも活性酸素を分解する酵素として有名です。この壮大な活性酸素除去システムが、ヘムを中心として行なわれていたのです。
以下のPDFを参照ください。(近藤雅雄、2025年3月12日掲載)
PDF:生体色素と三原色
生命の根元物質,「ポルフィリン・ヘム」の生化学と諸情報
3.11、東日本大震災から14年。被災された方々並びに関係者にこころよりお見舞い申し上げます。決して風化することのないよう、次世代に伝えてまいります。1日でも早い復興とご健勝を祈っています。
原油中のポルフィリン類は、生命の起源と関係していると推測されています。その構造は実に頑丈で巨大、しっかりしています。これが細胞内の酵素反応で簡単に生産され、酸素の運搬と貯蔵、酸化還元反応、エネルギーの生産、活性酸素の分解、薬物代謝など、生命維持及び働きの根幹に関わる働きをしています。今回は、このポルフィリンの生化学についての情報をまとめました。
ポルフィリンは4個のピロールが4個のメチン橋(-CH=)で結合した環状化合物の総称です。26個のπ電子共役系におけるπ電子の遷移に基づいて、紫外~可視波長領域に強い吸収スペクトルを持つ赤色物質で、波長400m付近(Soret帯、吸収極大)の遠紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発します。
ポルフィリン類は長い進化の過程を経て、広く動植物界に分布しています。その大部分は遊離の形ではなく、Fe(ヘム)、Mg(クロロフィル)、Co(ビタミンB12)などのように特定の金属をキレートし、さらに特定の蛋白質と配位的に結合した形で、酸素の着脱や光合成でのエネルギー生産、変換という生命現象の根幹反応に関与しています。
遊離のポルフィリンおよびその前駆体はこれらが生合成されるときの中間体であり、体内での存在量は極めて微量です。しかし、ポルフィリン症や鉛中毒などのポルフィリン代謝に関わる酵素障害によって体内に著しく増量・蓄積します。(近藤雅雄、2025年3月11日掲載)
ここでは、「ポルフィリン・ヘムの生化学」として
1.ポルフィリンの化学構造と命名法
2.ヘムの化学
3.ポルフィリンの美麗な赤色蛍光
4.ポルフィリンの一般的性質
5.ヘム生合成中間体
6.ポルフィリンの前駆体
について以下のPDFに記述しました。PDF:ポルフィリン・ヘムの生化学
原油中のポルフィリン類は、生命の起源と関係していると推測されています。その構造は実に頑丈で巨大、しっかりしています。これが細胞内の酵素反応で簡単に生産され、酸素の運搬と貯蔵、酸化還元反応、エネルギーの生産、活性酸素の分解、薬物代謝など、生命維持及び働きの根幹に関わる働きをしています。今回は、このポルフィリンの生化学についての情報をまとめました。
ポルフィリンは4個のピロールが4個のメチン橋(-CH=)で結合した環状化合物の総称です。26個のπ電子共役系におけるπ電子の遷移に基づいて、紫外~可視波長領域に強い吸収スペクトルを持つ赤色物質で、波長400m付近(Soret帯、吸収極大)の遠紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発します。
ポルフィリン類は長い進化の過程を経て、広く動植物界に分布しています。その大部分は遊離の形ではなく、Fe(ヘム)、Mg(クロロフィル)、Co(ビタミンB12)などのように特定の金属をキレートし、さらに特定の蛋白質と配位的に結合した形で、酸素の着脱や光合成でのエネルギー生産、変換という生命現象の根幹反応に関与しています。
遊離のポルフィリンおよびその前駆体はこれらが生合成されるときの中間体であり、体内での存在量は極めて微量です。しかし、ポルフィリン症や鉛中毒などのポルフィリン代謝に関わる酵素障害によって体内に著しく増量・蓄積します。(近藤雅雄、2025年3月11日掲載)
ここでは、「ポルフィリン・ヘムの生化学」として
1.ポルフィリンの化学構造と命名法
2.ヘムの化学
3.ポルフィリンの美麗な赤色蛍光
4.ポルフィリンの一般的性質
5.ヘム生合成中間体
6.ポルフィリンの前駆体
について以下のPDFに記述しました。PDF:ポルフィリン・ヘムの生化学
人類の健康に貢献した元「国立公衆衛生院」の復活を願う
元国立公衆衛生院は米国ロックフェラー財団の全額寄付によって建立され,昭和13(1938)年3月29日勅令第147号公衆衛生院管制の公布をもって厚生省の創立(1938年1月11日)に遅れること2か月余りの後に同省の直轄機関として設立されました。設立には野口英世が深く関与した記録があります。
本院はわが国の公衆衛生の向上を期するため,国および地方公共団体などにおける衛生技術者の資質の向上を図るための養成訓練と公衆衛生に関する学理の応用の調査研究を司る教育・研究機関として設置されました。そして、わが国の保健・医療,福祉,環境の分野で多大な貢献をしてきました。
平成7(1995)年、厚生省は「日本は近代国家として,公衆衛生の時代は終わった」とし,公衆衛生という言葉が省内から消えました。平成14(2002)年4月,旧厚生省は厚生労働省となり,試験研究機関の再編成によって64年という短い歴史を閉じました。
今、世界は、新型感染症の到来、ロシアによる侵略戦争、地球温暖化など、安心安全な平和社会からどんどん遠ざかっているように見えます。このような時代にこそ、人類の健康に貢献する国立の公衆衛生院が必要とされているのではないでしょうか。先進国では国立の公衆衛生院は国家の中心的役割を果たしています。しかし、日本では残念ながら2002年に無くしてしまいました。
日本の未来のために、元国立公衆衛生院の復活を期待したい。
(写真は元国立公衆衛生院、平成15(2003)年1月29日,筆者撮影)(2025年3月10日掲載)
PDF:元国立公衆衛生院
本院はわが国の公衆衛生の向上を期するため,国および地方公共団体などにおける衛生技術者の資質の向上を図るための養成訓練と公衆衛生に関する学理の応用の調査研究を司る教育・研究機関として設置されました。そして、わが国の保健・医療,福祉,環境の分野で多大な貢献をしてきました。
平成7(1995)年、厚生省は「日本は近代国家として,公衆衛生の時代は終わった」とし,公衆衛生という言葉が省内から消えました。平成14(2002)年4月,旧厚生省は厚生労働省となり,試験研究機関の再編成によって64年という短い歴史を閉じました。
今、世界は、新型感染症の到来、ロシアによる侵略戦争、地球温暖化など、安心安全な平和社会からどんどん遠ざかっているように見えます。このような時代にこそ、人類の健康に貢献する国立の公衆衛生院が必要とされているのではないでしょうか。先進国では国立の公衆衛生院は国家の中心的役割を果たしています。しかし、日本では残念ながら2002年に無くしてしまいました。
日本の未来のために、元国立公衆衛生院の復活を期待したい。
(写真は元国立公衆衛生院、平成15(2003)年1月29日,筆者撮影)(2025年3月10日掲載)
PDF:元国立公衆衛生院

健康と病気シリーズ8.病気理解のための「血液生理学」
「血液の病気」に限らず、病気を知るには、血液の生理作用を理解することが不可欠です。患者が治療効果を理解し、自らの治癒力を向上させるためにも重要です。そこで、拙著「生理学講義」(下記写真)から抜粋しました。
生体の内部環境は血液によって常に恒常性が保たれています。血液は血管内を循環する流動性の組織で、体重の7~8%(男性で体重の8%、1/13、女性は体重の7%,1/14)存在し、呼吸、循環、調節、栄養、排泄、生体防御など生命維持に不可欠な役割を果たしています。細胞成分は主に赤血球が存在し、その容積は血液全体の約45%を占めます。血液が赤いのはヘモグロビンの赤い色素成分で酸素と結合して全身体細胞に供給する「ヘム」を含むからです。ヘモグロビンのことを血色素とも言います。
血液は細胞成分と液状成分から成ります。赤血球は酸素の運搬を行い、生命のエネルギー物質の生産に不可欠な細胞で、骨髄で生産されます。白血球は生体防御機能として自然(受動)免疫と獲得(能動)免疫に関与します。血小板は血管が破れた際に直ちに止血し、血液の凝固、血管の修復に重要です。
さらに、血液中液状成分の血漿の水分量は91%、残り1%は、蛋白質7%、糖質0.1%、脂質1%、ミネラル0.9%、その他生命活動に不可欠な成分を含みます。栄養成分は各種細胞の働きに取り込まれ、不要な水溶性成分は腎臓でろ過され尿となります。
以下のPDFに「血液の生理学」を示したので参照して下さい。(近藤雅雄、2025年3月9日) PDF:血液の生理学
生体の内部環境は血液によって常に恒常性が保たれています。血液は血管内を循環する流動性の組織で、体重の7~8%(男性で体重の8%、1/13、女性は体重の7%,1/14)存在し、呼吸、循環、調節、栄養、排泄、生体防御など生命維持に不可欠な役割を果たしています。細胞成分は主に赤血球が存在し、その容積は血液全体の約45%を占めます。血液が赤いのはヘモグロビンの赤い色素成分で酸素と結合して全身体細胞に供給する「ヘム」を含むからです。ヘモグロビンのことを血色素とも言います。
血液は細胞成分と液状成分から成ります。赤血球は酸素の運搬を行い、生命のエネルギー物質の生産に不可欠な細胞で、骨髄で生産されます。白血球は生体防御機能として自然(受動)免疫と獲得(能動)免疫に関与します。血小板は血管が破れた際に直ちに止血し、血液の凝固、血管の修復に重要です。
さらに、血液中液状成分の血漿の水分量は91%、残り1%は、蛋白質7%、糖質0.1%、脂質1%、ミネラル0.9%、その他生命活動に不可欠な成分を含みます。栄養成分は各種細胞の働きに取り込まれ、不要な水溶性成分は腎臓でろ過され尿となります。
以下のPDFに「血液の生理学」を示したので参照して下さい。(近藤雅雄、2025年3月9日) PDF:血液の生理学

難病患者と大学病院医師:超稀少疾患研究の推進を望む
難治性疾患の患者を有名私立大学病院に紹介し、入院した時、5~6人の医師たちにぜひ症例報告をして欲しい旨をお願いしたところ、一人の医師が「本症についてはすでに多くの報告があり、本症を発表してもその価値がない」と述べ、笑われたことを覚えている。多くの医師が同じ考えであろう。医師からすれば、日常の業務が忙しく、これまでに報告がない新しい発見などがあれば率先して公表するであろう。よほど新しい内容がなければ発表しないものだ。
しかし、本症について調べたが、100万人に数人の発症といった極めて症例数が少ないことから、情報も少なく、十分な臨床統計もないことがわかった。したがって、疫学も勿論ない。本症のような超稀少疾患については症例が見つかれば、これまでに報告されていても、必ず論文として、誰でも検索して見られるように公表することを義務付ける必要があるのではないか。また、医療関係者は患者がいればぜひ国内外の医学会や研究会で報告し、症例報告として記録を残してほしいと願う。患者によって症状や治療の効果も異なるはず。その事実が大切なのである。
医師や患者も情報を知りたがっている。大学病院の医師は「報告する価値がない」と言っていたが、それが医学の発展を妨げる原因ともなる。情報は多い方が良いのに決まっている。特に超稀少がんなどの難治性疾患においては患者数が少ないことが原因で治療研究が進まないことが深刻化しているのではないか。また、公表しないことは稀少疾患に対する治療上の不都合な真実も疑われかねない。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
しかし、本症について調べたが、100万人に数人の発症といった極めて症例数が少ないことから、情報も少なく、十分な臨床統計もないことがわかった。したがって、疫学も勿論ない。本症のような超稀少疾患については症例が見つかれば、これまでに報告されていても、必ず論文として、誰でも検索して見られるように公表することを義務付ける必要があるのではないか。また、医療関係者は患者がいればぜひ国内外の医学会や研究会で報告し、症例報告として記録を残してほしいと願う。患者によって症状や治療の効果も異なるはず。その事実が大切なのである。
医師や患者も情報を知りたがっている。大学病院の医師は「報告する価値がない」と言っていたが、それが医学の発展を妨げる原因ともなる。情報は多い方が良いのに決まっている。特に超稀少がんなどの難治性疾患においては患者数が少ないことが原因で治療研究が進まないことが深刻化しているのではないか。また、公表しないことは稀少疾患に対する治療上の不都合な真実も疑われかねない。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)
健康情報10.ニンジンに含まれるβ-カロテンの抗がん作用
ニンジンには抗酸化物質であるβ-カロテンが大量含まれ、がんの予防に有名です。β-カロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、ビタミンAの安全な供給源です。
ビタミンAを過剰に摂取すると障害がでることが知られていますが、β-カロテンは多少過剰に摂取しても身体に蓄えられ、必要に応じてビタミンAに変換されるため障害が起きません。しかし、β-カロテンだけを健康食品から大量摂取すると逆にがんの発症リスクがあることが報告されています。つまり、ニンジンとして摂取すれば、相乗・相殺効果が現れ、抗がん作用も高まります。とくに高齢者ではニンジンとキャベツや赤ピーマン、リンゴと一緒に摂取すると免疫増強、抗酸化作用や抗がん作用、老化防止の効果がさらに高まることでしょう。(近藤雅雄、2025年3月7日)
ビタミンAを過剰に摂取すると障害がでることが知られていますが、β-カロテンは多少過剰に摂取しても身体に蓄えられ、必要に応じてビタミンAに変換されるため障害が起きません。しかし、β-カロテンだけを健康食品から大量摂取すると逆にがんの発症リスクがあることが報告されています。つまり、ニンジンとして摂取すれば、相乗・相殺効果が現れ、抗がん作用も高まります。とくに高齢者ではニンジンとキャベツや赤ピーマン、リンゴと一緒に摂取すると免疫増強、抗酸化作用や抗がん作用、老化防止の効果がさらに高まることでしょう。(近藤雅雄、2025年3月7日)
健康情報9.「りんご」は病気の予防と健康増進に不可欠
りんごは不思議な果物です。りんごに含まれているビタミンCは100g中に4mgで、食品の中ではさほど多いわけではありません。しかし、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが増えると考えられます。国立がん研究センターが行った5年間の調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの血液中ビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。したがって、リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加したことを、サプリメントに直すと1日約500mgのビタミンCを摂取したことと同等になります。このことは、サプリメントよりも食品から摂取する方が効率的であるといえます。
ビタミンCは、抗酸化力が強く、さまざまな生活習慣病の予防に有効です。脳卒中、脳梗塞、がん、壊血病などの予防、ストレス解消、色素沈着の防止、白内障予防などに有効であると報告されています。さらに、りんごには良質な食物繊維が含まれ、血液中の中性脂肪を減らすのに効果的です。このりんごの水溶性食物繊維(リンゴペクチン)を摂取するとアレルギーの引き金と考えられているヒスタミンを下げる効果が明らかになっています。また、りんごは肌荒れや「にきび」の原因となる便秘を解消する力が強く、かつ、アラビノオリゴ糖はビフィズス菌を特異的に増殖させることも見出されています。さらに、カリウムなどのミネラルが豊富であり、血圧上昇を抑えます。また、ポリフェノールもたくさん含まれています。りんごが赤くなると医者が儲からなくなるといわれますが、まさに、りんごはさまざまな病気の予防、健康増進に不可欠な果物です。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
ビタミンCは、抗酸化力が強く、さまざまな生活習慣病の予防に有効です。脳卒中、脳梗塞、がん、壊血病などの予防、ストレス解消、色素沈着の防止、白内障予防などに有効であると報告されています。さらに、りんごには良質な食物繊維が含まれ、血液中の中性脂肪を減らすのに効果的です。このりんごの水溶性食物繊維(リンゴペクチン)を摂取するとアレルギーの引き金と考えられているヒスタミンを下げる効果が明らかになっています。また、りんごは肌荒れや「にきび」の原因となる便秘を解消する力が強く、かつ、アラビノオリゴ糖はビフィズス菌を特異的に増殖させることも見出されています。さらに、カリウムなどのミネラルが豊富であり、血圧上昇を抑えます。また、ポリフェノールもたくさん含まれています。りんごが赤くなると医者が儲からなくなるといわれますが、まさに、りんごはさまざまな病気の予防、健康増進に不可欠な果物です。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
健康情報8.ピーマンのヒト介入試験から分かったこと
ピーマンの栄養効果を調べるために、ピーマンを高齢者に2週間お昼の弁当に加えて食べていただくという介入試験を元国立健康・栄養研究所、現国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所にて行いました。その結果、免疫機能、抗酸化機能、脂質異常改善作用などがあることがわかりました。これらの作用は主にピーマンに含まれているポリフェノールの一種、ルテオリンという物質によることがわかりました。ルテオリンはさらに抗アレルギー機能、抗癌作用があることが最近の研究によってわかっております。抗がん作用については、ルテオリンのがん細胞を死滅するメカニズムも解明されています。食品としてピーマンを摂取する場合は熱に強いビタミンCや食物線維も豊富ですので大変からだにいいようです。ピーマンは子どもの嫌いな食品の第一位を長年維持していますが、実はからだにはとってもいいことがわかりました。
ピーマンはさまざまな種類、仲間がありますが、その中でも、赤ピーマンには抗酸化物質であるルテオリン、ケルセチン、ルチンなどと言った、おなじみのポリフェノールを大量含んでいることを私たちは見出しました。ルテオリンには、さらに抗糖尿病作用、炎症抑制作用、抗加齢作用といった多くの作用が科学的に証明されています。また、ビタミンCは野菜果物中で一番多く含まれ、レモンの3.6倍含まれています。さらにビタミンEはバナナの9倍など抗酸化ビタミンの宝庫とも言えます。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
ピーマンはさまざまな種類、仲間がありますが、その中でも、赤ピーマンには抗酸化物質であるルテオリン、ケルセチン、ルチンなどと言った、おなじみのポリフェノールを大量含んでいることを私たちは見出しました。ルテオリンには、さらに抗糖尿病作用、炎症抑制作用、抗加齢作用といった多くの作用が科学的に証明されています。また、ビタミンCは野菜果物中で一番多く含まれ、レモンの3.6倍含まれています。さらにビタミンEはバナナの9倍など抗酸化ビタミンの宝庫とも言えます。(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
健康情報7.野菜・果物同時摂取で病気の予防と健康増進
病気の90%以上は酸化ストレスによって発症すると言われています(日本抗酸化学会)。そこで、野菜と果物の同時摂取による病気の予防と健康増進を目指して調査研究しました。
これまでの栄養研究は単独の食品や栄養素に関するものばかりでした。しかし、実際に私たちが食事をするとき、私たちの体内では複数の栄養素によるさまざまな相互作用が生じ、単独栄養素の作用が強められたり打ち消されたりしていると考えられます。すなわち、単独の栄養成分(因みに健康食品が相当します)を摂取するより、食品そのものを摂取することによって相乗効果、相殺効果が生まれ、体に不足している必要な成分が利用されていきます。
さて、現代人の食生活調査を行った結果、野菜と果物摂取量が全年齢で不足していることがわかりました。厚生労働省、文部科学省、農林水産省は野菜1日350g以上、果物は200g以上摂取することが望ましいと提言しています。そこで、多くのメーカーが野菜ジュースなどの開発を行い市販していますが、そのほとんどが大量の糖質(蔗糖)を含み、肥満や糖尿病などの生活習慣病を加速させる不健康飲料ばかりです。
しかし、野菜の中で抗酸化成分が優れている「赤ピーマン」と「にんじん」、そして、果物ではさまざまな病気の予防・健康増進に効果がある「りんご」を日常的に摂取している人は多くが健康であることがわかりました。
さらに、これら野菜および果物の同時摂取は相殺効果、相加・相乗効果も加わって栄養状態が改善され、からだに不足している抗酸化力、免疫力が一層高まり、日常不足しがちな食物繊維、カルシウム、カリウムが増え栄養状態が改善されます。
野菜や果物の同時摂取は量よりも質も大切です。
参考文献
1.近藤雅雄:第6回健康食品フォーラム報告書「食育と健康食品」p.26-41, 2005
2.近藤雅雄ほか:高齢者の食生活と免疫強化、日本抗加齢医学会雑誌、Vol.2No.3, 2006
3.近藤雅雄:食品成分による高齢者の免疫機能調節、食品技術総合辞典、朝倉書店、p.94-99, 2008
4.近藤雅雄ほか:高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析、食品の安全性および機能性に関する総合研究、平成14-17年度、農林水産省農林水産技術会議資料
(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
PDF:ベジフルP
これまでの栄養研究は単独の食品や栄養素に関するものばかりでした。しかし、実際に私たちが食事をするとき、私たちの体内では複数の栄養素によるさまざまな相互作用が生じ、単独栄養素の作用が強められたり打ち消されたりしていると考えられます。すなわち、単独の栄養成分(因みに健康食品が相当します)を摂取するより、食品そのものを摂取することによって相乗効果、相殺効果が生まれ、体に不足している必要な成分が利用されていきます。
さて、現代人の食生活調査を行った結果、野菜と果物摂取量が全年齢で不足していることがわかりました。厚生労働省、文部科学省、農林水産省は野菜1日350g以上、果物は200g以上摂取することが望ましいと提言しています。そこで、多くのメーカーが野菜ジュースなどの開発を行い市販していますが、そのほとんどが大量の糖質(蔗糖)を含み、肥満や糖尿病などの生活習慣病を加速させる不健康飲料ばかりです。
しかし、野菜の中で抗酸化成分が優れている「赤ピーマン」と「にんじん」、そして、果物ではさまざまな病気の予防・健康増進に効果がある「りんご」を日常的に摂取している人は多くが健康であることがわかりました。
さらに、これら野菜および果物の同時摂取は相殺効果、相加・相乗効果も加わって栄養状態が改善され、からだに不足している抗酸化力、免疫力が一層高まり、日常不足しがちな食物繊維、カルシウム、カリウムが増え栄養状態が改善されます。
野菜や果物の同時摂取は量よりも質も大切です。
参考文献
1.近藤雅雄:第6回健康食品フォーラム報告書「食育と健康食品」p.26-41, 2005
2.近藤雅雄ほか:高齢者の食生活と免疫強化、日本抗加齢医学会雑誌、Vol.2No.3, 2006
3.近藤雅雄:食品成分による高齢者の免疫機能調節、食品技術総合辞典、朝倉書店、p.94-99, 2008
4.近藤雅雄ほか:高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析、食品の安全性および機能性に関する総合研究、平成14-17年度、農林水産省農林水産技術会議資料
(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
PDF:ベジフルP
健康情報6.昔,中・高生の間で流行った「ペットボトル症候群」とは
1992年5月、聖マリアンナ医科大学の研究グループは、糖尿病性ケトアシドーシスの症状となった若い人達の多くがペットボトルの飲料水を飲んでいたことからペットボトル症候群と命名されました。喉の渇きのために砂糖の入ったスポーツドリンク、清涼飲料水を大量に飲み続けることによって起こる急性の糖尿病です。
また、ペットボトルの飲料水を飲むと血糖値がすぐ上がるので元気となる。しかし、またすぐ血糖値が下がり、今度はイライラしたり、狂暴になったりする。当時、中学や高校では校内暴力が流行った時代で、これをペットボトル症候群と言っていました。
最近、自動販売機が増えさまざまな飲料水が並べられています。コーヒー飲料など糖質の多い飲料水が多くありますが、これらは缶類が多い。ペットボトルはお茶や水など、糖質の少ない飲料が多くなっています。したがって、ペットボトル症候群が再び流行ることは無いと思いますが、糖質の多い飲み物はカロリーが高いので注意してください。余った糖質は白色脂肪細胞に中性脂肪として貯蔵され、肥満の原因になります。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)
また、ペットボトルの飲料水を飲むと血糖値がすぐ上がるので元気となる。しかし、またすぐ血糖値が下がり、今度はイライラしたり、狂暴になったりする。当時、中学や高校では校内暴力が流行った時代で、これをペットボトル症候群と言っていました。
最近、自動販売機が増えさまざまな飲料水が並べられています。コーヒー飲料など糖質の多い飲料水が多くありますが、これらは缶類が多い。ペットボトルはお茶や水など、糖質の少ない飲料が多くなっています。したがって、ペットボトル症候群が再び流行ることは無いと思いますが、糖質の多い飲み物はカロリーが高いので注意してください。余った糖質は白色脂肪細胞に中性脂肪として貯蔵され、肥満の原因になります。(近藤雅雄、2025年3月6日掲載)