著書26.絆:明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ

「夢を紡ぐ,夢を繋ぐ」、夢の翼
 子どもの頃は、いつも夢で溢れ、ちょっとした不思議なもの・些細なことでも目を見張る感性があり(Sense of wonder)、明日を夢見ていた。

 少年期から青春時代にかけては一気に世界が広がり、将来への望みが多くなり、多様な夢を見る夢多き時代でした。しかし、夢の多くが夢で終わり、消えていった。
 老人になると、未来への夢を見なくなり塞ぎがちになるが、夢に生きる老人は新鮮に光輝いている。明日を夢見るこころを忘れてはならない。

 そして、いきもの大好き家族の夢を紡ぎ、夢を繋ぐことが大切であることを知る。
 夢は、こころとからだの健康と繋がっている。健康な人はこころもからだも生き生きとし、次々と夢を描いてはそれを叶えていく。夢は人生だ。

 幸福と平和の夢の実現にはただ憧れているだけではなく、強い意志とその翼が必要だ。
 夢の翼は、個性であり、知の創造であり、知の結集である。そして、ロマンであり、情熱であり、未来へ飛翔する不滅の力であり、真の勇気であり、愛であり、感謝である。世界の人々が手をつなぎ、平和な多様性のある地球社会がやってくることを夢見る。

 夢は人生であり、計画だ。皆が光り輝く夢を見て、教育(今日行くところがある)と教養(今日用事がある)を高め、皆がそれぞれの人生を楽しく前向きに歩んでいく。
 そんな「夢を紡ぐ、夢を繋ぐ」“”を大切にしたい。

  “絆”「わが家系の回想」(明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ)
 本書(絆:近藤雅雄編,5人兄弟執筆,A4,92ページ,2021年4月1日出版)は、筆者が生まれ育った「近藤家」の未来への資料として纏めました。執筆した理由は、私たちは一人で生まれ、育ったのではなく、多くの人との関わり、絆があって誕生し、育つということを知って欲しい。そして、自分のルーツを知り、未来に向かって歩む力を身に付けるために。
 内容は明治生まれの父と母の生涯、その後を時代ごとに回想しました。父母は名古屋で生まれ、育ち、成長、やがて結婚し、東京で5人の子どもが誕生するまでの誕生期(1904~1949年)、5人の子どもが結婚し、子どもを授かるまでの黎明期(1950~1981年)、父母との永遠の別れと同時に5人の兄弟が成長し、新たな時代への転換となる創生期(1982~1997年)、5人兄弟の子どもが成長、孫が誕生し、次代への引継ぎと「千代の会」結成並びにその発展期(1998~2020年)、そして5人の兄弟すべてが高齢者となると同時に孫が成長、未来への扉が開き、持続可能な時代へと発展・移行を期する持続期(2021年~)として分けて整理しました。
 本書が10年後、20年後、50年後も引き継がれ、近藤家のすべての人が高い志、夢をもって新たな時代を担うべく、大きく成長し、社会へ貢献していって欲しいとの思いから纏めました。そして、両親の血を受継ぐすべての人が「いのちの尊さと感謝の気持ちを持って、人間として正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図って欲しいと願っています。また、後継者にはどのような遺伝子を受継いでいるかを知る貴重な資料ともなるでしょう。
 そして、地球上のすべての人が光輝く遺伝子をもって生まれてくるのです。その遺伝子が争いごとではなく、正しく教育・醸成され、人類が差別・格差なく、平和で、持続した国際社会の発展と持続した地球環境の保全に貢献することを願っています。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)

教育回想12. 東京都市大学付属小学校、平成24年度卒業式祝辞

 2009年4月、学校法人五島育英会は大学から幼稚園までの各学校に「東京都市大学(略称:都市大)」の共通名称を冠し、「東京都市大学グループ」を結成しました。
 法人のホームページには「都市大グループの使命は、優れた感性と品性を備え、世界から待望される有為な人材を育てあげていくこと」とあります。そして、「グループのスケールメリットを生かしながら、持続可能な社会発展に貢献し、未来を見すえた国際性に富んだ人材を輩出していきます」とあります。
 グループには東京都市大学、東京都市大学等々力中学校・高等学校、東京都市大学付属中学校・付属高等学校、東京都市大学塩尻高等学校、東京都市大学付属小学校、東京都市大学二子幼稚園、そして東急自動車学校があります。私は東京都市大学の人間科学部学教員としてこのグループ誕生を目にし、運営・教育・研究を2015年まで携わりました。大変すばらしい大学であり、グループでした。
 在職中に、法人より東京都世田谷区成城にある東京都市大学付属小学校の平成24年度卒業式の祝辞を依頼され、大学学長であり都市大グループの総長の代行として挨拶させていただく機会を得ました。6年間頑張った12歳の卒業式です。出来る限り心に残る祝辞となるよう配慮しました。同時に、同じ生徒数以上の保護者も同席するということで、両者に配慮した祝辞を考えましたが、結局簡単な祝辞に終わってしまいました。内容はPDFに示しましたのでご参照ください。

 祝辞を終えて、校長室で談話していた時に、小学校の職員から卒業生の親が私に挨拶をしたいと言っているというので、お会いしました。その人は優等生の父親で、某医科大学病院の医師でした。以前に医師の患者が指定難病ポルフィリン症の疑いということで検査を依頼され、診断を確定し、報告したことがあったのです。
 偶然のことでしたが、医師及びご息女は立派なご家庭で、私は医師及び付属小学校とのご縁に感謝すると共に、患者さんの容態お聞きし、元気でいるということで二重に嬉しかった思い出があります。
 この卒業式は、今から12年前のことなので、現在、ご息女は24歳頃と推察します。おそらく、大学院または既に社会人として頑張っていることでしょう。
 また、私にとってこの卒業式は、実にさわやかな式で、感謝するひと時でした。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
  PDF:東京都市大学付属小学校卒業式祝辞   

著書25.子どもの健康、育児に役立つ「子どもの保健」

 本書は保育士養成課程を有する東京都市大学人間科学部児童学科(幼稚園教諭及び保育士養成)の講義で用いたテキストです。授業は毎回パワーポイントを用いた記憶に残る、分かり易い授業となるよう心掛け、まとめました。実際の講義テキストにはパワーポイントの画像も掲載しましたが、著作権などの関係で割愛しました。
 さて、乳幼児期、児童期、思春期の成長は著しく、この期における環境は発育・発達に大きく影響を及ぼし、心身の健康、さまざまな能力など人生を左右するとても大切な時期です。
 本書では、保育士養成のためのテキストとして執筆しました。健全な発育・発達を図る上で重要な保育における子どもの保健の意義と目的、子どもの発育・発達と生活の支援、子どもの食生活と栄養、心身の健康増進の意義とその実践、子どもの病気とその予防対策、事故と安全対策、児童福祉施設における保健対策、母子保健対策と保育について学び、保育の質の向上を目指しました。
 2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを経験し、子どもの保健にも大きな影響を及ぼしました。その後、感染症法上五類に分類されるとともに,学校保健安全法施行規則においても第二種感染症に位置づけられ,出席停止期間も規定されました。しかし、新型コロナに対するmRNAワクチン投与など、予防・治療及び予後にはさまざまな問題があることから、ここではあえて取り上げませんでした。
 本書の学習によって、子どもの病気や難病の発症機序、診断・治療、疫学、生活指導などに関する知識が十分身に付くことと思います。前半は、小児期のからだの仕組みとその機能について、すなわち健康を中心に学び、後半は小児期にかかりやすい病気とその予防法や保健行政の実際並びに行政的統計データの読み方を学んで下さい。
 講義は90分の授業で、第1講から第30講まで30回です(近藤雅雄著、A4版155頁、2013年4月1日出版)。内容(目次)は下記に示しました。

目次(1~109頁、110~155頁のパワ―ポイントの画像は省略)
第1講 小児保健の意義と目的:1.健康の概念・定義(1)
第2講 健康の概念・定義(1):1.健康の定義、2.健康の考え方、3.健康の今日的課題、4.健康の概念~健康思考(指向、志向、施行)、5.健康の維持と病気の予防、6.健康の増進と減退 
第3講 健康の概念・定義(2):1.健康の維持と病気の予防、2.健康成立に向けて
第4講 小児の成長:1.小児の特徴、2.小児の成長、3.身体の計測と発育評価、4.成長に影響を及ぼす因子、5.基本的生活習慣の確立、6.発達の目安
第5講 小児の発達(1):1.脳の発達
第6講 小児の発達(2):2.感覚器の発達
第7講 小児の発達(3):3.運動機能の発達、子供の姿勢、精神発達
第8講 小児の発育発達(1):4.体温調節・排泄・水分調節
第9講 小児の発育発達(2):5.呼吸・循環
第10講 小児の発育発達(3):6.消化・吸収・排泄
第11講 小児の発育発達(4):7.免疫機能~生体防御のしくみ
第12講 小児の発育発達(5):8.睡眠、新生児の特徴
第13~14講 小児の栄養:1.乳幼児栄養の特徴、2.食事摂取基準、3.乳児の栄養、4.離乳、5.幼児栄養(1~5歳、6.学童期の栄養
第15講 日本の食文化と食育~戦後から今日までの食生活の変遷
第16,17講 よく見られる病気と事故(1~2):1.先天異常および先天性代謝異常症
第18,19講 よく見られる病気と事故(3~4):2.感染する病気、1)ウイルスによる病気、2)細菌感染による病気
第20講 よく見られる病気と事故(5):3.呼吸器系の病気、4.循環器系の病気、5.消化器系の病気
第21講 よく見られる病気と事故(6):6.血液の病気と小児がん
第22講 よく見られる病気と事故(7):7.腎臓、泌尿器、性器の病気
第23講 よく見られる病気と事故(8):8.内分泌系の病気、9.アレルギーによる病気
第24講 よく見られる病気と事故(9):10.神経系および精神心理系の病気
第25講 よく見られる病気と事故(10):11.皮膚の病気、12.骨、関節、筋肉の病気
第26講 よく見られる病気と事故(11):13.眼、耳、鼻、口、歯の病気
第27講 よく見られる病気と事故(12):14.子どもの事故
第28講 病気の予防と保健指導
第29講 生活・環境と育児
第30講 小児保健行政
付:発育期から見る子どものからだと病気、マススクリーニングとは、健常人における主要健康数値表、児童憲章
以上です。詳細は以下のPDFを参照してください。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
PDFこどもの保健

こころとからだの健康(20) 言葉はこころなり~伝えたい言葉

 国際社会は未だに悲惨な戦争と地球環境の破壊を繰り返しています。その原因の一つとして人間教育の貧困が挙げられます。
 我が国は、「新しい時代を拓く心を育てるために」次世代を育てる心を失う危機、として1998年、中央教育審議会が中間報告、第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう、第2章 もう一度家庭を見直そう、第3章 地域社会の力を生かそう、第4章 心を育てる場として学校を見直そうの4項目からなる答申を出しました。
 戦後80年、日本は自由で民主的な国家として、人々が豊かで安心して暮らせる社会を形成し、世界の平和に貢献しようと努力してきました。そして、教育の重要性を掲げ、幼児期、学童期に人間形成の基盤をなすこころの教育として、「さまざまな体験や体感を通して、感謝のこころを持って、生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった、人としての基礎を育む」ことを人間教育の基本として学んでいる。因みに、日本は世界の平和指数(治安・安全性)ランキングでは世界163か国中17位(2024年)でした。
 ここでは、私の40年以上にわたる医学・生命科学に関わる教育・研究活動で経験したこころの教育において、学んだことを「次代に伝えたい言葉」として①言葉は人間の原点である、②言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素、③次代に伝えたい言葉、④私の好きな言葉、⑤災害時の言葉と防災、として添付のPDFに綴りました。この中に、1つでもこころに響くものがあれば嬉しいです。(近藤雅雄、2025年7月27日掲載)

こころは言葉によってコロコロ変わるから“こころ”と言う
言葉は人間の原点であり, 人を動かし、国を動かす
言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素である


言葉は人間社会の原点である
 言葉を話すのは人間だけである。言葉は人類の発展に大きく貢献し、書物となり永遠と続く。そして、言葉は人を動かし、国を動かす。言葉には力がある。したがって、地球の平和や環境は言葉によって大いに影響を受ける。言葉はこころと連動している。
 すなわち、こころは言葉の影響を最も受けやすく、威圧的な言葉、汚い言葉、人の悪口、否定的な言葉を使うのを止め、笑顔で、プラスの言葉を口にしていけば、自分も相手もこころがとても良い状態に安定していき、自分のおかれた状況がたとえどんな状態であっても、次第に好転していくと信じることができる。言葉には魂がある(言霊)
 一つしかないいのちであれば、人生を感謝と喜びに満ち、明るく、おおらかに「前へ」プラス思考で生きる。同様に、一つしかない地球であれば、地球に住む国々が仲良く、感謝と喜びに満ち、地球環境をより良くして行く。このような社会を望んでいます。(2025年7月27日掲載)
PDF:伝えたい言葉

研究回想1.私の人生を懸けたポルフィリン症研究への思い

概 要
 人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
 このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
 1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
 そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
 そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
 ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い

著書24.言葉はなかったが癒された。私は忘れない「リヴの物語」

 ロングコートチワワ犬(雄、「国際公認血統証明書」)生後2か月が家族となり、息子がリヴと命名しました。しかし、12歳10カ月、近くの動物病院にてその小さないのちが消えました。
 悲しみ癒えぬ間にリヴの物語を執筆しました。この物語は、日常生活の中でのさまざまな場面での触れ合いによって、私たち家族にたくさんのこころの安らぎと楽しさ、癒し、励まし、笑い、幸せをプレゼントしてくれたことに感謝し、短い生涯を写真と文章で追憶した47ページにわたる犬の物語です。

 リヴは散歩や車に乗るのが怖く、1日中家の中にいました。外に出しても、車に乗せても体を震わせて怖がり、すぐに家に帰る。家の中では走り回り、いつもそばにいて、楽しませてくれました。 リヴとの思い出から、改めていのちの大切さと生きることの大切さ、そして感謝するこころを学びました。物語を作成中に、リヴの写真と病歴から、これまでに実に多くのからだとこころのサインを家族に送っていたことに気づきました。そして、さまざまなサインに気付かなかったことを悔やみました。  また、犬の死因を究明することは、私たち人間においてもいのちとは、救急医療とは、について考える機会となった。それは、本来まだ生きたであろういのちを救うことができなかったことに対する自分への憤りでした。しかし、そこから「いのちを大切にするこころ、生きるこころ、他者を思いやるこころ」といった、人間としての「こころ」の基本を学びました。そして、「健康と病気」について考える良い機会が与えられました。生き物は病気になる時には必ず、何らかのサインを心身から出していることを見逃さないようにし、早め早めに対応することが大切です。とくに言葉がない動物への日頃の感謝を忘れないことです。

 リヴの死から学んだことは多い。今後残された人生にプラスになるよう、前向きに歩み続けよう。この地球に棲むすべての生き物は、いずれは死を迎える。それが早いか遅いかではなく、いかに生きたかどうかが大切です。たとえ、短いいのちであっても、一生懸命生きれば、悲しいがそれでよいと思う。家族として、共に歩んだのです。
 私はこの物語を作成してから、日々を懐かしく、回想しています。(近藤雅雄、2025年5月1日掲載)

患者発見に対する診断法開発への熱い思いと教育・研究

 研究を始めた1970年代、ポルフィリン測定の検査会社はありませんでした。ポルフィリン症の診断は大変遅れ、診断に何年もかかり、または誤診される確率が非常に高く、発症してからの致死率も急性ポルフィリン症の場合には80%を超えていました。
 これまで誰も成し遂げなかった、ポルフィリン代謝関連産物(8つの酵素活性とポルフィリン代謝関連物質合計25種類の測定法の開発を行い、1970年代後半、世界に先駆けて血液および尿10µℓ、肝組織10mgや骨髄・皮膚・神経・腎細胞、培養細胞と言った微量生検試料を用いて、生体内に存在する全ポルフィリン類(約20種類あります)をほんの数10分で測定できる自動微量迅速精密分析定量法を、高速液体クロマトグラフィーを用いて開発しました。測定法(検査法、診断法)が完成すると次は診断基準となります。多症例の患者さんが必要となるので、国内からポルフィリン症患者さん並びにその疑いのある人から測定しました。同時に、対照値として、血液、尿、糞便においては健常者を対象とした各種健診時に採血、検便、採尿した試料を集め、年齢・性別に分けてポルフィリン代謝産物や血液中の酵素活性の健常値を決定しました。
 1978年~2007年2月の約30年間、「ポルフィリン症の疑い」として、あるいは診断が付かない疾病などの病態解析のためにポルフィリン代謝関連物質の検査依頼があった総検体(試料)数は6,000以上になりました。この内、遺伝性ポルフィリン症として確定鑑別診断したのは、215例でした。
 2007年以降、ポルフィリン症の生化学的検査をする研究者はいなくなり、確定診断に必須なポルフィリン代謝関連物質の測定を行う研究・検査機関も殆ど無くなりました。検査は米国に検体を送っているのが現実です。現在、研究者や検査機関は増えることなく、患者の報告数も減少しています。さらに、ポルフィリン症関係の学術図書、論文・記事が急激に少なくなりました。2015年に「指定難病」に承認されたのを機会に、ポルフィリン症研究の研究者および検査機関が増えることを願っています。(近藤雅雄、2025年5月1日掲載)
PDF:患者の立場に立った教育・研究活動

ポルフィリン症の現状と課題:患者のQOL向上医療への提案

 指定難病ポルフィリン症は根治療法のない典型的な難治性疾患であり、患者は仕事がない・出来ない、高額な医療費を生涯負担し続けなければならないなどと言った不条理が続いています。
 また、医師はポルフィリン症と気付かずに診断が送れたり、誤診したり、また診断されても治療を拒否したり、妊娠・出産を否定するといったことが日常的に起こっています。
 そして、患者の多くが結婚、出産を控える。これらのことが過去から現在、そして、未来へも引き継がれようとしています。これらの問題に対して、患者家族が安心して社会生活ができ、安心して高度医療が受けられるよう、社会の理解が必要である。そして、それが実現されるよう早急な対策が望まれます。
 急性ポルフィリン症の男女比では女性の方がホルモンの関係で圧倒的に発症者が多い。一方で、9病型すべてのポルフィリン症は1920年に最初の報告があってから2010年までに926例が医学中央雑誌に記載されていますが、誤診や診断されたとしても医師が報告しないなどの理由で、相当数の患者が未報告のままと思われます。実際はこの10倍前後(約1万人)の数値が推測され、その大部分は十分な治療を受けられないままと思われます。

 ポルフィリン症は光線過敏性皮膚症状や精神・神経・感覚、代謝・内分泌、肝・消化器、造血・循環器,筋・運動器、腎臓・泌尿器など、多彩な症状を呈することから早急な対応が求められます。そのためには、
1.「多彩な症状」に対応できる医師の不足と医療費の高騰。
2.希少疾患患者の立場に立った医療研究の激減。
3.診断が難しいなどの理由で誤診率の高い。
4.根治治療法がなく、対症療法が主であるが、禁忌薬が多く医薬品の対応が難しい。
5.患者のストレスに対する心身のケアーが不十分。
など、さまざまな問題に対する対応策をに真摯に向き合い、改善していく必要があります。

以上、ポルフィリン症の現状と課題について、下記PDFに示しました。(近藤雅雄、2025年4月27日掲載)
PDF:ポルフィリン症の現状と課題

血液の稀少がん「原発性マクログロブリン血症」の概要

 難病の研究者として、血液のがんである超稀少疾患「原発性マクログロブリン血症」の発症率が100万人に2~3名という殆ど知られていない疾患であるが、診断されずに放置されている症例あるいは死亡例、診断されても医師が報告しない症例が多いのではないかと思われます。そこで、本症の診断、病態、治療、予後、Q&Aなどについて、総論として纏めました。
 血液学では、骨髄で生産されるB細胞(リンパ球)は形質細胞に分化し、ウイルスなどの異物に対する免疫グロブリン(抗体)を生産します。ところが、原発性マクログロブリン血症ではB細胞から形質細胞へ分化する途中のリンパ形質細胞ががん化(遺伝子変異)し、体内にて異物(抗原)を攻撃する免疫蛋白(IgGやIgAなどの抗体)が出来ず、攻撃能力のないIgM型M蛋白が異常に増加する疾患です。したがって、免疫力が低いため、感染予防には十分な配慮が必要です。

 本原稿を執筆するに至った経緯は、患者数は意外と多いと思われ、早期発見を促したいことと、発見された場合に医師は情報公開を必ずするよう求めるのが目的です。
1.100万人に数人という超稀少疾患で、5年生存率が36~50%で根治は望めないことから、早く治療法が見つかるように様々なデータを記録として残さなければならない。
2.70歳以上の高齢者に比較的多く、合併症が死因となることが多い。しかし、早期診断によって合併症を防ぐことができる。
3.超稀少疾患のためか本疾患についての成書が見当たらない。そこで、筆者は患者向けの一般書を出版(下写真)したが、その一部を下記のPDFにて紹介した。
4.超稀少疾患は情報が少なく、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。医師は患者データを広く医学会や論文として公表していく義務がある。公表していない症例数も意外と多いと思われる。
5.病院の選択は重要で、がんは治療による副作用が多いため、多分野の専門医がいる総合病院に罹ることが望ましい。また、がん患者に対するチーム医療及びがん相談センターの取り組みが充実している病院を選ぶ。
6.原発性とは原因が不明ということである。しかし原因が不明である病気は存在しない。その原因を明らかにすべき研究の推進を期待する。特に、遺伝子治療薬の進歩が著しく、パンデミックで有名な新型コロナウイルスmRNAワクチン接種も本症発症の誘因となることは否定できない。このワクチンについて、多くの事故、副作用、死者がでたが、政府・医療行政・マスコミは遺伝子医薬品バイオ医薬品)のリスク評価・総括がないまま感染症法5類に移行した。

 以上、医学研究の進展を期待して。内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月10日掲載)。
PDF:原発性マクログロブリン症(WM)

教育回想10.東京都市大学人間科学部、平成26年度入学式挨拶

 今日は孫が通う中学校の入学式です。
 漸く暖かくなり、桜満開で、まさに入学式には良い天候が続きます。そこで、これまでの入学式の挨拶の中で、忘れられない祝辞は多くありますが、その中から筆者の大学勤務の最期となった平成26年度の東京都市大学の入学式で人間科学部の父母への挨拶(以下のPDF参照)をあげました。
 学部長として満期の6年間、学部の運営・教育・研究業務を行い、中でも学部の改革として新学科及び大学院修士課程の設置構想案、さらに大学の組織・構造改革の提案など、いろいろな改革に向けた活動を行ない、大学及び法人組織への働きがけしたのを覚えています。
 それ以外に、社会的貢献として、難病患者の市民権を得る行動、難病制度の法改正を目指して国会議員及び厚生労働省の要職への陳情や面接、そして議員連盟を作って難病の現状を広く紹介すると同時に全国署名活動を行い60万人以上の署名を集め、厚生労働大臣に大臣室にて手渡したこと。その結果、新たな指定難病制度の法制化を実現することできたことは、大きな成果として、心の中に深く刻まれております。大変忙しい定年前の最後の年でしたが、大学を軸としたこれらの活動が大変充実していたことは幸せでした。(写真は都市大学近藤研究室にて。近藤雅雄、2025年4月8日掲載)
PDF:父母挨拶

「前へ」の詩:生きるために人生の目的をしっかり持つ

 1949年、団塊世代の最後に生まれ、戦後の急速な経済発展を経験し、小・中・高、大学時代、そして社会人として、仕事と仲間と環境に恵まれ生きてきました。平和な時代でした。
 時代が変わったのは2020年の「パンデミック」、そして、2022年の「ロシアによるウクライナ侵攻」、たった数年間で平和であった時代が大きく変わろうとしていました。
 古希を過ぎ75歳、終の人生を迎えるにあたって、過去の多くの出来事を記録し、後世に遺すことは、次代に生きる人に役立つかもしれない。また、生きるヒントになるかもしれない。しかし、「パンデミックと戦争」そして「ITやAIの急速な進展」による世界への影響、そして日本では「南海トラフ首都直下地震富士山の噴火など」の災害予測と「台湾有事」「関税問題」などと時代は逆行し、次代がどのようになるか想像がつかない方向へと突入している。

 人は誰にでも死は訪れる。死を考えた時、大切な言葉を一つ挙げるならば、それは「前へ」でした。死に行く者も、生きていればさまざまな喜怒哀楽、ストレスが日々変化して訪れます。それをうまくコントロールし、「前へ」突進む努力、社会貢献に愛する努力をする。そのためにも人生の目的を持って努力する。そうすれば、新しい景色を見ることができるであろう。そして、その景色が人類・人間社会にとって本当に幸せなものなのかもしれない。

 人間は、前向きで、素直に社会に貢献する謙虚な姿勢を持ち続けることが大切でdす。それを行動に移し、新たな道を拓き、家族と共に生きて行く。そして、「1日でも長く健康で、おおらかに前へ生きる」、が最も基本的で豊かな人生といえます。そこに「感謝する人がいて、そして、感謝される」そういう人生は真に幸せです。
 添付したPDFに「人類と地球の世界平和に向かって「前へ」踏み出そう」という詩を掲載しましたので参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月4日掲載)
PDF:前へ生きる{詩」

難治性疾患(難病)患者からの学び~難病制度改革と医療法

難病制度改革と医療法

 厚生労働省の職員(研究職)であった筆者は、厚生労働科学研究として37年間、先天異常(遺伝病)、各種難病や中毒の発症機序や診断・治療法の開発等の研究を行ない、患者の立場に立った研究・教育活動を普及してきました。
 しかし、これら難病については、いまだに医師および行政は正しい知識を得ていないのが現状でした。その結果、誤診による禁忌薬の投与などの誤った治療と十分な心身のケアーが得られず、毎年沢山の若い「いのち」を失ってきました。患者にとっては根治療法が開発されない限りいつも時間がありません。限られたいのちの時間だけが過ぎて行きます。
 ヒトは遺伝子の異常を10個以上持って生まれてくると言われています。しかし、ほとんどの人が何の自覚症状もなく健康です。ところが、たった一つの遺伝子の異常が病気となって生まれてくる人もいます。これを先天異常といいますが、健常者と同じくこの世に誕生した大切な「いのち」です。人間社会において、いのちを大切にするこころは人としての基本です。
 健康の反対が病気ですが、これまで健康であった人が、病気になった時に、初めて健康のありがたさを思い、誰もが二度と病気に罹りたくないと思うものです。そしてそれが実現できる。ところが、病気を持って生まれてきた人はどうだろうか。患者は健康への願望、生きることへの願望、仕事への願望、いのちへの思いが、健康な人以上に強く、また、今日の人間社会に欠けている他者を理解し、思い遣るこころ、家族・友人を大切にするこころ、いのちの尊さと感謝の気持ちを強く持ち合わせています。健常者に足りないものを多く持ち合わせています。私たちは難病患者から人間として実に多くのことを学んできました。そして、人は必ず死ぬのです。これからは、これまでに多くの難病患者から学んだことを基に、人とのコミュニケーションの大切さ、生きる力を表現していきたい。

わが国の指定難病制度

 昭和47年以来、綿々と続いた難病制度には認定方法や治療研究制度など、多くの問題を抱えていました。そこで、筆者らはこの制度を根本から変えるべく署名活動、国会議員への陳情活動(下記のPDF参照)、衆参両議員からなる議員連盟の設立など平成9年から様々な活動を行いました。
 その結果、平成26年5月23日に「難病医療法」が成立、その後、「指定難病」が法制化しました。
 すなわち、平成21年度、厚生労働省内で難病制度の見直しが行われ、平成26年8月28日に56疾病から110疾病が「指定難病」として追加・決定しました。さらに、平成27年3月9日、厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会は新たに44疾患を追加し、総計306疾患が5月中に正式承認・告示がなされ、7月から重症患者に対しての医療費助成が開始されました。
 この「指定難病」制度法制化の契機となったのが、筆者を代表とした「ポルフィリン症患者会(さくら友の会)」の活動です。平成20年11月30日に難病認定の署名活動を開始し、全国から集めた総数は600,515筆です。この貴重な署名を家内と二人ですべてチェック・整理し、車で厚生労働省へ運びました。そして長妻昭元厚生労働大臣から始まって代々5名の元大臣に手渡しました。私がこの活動に取り組んだ最大の理由は、国内の多くの「難病患者の命を守るための仕組み(法律)を作っておかなければならない」といった使命感だけでした。
 平成21年に民主党政権に移行してから漸く“難病対策の現状と課題について”の本格的な議論が始まりました。平成25年に自民党政権に移行してからは、「難病医療法」が5月に成立、平成27年度から施行することが決まり、厚生科学審議会疾病対策部会の「指定難病検討委員会」が中心となり、指定難病の各要件(①治療方法が確立していない、②長期の療養を必要とする、③患者数が人口の0.1%程度に達しない、④客観的な診断基準などが確立している)を満たすかどうかの検討が開始されました。昭和47年から平成26年度の約42年間に56疾患が難病として認定されてきましたが、平成27年度に約300疾患に拡大し、対象患者をこれ迄の78万人《この中には希少疾患から外れるパーキンソン病(患者数約10万9千人)や潰瘍性大腸炎(患者数約14万4千人)なども含まれている》から150万人に増やし、患者数は人口の0.15%にあたる18万人未満を目安に決められました。
 これら活動の意義として、ポルフィリン症は極めて希な疾病であり、1920年に第1例が報告されてから今日まで約1000例の報告しかないという超希少な疾患であり、誤診や事故が後を絶ちませんでした。これが難病指定されれば、医師がこの病気を知る良い機会となり、誤診や事故を著しく減らすことにも繋がる。さらに、治療研究が加速することが期待される。そして、何よりも、これまではわけのわからない病気として無視されていたのが、「国が指定した難病」ということで、行政・社会での対応も一変し、真摯に注視されることが期待されました。
 指定難病の法制化に関しては厚生労働省職員及び民主党、自民党の国会議員等、多くの要人と面会し、法制化に懸命に取り組んでくれました。ここに深謝します。(近藤雅雄、2025年3月4日掲載、2025年4月4日更新)
PDF:難病制度法制化

健康と病気シリーズ10.精神療法として治癒力を高める言葉

 現代医療では精神療法として①行動療法、②認知療法、③対人関係療法、④精神分析、⑤精神力動的精神療法、⑥支持的精神療法の6種類に分類していますが、これらの治療に言葉が大切であることは言うまでもありません。
 精神障害の原因は遺伝・生物学的要因(身体的要因)、心理的要因、環境的要因(社会的要因や文化的要因を含む)などが複雑に関わっていると考えられます。そこで、精神療法として、これら要因を取り除くことが出来れば自然治癒は増強すると考えます。そして、がんなど難治性疾患の自発的治癒を目的として言葉による治療をとりあげました。また、筆者が肺炎で入院した病院の現状についても以下のPDFに記しました。(近藤雅雄、2025年3月28日掲載)
PDF:健康と病気10.精神として治癒力を高める言葉

教育回想9.国際鍼灸専門学校 コロナ禍,卒業生へのメッセージ

 卒業式のシーズンです。記憶に残る挨拶として、第2回目は国際鍼灸専門学校の令和元年度の卒業式です。この年の卒業式は前年11~12月以降に中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染が世界中に拡散、パンデミックとして大きな問題となったため、開催されませんでした。2019年から3年間、多くの学校で卒業式および入学式などの式典は中止または縮小、3年間式典を経験しないで卒業した生徒も多かった時代です。
 学園では、当初は卒業式を縮小して教職員による手作りの式典を企画し、3月19日まで準備に追われていましたが、感染が猛威を振るったため、残念ながら式典を中止せざるを得ないという苦渋の決断に至りました。卒業生の気持ちを考えると断腸の思いでしたが、未来を担う卒業生の健康を最優先しました。
 そこで、卒業生へのメッセージを作成し、配布しました。学生らには、卒後も、生涯学ぶことに最大の価値を置き、明るく、前向きに頑張って社会貢献することを期待しました。(近藤雅雄、2025年3月20日掲載)
PDF:令和元年度卒業生へのメッセージ

教育回想8.国際鍼灸専門学校平成30年度卒業式祝辞

 卒業式のシーズンになりました。そこで、これまでの挨拶の中で、忘れられない祝辞は多くありますが、その中から2つを選びました。記憶に残る卒業式の挨拶として、1つ目は元校長を務めた国際鍼灸専門学校の平成30年度の卒業式です。
 筆者は校長としての運営・研究業務以外に、生徒には3年生の担任、生理学、病態生理学、栄養学、生命科学の講義、国家試験対策補講、病院やスポーツ、福祉施設などの各種見学の引率、飲み会などと、極めて濃く関わりました。そして、卒業に当たって、生徒らが私たち教職員宛に、教室の黒板に残したメッセージ『先生、事務の方々、3年間本当にお世話になりました。この充実した学生生活を、私たちは一生忘れません』とありました。このメッセージは、私たち教職員のこころに強く響き、次代を担うあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(あはき師)の三療国家資格育成への自信となっただけでなく、大きな誇りとして、心の中に深く刻まれた瞬間でした。感動しました。(近藤雅雄、2025年3月19日掲載)

平成30年度卒業式祝辞

難病専門外来の経験:医師と患者との関係「10の習慣」

 平成27(2015)年、港区内の某クリニック内に日本で初めて指定難病「ポルフィリン症」の専門外来が開設されました。診療は、毎月第4金曜日に済生会江津総合病院名誉院長の堀江裕先生が行い、それを見学させて頂きました。
 筆者はこの難治性疾患について、厚生科学研究者として厚生省・厚生労働省にて1971年以来37年間、臨床統計、発症機序、診断・治療法の開発等の先駆的研究を行い、2006年までに国内患者の70%以上を確定診断し、患者のホローとケアーを行いました。
 今回、クリニックの許可を得て患者さんの診察を見学させていただきました。その時の経験をもとに、感想や思い、そして私見ですが患者さんと接する時の心構えを「10の習慣」として纏め、以下のPDFに示しました。(近藤雅雄、2025年3月18日掲載)
PDF:医師と患者との関係10の習慣

学校法人の社会的責任と理事長・校長に求められる資質

 学校法人の理事長は学校の設置者であり、学校を管理し、学校の経費を負担する責任を負っています。理事長に求められるものは、最高責任者として相応しい社会的責任を遂行することです。
 一方で、教学の最高責任者は校長です。そこで、高等教育機関のさらなる発展・進化を期して理事長の資質及び学校経営、理事長と校長の役割などについて、①学校法人の社会的責任、②理事長の資質、③理事長と学校長の役割に分け、基本的私見を述べました。
 現役の専門学校校長を退職してから5年が経ちますが(現在75歳)、以下のPDFに書きましたので読んでください。(近藤雅雄、2025年3月17日掲載)
PDF:学校法人の社会的責任と理事長・校長に求められる資質

人を育てる 「高等教育機関のリーダーに求められる37の習慣」

 高等教育機関とは、初等中等教育の次の段階の教育課程を提供する教育機関の総称で、学校教育法に規定される大学、大学院、短期大学、高等専門学校及び専門学校などが該当します。筆者は大学の学部長及び専門学校の校長としてリーダーを経験しました。

 高等教育機関はグローバルな視点を持って次代の社会貢献に不可欠な人材を育てるよう教育・指導していく義務があります。これら人材育成の要となるのがリーダーの教育方針・姿勢・品性です。人材育成とは才知ある人物、社会に役に立ち貢献できる個人を育てることです。すなわち、コミュニケーション能力が高く、物事をうまく処理できる人材、適正に活用することで活性的な組織を構築することができる個人の育成を指します。これら要求に適う高い人間性を持った次代を担う人材を育成する事が教育の使命です。

 高等教育機関の役割は建学の精神に立脚し、社会・国家・地球、人類の未来・発展に貢献できる人材の育成を行うことが最も基本的な社会的責任です。そのために、志を持って入学する学生に学校・教育生活の最終到達点、総結集として学士力を育て、卒業後はしっかりと国内外の社会に貢献できるよう、教育・研究に最大限のエネルギーを費やし、教員と学生の双方で教えることへの誇りと教わることへの誇りを共有し合うことが大切です。

 筆者が36年間にわたる厚生省・厚生労働省での教育・研究・運営の経験を踏まえ、東京都市大学の人間科学部の開設および初代学部長として就任した時に作成した37の習慣を以下のPDFに示しました。(近藤雅雄、2025年3月16日掲載)
PDF:高等教育機関のリーダーに求められる37の習慣

こころとからだの健康(19)社会の急速な変貌と大学教育

 戦後の急速な発展に伴い、大家族の「集団」から核家族の「個」の社会へ、住居は木造建造物から鉄筋コンクリートへ、さらに、食生活は日本型食生活から、欧米など世界中の料理を自由に取捨選択できる豊かな自由型食生活へと時代はおおきく急速に変化しました。
 このような「家族」「食」と「住」という生活の根源的な部分だけでなく、日本は世界でもまれな食品ロスが多く、自殺率の高い国となると共に国家や組織に対して無関心で、脆弱な国民が増加してきています。また、格差が増し、超少子・高齢社会という少数単位での生活環境がこころとからだをさらに脆弱化しています。
 こうした現実は、とくに次世代をになう子どもたちの「対人技術の発達の遅れ」など各種脳力の低下が起こり、日本の未来において計り知れないほどの損失が生じるという危惧感を抱きます。
 一方で、遺伝子を用いた治療法の開発や日常生活の中にITAI技術が急速に発展し、今まさに「こころとからだの健康」を重視した教育が必要になっています。
 大学教育が全入時代となった今日、大学の質保証向上に対するさまざまな改革、グローバル化が行われていますが、教養の空洞化が年々大きく拡大し始めているように感じてなりません。人間社会と科学技術の発展との間に大きなラグが生じているのが現状であると思われます。 (近藤雅雄、2025年3月15日掲載)
PDF:社会の変貌と大学教育

難病患者と大学病院医師:超稀少疾患研究の推進を望む

 難治性疾患を患い特定機能病院日本医療機構評価機構認定病院、某有名私立大学医学部附属病院に入院した時、5~6人の医師たちにぜひ症例報告をして欲しい旨をお願いしたところ、一人の医師Tが「本症についてはすでに多くの報告があり、本症を発表してもその価値がない」と述べ、笑われたことを覚えています。多くの医師が同じ考えであろう。医師からすれば、日常の業務が忙しく、これまでに報告がない新しい発見などがあれば率先して公表するであろう。よほど新しい内容がなければ発表しないものです。

 しかし、本症について調べたが、100万人に数人の発症といった極めて症例数が少ないことから、情報も少なく、十分な臨床統計もないことがわかりました。したがって、疫学も勿論ありません。本症のような超稀少疾患については症例が見つかれば、これまでに報告されていても、必ず論文として、誰でも検索して見られるように公表することを義務付ける必要があるのではないか。また、医療関係者は患者がいればぜひ国内外の医学会や研究会で報告し、症例報告として記録を残してほしいと願うばかりです。患者によって症状や治療の効果も異なるはず。その事実が大切なのです。

 患者は勿論のこと、医師が優秀であればある程情報を知りたがっています。大学病院のT医師は「報告する価値がない」と言っていましたが、それが医学の発展を妨げる原因ともなっているのです。情報は多い方が良いのに決まっているます。特に超稀少がんなどの難治性疾患においては患者数が少ないことが原因で治療研究が進まないことが深刻化しているのではないでしょうか。また、公表しないことは稀少疾患に対する治療上の不都合な真実も疑われかねません。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)