1971年、国立公衆衛生院に就職してから上司の浦田郡平先生に連れられ、先生の母校である東京大学医学部に行き、第三内科の教授室で中尾喜久先生にご挨拶をしたのを覚えています。中尾先生は血液学の世界的権威者で、第6研究室(血液研究室)を創設しました。
研究室には、覚えているだけでも高久史麿先生、佐々茂先生、三浦恭定先生、溝口秀昭先生、三輪卓爾先生、今村幸雄先生、元吉和夫先生,青木洋祐先生、千葉省三先生、浦部晶夫先生、浅野茂隆先生,森真由美先生など優秀な先生方が在籍し、世界的な研究が行なわれていました。まさに血液学の頭脳であり、将来を担う優れた人材に溢れていました。超一流の医師であり研究者と同じ場所で研究できたことは私の誇りです。後に、先生方は大学教授などの要職に就かれ、世界の医学,血液学を牽引し、偉大な足跡を残しました。
私は、浦田先生から共同研究者であった青木先生の下で研究の手伝いをすると同時に血液学を勉強してくるように指示されました。いわば体のいい国内留学です。青木先生は臨床能力が非常に高いと同時に研究能力もずば抜けていました。先生は鉄芽球性貧血症患者の骨髄赤芽球細胞内において、ヘム合成経路の最初の酵素δ-アミノレブリン酸合成酵素活性の減少を世界で初めて発見し、1971年ベルツ賞(一等)を受賞しています。
6研といっても、一人ひとりのスペースは殆どなく、狭い部屋に何人もの先生方が入れ替わり出入りし、顕微鏡なども共同で利用していました。研究室では幹細胞の研究、エリスロポエチンや多血症マウスを用いた研究、赤芽球や顆粒球コロニーの作成、各造血因子の抽出、白血病治療研究、DNA合成など、先生方のそれぞれの研究内容はわかりませんでしたが、Nature, Lancet、BloodやJCIなど多くの国際的に有名な雑誌に掲載され、血液学に関する先駆的な研究が行われていました。研究室の雰囲気は今でも忘れません。
研究はたとえ十分な予算や場所、スペース、最先端機器、設備備品などが無くても、やろと思えば24時間、いつでも、どこでもできるものです。重要なのはフロンテア精神、研究したいという意識と熱意です。そういう人々がこの狭い研究室に集まっていました。そして、私の研究者としての人生がここからスタートしました。6研の先生方との運命的な出会いは今でも大切にしています。先生方にこころより感謝します。とくに、直接ご指導を頂いた高久先生、佐々先生、青木先生、千葉先生、浦部先生、森先生にはこころより深謝します。また、人生の恩人、浦田先生に深謝します(近藤雅雄、2025年11月17日掲載)
病気と治療10.わが国の医学および医療の問題を独自検証
問わず語り~いつまで続ける西洋医学単一医療
明治7(1874)年、わが国の医師法と医療制度の根源を成す「医制」が発布されて以来、西洋医学を基礎とした体制が150年以上続いています。医師は患者に対して、診断・治療を理由に、各種検査や投薬、手術、放射線療法、食事療法などすべてを遂行でき、また、看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者の職務を指示・管理できます。
日本では専門医制度が発展し、資格を取得した医師による診療が行われています。大学病院など「特定機能病院」では極端に専門化し、高度医療の提供を開始しましたが、逆に専門領域以外の病気は診なくなりました。例えば、血液のがん患者が高血圧症を合併した場合は循環器の専門家に紹介します。肝機能の数値が高ければ肝臓の専門家に回します。このように患者は院内の他科に紹介されます。そして、その都度検査や薬が処方されます。日本の医療の基本は検査と薬物治療です。専門及び総合病院にはからだ全体を診る医師(総合診療医)は少ないので、患者は専門の各科または他の病院へ移動します。
そして、やがて患者は各診療科の専門医から処方された多くの薬の副作用とその複合作用でどんどん衰弱、がんは転移、さらに、さまざまな検査(とくにCTやレントゲン検査などによる酸化ストレス)と心身疲弊で免疫力が低下、全身のバランス、生体リズム・恒常性が崩れた段階で手遅れ、手の施しようがなく、両手を挙げる如く、お手上げとなりかねません。しかし、総合診療医制など、現代医療が抱えている多くの問題を検証し、抜本的な改革をすれば手遅れにならず、手当てできるようになるでしょう。
米国では1990年を境にがん死亡率は低下しています。そして、さまざまな医療改革(代替・補完療法(CAM)や食事療法を取入れ、1991年、日本の厚生労働省に当たる行政機関に代替医療局(現在は公衆衛生局)を設置し、1998年には国立補完代替医療センター(NCCAM)を開設した)によって、西洋医学に伝統医学、代替・補完療法などを加えた統合医療が行われています。しかし日本では公衆衛生の部署すら無く、がんの死亡率は今も増え続けています。
そこで、日本医療の進化を図るために、現代医学が抱えている多くの問題の中から抜本的な改革が必要と思われる以下の4章,15項目について独自検証しました。
第1章.代替・補完医療と統合医療の進展(①いつまで続ける医師主体の医療,②西洋医学一辺倒の日本の医療,③米国が国立補完代替医療研究センター開設,④薬物依存治療偏重の是非,⑤医師の診察のあり方を問う,⑥大学医学部のカリキュラムの見直し,⑦がん死亡率が減少しない)。第2章.総合診療の拡充を期待(①総合診療を行う医師が少ない,②何故、総合診療医が育たない)。第3章.我が国の医療進化を期待(①医療機関のあり方,②医師の数と家庭医が足りない,③厚生労働省医政局への期待)。第4章.その他の諸問題(①永遠と続く安楽死問題,②臓器移植の停滞,③医師の偏在対策)
内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月23日掲載、2025年11月11日更新)
PDF:日本の医療を独自検証2
明治7(1874)年、わが国の医師法と医療制度の根源を成す「医制」が発布されて以来、西洋医学を基礎とした体制が150年以上続いています。医師は患者に対して、診断・治療を理由に、各種検査や投薬、手術、放射線療法、食事療法などすべてを遂行でき、また、看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者の職務を指示・管理できます。
日本では専門医制度が発展し、資格を取得した医師による診療が行われています。大学病院など「特定機能病院」では極端に専門化し、高度医療の提供を開始しましたが、逆に専門領域以外の病気は診なくなりました。例えば、血液のがん患者が高血圧症を合併した場合は循環器の専門家に紹介します。肝機能の数値が高ければ肝臓の専門家に回します。このように患者は院内の他科に紹介されます。そして、その都度検査や薬が処方されます。日本の医療の基本は検査と薬物治療です。専門及び総合病院にはからだ全体を診る医師(総合診療医)は少ないので、患者は専門の各科または他の病院へ移動します。
そして、やがて患者は各診療科の専門医から処方された多くの薬の副作用とその複合作用でどんどん衰弱、がんは転移、さらに、さまざまな検査(とくにCTやレントゲン検査などによる酸化ストレス)と心身疲弊で免疫力が低下、全身のバランス、生体リズム・恒常性が崩れた段階で手遅れ、手の施しようがなく、両手を挙げる如く、お手上げとなりかねません。しかし、総合診療医制など、現代医療が抱えている多くの問題を検証し、抜本的な改革をすれば手遅れにならず、手当てできるようになるでしょう。
米国では1990年を境にがん死亡率は低下しています。そして、さまざまな医療改革(代替・補完療法(CAM)や食事療法を取入れ、1991年、日本の厚生労働省に当たる行政機関に代替医療局(現在は公衆衛生局)を設置し、1998年には国立補完代替医療センター(NCCAM)を開設した)によって、西洋医学に伝統医学、代替・補完療法などを加えた統合医療が行われています。しかし日本では公衆衛生の部署すら無く、がんの死亡率は今も増え続けています。
そこで、日本医療の進化を図るために、現代医学が抱えている多くの問題の中から抜本的な改革が必要と思われる以下の4章,15項目について独自検証しました。
第1章.代替・補完医療と統合医療の進展(①いつまで続ける医師主体の医療,②西洋医学一辺倒の日本の医療,③米国が国立補完代替医療研究センター開設,④薬物依存治療偏重の是非,⑤医師の診察のあり方を問う,⑥大学医学部のカリキュラムの見直し,⑦がん死亡率が減少しない)。第2章.総合診療の拡充を期待(①総合診療を行う医師が少ない,②何故、総合診療医が育たない)。第3章.我が国の医療進化を期待(①医療機関のあり方,②医師の数と家庭医が足りない,③厚生労働省医政局への期待)。第4章.その他の諸問題(①永遠と続く安楽死問題,②臓器移植の停滞,③医師の偏在対策)
内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月23日掲載、2025年11月11日更新)
PDF:日本の医療を独自検証2
病気と治療9.がん診療連携拠点病院の相談支援強化に期待
某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)には「がん相談支援センター(以下、センターと略)」があり、「がんに関する治療や検査、療養と就労、教育との両立についてなど、さまざまな心配事や不安についてご相談をお受けします」とあります。そこで、早速相談してみました。
内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。
「がん相談支援センター」への期待
厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
また、特定機能病院や日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。
「がん相談支援センター」への期待
厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
また、特定機能病院や日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
病気と治療8.総合病院における「チーム医療」推進を期待
厚生労働省は「チーム医療の推進について(案)」を7つ挙げています。その内の一つ、『チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。』とあります。しかし、私が3度の入院中で経験した現状とは異なっていました。
この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院、医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。
チーム医療への期待
病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院、医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。
チーム医療への期待
病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
2025年10月、新型コロナウイルス感染症が急増している
問わず語り:口腔内を清潔に保って、ウイルスや口腔内細菌による感染を防御‼
1.歯磨きの効果
口腔内には300~700種類の細菌(口腔内フローラ)が存在すると言われます。細菌数は歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、殆ど磨かない人では約1兆個存在すると言われています。菌としてはミュータンス菌、ラクトバチルス菌、ソブリヌス菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、トレポネーマ・デンティコラ菌、タネレラ・フォーサイシア菌など含まれます。これらの菌には虫歯、歯周病、感染性心内膜症、誤嚥性肺炎など様々な疾患との関係が注目されています。私も1月に肺炎になりましたが、原因として誤嚥性肺炎が考えられました。とくに高齢者は誤嚥に十分注意が必要です。口腔内細菌を減らす方法は歯磨き、フロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。
2.うがいの効果
新型コロナウイルス感染が流行っています。5類感染症に移行してから情報が殆どありませんが確実に増えてます。ここでは2つの事例を紹介します。
第1例は、息子がコロナに感染し、症状は倦怠感、発熱(最大39.6℃)、喉の痛み、鼻水、咳が出て病院でコロナと判定されました。翌日、家族全員が同じような症状が出て病院で検査をし、コロナ陽性と診断されました。熱が上がったり下がったりで、3日間安静にし、4日目で熱が下がり元気になりました。5日目からは出勤しています。第2例は、3日前に喉の痛みと微熱位で健康であった人が友人3人とマスク無しで2時間ばかりお喋りした後、病院でコロナと判明、また友人3人もコロナと診断されたとのこと。この2つの事例が1週間でありました。感染者はかなり多いと思います。
今回流行しているのはオミクロンの亜系統の一つでNB.1.8.1(ニンバス)です。症状の特徴は、のどの痛み:74%、発熱:72%、咳・痰:66%、鼻水:40%、頭痛:34%、体の痛み:25%、息苦しさ:16%、倦怠感・だるさ:14%と報告されています。味覚障害などはありません。但し、65歳以上の高齢者、基礎疾患(糖尿病,心疾患,慢性腎臓病,慢性呼吸器疾患)のある方、がんなど免疫機能の低下している方は重症化するリスクが高いため、特に注意が必要です。
現在、インフルエンザとコロナが流行していますが、感染防御として「ぶくぶくうがい」と「がらがらうがい」の二つのうがいを習慣にすると感染が防御されます。外出後や人との会話の後など平時では水道水で十分です。紅茶によるうがいも良いです。緑茶は科学的根拠が不明です。喉に痛みやイガイガする時は“イソジンうがい薬”などが良いです。
近年、飲食店、スーパーなどではアルコール消毒液を置いている店は殆どありません。また、従業員はマスクをしていません。マスク、手洗い、うがいを徹底し、部屋の喚起とアルコール消毒など、感染予防対策をしっかり行い、うつらない、うつさないを徹底した自己管理が大切です。(近藤雅雄、2025年10月7日掲載)
1.歯磨きの効果
口腔内には300~700種類の細菌(口腔内フローラ)が存在すると言われます。細菌数は歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、殆ど磨かない人では約1兆個存在すると言われています。菌としてはミュータンス菌、ラクトバチルス菌、ソブリヌス菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、トレポネーマ・デンティコラ菌、タネレラ・フォーサイシア菌など含まれます。これらの菌には虫歯、歯周病、感染性心内膜症、誤嚥性肺炎など様々な疾患との関係が注目されています。私も1月に肺炎になりましたが、原因として誤嚥性肺炎が考えられました。とくに高齢者は誤嚥に十分注意が必要です。口腔内細菌を減らす方法は歯磨き、フロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。
2.うがいの効果
新型コロナウイルス感染が流行っています。5類感染症に移行してから情報が殆どありませんが確実に増えてます。ここでは2つの事例を紹介します。
第1例は、息子がコロナに感染し、症状は倦怠感、発熱(最大39.6℃)、喉の痛み、鼻水、咳が出て病院でコロナと判定されました。翌日、家族全員が同じような症状が出て病院で検査をし、コロナ陽性と診断されました。熱が上がったり下がったりで、3日間安静にし、4日目で熱が下がり元気になりました。5日目からは出勤しています。第2例は、3日前に喉の痛みと微熱位で健康であった人が友人3人とマスク無しで2時間ばかりお喋りした後、病院でコロナと判明、また友人3人もコロナと診断されたとのこと。この2つの事例が1週間でありました。感染者はかなり多いと思います。
今回流行しているのはオミクロンの亜系統の一つでNB.1.8.1(ニンバス)です。症状の特徴は、のどの痛み:74%、発熱:72%、咳・痰:66%、鼻水:40%、頭痛:34%、体の痛み:25%、息苦しさ:16%、倦怠感・だるさ:14%と報告されています。味覚障害などはありません。但し、65歳以上の高齢者、基礎疾患(糖尿病,心疾患,慢性腎臓病,慢性呼吸器疾患)のある方、がんなど免疫機能の低下している方は重症化するリスクが高いため、特に注意が必要です。
現在、インフルエンザとコロナが流行していますが、感染防御として「ぶくぶくうがい」と「がらがらうがい」の二つのうがいを習慣にすると感染が防御されます。外出後や人との会話の後など平時では水道水で十分です。紅茶によるうがいも良いです。緑茶は科学的根拠が不明です。喉に痛みやイガイガする時は“イソジンうがい薬”などが良いです。
近年、飲食店、スーパーなどではアルコール消毒液を置いている店は殆どありません。また、従業員はマスクをしていません。マスク、手洗い、うがいを徹底し、部屋の喚起とアルコール消毒など、感染予防対策をしっかり行い、うつらない、うつさないを徹底した自己管理が大切です。(近藤雅雄、2025年10月7日掲載)
研究回想4.ALAによる保健・医療・環境・農業研究の回想
1990年代に、コスモ石油株式会社中央研究所の田中徹博士が光合成菌を使い、ポルフィリンの前駆物質δ(5)-アミノレブリン酸(ALA)を製造する「発酵法」を開発してから、ALAの低コスト大量生産が可能となりました。この偉大な発見によって、研究用試薬としてだけでなく、多方面への研究に利用されるようになりました(これまで、ALAの人工合成は回収率が悪く、高価でした、そのためにポルフィリン・ヘムの研究はなかなか進みませんでした)。
2000年代に入り、コスモ石油は5-アミノレブリン酸(ALA)の植物への影響に関する研究を本格的にスタートしています。そして、2004年10月にはALA含有製品製造販売会社が設立され、国内販売に続き海外販売も本格的に展開しています。
同時期、コスモ石油の研究員数名が筆者の職場であった国立健康・栄養研究所にALAのカプセルを持参したので、私はそれを濃度を変えて服用し、自らの血液および尿中のポルフィリン代謝物を測定し、安全性と有効性を確認しました。その後、田中氏と宮成節子氏と3人で新大久保のなまず屋(2008年に閉店)で会食し、さまざまなALAの夢を語ったことを昨日のように覚えています。そして、数年でしたが、健康と病気に関する研究が行われました(下記PDF参照)。
2007年、小生が研究所を退職して大学に移動。翌年、コスモ石油(株)とSBIホールディングス(株)との合弁会社SBIアラプロモ(株)が設立されました。そして、田中氏と河田聡史氏が研究所の場所を探していた時、丁度小生が勤務する東京都市大学の総合研究所内に貸研究室が空いていたことから、ここにALA研究所を開設しました(大学では健康医科学研究室として開設)。そこで、筆者が2002年、国立公衆衛生院を退職した時に自宅の庭に建てた「健康科学研究所」の実験台、ALA測定専用カラム、紫外線照射器、実験器具、ポルフィリン代謝物分析の本、外部研究資金などをALA研究所に寄附し、夢を託しました(これを機に小生の研究所は閉鎖)。そして、田中氏の卓越した研究能力と精力的な企画・運営・指導、そして優秀な研究所スタッフの努力によって、ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといったさまざまな分野で急速に注目されていきました。今では、脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化など、また、健常者に対しては免疫力増強、運動機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されるようになりました。
一方、2011年3月11日の東北の大震災以降、突然、世田谷の大学総合研究所内から神戸に移転しました。その後、SBIファーマ(株)が立ち上がり、研究所は神戸から川崎(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)4F)に移り、組織も大分変わったようです。共に人生をかけた研究でした、頑張って欲しいと願っています。
なお、ALAは指定難病急性ポルフィリン症や鉛中毒の発症時に体内に過剰に蓄積するALAと同じものです。したがって、これらの患者さんの摂取は、事例はありませんが病気が悪化するかもしれません。また、発症に関わるかもしれません。服用は控えてください。
下記PDFにALA研究を回想し、成果の一部をPDFに纏めました。(近藤雅雄、2025年9月15日掲載)
PDF:ALA研究とその成果
2000年代に入り、コスモ石油は5-アミノレブリン酸(ALA)の植物への影響に関する研究を本格的にスタートしています。そして、2004年10月にはALA含有製品製造販売会社が設立され、国内販売に続き海外販売も本格的に展開しています。
同時期、コスモ石油の研究員数名が筆者の職場であった国立健康・栄養研究所にALAのカプセルを持参したので、私はそれを濃度を変えて服用し、自らの血液および尿中のポルフィリン代謝物を測定し、安全性と有効性を確認しました。その後、田中氏と宮成節子氏と3人で新大久保のなまず屋(2008年に閉店)で会食し、さまざまなALAの夢を語ったことを昨日のように覚えています。そして、数年でしたが、健康と病気に関する研究が行われました(下記PDF参照)。
2007年、小生が研究所を退職して大学に移動。翌年、コスモ石油(株)とSBIホールディングス(株)との合弁会社SBIアラプロモ(株)が設立されました。そして、田中氏と河田聡史氏が研究所の場所を探していた時、丁度小生が勤務する東京都市大学の総合研究所内に貸研究室が空いていたことから、ここにALA研究所を開設しました(大学では健康医科学研究室として開設)。そこで、筆者が2002年、国立公衆衛生院を退職した時に自宅の庭に建てた「健康科学研究所」の実験台、ALA測定専用カラム、紫外線照射器、実験器具、ポルフィリン代謝物分析の本、外部研究資金などをALA研究所に寄附し、夢を託しました(これを機に小生の研究所は閉鎖)。そして、田中氏の卓越した研究能力と精力的な企画・運営・指導、そして優秀な研究所スタッフの努力によって、ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといったさまざまな分野で急速に注目されていきました。今では、脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化など、また、健常者に対しては免疫力増強、運動機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されるようになりました。
一方、2011年3月11日の東北の大震災以降、突然、世田谷の大学総合研究所内から神戸に移転しました。その後、SBIファーマ(株)が立ち上がり、研究所は神戸から川崎(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)4F)に移り、組織も大分変わったようです。共に人生をかけた研究でした、頑張って欲しいと願っています。
なお、ALAは指定難病急性ポルフィリン症や鉛中毒の発症時に体内に過剰に蓄積するALAと同じものです。したがって、これらの患者さんの摂取は、事例はありませんが病気が悪化するかもしれません。また、発症に関わるかもしれません。服用は控えてください。
下記PDFにALA研究を回想し、成果の一部をPDFに纏めました。(近藤雅雄、2025年9月15日掲載)
PDF:ALA研究とその成果
ミネラルの健康・栄養:生命維持に必須な元素とその過不足
生命維持に必須なミネラルの基本的概念と生理的意義を理解することを目的として、健康・栄養と食生活および欠乏や過剰などについて纏めました(下記PDF参照)。
生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル
生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。
われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康
PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル
生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。
われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康
PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
研究回想3.研究の道しるべ、持続した発見と社会貢献
教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
研究回想1.私の人生を懸けたポルフィリン症研究への思い
概 要
人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い
人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い
急性ポルフィリン症の精神症状に対する昔の治療法と今
指定難病ポルフィリン症の中で、急性ポルフィリン症は腹痛・嘔吐などの消化器症状で急性発症し、四肢のしびれ・脱力などの末梢神経障害を伴う遺伝性の疾患です。腹痛はほとんど必発で激しいわりに圧痛・デファンスなど他覚的所見に乏しく、イレウスやヒステリーと誤診されることが多いことが報告されています。神経症状は、末梢神経障害がほぼ必発で四肢のしびれ・脱力などからギランバレー症候群などと、また、意識障害・痙攣などの中枢神経症状や不穏・うつ症・せん妄・幻覚など精神症状を来すことから統合失調症と、それぞれ誤診されることが多いことが報告され、その誤診率は平均67%です。私が研究を始めた1970年頃は発症後の致死率は90%以上で、何人かの患者さんは、親は「気がふれて死んだ」と言っていました。国内患者数の70%以上の患者さんを診てきた私はこの「気がふれて」が気になって本症の病因解明、早期診断法、治療法の開発などの研究を行なってきましたが、2000年以降の致死率は0となりました。
一方、統合失調症や双極性障害、急性ポルフィリン症などの精神症状に対する治療法は、1950年代に精神神経安定剤クロルプロマジンが発見されてから大きく変わりました。それ以前は、瀉血療法、水責め療法と旋回椅子療法、発熱療法、インスリン・ショック療法、カルジアゾール痙攣療法から電気痙攣療法など現代では信じられない非科学的で驚くべき身体的療法などが行われていたようです。しかし、この中で、瀉血療法は肝臓に鉄が沈着・蓄積する晩発性皮膚ポルフィリン症などでは鉄除去を目的とした治療として現代でも用いられています。
瀉血療法
瀉血とは患者さんの静脈を切開して血液を抜く「血抜き」で、18世紀以前に行われていた療法です。血液量が減少すれば血圧は下がり、めまい・ふらつき・意識レベル低下などが起こり、大人しくなるのは当然です。似たような療法で大量の下剤や嘔吐剤を飲ませることも行われていました。これは下痢・嘔吐による脱水のため電解質バランスが崩れ、見かけ上大人しくなっただけです。これらの療法は現在行われていません。しかし、瀉血療法はヘモクロマトーシス、慢性C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎や晩発性皮膚ポルフィリン症(肝組織には鉄沈着、脂肪変化、壊死、慢性の炎症性変化および繊維化が見られ、肝硬変および肝細胞癌を起こすことがある)などの鉄過剰症における鉄除去を目的とした有効で安価な方法として適用されています。
過去に精神科で行われていた驚くべきさまざまな治療法が知られていますが、精神疾患はそれほど謎の多い病気であったことを伺い知ることができます。それが、1952年にクロルプロマジンが開発されてから現在に至るまでに新しい向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬が次々と開発され、精神疾患の治療法が大きく変わりました。そして、精神医学は精神薬理学、精神病理学、神経病理学、神経化学、遺伝子学、再生医学など、脳科学の著しい発展により新たな領域へと展開しています。なお、クロルプロマジンは急性ポルフィリン症の疼痛、有痛性のしびれ、不眠などに対する治療薬として広く用いられてきましたが、現在は禁忌薬として分類されています。(近藤雅雄、2025年5月16日掲載)
文 献
1.越智和彦 (1959) 精神分裂病の身体療法と予後について、脳と神経11(9):749-763.
2.天野直二(2015)精神医学における創造性について~歴史を踏まえて~、信州医誌63(1):3-7.
3.近藤雅雄(1995)日本臨牀 特集 ポルフィリン症、日本臨牀社.
4.Solomon H Snyder (1990) 脳と薬物、東京化学同人.
一方、統合失調症や双極性障害、急性ポルフィリン症などの精神症状に対する治療法は、1950年代に精神神経安定剤クロルプロマジンが発見されてから大きく変わりました。それ以前は、瀉血療法、水責め療法と旋回椅子療法、発熱療法、インスリン・ショック療法、カルジアゾール痙攣療法から電気痙攣療法など現代では信じられない非科学的で驚くべき身体的療法などが行われていたようです。しかし、この中で、瀉血療法は肝臓に鉄が沈着・蓄積する晩発性皮膚ポルフィリン症などでは鉄除去を目的とした治療として現代でも用いられています。
瀉血療法
瀉血とは患者さんの静脈を切開して血液を抜く「血抜き」で、18世紀以前に行われていた療法です。血液量が減少すれば血圧は下がり、めまい・ふらつき・意識レベル低下などが起こり、大人しくなるのは当然です。似たような療法で大量の下剤や嘔吐剤を飲ませることも行われていました。これは下痢・嘔吐による脱水のため電解質バランスが崩れ、見かけ上大人しくなっただけです。これらの療法は現在行われていません。しかし、瀉血療法はヘモクロマトーシス、慢性C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎や晩発性皮膚ポルフィリン症(肝組織には鉄沈着、脂肪変化、壊死、慢性の炎症性変化および繊維化が見られ、肝硬変および肝細胞癌を起こすことがある)などの鉄過剰症における鉄除去を目的とした有効で安価な方法として適用されています。
過去に精神科で行われていた驚くべきさまざまな治療法が知られていますが、精神疾患はそれほど謎の多い病気であったことを伺い知ることができます。それが、1952年にクロルプロマジンが開発されてから現在に至るまでに新しい向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬が次々と開発され、精神疾患の治療法が大きく変わりました。そして、精神医学は精神薬理学、精神病理学、神経病理学、神経化学、遺伝子学、再生医学など、脳科学の著しい発展により新たな領域へと展開しています。なお、クロルプロマジンは急性ポルフィリン症の疼痛、有痛性のしびれ、不眠などに対する治療薬として広く用いられてきましたが、現在は禁忌薬として分類されています。(近藤雅雄、2025年5月16日掲載)
文 献
1.越智和彦 (1959) 精神分裂病の身体療法と予後について、脳と神経11(9):749-763.
2.天野直二(2015)精神医学における創造性について~歴史を踏まえて~、信州医誌63(1):3-7.
3.近藤雅雄(1995)日本臨牀 特集 ポルフィリン症、日本臨牀社.
4.Solomon H Snyder (1990) 脳と薬物、東京化学同人.
鉄芽球性貧血の新たなポルフィリン代謝異常の発見と病態解析
鉄芽球性貧血は,血清鉄,フェリチンおよびトランスフェリン飽和度の高値と環状鉄芽球(核周囲に鉄で満たされたミトコンドリアを伴う赤芽球)の存在を特徴とする多様な一群の貧血疾患です。遺伝性鉄芽球性貧血と後天性鉄芽球性貧血に大別されます。最も頻度の高い遺伝性鉄芽球性貧血はX連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA)で、現在までに100種類程度のδ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の変異が確認され指定難病(286)に認定されています。鉄-硫黄クラスター形成不全などによりミトコンドリアでの鉄代謝に異常が生じ、ALAS2活性の著明な低下によるヘム合成不全を起こします。
われわれは鉄芽球性貧血患者46例のポルフィリン代謝について検討しました。その結果、ALAS2活性の低値に対してポルホビリノゲン脱アミノ酵素(PBGD)活性の高値等の酵素異常とポルフィリン代謝物の異常、とくにプロトポルフィリンの増量を世界に先駆けて見出しました。さらに、遊離赤血球プロトポルフィリン(FEP)量が1mg/dl RBC以上を示した4例の患者には指定難病ポルフィリン症(254)の一病型である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)と同様の皮膚の光線過敏症を合併していることを見出しました。
そこで、ALAS2活性の低下にも関わらず、FEPが増量することに注目し、FEP値の変化と他のポルフィリン代謝関連因子、肝機能、血液検査データとの相関関係を追及しました。その結果、FEPとALAS2活性およびフェロキラターゼ活性には有意な相関(p<0.05)が認められました。また、ALAS2活性とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(p<0.01)およびASTとフェリチン、血清鉄(p<0.05)に有意な相関を認めました。さらに、因子分析の結果、FFPの変化が、尿中δ-アミノレブリン酸(ALA)、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン(CP)Ⅰ、CPⅢ、ALAS2活性、網状赤血球数、フェリチン、AST、ALT、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の変化と関連性のあることが明らかとなりました。とくにFEPの変化はフェリチンとMCHの関連性が大きいことが示唆されました。さらに、ASTやALTにも関連性も見出されたので、ALAS2活性の異常は赤芽球内鉄代謝、肝機能および肝内ポルフィリン代謝との関連性が示唆されました。
さらに、最近ALAS2活性およびFEP量の両者が異常高値を示し、EPPと同様の皮膚光線過敏を診る新しい型の遺伝性ポルフィリン症、X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)が見出されましたが、ALAS2活性の上昇並びに本研究にて示したALAS2活性の減少の両者においてFEPの増量を見ることは興味深く、各種赤血球造血性疾患の病態機序を追及する上で重要な知見と思われます。(論文:近藤雅雄、網中雅仁:ALA-Porphyrin Science 2(1,2)19-26.2013から引用しました)(近藤雅雄、2025年5月11日掲載)
PDF:鉄芽球性貧血とポルフィリン代謝
われわれは鉄芽球性貧血患者46例のポルフィリン代謝について検討しました。その結果、ALAS2活性の低値に対してポルホビリノゲン脱アミノ酵素(PBGD)活性の高値等の酵素異常とポルフィリン代謝物の異常、とくにプロトポルフィリンの増量を世界に先駆けて見出しました。さらに、遊離赤血球プロトポルフィリン(FEP)量が1mg/dl RBC以上を示した4例の患者には指定難病ポルフィリン症(254)の一病型である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)と同様の皮膚の光線過敏症を合併していることを見出しました。
そこで、ALAS2活性の低下にも関わらず、FEPが増量することに注目し、FEP値の変化と他のポルフィリン代謝関連因子、肝機能、血液検査データとの相関関係を追及しました。その結果、FEPとALAS2活性およびフェロキラターゼ活性には有意な相関(p<0.05)が認められました。また、ALAS2活性とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(p<0.01)およびASTとフェリチン、血清鉄(p<0.05)に有意な相関を認めました。さらに、因子分析の結果、FFPの変化が、尿中δ-アミノレブリン酸(ALA)、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン(CP)Ⅰ、CPⅢ、ALAS2活性、網状赤血球数、フェリチン、AST、ALT、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の変化と関連性のあることが明らかとなりました。とくにFEPの変化はフェリチンとMCHの関連性が大きいことが示唆されました。さらに、ASTやALTにも関連性も見出されたので、ALAS2活性の異常は赤芽球内鉄代謝、肝機能および肝内ポルフィリン代謝との関連性が示唆されました。
さらに、最近ALAS2活性およびFEP量の両者が異常高値を示し、EPPと同様の皮膚光線過敏を診る新しい型の遺伝性ポルフィリン症、X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)が見出されましたが、ALAS2活性の上昇並びに本研究にて示したALAS2活性の減少の両者においてFEPの増量を見ることは興味深く、各種赤血球造血性疾患の病態機序を追及する上で重要な知見と思われます。(論文:近藤雅雄、網中雅仁:ALA-Porphyrin Science 2(1,2)19-26.2013から引用しました)(近藤雅雄、2025年5月11日掲載)
PDF:鉄芽球性貧血とポルフィリン代謝
本邦36例目の先天性赤芽球性ポルフィリン症の症例報告
尿中ポルフィリン分析によって確定診断されたCEP
指定難病、ポルフィリン症は急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症に分類されます。先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)は1911年にGüntherによって報告されて以来、世界で約200 例しか報告されていない極めて稀な疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝であり、9病型から成るポルフィリン症の中で最も激烈な皮膚光線過敏症を呈する難治性疾患です。本邦では1920年にはじめて東北で報告されて以来、2010年までに35例しか報告されていません。
CEPはウロポルフィリノゲンⅢ合成酵素遺伝子の異常によって、本酵素の活性が正常の2~20%に減少しているため、生体内では利用されないⅠ型ポルフィリンの過剰生産・蓄積・排泄が起こり、その結果、皮膚症状をはじめとする多彩な症状が出現します。われわれは、高速液体クロマトグラフィーを用いたポルフィン異性体分析法を新規開発し、元慈恵医科大学皮膚科、上出良一教授(現在、ひふのクリニック人形町院長)より皮膚ポルフィリン症が疑われた患者の検査依頼があり、尿中ポルフィリン解析によって、36例目の新たなCEP患者を見出しました。詳細は以下のPDFを参照して下さい。
追記:現在、日本国内の臨床検査会社ではポルフィリンの異性体分析が行われていません。したがって、これら疾患の診断が困難な状況が長年続いています。例えば、Dubin-Johnson症候群では測定5分以内で尿中のコプロポルフィリンの1型とⅢ型異性体の比率が正常と逆転する(文献:近藤雅雄ほか、医学のあゆみ、144(7)631-632,1988)ことから、確定診断が可能ですが、筆者が厚生労働省を退職した2007年以降測定の報告はありません。診断に重要な検査であり、早急な整備が望まれます。(近藤雅雄、2025年5月8日掲載)
PDF:先天性赤芽球性ポルフィリン症症例
指定難病、ポルフィリン症は急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症に分類されます。先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)は1911年にGüntherによって報告されて以来、世界で約200 例しか報告されていない極めて稀な疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝であり、9病型から成るポルフィリン症の中で最も激烈な皮膚光線過敏症を呈する難治性疾患です。本邦では1920年にはじめて東北で報告されて以来、2010年までに35例しか報告されていません。
CEPはウロポルフィリノゲンⅢ合成酵素遺伝子の異常によって、本酵素の活性が正常の2~20%に減少しているため、生体内では利用されないⅠ型ポルフィリンの過剰生産・蓄積・排泄が起こり、その結果、皮膚症状をはじめとする多彩な症状が出現します。われわれは、高速液体クロマトグラフィーを用いたポルフィン異性体分析法を新規開発し、元慈恵医科大学皮膚科、上出良一教授(現在、ひふのクリニック人形町院長)より皮膚ポルフィリン症が疑われた患者の検査依頼があり、尿中ポルフィリン解析によって、36例目の新たなCEP患者を見出しました。詳細は以下のPDFを参照して下さい。
追記:現在、日本国内の臨床検査会社ではポルフィリンの異性体分析が行われていません。したがって、これら疾患の診断が困難な状況が長年続いています。例えば、Dubin-Johnson症候群では測定5分以内で尿中のコプロポルフィリンの1型とⅢ型異性体の比率が正常と逆転する(文献:近藤雅雄ほか、医学のあゆみ、144(7)631-632,1988)ことから、確定診断が可能ですが、筆者が厚生労働省を退職した2007年以降測定の報告はありません。診断に重要な検査であり、早急な整備が望まれます。(近藤雅雄、2025年5月8日掲載)
PDF:先天性赤芽球性ポルフィリン症症例
ポルフィリン代謝を攪乱する多くの無機、有機化学物質
自然界にはV、Ni、Mg、Cu、Zn、Fe、Coなどと結合した金属ポルフィリンが知られています。V、Niポルフィリンはシアノバクテリアから生産されたと推測されている原油中に多く含まれています。
Mgポルフィリンは植物のクロロフィルとして、CoはビタミンB12として、また、Zn、Feはプロトポルフィリンと配位して生体内に存在します。Cuとポルフィリンとの結合も親和性が高く、このような無機元素との関りが深い。
一方で、Pb、Cr、Cd、Sn、As、Hg、Al、Tlなどが体内に侵入すると、それぞれ機序は異なりますが、ポルフィリン代謝系酵素のほとんどがSH酵素であり、その働きを阻害してポルフィリンの代謝異常を引き起こします。したがって、ポルフィリン代謝関連物質の測定は先端産業および工業用に汎用される各種元素の環境および動植物への影響・評価の指標として有用です。
これまでに、Pb、Cr、Cd、Sn、Mn、As、Hg、Al、Tl、Cu、Fe、Ga、In、Sm、Laやフリルフラマイド(AF2)、ダイオキシン、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、セドルミド、カルバマゼピン、フェンスクシミド、DDC、グリセオフルビン(GF)、フェノバルビタール、アリル基含有化合物、放射線、X線、アルコール、トリクロロエチレン、などのポルフィリン代謝系への影響がin vivo、in vitroで明らかになっています。(近藤雅雄、2025年5月6日掲載、2025年9月8日更新)
PDF:元素とポルフィリン代謝
Mgポルフィリンは植物のクロロフィルとして、CoはビタミンB12として、また、Zn、Feはプロトポルフィリンと配位して生体内に存在します。Cuとポルフィリンとの結合も親和性が高く、このような無機元素との関りが深い。
一方で、Pb、Cr、Cd、Sn、As、Hg、Al、Tlなどが体内に侵入すると、それぞれ機序は異なりますが、ポルフィリン代謝系酵素のほとんどがSH酵素であり、その働きを阻害してポルフィリンの代謝異常を引き起こします。したがって、ポルフィリン代謝関連物質の測定は先端産業および工業用に汎用される各種元素の環境および動植物への影響・評価の指標として有用です。
これまでに、Pb、Cr、Cd、Sn、Mn、As、Hg、Al、Tl、Cu、Fe、Ga、In、Sm、Laやフリルフラマイド(AF2)、ダイオキシン、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、セドルミド、カルバマゼピン、フェンスクシミド、DDC、グリセオフルビン(GF)、フェノバルビタール、アリル基含有化合物、放射線、X線、アルコール、トリクロロエチレン、などのポルフィリン代謝系への影響がin vivo、in vitroで明らかになっています。(近藤雅雄、2025年5月6日掲載、2025年9月8日更新)
PDF:元素とポルフィリン代謝
急性ポルフィリン症とジョージⅢ世:Royal Malady(国王の病気)
1968年、Macalpineらは英国のジョージⅢ世(写真1738-1820)の病因追及および血縁調査を行い、近世ヨ-ロッパのスチュワ-ト、ハノ-バ、およびプロシアの三大王家の共通の病状を確認し、国王の病気(Royal Malady)と呼んだ。その病状は激しい腹痛に始まり、便秘、嘔吐、四肢の疼痛と脱力が起こり、さらに頻脈、発汗障害、しわがれ声、視力障害、嚥下障害、不眠症、高い興奮性、めまい、頭痛、振戦、昏迷、そして痙攣が引き続いて起こるという一連の腹部、神経、循環器症状および皮膚光線過敏症など多彩な症状がみられたという。また、これらの症状が不定期に憎悪と寛解を繰り返していたということ、さらに赤色尿の記述から、現在医学の知識に照らしてみると彼らの病気はプロトポルフィリノゲン・オキシダ-ゼ(PPO)の異常症である多様性ポルフィリン症(VP)と推測されます。米国市民革命の原因となった茶税賦課の決定はジョージⅢ世のポルフィリン症の発作中であったと推定されています。欧州では国王・貴族の病気を風刺した演劇が多数知られています。
日本で1997年11月22日(土)に公開された1994年制作の英国の映画、『英国万歳!』(The Madness of King George)を新宿の映画館で見ました。約2時間でしたが、医学的に大変勉強になりました。内容は、18世紀に起きた実話を基に、国王の“ご乱心“をめぐる悲喜こもごもを活写した痛快な作品。錯乱と奇行を繰り返す王様、慌てる側近、王位を狙う皇太子らの騒動が描かれていく。ポルフィリン症は、日本では2015年に指定難病となりました。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
PDF:国王の病気
日本で1997年11月22日(土)に公開された1994年制作の英国の映画、『英国万歳!』(The Madness of King George)を新宿の映画館で見ました。約2時間でしたが、医学的に大変勉強になりました。内容は、18世紀に起きた実話を基に、国王の“ご乱心“をめぐる悲喜こもごもを活写した痛快な作品。錯乱と奇行を繰り返す王様、慌てる側近、王位を狙う皇太子らの騒動が描かれていく。ポルフィリン症は、日本では2015年に指定難病となりました。(近藤雅雄、2025年5月5日掲載)
PDF:国王の病気
赤芽球性プロトポルフィリン(PP)症とX連鎖優性PP症との鑑別
赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)とX連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)は共に骨髄赤芽球細胞内におけるポルフィリン・ヘムの合成障害として、指定難病ポルフィリン症に認定されています。
両者は共に血液中のプロトポルフィリン(PP)の増加が起こり、臨床像もほぼ同じです。いずれも乳幼児期に発症し、日光に曝露すると掻痒感または灼熱感伴う皮膚疼痛を呈する。晩年には胆石が良く見られる。疼痛を伴う光線過敏症を有し水疱形成や瘢痕化を認めない小児および成人ではEPPおよびXLPPを疑う。小児に胆石がみられる場合は,EPPおよびXLPPの鑑別を目的とした検査を行う。
両者の鑑別はヘム合成の最初の赤芽球δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の遺伝子異常があるかどうかによって決まります。そして、酵素活性および生化学診断を行うことによって病態把握が可能です。
1.赤血球中および血漿中のPP測定
赤血球中および血漿中のPP値の上昇が認められれば診断が確定する。また赤血球PPのFP(赤血球遊離プロトポルフィリン)およびZP(亜鉛結合プロトポルフィリン)分画測定を行います。EPPではFPの比率は85%を超えますが、15%超のZPが存在すればXLPPです。
2.酵素活性の測定
骨髄細胞または白血球細胞のミトコンドリア内のヘム合成系酵素活性を測定します。EPPはフェロキラターゼ活性の低下、XLPPはALAS2活性の上昇を確認します。
3.FECHまたはALAS2の遺伝子変異に関する遺伝子検査
赤血球中PPの増加が認められ,また発端者で変異が同定されている場合には遺伝子検査を行い,近親者の潜在的キャリアを同定して早期診断を行います。
(近藤雅雄、2025年5月4日掲載、2025年9月8日更新)
両者は共に血液中のプロトポルフィリン(PP)の増加が起こり、臨床像もほぼ同じです。いずれも乳幼児期に発症し、日光に曝露すると掻痒感または灼熱感伴う皮膚疼痛を呈する。晩年には胆石が良く見られる。疼痛を伴う光線過敏症を有し水疱形成や瘢痕化を認めない小児および成人ではEPPおよびXLPPを疑う。小児に胆石がみられる場合は,EPPおよびXLPPの鑑別を目的とした検査を行う。
両者の鑑別はヘム合成の最初の赤芽球δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の遺伝子異常があるかどうかによって決まります。そして、酵素活性および生化学診断を行うことによって病態把握が可能です。
1.赤血球中および血漿中のPP測定
赤血球中および血漿中のPP値の上昇が認められれば診断が確定する。また赤血球PPのFP(赤血球遊離プロトポルフィリン)およびZP(亜鉛結合プロトポルフィリン)分画測定を行います。EPPではFPの比率は85%を超えますが、15%超のZPが存在すればXLPPです。
2.酵素活性の測定
骨髄細胞または白血球細胞のミトコンドリア内のヘム合成系酵素活性を測定します。EPPはフェロキラターゼ活性の低下、XLPPはALAS2活性の上昇を確認します。
3.FECHまたはALAS2の遺伝子変異に関する遺伝子検査
赤血球中PPの増加が認められ,また発端者で変異が同定されている場合には遺伝子検査を行い,近親者の潜在的キャリアを同定して早期診断を行います。
(近藤雅雄、2025年5月4日掲載、2025年9月8日更新)
ポルフィリン症患者の診断・治療後の無治療経過観察調査結果
ポルフィリン症を「病気の主座がポルフィリン代謝の異常にある一群の疾患」と定義します。ポルフィリン症は希少性および多彩かつ重篤な症状から国際的に注目され、我が国では2015年5月に「指定難病」として認定されました。本症については診断・治療についての報告は多いが、診断・治療後の実態については不明の点が多い。
そこで、遺伝性ポルフィリン症の確定診断・治療後、自宅にて社会生活を送っている患者61名(急性ポルフィリン症:AIP 16例、VP 9例、HCP 2例、分類不明の急性ポルフィリン症(AP)および皮膚ポルフィリン症:EPP 28例、CEP 2例、3例、PCT 1例)の同意を得て、病型別に性、年齢、出身、発症要因、自覚症状、家族歴、身長、体重、血圧、糖尿病、肝臓障害の有無、飲酒、喫煙、日常の食生活および運動習慣等についてのアンケート調査を行い、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が分かりました。
今回の調査によって、ポルフィリン症自体の多彩な他覚症状に加えて、さらに多彩な合併症および自覚症状を有することが分かりました。また、自由意見から、本疾患の障害は診断・治療後においても深刻であり、いつまた発症するのかについての不安、いのちの不安、遺伝の不安、社会復帰の不安、生活の不安、学習環境の不安、人間関係の不安等々、治療後のケアーがいかに重要であるかが理解されました。
以上の結果、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が確認されました。
本研究の内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年5月2日掲載)
PDF:ポルフィリン症患者の治療後の生活調査
そこで、遺伝性ポルフィリン症の確定診断・治療後、自宅にて社会生活を送っている患者61名(急性ポルフィリン症:AIP 16例、VP 9例、HCP 2例、分類不明の急性ポルフィリン症(AP)および皮膚ポルフィリン症:EPP 28例、CEP 2例、3例、PCT 1例)の同意を得て、病型別に性、年齢、出身、発症要因、自覚症状、家族歴、身長、体重、血圧、糖尿病、肝臓障害の有無、飲酒、喫煙、日常の食生活および運動習慣等についてのアンケート調査を行い、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が分かりました。
今回の調査によって、ポルフィリン症自体の多彩な他覚症状に加えて、さらに多彩な合併症および自覚症状を有することが分かりました。また、自由意見から、本疾患の障害は診断・治療後においても深刻であり、いつまた発症するのかについての不安、いのちの不安、遺伝の不安、社会復帰の不安、生活の不安、学習環境の不安、人間関係の不安等々、治療後のケアーがいかに重要であるかが理解されました。
以上の結果、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が確認されました。
本研究の内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年5月2日掲載)
PDF:ポルフィリン症患者の治療後の生活調査
患者発見に対する診断法開発への熱い思いと教育・研究
研究を始めた1970年代、ポルフィリン測定の検査会社はありませんでした。ポルフィリン症の診断は大変遅れ、診断に何年もかかり、または誤診される確率が非常に高く、発症してからの致死率も急性ポルフィリン症の場合には80%を超えていました。
これまで誰も成し遂げなかった、ポルフィリン代謝関連産物(8つの酵素活性とポルフィリン代謝関連物質合計25種類の測定法の開発を行い、1970年代後半、世界に先駆けて血液および尿10µℓ、肝組織10mgや骨髄・皮膚・神経・腎細胞、培養細胞と言った微量生検試料を用いて、生体内に存在する全ポルフィリン類(約20種類あります)をほんの数10分で測定できる自動微量迅速精密分析定量法を、高速液体クロマトグラフィーを用いて開発しました。測定法(検査法、診断法)が完成すると次は診断基準となります。多症例の患者さんが必要となるので、国内からポルフィリン症患者さん並びにその疑いのある人から測定しました。同時に、対照値として、血液、尿、糞便においては健常者を対象とした各種健診時に採血、検便、採尿した試料を集め、年齢・性別に分けてポルフィリン代謝産物や血液中の酵素活性の健常値を決定しました。
1978年~2007年2月の約30年間、「ポルフィリン症の疑い」として、あるいは診断が付かない疾病などの病態解析のためにポルフィリン代謝関連物質の検査依頼があった総検体(試料)数は6,000以上になりました。この内、遺伝性ポルフィリン症として確定鑑別診断したのは、215例でした。
2007年以降、ポルフィリン症の生化学的検査をする研究者はいなくなり、確定診断に必須なポルフィリン代謝関連物質の測定を行う研究・検査機関も殆ど無くなりました。検査は米国に検体を送っているのが現実です。現在、研究者や検査機関は増えることなく、患者の報告数も減少しています。さらに、ポルフィリン症関係の学術図書、論文・記事が急激に少なくなりました。2015年に「指定難病」に承認されたのを機会に、ポルフィリン症研究の研究者および検査機関が増えることを願っています。(近藤雅雄、2025年5月1日掲載)
PDF:患者の立場に立った教育・研究活動
これまで誰も成し遂げなかった、ポルフィリン代謝関連産物(8つの酵素活性とポルフィリン代謝関連物質合計25種類の測定法の開発を行い、1970年代後半、世界に先駆けて血液および尿10µℓ、肝組織10mgや骨髄・皮膚・神経・腎細胞、培養細胞と言った微量生検試料を用いて、生体内に存在する全ポルフィリン類(約20種類あります)をほんの数10分で測定できる自動微量迅速精密分析定量法を、高速液体クロマトグラフィーを用いて開発しました。測定法(検査法、診断法)が完成すると次は診断基準となります。多症例の患者さんが必要となるので、国内からポルフィリン症患者さん並びにその疑いのある人から測定しました。同時に、対照値として、血液、尿、糞便においては健常者を対象とした各種健診時に採血、検便、採尿した試料を集め、年齢・性別に分けてポルフィリン代謝産物や血液中の酵素活性の健常値を決定しました。
1978年~2007年2月の約30年間、「ポルフィリン症の疑い」として、あるいは診断が付かない疾病などの病態解析のためにポルフィリン代謝関連物質の検査依頼があった総検体(試料)数は6,000以上になりました。この内、遺伝性ポルフィリン症として確定鑑別診断したのは、215例でした。
2007年以降、ポルフィリン症の生化学的検査をする研究者はいなくなり、確定診断に必須なポルフィリン代謝関連物質の測定を行う研究・検査機関も殆ど無くなりました。検査は米国に検体を送っているのが現実です。現在、研究者や検査機関は増えることなく、患者の報告数も減少しています。さらに、ポルフィリン症関係の学術図書、論文・記事が急激に少なくなりました。2015年に「指定難病」に承認されたのを機会に、ポルフィリン症研究の研究者および検査機関が増えることを願っています。(近藤雅雄、2025年5月1日掲載)
PDF:患者の立場に立った教育・研究活動
ポルフィリン症患者さんとの病気に関する質疑応答集Q&A
ポルフィリン症は2015年に指定難病として承認されましたが、そこに至るまでの道のりは大変でした。筆者は、1978年から2007年までの30年間に日本人203例及び海外から12例、計215例のポルフィリン症患者を見出し、診断してきました。海外の例では、チュニジアから医師が患者の尿を持って、筆者の研究室(国立公衆衛生院)に来ました。尿中のポルフィリン関連物質を測定し、診断してほしいと言うのです。そこで、目の前で測定し、先天性赤芽球性ポルフィリン症の確定診断を行ったことがあります。データを渡したところ、大変喜んでいましたので、その後、目黒の八芳園で昼食をご馳走し、自家用車で都内を案内しました。翌日、空港まで送り、帰国していきました。
また、国内の患者さんとの思い出は多すぎて尽きません。例えば、博多の先天性赤芽球性ポルフィリン症の患者さんは、生前、東京に出て来ては「私が来た理由は都内の病院巡りをして自分の病気を医師たちに知って欲しい」というので、主な国立病院、都立病院、私立病院、大学病院を一つずつ、身体に無理が無いようにケアーしながら紹介して歩いたことがあります。また、他の同じ病気の患者さんは生前、入院中に千羽鶴を1100羽、織り、送ってくれました。赤芽球性プロトポルフィリン症の患者さんは、生前、入院中に自分の糞便を約2㎏凍結保存して、研究に使ってくださいと看護師さんが運んできたことがあります。とても困りましたが。などなど。
ここでは、ポルフィリン症患者さんの疑問点や不安を解消し、より良い生活を送るための情報を提供するために、患者さんからメールまたはお手紙で頂いた質問内容を個人情報が分からないように、修正して記載しました。
内容は、①ポルフィリン症全般、その他、②急性ポルフィリン症、③皮膚ポルフィリン症に分けて纏めましたので、参考にして下さい。(近藤雅雄、2025年4月30日掲載、2025年9月16日更新)
PDF:ポルフィリン症患者とのQ&A集
また、国内の患者さんとの思い出は多すぎて尽きません。例えば、博多の先天性赤芽球性ポルフィリン症の患者さんは、生前、東京に出て来ては「私が来た理由は都内の病院巡りをして自分の病気を医師たちに知って欲しい」というので、主な国立病院、都立病院、私立病院、大学病院を一つずつ、身体に無理が無いようにケアーしながら紹介して歩いたことがあります。また、他の同じ病気の患者さんは生前、入院中に千羽鶴を1100羽、織り、送ってくれました。赤芽球性プロトポルフィリン症の患者さんは、生前、入院中に自分の糞便を約2㎏凍結保存して、研究に使ってくださいと看護師さんが運んできたことがあります。とても困りましたが。などなど。
ここでは、ポルフィリン症患者さんの疑問点や不安を解消し、より良い生活を送るための情報を提供するために、患者さんからメールまたはお手紙で頂いた質問内容を個人情報が分からないように、修正して記載しました。
内容は、①ポルフィリン症全般、その他、②急性ポルフィリン症、③皮膚ポルフィリン症に分けて纏めましたので、参考にして下さい。(近藤雅雄、2025年4月30日掲載、2025年9月16日更新)
PDF:ポルフィリン症患者とのQ&A集
遺伝性ポルフィリン症患者の発症予防と健康管理・指導
指定難病ポルフィリン症は臨床症状の特徴から急性ポルフィリン症(4病型)と皮膚ポルフィリン症(5病型)に分類され、症状は重症です。ここでは、症状軽減と発症予防を目的に、日常の健康管理について紹介しました。
1.急性ポルフィリン症
急性ポルフィリン症では遺伝的に当該酵素活性が50%以上減少していますが、日常生活に支障はありません。しかし、薬の服用、月経、妊娠・分娩、飢餓、ストレスなどによってヘム利用が高まり、ヘム量が減少すると発症します。したがって、発症を誘発する因子は男性よりも女性の方が圧倒的に多いのです。そこで、健康管理を目的として考えておくべきことは
1)発作の誘発因子 (ストレス、女性の性ホルモンバランスの変化、食事、肝臓に負担をかけるような生活、急性ポルフィリン症を誘発させる生活用品の使用)を除去する。
2)予防策(ストレスに対する予防策、水分や糖質の摂取、女性の問題、薬の問題)を考える。
3)急性発作症状が出たときの対応。
4)妊娠・出産(妊娠・出産、LH-RHアナログ製剤、ピルと避妊)に対する対応。
の4つです。この内容については下記のPDFに纏めました。
2.皮膚ポルフィリン症
患者さんが日常生活習慣で気を付けることは、遮光と体内に蓄積したポルフィリンを尿や便として排泄を促すと良いです。何もしないよりはましです。また、晩発性皮膚ポルフィリン症と赤芽球性プロトポルフィリン症は光以外に誘発因子がある場合は取り除いてください。具体的には下記のPDFに示しましたので参考にして下さい。
急性、皮膚ポルフィリン症の患者さんの発症予防とQOL向上を目指した健康管理として最も重要なことは前向きに生活することです。ピンチもチャンスに変える気分が大切。明るくおおらかに、「前へ」踏み出しましょう。その勇気も大切です。誰か相談できる相手を見つけ、いつでも困ったことがあれば相談することが大切です。一人で悩まないことです。 (近藤雅雄、2025年4月29日掲載)
PDF:ポルフィリン症の健康管理・指導
1.急性ポルフィリン症
急性ポルフィリン症では遺伝的に当該酵素活性が50%以上減少していますが、日常生活に支障はありません。しかし、薬の服用、月経、妊娠・分娩、飢餓、ストレスなどによってヘム利用が高まり、ヘム量が減少すると発症します。したがって、発症を誘発する因子は男性よりも女性の方が圧倒的に多いのです。そこで、健康管理を目的として考えておくべきことは
1)発作の誘発因子 (ストレス、女性の性ホルモンバランスの変化、食事、肝臓に負担をかけるような生活、急性ポルフィリン症を誘発させる生活用品の使用)を除去する。
2)予防策(ストレスに対する予防策、水分や糖質の摂取、女性の問題、薬の問題)を考える。
3)急性発作症状が出たときの対応。
4)妊娠・出産(妊娠・出産、LH-RHアナログ製剤、ピルと避妊)に対する対応。
の4つです。この内容については下記のPDFに纏めました。
2.皮膚ポルフィリン症
患者さんが日常生活習慣で気を付けることは、遮光と体内に蓄積したポルフィリンを尿や便として排泄を促すと良いです。何もしないよりはましです。また、晩発性皮膚ポルフィリン症と赤芽球性プロトポルフィリン症は光以外に誘発因子がある場合は取り除いてください。具体的には下記のPDFに示しましたので参考にして下さい。
急性、皮膚ポルフィリン症の患者さんの発症予防とQOL向上を目指した健康管理として最も重要なことは前向きに生活することです。ピンチもチャンスに変える気分が大切。明るくおおらかに、「前へ」踏み出しましょう。その勇気も大切です。誰か相談できる相手を見つけ、いつでも困ったことがあれば相談することが大切です。一人で悩まないことです。 (近藤雅雄、2025年4月29日掲載)
PDF:ポルフィリン症の健康管理・指導
遺伝性ポルフィリン症の患者把握及び診療体制の問題点
2015年、本疾患は「指定難病」として認定されましたが、以下の問題について検討が必要です。
1.臨床検査室並びに検査機関の不備
ポルフィリン症は研究者の興味や善意で遺伝子検査や診断・治療が行われてきました。これら善意の研究者がいなくても継続的に診断可能な医療(検査)体制の構築を願っています。また、急性ポルフィリン症を含め多くの病型が発症時に赤色尿を診る。しかし、採尿はトイレで行い、トイレの「尿置き場」に提出するので、現代の医療現場では、医師が尿の色を観察することはありません。
2.専門外来の開設
ポルフィリン症の認知度が低く、多数の患者が未診断のまま症状や合併症に悩まされています。診療できる医療機関も少ないことから早急に疾患の啓発と共に診療体制の整備が必要です。
3.薬剤情報の徹底と公開
急性ポルフィリン症は、発症の誘発・増悪因子としての薬剤が重要な位置を占めています。筆者らは1999年「ポルフィリン症と薬剤」について纏めましたが、その後、新薬がどんどん開発されているにもかかわらず、安全性に関する評価研究情報はまったくありません。薬剤の安全性・禁忌などに関する情報を早急に調査し、その結果を的確に伝える手段・システムの整備が望まれています。
4.患者把握の困難性
・稀少疾患であり、症状が多彩であることが診断を困難にしている。
・診断の検査体制が日本にはなく、病型別鑑別診断が困難である。
・症状の多様性から多くの患者が誤診されている可能性が高い。
・未発症の不顕性遺伝子保有者が多く、遺伝性を検査・証明することが困難である。
などの問題があり、個人情報を保護した法律に基づいた患者把握の整備が必要と思われます。詳細は下記PDFに示しました。(近藤雅雄、2025年4月28日掲載)
PDF:ポルフィリン症の診療体制の問題点
1.臨床検査室並びに検査機関の不備
ポルフィリン症は研究者の興味や善意で遺伝子検査や診断・治療が行われてきました。これら善意の研究者がいなくても継続的に診断可能な医療(検査)体制の構築を願っています。また、急性ポルフィリン症を含め多くの病型が発症時に赤色尿を診る。しかし、採尿はトイレで行い、トイレの「尿置き場」に提出するので、現代の医療現場では、医師が尿の色を観察することはありません。
2.専門外来の開設
ポルフィリン症の認知度が低く、多数の患者が未診断のまま症状や合併症に悩まされています。診療できる医療機関も少ないことから早急に疾患の啓発と共に診療体制の整備が必要です。
3.薬剤情報の徹底と公開
急性ポルフィリン症は、発症の誘発・増悪因子としての薬剤が重要な位置を占めています。筆者らは1999年「ポルフィリン症と薬剤」について纏めましたが、その後、新薬がどんどん開発されているにもかかわらず、安全性に関する評価研究情報はまったくありません。薬剤の安全性・禁忌などに関する情報を早急に調査し、その結果を的確に伝える手段・システムの整備が望まれています。
4.患者把握の困難性
・稀少疾患であり、症状が多彩であることが診断を困難にしている。
・診断の検査体制が日本にはなく、病型別鑑別診断が困難である。
・症状の多様性から多くの患者が誤診されている可能性が高い。
・未発症の不顕性遺伝子保有者が多く、遺伝性を検査・証明することが困難である。
などの問題があり、個人情報を保護した法律に基づいた患者把握の整備が必要と思われます。詳細は下記PDFに示しました。(近藤雅雄、2025年4月28日掲載)
PDF:ポルフィリン症の診療体制の問題点



