問わず語り~いつまで続ける西洋医学単一医療
明治7(1874)年、わが国の医師法と医療制度の根源を成す「医制」が発布されて以来、西洋医学を基礎とした体制が150年以上続いています。医師は患者に対して、診断・治療を理由に、各種検査や投薬、手術、放射線療法、食事療法などすべてを遂行でき、また、看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者の職務を指示・管理できます。
日本では専門医制度が発展し、資格を取得した医師による診療が行われています。大学病院など「特定機能病院」では極端に専門化し、高度医療の提供を開始しましたが、逆に専門領域以外の病気は診なくなりました。例えば、血液のがん患者が高血圧症を合併した場合は循環器の専門家に紹介します。肝機能の数値が高ければ肝臓の専門家に回します。このように患者は院内の他科に紹介されます。そして、その都度検査や薬が処方されます。日本の医療の基本は検査と薬物治療です。専門及び総合病院にはからだ全体を診る医師(総合診療医)は少ないので、患者は専門の各科または他の病院へ移動します。
そして、やがて患者は各診療科の専門医から処方された多くの薬の副作用とその複合作用でどんどん衰弱、がんは転移、さらに、さまざまな検査(とくにCTやレントゲン検査などによる酸化ストレス)と心身疲弊で免疫力が低下、全身のバランス、生体リズム・恒常性が崩れた段階で手遅れ、手の施しようがなく、両手を挙げる如く、お手上げとなりかねません。しかし、総合診療医制など、現代医療が抱えている多くの問題を検証し、抜本的な改革をすれば手遅れにならず、手当てできるようになるでしょう。
米国では1990年を境にがん死亡率は低下しています。そして、さまざまな医療改革(代替・補完療法(CAM)や食事療法を取入れ、1991年、日本の厚生労働省に当たる行政機関に代替医療局(現在は公衆衛生局)を設置し、1998年には国立補完代替医療センター(NCCAM)を開設した)によって、西洋医学に伝統医学、代替・補完療法などを加えた統合医療が行われています。しかし日本では公衆衛生の部署すら無く、がんの死亡率は今も増え続けています。
そこで、日本医療の進化を図るために、現代医学が抱えている多くの問題の中から抜本的な改革が必要と思われる以下の4章,15項目について独自検証しました。
第1章.代替・補完医療と統合医療の進展(①いつまで続ける医師主体の医療,②西洋医学一辺倒の日本の医療,③米国が国立補完代替医療研究センター開設,④薬物依存治療偏重の是非,⑤医師の診察のあり方を問う,⑥大学医学部のカリキュラムの見直し,⑦がん死亡率が減少しない)。第2章.総合診療の拡充を期待(①総合診療を行う医師が少ない,②何故、総合診療医が育たない)。第3章.我が国の医療進化を期待(①医療機関のあり方,②医師の数と家庭医が足りない,③厚生労働省医政局への期待)。第4章.その他の諸問題(①永遠と続く安楽死問題,②臓器移植の停滞,③医師の偏在対策)
内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月23日掲載、2025年11月11日更新)
PDF:日本の医療を独自検証2
病気と治療9.がん診療連携拠点病院の相談支援強化に期待
某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)には「がん相談支援センター(以下、センターと略)」があり、「がんに関する治療や検査、療養と就労、教育との両立についてなど、さまざまな心配事や不安についてご相談をお受けします」とあります。そこで、早速相談してみました。
内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。
「がん相談支援センター」への期待
厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
また、特定機能病院や日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。
「がん相談支援センター」への期待
厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
また、特定機能病院や日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
病気と治療8.総合病院における「チーム医療」推進を期待
厚生労働省は「チーム医療の推進について(案)」を7つ挙げています。その内の一つ、『チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。』とあります。しかし、私が3度の入院中で経験した現状とは異なっていました。
この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院、医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。
チーム医療への期待
病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
この健康・栄養資料室「病気と治療7」で述べたように、私が肺炎で大学病院(特定機能病院、医療機能評価機構認定病院)の血液内科に入院した時は主治医や担当医の記載がないまま、6人の病棟医師(内2人が研修医)によって治療が行われました。治療を計画、実行する責任者は誰だか不明です。そして、医師を中心として看護師、薬剤師、理学療法士が治療に関わりましたが、その連携はありませんでした。まず、医師について、末梢神経障害を訴えましたが、残念ながら聞きとめる医師はいませんでした。医師は患者の言葉(ナラティブ)を聞き、治療に当たるのですが、全く基本的なことが行われていないことに驚きです。また、薬の副作用を何度も訴えましたが、担当医師、看護師は対応せず、当直の医師(内分泌内科)が対応しました。
薬剤師については、持病薬を病室に持って来ましたが、副作用との関係を聞いても説明できず、また薬の複合的副作用について説明できる薬剤師はいませんでした。薬を持ってきただけで薬剤管理指導料を取る。また、理学療法士が勝手に病室に3回来ましたが、雑談しただけで、リハビリ指導料を取る。さらに看護師については本資料室「病気と治療5,7」に示したようにチーム医療とは言えない作業でした。これでは、患者の心身をさらに傷つけ、そして高額の医療費による生活の困窮など、明らかな医療過誤です。残念ながら、これが大学病院に限らず、多くの病院の現実と思われます。
チーム医療への期待
病院には患者の立場にたったこころの医療(他者理解、仁愛)を期待します。チーム医療は、安心・安全な高度医療を提供するため、主治医を中心とし、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報や目的、治療法を共有しながら連携を密にし、患者一人ひとりに最適な医療を提供することです。
「チーム医療」によって、患者の心理的・社会的な側面を含めた多面的な支援が可能となり、患者のQOL向上と自然治癒力の向上が期待できます。そのためのリカレント教育(または研修)が必要ですが、患者が安心して、より良い療養生活が送れるようチェック体制の強化、医療環境の充実、ガバナンス強化、情報の共有・連携など、チーム医療の推進、総合的な医療体制の構築・強化を期待します。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)
健康情報14.レーズンの腸内環境改善など9つの健康効果
レーズン中の食物繊維は腸内環境の改善に伴う整腸作用、大腸がんの予防、鉄分は貧血予防、カリウムはむくみ予防・血圧調整、ホウ素はエストロゲン、ビタミンDの活性化による骨粗鬆症の予防、ポリフェノールはアンチエイジング、生活習慣病予防など、多様な健康効果が期待されています。その効果を纏めると、①整腸作用、②貧血予防、③むくみ・高血圧予防、④抗酸化作用、⑤エネルギー補給、⑥美肌効果、⑦骨の健康保持、⑧眼の健康と疲労回復、⑨GI値が低く、食後血糖上昇の抑制(糖尿病の予防)の9つが挙げられます(詳細はPDFを参照)。
レーズン摂取の目安は1日50~60粒程度(30gのレーズン、約97kcal)です。一般的に、高齢になると共に便通が悪くなるようです。私も同じでしたが、毎食後、野菜と15粒前後のレーズンを摂取してから、便通は改善しました。
レーズン中の主な栄養成分を「食品成分表」及び「食品の微量元素含量表」にて調べました。
可食部100g当たり、エネルギー301kcal、たんぱく質2.7g、脂質0.2g、炭水化物80.7g、食物繊維4.1g、ポリフェノール0.4g、ビタミンB群、A,E、ナトリウム12mg、カリウム740mg、カルシウム65mg、マグネシウム31mg、鉄2.3mg、ホウ素0.76mgでした(詳細は下記PDF)。
食品成分の特徴として、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。不溶性は腸に刺激を与えて便通を促し、腸内の有害物質の排泄を促進する効果があります。水溶性は善玉菌のエサとなって腸内環境を整える作用や、最近の研究結果ではレーズンの酒石酸と食物繊維の組合せが、大腸機能と腸内環境改善・健康保持に大きな役割を果たし、結腸がんの予防も示唆されています。
ミネラルについては、カリウムがナトリウムの約62倍と多いため、体内の余分なナトリウムを排出し、ミネラルバランスを整え、むくみや高血圧の予防・改善の効果が伺えます。また、ホウ素(すべての哺乳類に必須な元素であると考えられています)が多く、エストロゲンやビタミンDを活性化することから、骨粗鬆症を抑制し骨を丈夫に保つ働きが示唆されます。
ポリフェノールとしては、エピカテキンやアントシアニンが含まれていますので、加齢や生活習慣病の原因となる活性酸素の除去、疲れ目の改善に役立つと思われます。下記PDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月14日掲載)
PDF:レーズンの主な健康効果
レーズン摂取の目安は1日50~60粒程度(30gのレーズン、約97kcal)です。一般的に、高齢になると共に便通が悪くなるようです。私も同じでしたが、毎食後、野菜と15粒前後のレーズンを摂取してから、便通は改善しました。
レーズン中の主な栄養成分を「食品成分表」及び「食品の微量元素含量表」にて調べました。
可食部100g当たり、エネルギー301kcal、たんぱく質2.7g、脂質0.2g、炭水化物80.7g、食物繊維4.1g、ポリフェノール0.4g、ビタミンB群、A,E、ナトリウム12mg、カリウム740mg、カルシウム65mg、マグネシウム31mg、鉄2.3mg、ホウ素0.76mgでした(詳細は下記PDF)。
食品成分の特徴として、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。不溶性は腸に刺激を与えて便通を促し、腸内の有害物質の排泄を促進する効果があります。水溶性は善玉菌のエサとなって腸内環境を整える作用や、最近の研究結果ではレーズンの酒石酸と食物繊維の組合せが、大腸機能と腸内環境改善・健康保持に大きな役割を果たし、結腸がんの予防も示唆されています。
ミネラルについては、カリウムがナトリウムの約62倍と多いため、体内の余分なナトリウムを排出し、ミネラルバランスを整え、むくみや高血圧の予防・改善の効果が伺えます。また、ホウ素(すべての哺乳類に必須な元素であると考えられています)が多く、エストロゲンやビタミンDを活性化することから、骨粗鬆症を抑制し骨を丈夫に保つ働きが示唆されます。
ポリフェノールとしては、エピカテキンやアントシアニンが含まれていますので、加齢や生活習慣病の原因となる活性酸素の除去、疲れ目の改善に役立つと思われます。下記PDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年10月14日掲載)
PDF:レーズンの主な健康効果
教育回想13.国際鍼灸専門学校を創設し,三療を普及した偉人
海を渡った偉人、鬼木市次郎先生の学園創設と国際貢献
鬼木先生は“あはき”の国際的発展をめざし、世界を渡った偉人として有名です。
盲人文化史年表(1992年)には『鬼木市次郎氏(1912~2007年)の両親はペルー移民。十代で視力が低下し、1928年福岡県立柳川盲学校入学。卒業後、1934年満州に渡って治療院を開業、1946年に帰国。1954年東京で開業。1957年には日本マッサージ学校の創設。1973年、父母の墓参のためペルーへ、これを機に、南米に三療を普及させ、盲人に三療の技術を身に付けさせようと活動を開始。1990年、ブラジルのサンパウロに伯国盲人国際交流教育協会を組織し、1994年鬼木東洋医学専門学校を開校しました。同校には診療所も併設されている。』と記載されています。
また、ニッケイ新聞2007年4月6日付では、『鬼木さんは1990年、サンパウロ市に伯国鬼木東洋医学専門学校を創立し、ブラジルの視覚障害者の職業自立に力を注ぎました。同校は93年に聖州(サンパウロ)教育局の認可を取得。当初は視覚障害者の自立支援を大きな目的としていましたが、現在は健常者も学んでいるそうです。さらに、米国カリフォルニア大学の東洋医学名誉博士、中国鍼灸もぐさ協会の評議員を務めるなど、国際的に広くご活躍されました』とあります。
また、「知られざる日本人 南北アメリカ大陸編 ―世界を舞台に活躍した日本人列伝,2007」(太田宏人著)では野口英世と共に紹介されています(下記PDF参照)。
筑波大学人間総合科学研究科の中田英雄教授は1997年にサンパウロで開催された第10回国際視覚障害者教育会議で鬼木氏と会い、ブラジルでの活躍に対して「鬼木夫妻を駆り立てたものは何なのか、未だに自問している」と述べています。
このように、先生は国内外にて盲人教育に貢献しました。そして、国内では上野に「日本マッサージ学校」を創立、1967年には、はり師、きゅう師を加え、三療体制となりました。1970年、現在の葛飾区立石に移転、国際鍼灸理療学校と改称、1979年には国際鍼灸専門学校と改称し、医療専門課程の専修学校となりました。1987年4月には同区青戸駅前に青戸校舎を建設し、国内外で“あはき”医療の普及に貢献されました。
筆者は1990年、同校の栄養学非常勤講師時代に先生とお会いしましたが、前向きで、アグレッシブながら謙虚で大変立派な医療人でした。そして、先生の後を継いだ理事長、故鬼木和子先生、故鬼木誠一郎先生、そして現在の鬼木縁先生、皆、大変謙虚で立派な人格者です。そして、3つの国家資格(あはき師)取得に向けた素晴しい教育が行われています。皆様との沢山の良きご縁・思い出に感謝します。あはき師、三療を目指す人は多くの超優れた卒業生を輩出した伝統ある学園で、最高の講師陣、教育の質・環境の下、学ぶことができます。また、素晴らしい同窓会があります。(元校長、2025年10月8日掲載)
PDF:知られざる日本人
鬼木先生は“あはき”の国際的発展をめざし、世界を渡った偉人として有名です。
盲人文化史年表(1992年)には『鬼木市次郎氏(1912~2007年)の両親はペルー移民。十代で視力が低下し、1928年福岡県立柳川盲学校入学。卒業後、1934年満州に渡って治療院を開業、1946年に帰国。1954年東京で開業。1957年には日本マッサージ学校の創設。1973年、父母の墓参のためペルーへ、これを機に、南米に三療を普及させ、盲人に三療の技術を身に付けさせようと活動を開始。1990年、ブラジルのサンパウロに伯国盲人国際交流教育協会を組織し、1994年鬼木東洋医学専門学校を開校しました。同校には診療所も併設されている。』と記載されています。
また、ニッケイ新聞2007年4月6日付では、『鬼木さんは1990年、サンパウロ市に伯国鬼木東洋医学専門学校を創立し、ブラジルの視覚障害者の職業自立に力を注ぎました。同校は93年に聖州(サンパウロ)教育局の認可を取得。当初は視覚障害者の自立支援を大きな目的としていましたが、現在は健常者も学んでいるそうです。さらに、米国カリフォルニア大学の東洋医学名誉博士、中国鍼灸もぐさ協会の評議員を務めるなど、国際的に広くご活躍されました』とあります。
また、「知られざる日本人 南北アメリカ大陸編 ―世界を舞台に活躍した日本人列伝,2007」(太田宏人著)では野口英世と共に紹介されています(下記PDF参照)。
筑波大学人間総合科学研究科の中田英雄教授は1997年にサンパウロで開催された第10回国際視覚障害者教育会議で鬼木氏と会い、ブラジルでの活躍に対して「鬼木夫妻を駆り立てたものは何なのか、未だに自問している」と述べています。
このように、先生は国内外にて盲人教育に貢献しました。そして、国内では上野に「日本マッサージ学校」を創立、1967年には、はり師、きゅう師を加え、三療体制となりました。1970年、現在の葛飾区立石に移転、国際鍼灸理療学校と改称、1979年には国際鍼灸専門学校と改称し、医療専門課程の専修学校となりました。1987年4月には同区青戸駅前に青戸校舎を建設し、国内外で“あはき”医療の普及に貢献されました。
筆者は1990年、同校の栄養学非常勤講師時代に先生とお会いしましたが、前向きで、アグレッシブながら謙虚で大変立派な医療人でした。そして、先生の後を継いだ理事長、故鬼木和子先生、故鬼木誠一郎先生、そして現在の鬼木縁先生、皆、大変謙虚で立派な人格者です。そして、3つの国家資格(あはき師)取得に向けた素晴しい教育が行われています。皆様との沢山の良きご縁・思い出に感謝します。あはき師、三療を目指す人は多くの超優れた卒業生を輩出した伝統ある学園で、最高の講師陣、教育の質・環境の下、学ぶことができます。また、素晴らしい同窓会があります。(元校長、2025年10月8日掲載)
PDF:知られざる日本人
2025年10月、新型コロナウイルス感染症が急増している
問わず語り:口腔内を清潔に保って、ウイルスや口腔内細菌による感染を防御‼
1.歯磨きの効果
口腔内には300~700種類の細菌(口腔内フローラ)が存在すると言われます。細菌数は歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、殆ど磨かない人では約1兆個存在すると言われています。菌としてはミュータンス菌、ラクトバチルス菌、ソブリヌス菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、トレポネーマ・デンティコラ菌、タネレラ・フォーサイシア菌など含まれます。これらの菌には虫歯、歯周病、感染性心内膜症、誤嚥性肺炎など様々な疾患との関係が注目されています。私も1月に肺炎になりましたが、原因として誤嚥性肺炎が考えられました。とくに高齢者は誤嚥に十分注意が必要です。口腔内細菌を減らす方法は歯磨き、フロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。
2.うがいの効果
新型コロナウイルス感染が流行っています。5類感染症に移行してから情報が殆どありませんが確実に増えてます。ここでは2つの事例を紹介します。
第1例は、息子がコロナに感染し、症状は倦怠感、発熱(最大39.6℃)、喉の痛み、鼻水、咳が出て病院でコロナと判定されました。翌日、家族全員が同じような症状が出て病院で検査をし、コロナ陽性と診断されました。熱が上がったり下がったりで、3日間安静にし、4日目で熱が下がり元気になりました。5日目からは出勤しています。第2例は、3日前に喉の痛みと微熱位で健康であった人が友人3人とマスク無しで2時間ばかりお喋りした後、病院でコロナと判明、また友人3人もコロナと診断されたとのこと。この2つの事例が1週間でありました。感染者はかなり多いと思います。
今回流行しているのはオミクロンの亜系統の一つでNB.1.8.1(ニンバス)です。症状の特徴は、のどの痛み:74%、発熱:72%、咳・痰:66%、鼻水:40%、頭痛:34%、体の痛み:25%、息苦しさ:16%、倦怠感・だるさ:14%と報告されています。味覚障害などはありません。但し、65歳以上の高齢者、基礎疾患(糖尿病,心疾患,慢性腎臓病,慢性呼吸器疾患)のある方、がんなど免疫機能の低下している方は重症化するリスクが高いため、特に注意が必要です。
現在、インフルエンザとコロナが流行していますが、感染防御として「ぶくぶくうがい」と「がらがらうがい」の二つのうがいを習慣にすると感染が防御されます。外出後や人との会話の後など平時では水道水で十分です。紅茶によるうがいも良いです。緑茶は科学的根拠が不明です。喉に痛みやイガイガする時は“イソジンうがい薬”などが良いです。
近年、飲食店、スーパーなどではアルコール消毒液を置いている店は殆どありません。また、従業員はマスクをしていません。マスク、手洗い、うがいを徹底し、部屋の喚起とアルコール消毒など、感染予防対策をしっかり行い、うつらない、うつさないを徹底した自己管理が大切です。(近藤雅雄、2025年10月7日掲載)
1.歯磨きの効果
口腔内には300~700種類の細菌(口腔内フローラ)が存在すると言われます。細菌数は歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、殆ど磨かない人では約1兆個存在すると言われています。菌としてはミュータンス菌、ラクトバチルス菌、ソブリヌス菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、トレポネーマ・デンティコラ菌、タネレラ・フォーサイシア菌など含まれます。これらの菌には虫歯、歯周病、感染性心内膜症、誤嚥性肺炎など様々な疾患との関係が注目されています。私も1月に肺炎になりましたが、原因として誤嚥性肺炎が考えられました。とくに高齢者は誤嚥に十分注意が必要です。口腔内細菌を減らす方法は歯磨き、フロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。
2.うがいの効果
新型コロナウイルス感染が流行っています。5類感染症に移行してから情報が殆どありませんが確実に増えてます。ここでは2つの事例を紹介します。
第1例は、息子がコロナに感染し、症状は倦怠感、発熱(最大39.6℃)、喉の痛み、鼻水、咳が出て病院でコロナと判定されました。翌日、家族全員が同じような症状が出て病院で検査をし、コロナ陽性と診断されました。熱が上がったり下がったりで、3日間安静にし、4日目で熱が下がり元気になりました。5日目からは出勤しています。第2例は、3日前に喉の痛みと微熱位で健康であった人が友人3人とマスク無しで2時間ばかりお喋りした後、病院でコロナと判明、また友人3人もコロナと診断されたとのこと。この2つの事例が1週間でありました。感染者はかなり多いと思います。
今回流行しているのはオミクロンの亜系統の一つでNB.1.8.1(ニンバス)です。症状の特徴は、のどの痛み:74%、発熱:72%、咳・痰:66%、鼻水:40%、頭痛:34%、体の痛み:25%、息苦しさ:16%、倦怠感・だるさ:14%と報告されています。味覚障害などはありません。但し、65歳以上の高齢者、基礎疾患(糖尿病,心疾患,慢性腎臓病,慢性呼吸器疾患)のある方、がんなど免疫機能の低下している方は重症化するリスクが高いため、特に注意が必要です。
現在、インフルエンザとコロナが流行していますが、感染防御として「ぶくぶくうがい」と「がらがらうがい」の二つのうがいを習慣にすると感染が防御されます。外出後や人との会話の後など平時では水道水で十分です。紅茶によるうがいも良いです。緑茶は科学的根拠が不明です。喉に痛みやイガイガする時は“イソジンうがい薬”などが良いです。
近年、飲食店、スーパーなどではアルコール消毒液を置いている店は殆どありません。また、従業員はマスクをしていません。マスク、手洗い、うがいを徹底し、部屋の喚起とアルコール消毒など、感染予防対策をしっかり行い、うつらない、うつさないを徹底した自己管理が大切です。(近藤雅雄、2025年10月7日掲載)
著書26.絆:明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ
「夢を紡ぐ,夢を繋ぐ」、夢の翼
子どもの頃は、いつも夢で溢れ、ちょっとした不思議なもの・些細なことでも目を見張る感性があり(Sense of wonder)、明日を夢見ていた。
少年期から青春時代にかけては一気に世界が広がり、将来への望みが多くなり、多様な夢を見る夢多き時代でした。しかし、夢の多くが夢で終わり、消えていった。
老人になると、未来への夢を見なくなり塞ぎがちになるが、夢に生きる老人は新鮮に光輝いている。明日を夢見るこころを忘れてはならない。
そして、いきもの大好き家族の夢を紡ぎ、夢を繋ぐことが大切であることを知る。
夢は、こころとからだの健康と繋がっている。健康な人はこころもからだも生き生きとし、次々と夢を描いてはそれを叶えていく。夢は人生だ。
幸福と平和の夢の実現にはただ憧れているだけではなく、強い意志とその翼が必要だ。
夢の翼は、個性であり、知の創造であり、知の結集である。そして、ロマンであり、情熱であり、未来へ飛翔する不滅の力であり、真の勇気であり、愛であり、感謝である。世界の人々が手をつなぎ、平和な多様性のある地球社会がやってくることを夢見る。
夢は人生であり、計画だ。皆が光り輝く夢を見て、教育(今日行くところがある)と教養(今日用事がある)を高め、皆がそれぞれの人生を楽しく前向きに歩んでいく。
そんな「夢を紡ぐ、夢を繋ぐ」“絆”を大切にしたい。
“絆”「わが家系の回想」(明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ)
本書(絆:近藤雅雄編,5人兄弟執筆,A4,92ページ,2021年4月1日出版)は、筆者が生まれ育った「近藤家」の未来への資料として纏めました。執筆した理由は、私たちは一人で生まれ、育ったのではなく、多くの人との関わり、絆があって誕生し、育つということを知って欲しい。そして、自分のルーツを知り、未来に向かって歩む力を身に付けるために。
内容は明治生まれの父と母の生涯、その後を時代ごとに回想しました。父母は名古屋で生まれ、育ち、成長、やがて結婚し、東京で5人の子どもが誕生するまでの誕生期(1904~1949年)、5人の子どもが結婚し、子どもを授かるまでの黎明期(1950~1981年)、父母との永遠の別れと同時に5人の兄弟が成長し、新たな時代への転換となる創生期(1982~1997年)、5人兄弟の子どもが成長、孫が誕生し、次代への引継ぎと「千代の会」結成並びにその発展期(1998~2020年)、そして5人の兄弟すべてが高齢者となると同時に孫が成長、未来への扉が開き、持続可能な時代へと発展・移行を期する持続期(2021年~)として分けて整理しました。
本書が10年後、20年後、50年後も引き継がれ、近藤家のすべての人が高い志、夢をもって新たな時代を担うべく、大きく成長し、社会へ貢献していって欲しいとの思いから纏めました。そして、両親の血を受継ぐすべての人が「いのちの尊さと感謝の気持ちを持って、人間として正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図って欲しいと願っています。また、後継者にはどのような遺伝子を受継いでいるかを知る貴重な資料ともなるでしょう。
そして、地球上のすべての人が光輝く遺伝子をもって生まれてくるのです。その遺伝子が争いごとではなく、正しく教育・醸成され、人類が差別・格差なく、平和で、持続した国際社会の発展と持続した地球環境の保全に貢献することを願っています。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
子どもの頃は、いつも夢で溢れ、ちょっとした不思議なもの・些細なことでも目を見張る感性があり(Sense of wonder)、明日を夢見ていた。
少年期から青春時代にかけては一気に世界が広がり、将来への望みが多くなり、多様な夢を見る夢多き時代でした。しかし、夢の多くが夢で終わり、消えていった。
老人になると、未来への夢を見なくなり塞ぎがちになるが、夢に生きる老人は新鮮に光輝いている。明日を夢見るこころを忘れてはならない。
そして、いきもの大好き家族の夢を紡ぎ、夢を繋ぐことが大切であることを知る。
夢は、こころとからだの健康と繋がっている。健康な人はこころもからだも生き生きとし、次々と夢を描いてはそれを叶えていく。夢は人生だ。
幸福と平和の夢の実現にはただ憧れているだけではなく、強い意志とその翼が必要だ。
夢の翼は、個性であり、知の創造であり、知の結集である。そして、ロマンであり、情熱であり、未来へ飛翔する不滅の力であり、真の勇気であり、愛であり、感謝である。世界の人々が手をつなぎ、平和な多様性のある地球社会がやってくることを夢見る。
夢は人生であり、計画だ。皆が光り輝く夢を見て、教育(今日行くところがある)と教養(今日用事がある)を高め、皆がそれぞれの人生を楽しく前向きに歩んでいく。
そんな「夢を紡ぐ、夢を繋ぐ」“絆”を大切にしたい。
“絆”「わが家系の回想」(明治,大正,昭和,平成,令和,そして未来へ)
本書(絆:近藤雅雄編,5人兄弟執筆,A4,92ページ,2021年4月1日出版)は、筆者が生まれ育った「近藤家」の未来への資料として纏めました。執筆した理由は、私たちは一人で生まれ、育ったのではなく、多くの人との関わり、絆があって誕生し、育つということを知って欲しい。そして、自分のルーツを知り、未来に向かって歩む力を身に付けるために。
内容は明治生まれの父と母の生涯、その後を時代ごとに回想しました。父母は名古屋で生まれ、育ち、成長、やがて結婚し、東京で5人の子どもが誕生するまでの誕生期(1904~1949年)、5人の子どもが結婚し、子どもを授かるまでの黎明期(1950~1981年)、父母との永遠の別れと同時に5人の兄弟が成長し、新たな時代への転換となる創生期(1982~1997年)、5人兄弟の子どもが成長、孫が誕生し、次代への引継ぎと「千代の会」結成並びにその発展期(1998~2020年)、そして5人の兄弟すべてが高齢者となると同時に孫が成長、未来への扉が開き、持続可能な時代へと発展・移行を期する持続期(2021年~)として分けて整理しました。
本書が10年後、20年後、50年後も引き継がれ、近藤家のすべての人が高い志、夢をもって新たな時代を担うべく、大きく成長し、社会へ貢献していって欲しいとの思いから纏めました。そして、両親の血を受継ぐすべての人が「いのちの尊さと感謝の気持ちを持って、人間として正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図って欲しいと願っています。また、後継者にはどのような遺伝子を受継いでいるかを知る貴重な資料ともなるでしょう。
そして、地球上のすべての人が光輝く遺伝子をもって生まれてくるのです。その遺伝子が争いごとではなく、正しく教育・醸成され、人類が差別・格差なく、平和で、持続した国際社会の発展と持続した地球環境の保全に貢献することを願っています。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
教育回想12. 東京都市大学付属小学校、平成24年度卒業式祝辞
2009年4月、学校法人五島育英会は大学から幼稚園までの各学校に「東京都市大学(略称:都市大)」の共通名称を冠し、「東京都市大学グループ」を結成しました。
法人のホームページには「都市大グループの使命は、優れた感性と品性を備え、世界から待望される有為な人材を育てあげていくこと」とあります。そして、「グループのスケールメリットを生かしながら、持続可能な社会発展に貢献し、未来を見すえた国際性に富んだ人材を輩出していきます」とあります。
グループには東京都市大学、東京都市大学等々力中学校・高等学校、東京都市大学付属中学校・付属高等学校、東京都市大学塩尻高等学校、東京都市大学付属小学校、東京都市大学二子幼稚園、そして東急自動車学校があります。私は東京都市大学の人間科学部学教員としてこのグループ誕生を目にし、運営・教育・研究を2015年まで携わりました。大変すばらしい大学であり、グループでした。
在職中に、法人より東京都世田谷区成城にある東京都市大学付属小学校の平成24年度卒業式の祝辞を依頼され、大学学長であり都市大グループの総長の代行として挨拶させていただく機会を得ました。6年間頑張った12歳の卒業式です。出来る限り心に残る祝辞となるよう配慮しました。同時に、同じ生徒数以上の保護者も同席するということで、両者に配慮した祝辞を考えましたが、結局簡単な祝辞に終わってしまいました。内容はPDFに示しましたのでご参照ください。
祝辞を終えて、校長室で談話していた時に、小学校の職員から卒業生の親が私に挨拶をしたいと言っているというので、お会いしました。その人は優等生の父親で、某医科大学病院の医師でした。以前に医師の患者が指定難病、ポルフィリン症の疑いということで検査を依頼され、診断を確定し、報告したことがあったのです。
偶然のことでしたが、医師及びご息女は立派なご家庭で、私は医師及び付属小学校とのご縁に感謝すると共に、患者さんの容態お聞きし、元気でいるということで二重に嬉しかった思い出があります。
この卒業式は、今から12年前のことなので、現在、ご息女は24歳頃と推察します。おそらく、大学院または既に社会人として頑張っていることでしょう。
また、私にとってこの卒業式は、実にさわやかな式で、感謝するひと時でした。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
PDF:東京都市大学付属小学校卒業式祝辞
法人のホームページには「都市大グループの使命は、優れた感性と品性を備え、世界から待望される有為な人材を育てあげていくこと」とあります。そして、「グループのスケールメリットを生かしながら、持続可能な社会発展に貢献し、未来を見すえた国際性に富んだ人材を輩出していきます」とあります。
グループには東京都市大学、東京都市大学等々力中学校・高等学校、東京都市大学付属中学校・付属高等学校、東京都市大学塩尻高等学校、東京都市大学付属小学校、東京都市大学二子幼稚園、そして東急自動車学校があります。私は東京都市大学の人間科学部学教員としてこのグループ誕生を目にし、運営・教育・研究を2015年まで携わりました。大変すばらしい大学であり、グループでした。
在職中に、法人より東京都世田谷区成城にある東京都市大学付属小学校の平成24年度卒業式の祝辞を依頼され、大学学長であり都市大グループの総長の代行として挨拶させていただく機会を得ました。6年間頑張った12歳の卒業式です。出来る限り心に残る祝辞となるよう配慮しました。同時に、同じ生徒数以上の保護者も同席するということで、両者に配慮した祝辞を考えましたが、結局簡単な祝辞に終わってしまいました。内容はPDFに示しましたのでご参照ください。
祝辞を終えて、校長室で談話していた時に、小学校の職員から卒業生の親が私に挨拶をしたいと言っているというので、お会いしました。その人は優等生の父親で、某医科大学病院の医師でした。以前に医師の患者が指定難病、ポルフィリン症の疑いということで検査を依頼され、診断を確定し、報告したことがあったのです。
偶然のことでしたが、医師及びご息女は立派なご家庭で、私は医師及び付属小学校とのご縁に感謝すると共に、患者さんの容態お聞きし、元気でいるということで二重に嬉しかった思い出があります。
この卒業式は、今から12年前のことなので、現在、ご息女は24歳頃と推察します。おそらく、大学院または既に社会人として頑張っていることでしょう。
また、私にとってこの卒業式は、実にさわやかな式で、感謝するひと時でした。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
PDF:東京都市大学付属小学校卒業式祝辞
著書25.子どもの健康、育児に役立つ「子どもの保健」
本書は保育士養成課程を有する東京都市大学人間科学部児童学科(幼稚園教諭及び保育士養成)の講義で用いたテキストです。授業は毎回パワーポイントを用いた記憶に残る、分かり易い授業となるよう心掛け、まとめました。実際の講義テキストにはパワーポイントの画像も掲載しましたが、著作権などの関係で割愛しました。
さて、乳幼児期、児童期、思春期の成長は著しく、この期における環境は発育・発達に大きく影響を及ぼし、心身の健康、さまざまな能力など人生を左右するとても大切な時期です。
本書では、保育士養成のためのテキストとして執筆しました。健全な発育・発達を図る上で重要な保育における子どもの保健の意義と目的、子どもの発育・発達と生活の支援、子どもの食生活と栄養、心身の健康増進の意義とその実践、子どもの病気とその予防対策、事故と安全対策、児童福祉施設における保健対策、母子保健対策と保育について学び、保育の質の向上を目指しました。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを経験し、子どもの保健にも大きな影響を及ぼしました。その後、感染症法上五類に分類されるとともに,学校保健安全法施行規則においても第二種感染症に位置づけられ,出席停止期間も規定されました。しかし、新型コロナに対するmRNAワクチン投与など、予防・治療及び予後にはさまざまな問題があることから、ここではあえて取り上げませんでした。
本書の学習によって、子どもの病気や難病の発症機序、診断・治療、疫学、生活指導などに関する知識が十分身に付くことと思います。前半は、小児期のからだの仕組みとその機能について、すなわち健康を中心に学び、後半は小児期にかかりやすい病気とその予防法や保健行政の実際並びに行政的統計データの読み方を学んで下さい。
講義は90分の授業で、第1講から第30講まで30回です(近藤雅雄著、A4版155頁、2013年4月1日出版)。内容(目次)は下記に示しました。
目次(1~109頁、110~155頁のパワ―ポイントの画像は省略)
第1講 小児保健の意義と目的:1.健康の概念・定義(1)
第2講 健康の概念・定義(1):1.健康の定義、2.健康の考え方、3.健康の今日的課題、4.健康の概念~健康思考(指向、志向、施行)、5.健康の維持と病気の予防、6.健康の増進と減退
第3講 健康の概念・定義(2):1.健康の維持と病気の予防、2.健康成立に向けて
第4講 小児の成長:1.小児の特徴、2.小児の成長、3.身体の計測と発育評価、4.成長に影響を及ぼす因子、5.基本的生活習慣の確立、6.発達の目安
第5講 小児の発達(1):1.脳の発達
第6講 小児の発達(2):2.感覚器の発達
第7講 小児の発達(3):3.運動機能の発達、子供の姿勢、精神発達
第8講 小児の発育発達(1):4.体温調節・排泄・水分調節
第9講 小児の発育発達(2):5.呼吸・循環
第10講 小児の発育発達(3):6.消化・吸収・排泄
第11講 小児の発育発達(4):7.免疫機能~生体防御のしくみ
第12講 小児の発育発達(5):8.睡眠、新生児の特徴
第13~14講 小児の栄養:1.乳幼児栄養の特徴、2.食事摂取基準、3.乳児の栄養、4.離乳、5.幼児栄養(1~5歳、6.学童期の栄養
第15講 日本の食文化と食育~戦後から今日までの食生活の変遷
第16,17講 よく見られる病気と事故(1~2):1.先天異常および先天性代謝異常症
第18,19講 よく見られる病気と事故(3~4):2.感染する病気、1)ウイルスによる病気、2)細菌感染による病気
第20講 よく見られる病気と事故(5):3.呼吸器系の病気、4.循環器系の病気、5.消化器系の病気
第21講 よく見られる病気と事故(6):6.血液の病気と小児がん
第22講 よく見られる病気と事故(7):7.腎臓、泌尿器、性器の病気
第23講 よく見られる病気と事故(8):8.内分泌系の病気、9.アレルギーによる病気
第24講 よく見られる病気と事故(9):10.神経系および精神心理系の病気
第25講 よく見られる病気と事故(10):11.皮膚の病気、12.骨、関節、筋肉の病気
第26講 よく見られる病気と事故(11):13.眼、耳、鼻、口、歯の病気
第27講 よく見られる病気と事故(12):14.子どもの事故
第28講 病気の予防と保健指導
第29講 生活・環境と育児
第30講 小児保健行政
付:発育期から見る子どものからだと病気、マススクリーニングとは、健常人における主要健康数値表、児童憲章
以上です。詳細は以下のPDFを参照してください。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
PDFこどもの保健
さて、乳幼児期、児童期、思春期の成長は著しく、この期における環境は発育・発達に大きく影響を及ぼし、心身の健康、さまざまな能力など人生を左右するとても大切な時期です。
本書では、保育士養成のためのテキストとして執筆しました。健全な発育・発達を図る上で重要な保育における子どもの保健の意義と目的、子どもの発育・発達と生活の支援、子どもの食生活と栄養、心身の健康増進の意義とその実践、子どもの病気とその予防対策、事故と安全対策、児童福祉施設における保健対策、母子保健対策と保育について学び、保育の質の向上を目指しました。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを経験し、子どもの保健にも大きな影響を及ぼしました。その後、感染症法上五類に分類されるとともに,学校保健安全法施行規則においても第二種感染症に位置づけられ,出席停止期間も規定されました。しかし、新型コロナに対するmRNAワクチン投与など、予防・治療及び予後にはさまざまな問題があることから、ここではあえて取り上げませんでした。
本書の学習によって、子どもの病気や難病の発症機序、診断・治療、疫学、生活指導などに関する知識が十分身に付くことと思います。前半は、小児期のからだの仕組みとその機能について、すなわち健康を中心に学び、後半は小児期にかかりやすい病気とその予防法や保健行政の実際並びに行政的統計データの読み方を学んで下さい。
講義は90分の授業で、第1講から第30講まで30回です(近藤雅雄著、A4版155頁、2013年4月1日出版)。内容(目次)は下記に示しました。
目次(1~109頁、110~155頁のパワ―ポイントの画像は省略)
第1講 小児保健の意義と目的:1.健康の概念・定義(1)
第2講 健康の概念・定義(1):1.健康の定義、2.健康の考え方、3.健康の今日的課題、4.健康の概念~健康思考(指向、志向、施行)、5.健康の維持と病気の予防、6.健康の増進と減退
第3講 健康の概念・定義(2):1.健康の維持と病気の予防、2.健康成立に向けて
第4講 小児の成長:1.小児の特徴、2.小児の成長、3.身体の計測と発育評価、4.成長に影響を及ぼす因子、5.基本的生活習慣の確立、6.発達の目安
第5講 小児の発達(1):1.脳の発達
第6講 小児の発達(2):2.感覚器の発達
第7講 小児の発達(3):3.運動機能の発達、子供の姿勢、精神発達
第8講 小児の発育発達(1):4.体温調節・排泄・水分調節
第9講 小児の発育発達(2):5.呼吸・循環
第10講 小児の発育発達(3):6.消化・吸収・排泄
第11講 小児の発育発達(4):7.免疫機能~生体防御のしくみ
第12講 小児の発育発達(5):8.睡眠、新生児の特徴
第13~14講 小児の栄養:1.乳幼児栄養の特徴、2.食事摂取基準、3.乳児の栄養、4.離乳、5.幼児栄養(1~5歳、6.学童期の栄養
第15講 日本の食文化と食育~戦後から今日までの食生活の変遷
第16,17講 よく見られる病気と事故(1~2):1.先天異常および先天性代謝異常症
第18,19講 よく見られる病気と事故(3~4):2.感染する病気、1)ウイルスによる病気、2)細菌感染による病気
第20講 よく見られる病気と事故(5):3.呼吸器系の病気、4.循環器系の病気、5.消化器系の病気
第21講 よく見られる病気と事故(6):6.血液の病気と小児がん
第22講 よく見られる病気と事故(7):7.腎臓、泌尿器、性器の病気
第23講 よく見られる病気と事故(8):8.内分泌系の病気、9.アレルギーによる病気
第24講 よく見られる病気と事故(9):10.神経系および精神心理系の病気
第25講 よく見られる病気と事故(10):11.皮膚の病気、12.骨、関節、筋肉の病気
第26講 よく見られる病気と事故(11):13.眼、耳、鼻、口、歯の病気
第27講 よく見られる病気と事故(12):14.子どもの事故
第28講 病気の予防と保健指導
第29講 生活・環境と育児
第30講 小児保健行政
付:発育期から見る子どものからだと病気、マススクリーニングとは、健常人における主要健康数値表、児童憲章
以上です。詳細は以下のPDFを参照してください。(近藤雅雄、2025年9月23日掲載)
PDFこどもの保健
研究回想4.ALAによる保健・医療・環境・農業研究の回想
1990年代に、コスモ石油株式会社中央研究所の田中徹博士が光合成菌を使い、ポルフィリンの前駆物質δ(5)-アミノレブリン酸(ALA)を製造する「発酵法」を開発してから、ALAの低コスト大量生産が可能となりました。この偉大な発見によって、研究用試薬としてだけでなく、多方面への研究に利用されるようになりました(これまで、ALAの人工合成は回収率が悪く、高価でした、そのためにポルフィリン・ヘムの研究はなかなか進みませんでした)。
2000年代に入り、コスモ石油は5-アミノレブリン酸(ALA)の植物への影響に関する研究を本格的にスタートしています。そして、2004年10月にはALA含有製品製造販売会社が設立され、国内販売に続き海外販売も本格的に展開しています。
同時期、コスモ石油の研究員数名が筆者の職場であった国立健康・栄養研究所にALAのカプセルを持参したので、私はそれを濃度を変えて服用し、自らの血液および尿中のポルフィリン代謝物を測定し、安全性と有効性を確認しました。その後、田中氏と宮成節子氏と3人で新大久保のなまず屋(2008年に閉店)で会食し、さまざまなALAの夢を語ったことを昨日のように覚えています。そして、数年でしたが、健康と病気に関する研究が行われました(下記PDF参照)。
2007年、小生が研究所を退職して大学に移動。翌年、コスモ石油(株)とSBIホールディングス(株)との合弁会社SBIアラプロモ(株)が設立されました。そして、田中氏と河田聡史氏が研究所の場所を探していた時、丁度小生が勤務する東京都市大学の総合研究所内に貸研究室が空いていたことから、ここにALA研究所を開設しました(大学では健康医科学研究室として開設)。そこで、筆者が2002年、国立公衆衛生院を退職した時に自宅の庭に建てた「健康科学研究所」の実験台、ALA測定専用カラム、紫外線照射器、実験器具、ポルフィリン代謝物分析の本、外部研究資金などをALA研究所に寄附し、夢を託しました(これを機に小生の研究所は閉鎖)。そして、田中氏の卓越した研究能力と精力的な企画・運営・指導、そして優秀な研究所スタッフの努力によって、ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといったさまざまな分野で急速に注目されていきました。今では、脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化など、また、健常者に対しては免疫力増強、運動機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されるようになりました。
一方、2011年3月11日の東北の大震災以降、突然、世田谷の大学総合研究所内から神戸に移転しました。その後、SBIファーマ(株)が立ち上がり、研究所は神戸から川崎(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)4F)に移り、組織も大分変わったようです。共に人生をかけた研究でした、頑張って欲しいと願っています。
なお、ALAは指定難病急性ポルフィリン症や鉛中毒の発症時に体内に過剰に蓄積するALAと同じものです。したがって、これらの患者さんの摂取は、事例はありませんが病気が悪化するかもしれません。また、発症に関わるかもしれません。服用は控えてください。
下記PDFにALA研究を回想し、成果の一部をPDFに纏めました。(近藤雅雄、2025年9月15日掲載)
PDF:ALA研究とその成果
2000年代に入り、コスモ石油は5-アミノレブリン酸(ALA)の植物への影響に関する研究を本格的にスタートしています。そして、2004年10月にはALA含有製品製造販売会社が設立され、国内販売に続き海外販売も本格的に展開しています。
同時期、コスモ石油の研究員数名が筆者の職場であった国立健康・栄養研究所にALAのカプセルを持参したので、私はそれを濃度を変えて服用し、自らの血液および尿中のポルフィリン代謝物を測定し、安全性と有効性を確認しました。その後、田中氏と宮成節子氏と3人で新大久保のなまず屋(2008年に閉店)で会食し、さまざまなALAの夢を語ったことを昨日のように覚えています。そして、数年でしたが、健康と病気に関する研究が行われました(下記PDF参照)。
2007年、小生が研究所を退職して大学に移動。翌年、コスモ石油(株)とSBIホールディングス(株)との合弁会社SBIアラプロモ(株)が設立されました。そして、田中氏と河田聡史氏が研究所の場所を探していた時、丁度小生が勤務する東京都市大学の総合研究所内に貸研究室が空いていたことから、ここにALA研究所を開設しました(大学では健康医科学研究室として開設)。そこで、筆者が2002年、国立公衆衛生院を退職した時に自宅の庭に建てた「健康科学研究所」の実験台、ALA測定専用カラム、紫外線照射器、実験器具、ポルフィリン代謝物分析の本、外部研究資金などをALA研究所に寄附し、夢を託しました(これを機に小生の研究所は閉鎖)。そして、田中氏の卓越した研究能力と精力的な企画・運営・指導、そして優秀な研究所スタッフの努力によって、ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといったさまざまな分野で急速に注目されていきました。今では、脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化など、また、健常者に対しては免疫力増強、運動機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されるようになりました。
一方、2011年3月11日の東北の大震災以降、突然、世田谷の大学総合研究所内から神戸に移転しました。その後、SBIファーマ(株)が立ち上がり、研究所は神戸から川崎(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)4F)に移り、組織も大分変わったようです。共に人生をかけた研究でした、頑張って欲しいと願っています。
なお、ALAは指定難病急性ポルフィリン症や鉛中毒の発症時に体内に過剰に蓄積するALAと同じものです。したがって、これらの患者さんの摂取は、事例はありませんが病気が悪化するかもしれません。また、発症に関わるかもしれません。服用は控えてください。
下記PDFにALA研究を回想し、成果の一部をPDFに纏めました。(近藤雅雄、2025年9月15日掲載)
PDF:ALA研究とその成果
教育回想11.あマ指師養成校:素晴らしき長生学園の理念
昭和51(1976)年、大学卒業して2年後、上司から“あん摩マッサージ指圧師養成校(あマ指師師)”「長生学園」にて生理学の非常勤講師の代講を頼まれました。講義は、休日にあたる土曜日です。その年の賞与をすべて医学生理学関係の専門書購入に注ぎ込み、独学にて勉強し、講義用の教科書を作成してから講義を行い、令和5(2023)年の2月まで47年間続きました。人に教えることは、大変勉強になると共に、人体生理学をマスターすることは医学の基本をマスターすることです。この経験によって、生涯、学ぶことに最大の価値を置くこととしました。
27歳時迄に、骨髄赤芽球細胞からヘモグロビン合成に関わる新しいインヒビターの発見、遺伝性ポルフィリン症の酵素異常の発見、鉛中毒の中毒機序の解明など数年間で3つを世界に先駆けて発見し、国際的に注目されるようになり、忙しくなりました。海外や国内の大学、研究機関からの講演、講義などの依頼が急激に増えたましが、時間はいくらでも作ろうと思えばできることを学びました。
教室では、約60名の年齢10代から70代迄の学生が同じ目標を持って学んでいる。学生は伝統療法である長生療術に興味をもって北海道から沖縄まで、日本中から集まって来ます。まさに、人生の縮図で、とても居心地の良い場所でした。
学園で学ぶ長生医学は霊肉救済の精神を基盤として、その教義は仏教の精神を基盤とした霊肉一体の救済の根本教義の基に「脊椎矯正」、「精神療法」、「プラーナ療法」の三位一体によって病気の原因を取り去り、自然治癒力を発揮させ、病気に苦しむ肉体と精神を救うことを、究極の目的としています。これが学園の理念です。
学園は校訓として「感謝」に重きを置いています。したがって、いつ行っても、事務、教員、学生が一体となって明るく、元気です。そして、理事長の思いであった「学生には常に最先端の医療・医学が理解できるように教育したい」との堅い信念から、私も自らの研究を通して最先端の医学(基礎医学、臨床医学)や医療関連資格などを各種医学会や講演会で勉強すると共に、学園を通して、人間として、人のふれ合いの大切さ、命の尊さ、感謝の心を学んでは教育に反映させました。まさに素晴らしき学園です。(2023年3月8日執筆、2025年9月15日更新)
PDF:素晴しき長生学園
27歳時迄に、骨髄赤芽球細胞からヘモグロビン合成に関わる新しいインヒビターの発見、遺伝性ポルフィリン症の酵素異常の発見、鉛中毒の中毒機序の解明など数年間で3つを世界に先駆けて発見し、国際的に注目されるようになり、忙しくなりました。海外や国内の大学、研究機関からの講演、講義などの依頼が急激に増えたましが、時間はいくらでも作ろうと思えばできることを学びました。
教室では、約60名の年齢10代から70代迄の学生が同じ目標を持って学んでいる。学生は伝統療法である長生療術に興味をもって北海道から沖縄まで、日本中から集まって来ます。まさに、人生の縮図で、とても居心地の良い場所でした。
学園で学ぶ長生医学は霊肉救済の精神を基盤として、その教義は仏教の精神を基盤とした霊肉一体の救済の根本教義の基に「脊椎矯正」、「精神療法」、「プラーナ療法」の三位一体によって病気の原因を取り去り、自然治癒力を発揮させ、病気に苦しむ肉体と精神を救うことを、究極の目的としています。これが学園の理念です。
学園は校訓として「感謝」に重きを置いています。したがって、いつ行っても、事務、教員、学生が一体となって明るく、元気です。そして、理事長の思いであった「学生には常に最先端の医療・医学が理解できるように教育したい」との堅い信念から、私も自らの研究を通して最先端の医学(基礎医学、臨床医学)や医療関連資格などを各種医学会や講演会で勉強すると共に、学園を通して、人間として、人のふれ合いの大切さ、命の尊さ、感謝の心を学んでは教育に反映させました。まさに素晴らしき学園です。(2023年3月8日執筆、2025年9月15日更新)
PDF:素晴しき長生学園
ミネラルの健康・栄養:生命維持に必須な元素とその過不足
生命維持に必須なミネラルの基本的概念と生理的意義を理解することを目的として、健康・栄養と食生活および欠乏や過剰などについて纏めました(下記PDF参照)。
生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル
生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。
われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康
PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
生命活動の維持に必須な五大栄養素:糖質,脂質,蛋白質,ビタミン,ミネラル
①熱量素(エネルギー物質アデノシン三リン酸(ATP)の生産材料):糖質,脂質,蛋白質
②構成素(細胞や骨など体を構成する材料):蛋白質,脂質,ミネラル
③調節素(生体物質の代謝調節を行う材料):ビタミン,ミネラル
生命を維持するためには蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が不可欠です。ミネラルは無機質ですが、それ以外は有機質です。ミネラルについては食塩の摂りすぎや鉄の不足、更年期になると骨粗鬆症とカルシウムが話題となりますが、その他の必須ミネラルの過不足についてはあまり注目されていません。
われわれは、健常者170例(年齢30~70歳代、男性62例、女性108例)の中・高齢者の血液中の微量元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて分析した結果、男性ではクロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、女性では亜鉛(Zn)、銅(Cu)、Cr、Mn、ニッケル(Ni)といった生体機能調節に重要な微量元素が加齢とともに減少し、体内微量元素の分布に偏りが生じていることを認めました。Seはグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、Cu、Mn、Znはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の各々抗酸化酵素の構成元素であり、生理活性発現上必須の成分ですから、これら微量元素濃度の低下は中・高齢者の免疫能および抗酸化能低下の原因となるため、老化が促進されます。
また、血中元素と循環・神経・肝および造血機能などの障害による自覚症状が1つまたは複数持つ人との関係では、とくにZn、Cu、Se、Mn量の不足に有意な相関関係を認めました(2025年3月25日掲載の「高齢者のQOL向上と免疫能を高める日本型食生活の解析」参照)。したがってこれらの成分を多く含む食品を持続的に摂取することによって、これら自覚症状の改善が期待されます。
さらに、日常的な運動やスポーツ活動は大量の酸素・エネルギー消費、発汗などによってミネラルや抗酸化物質の必要性が高まります。とくに、スポーツは筋疲労や精神的ストレスなどによって発生する酸化ストレスが多く、そのため、前述した各種ミネラルおよびビタミンA、C、E、B群やポリフェノールなどを含む抗酸化食品および免疫増強食品を積極的に摂取した方が良いでしょう。
健康を維持する上でミネラルの重要性は明白ですが、潜在的に減少している人が多いことが分かりました。しかし、測定は殆どされず、ミネラルの一般検査については今後の課題です。(近藤雅雄、2025年8月5日掲載)
PDF:ミネラルの栄養と健康
PDFの内容:
1.ミネラルの分類と栄養学的機能
2.硬組織とミネラル、食事摂取基準で定められている元素の作用
3.生体機能の調節作用
4.酵素反応の賦活作用
5.鉄代謝と栄養
6.ミネラルの生物学的利用度
7.水・電解質の栄養学的意義
8.参考文献
9.各種ミネラルの作用と摂取異常
10.主な元素の発見歴史と名前の由来
こころとからだの健康(20) 言葉はこころなり~伝えたい言葉
国際社会は未だに悲惨な戦争と地球環境の破壊を繰り返しています。その原因の一つとして人間教育の貧困が挙げられます。
我が国は、「新しい時代を拓く心を育てるために」次世代を育てる心を失う危機、として1998年、中央教育審議会が中間報告、第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう、第2章 もう一度家庭を見直そう、第3章 地域社会の力を生かそう、第4章 心を育てる場として学校を見直そうの4項目からなる答申を出しました。
戦後80年、日本は自由で民主的な国家として、人々が豊かで安心して暮らせる社会を形成し、世界の平和に貢献しようと努力してきました。そして、教育の重要性を掲げ、幼児期、学童期に人間形成の基盤をなすこころの教育として、「さまざまな体験や体感を通して、感謝のこころを持って、生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった、人としての基礎を育む」ことを人間教育の基本として学んでいる。因みに、日本は世界の平和指数(治安・安全性)ランキングでは世界163か国中17位(2024年)でした。
ここでは、私の40年以上にわたる医学・生命科学に関わる教育・研究活動で経験したこころの教育において、学んだことを「次代に伝えたい言葉」として①言葉は人間の原点である、②言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素、③次代に伝えたい言葉、④私の好きな言葉、⑤災害時の言葉と防災、として添付のPDFに綴りました。この中に、1つでもこころに響くものがあれば嬉しいです。(近藤雅雄、2025年7月27日掲載)
こころは言葉によってコロコロ変わるから“こころ”と言う
言葉は人間の原点であり, 人を動かし、国を動かす
言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素である
言葉は人間社会の原点である
言葉を話すのは人間だけである。言葉は人類の発展に大きく貢献し、書物となり永遠と続く。そして、言葉は人を動かし、国を動かす。言葉には力がある。したがって、地球の平和や環境は言葉によって大いに影響を受ける。言葉はこころと連動している。
すなわち、こころは言葉の影響を最も受けやすく、威圧的な言葉、汚い言葉、人の悪口、否定的な言葉を使うのを止め、笑顔で、プラスの言葉を口にしていけば、自分も相手もこころがとても良い状態に安定していき、自分のおかれた状況がたとえどんな状態であっても、次第に好転していくと信じることができる。言葉には魂がある(言霊)。
一つしかないいのちであれば、人生を感謝と喜びに満ち、明るく、おおらかに「前へ」プラス思考で生きる。同様に、一つしかない地球であれば、地球に住む国々が仲良く、感謝と喜びに満ち、地球環境をより良くして行く。このような社会を望んでいます。(2025年7月27日掲載)
PDF:伝えたい言葉
我が国は、「新しい時代を拓く心を育てるために」次世代を育てる心を失う危機、として1998年、中央教育審議会が中間報告、第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう、第2章 もう一度家庭を見直そう、第3章 地域社会の力を生かそう、第4章 心を育てる場として学校を見直そうの4項目からなる答申を出しました。
戦後80年、日本は自由で民主的な国家として、人々が豊かで安心して暮らせる社会を形成し、世界の平和に貢献しようと努力してきました。そして、教育の重要性を掲げ、幼児期、学童期に人間形成の基盤をなすこころの教育として、「さまざまな体験や体感を通して、感謝のこころを持って、生きる力、いのちを大切にするこころ、他者を思いやるこころといった、人としての基礎を育む」ことを人間教育の基本として学んでいる。因みに、日本は世界の平和指数(治安・安全性)ランキングでは世界163か国中17位(2024年)でした。
ここでは、私の40年以上にわたる医学・生命科学に関わる教育・研究活動で経験したこころの教育において、学んだことを「次代に伝えたい言葉」として①言葉は人間の原点である、②言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素、③次代に伝えたい言葉、④私の好きな言葉、⑤災害時の言葉と防災、として添付のPDFに綴りました。この中に、1つでもこころに響くものがあれば嬉しいです。(近藤雅雄、2025年7月27日掲載)
こころは言葉によってコロコロ変わるから“こころ”と言う
言葉は人間の原点であり, 人を動かし、国を動かす
言葉はこころとからだを健康にする最大の栄養素である
言葉は人間社会の原点である
言葉を話すのは人間だけである。言葉は人類の発展に大きく貢献し、書物となり永遠と続く。そして、言葉は人を動かし、国を動かす。言葉には力がある。したがって、地球の平和や環境は言葉によって大いに影響を受ける。言葉はこころと連動している。
すなわち、こころは言葉の影響を最も受けやすく、威圧的な言葉、汚い言葉、人の悪口、否定的な言葉を使うのを止め、笑顔で、プラスの言葉を口にしていけば、自分も相手もこころがとても良い状態に安定していき、自分のおかれた状況がたとえどんな状態であっても、次第に好転していくと信じることができる。言葉には魂がある(言霊)。
一つしかないいのちであれば、人生を感謝と喜びに満ち、明るく、おおらかに「前へ」プラス思考で生きる。同様に、一つしかない地球であれば、地球に住む国々が仲良く、感謝と喜びに満ち、地球環境をより良くして行く。このような社会を望んでいます。(2025年7月27日掲載)
PDF:伝えたい言葉
研究回想3.研究の道しるべ、持続した発見と社会貢献
教育・研究者として、その業績数は学術論文、著書、国際会議講演、国内学術会議講演、招待講演、特別講演、教育講演、依頼論文、学術報告者、特許、競争的研究費の獲得、学位(学士、修士、博士)研究・論文指導、民間企業研究指導、国家及び地方公務員・留学生への教育・研究指導、新聞・雑誌・報道・テレビ・映画等マスメディアへの出演・執筆依頼、教材など、公開された印刷物などは全部で1,500件を超える。
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
学術論文の内、査読付きが238件、その内訳は、英文90件、邦文148件、国際会議論文63件、論文の国際的価値として総インパクトファクター 250以上、引用件数は国内外にておそらく5,000論文前後に至る。査読付きの学術論文は投稿雑誌の編集委員会にて、必ず2名以上の専門家による審査が入り、オリジナリティがあるかどうか、原著論文として適切かどうかなど、厳しく審査される。その結果、reject(却下)か、accept(許可)か、または修正すれば許可する(acceptable、条件付許可)の3つのどれかの判定が著者に送られてくる。したがって、公開された査読付き論文はすべてオリジナリティがある。主な研究成果をPDFに示しました。
学生時代に立てた目標は30歳までに自分の道を見つけることでした。そこで、猛烈に仕事をして、30歳時までに「骨髄δ-アミノレブリン酸(ALA)脱水酵素インヒビターの発見」、「鉛中毒時の酵素異常の発見とその機序の解明」、そして「晩発性皮膚ポルフィリン症の酵素異常の発見」といった世界で初めてを3つ経験しました。いずれも日々の実験の積み重ねから見出した、まったくの偶然の発見でしたが、これが研究者としての自信につながり、何の抵抗もなく、自然と研究者の道を歩むこととなりました。
新しき事を見出すということはonly oneになること、number oneではなくonly one にこだわりました。その一つとして、私が経験したのは最も基本的な測定(分析)技術の開発でした。他の研究者が開発した測定法を基本に戻って再検討するとうまくいかない事があることを見出しました。それは、鉛中毒の生体影響の指標として用いられてきたALA脱水酵素活性の測定法は1955年に開発されて以来、現代まで何の疑問・疑いを持たず世界中の研究者によって利用されてきました。その方法を基本に戻って測定し直すと新たな問題が沢山出てきた。そこで、測定法を新たに開発し、実験するとこれまでの定説と異なった新たな発見が次々と成された。この内容については、昔「生化学若い研究者の会」で特別講演を行い、若手研究者の興味を誘いました。
私は、事を成すにはまず基本に戻って十分に準備をすることが大切で、これが新たな発見に繋がることが多いことを経験しました。気が付けば1,500件以上の業績を出したことは感慨深いことです。21歳時からエネルギーを教育・研究と論文執筆に最大限投入し、1日12時間以上様々な学びの好奇心を持って基礎から応用研究を行なってきました。76歳となった今でも、この「健康・栄養資料室」に論文を書き続けています。学ぶことに最大の価値を置き、新たなonly oneのモノ創りを生涯の仕事として位置付けた自分の人生であり、社会への貢献です。
また、社会貢献の立ち場からは、これまでに学術研究会と学会の創設と運営、学術雑誌の創設と運営、大学新学部の立ち上げ・運営・教育、医療系専門学校の改革・運営・教育、難病の患者会の創設と運営、日本で初めての指定難病制度の立ち上げに関わることができたことは望外の喜びです。(近藤雅雄、2025年7月18日掲載)
PDF:研究の道しるべ、公開された主な研究成果
研究回想2.ポルフィリン研究会の創設と学術雑誌の創刊
1980年、研究者としてスタートした「生化学若い研究者の会」の夏の学校にて、分科会「ヘムの生合成とその代謝調節」のオーガナイザーを行い、その内容を学術報告書として纏めました。その時に、将来ポルフィリンに関する研究会並びに学術専門雑誌を創ることを夢見ましたが、約10年後、夢が叶えられました。この内容については2025年5月21日掲載の「研究回想」と一部重複しますが、ここでは創設の「思い」、規約や組織、患者会との関わりなどを加筆しました。(下記PDF参照)
1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。
2.ポルフィリン誌の創刊
研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)
PDF:ポルフィリン研究会の創設

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1.ポルフィリン研究会創設の思いと経緯
1970年代、衛生学領域では低濃度鉛曝露によって赤血球ポルフィリン代謝の2番目の酵素δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性が鋭敏に減少することから、鉛の生体指標として注目されていました。そこで、順天堂大学医学部衛生学教室千葉百子先生、東京労災病院坂井公先生などと勉強会を発足しました。そして、1986年12月13日に鉛作業者の職業検診時における鉛の曝露指標として赤血球ALAD活性を候補の一つに取り上げ、測定法の検討やその意義について、デ-タの収集や意見交換を行う目的でALAD会が発足、その後、ALAD研究会となりました。
さらに、聖マリアンナ医科大学衛生学教室の工藤吉郎教授、千葉大学医学部衛生学教室平野英男助教授、大道正義講師、明治薬科大学梶原正宏教授等が加わり、ALADだけでなくヘム生合成経路およびその代謝全般に広がり、国立公衆衛生院の浦田郡平先生を代表世話人としてポルフィリン・ヘム研究会、ALAD-ポルフィリン研究会と名前が変わり、1988年7月16日に漸く「ポルフィリン研究会」として定着しました。そして、1991年12月に研究会が全国組織になるまで、順天堂大学、公衆衛生院、聖マリアンナ医科大学で合計14回、研究会を開催しました。研究会は毎回、報告書を刊行すると共に、梶原先生が赤血球プロトポルフィリン標準物質を作成し、順天堂大学、東京労災病院、聖マリアンナ医科大学、そして国立公衆衛生院との4施設共同研究によって鉛作業者の検診に重要な測定法の標準化を行い、発表しました(産業医学34(3):236-242,1992)。
これまでに、ポルフィリンに関連する研究者は医学、薬学、工学、理学、農学、環境学などを専門とする分野と多く、これら他分野の専門家が一つの土俵の上で議論する機会はありませんでした。医学に限っても、血液学、皮膚科学、肝臓学・消化器学、小児科学、神経学、衛生学、病理学、救急医学、臨床代謝学、臨床検査学、診断学など多分野でそれぞれ独自の研究が成されていました。そこで、これら専門分野の境界を取り除き、ポルフィリンという共通物質で議論することからいろいろな研究の連鎖・進展が得られると考え、規約を作成し、全国組織として参加を公表しました。その結果、全国から産官学の研究者が数百名結集し、1991年12月14日にわが国で初めてポルフィリンという化学物質を基に多分野の専門家からなる学術研究組織「ポルフィリン研究会」が創設されました。
その成果の一つとして、多分野の研究者に分担執筆をお願いし、研究会編集による成書、遺伝病・がん・工学応用などへの展開として「ポルフィリン・ヘムの生命科学」を(株)東京化学同人から出版しました(現代化学増刊27、1995年5月10発行) (下写真)。
2.ポルフィリン誌の創刊
研究会発行の学術雑誌「ポルフィリン, Porphyrins」第1号を1992年7月25日に創刊、これを季刊定期刊行物として2011年、第19巻「Porphyrins」まで発行されました。筆者が出版に関わったのは第14巻までで、第15巻からは東京工業大学大学院大倉研究室内に事務局が移動しました。また、2012年からは組織が変わり、「ALA-Porphyrin Science」として第1巻が刊行され、現在に至っています。(近藤雅雄、2025年6月8日掲載)
PDF:ポルフィリン研究会の創設

研究回想1.私の人生を懸けたポルフィリン症研究への思い
概 要
人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い
人生にて、興味を持ち続けた研究テーマは、①生物の根源物質ポルフィリン・ヘムの生合成調節機序に関する研究、②ライフステージにおける栄養素の研究、③環境因子の生体影響およびその指標作成に関する研究、④再生医学に関する研究、そして⑤自然・地球環境に関する研究の5テーマでした。すなわち、人間が生きて行く上で不可欠な「保健」,「医療」,「環境」に関する研究を常に注目してきました。
このうち、①のポルフィリン代謝(ヘム生合成)の調節機序に関する研究を始めたのは学生時代の21歳、1970年です。当時、ポルフィリンの医学およびポルフィリン症研究は散発的な症例報告はあるものの、臨床統計や疫学データがなく、診断のための検査法、診断基準、発症機序、治療法も未確立でした。しかも希少疾患ということで、医療従事者の間でもほとんど知られていない病気でした。
1980年代、ポルフィリン症の発症および再発の防止、患者のQOL向上と健康寿命の延伸を期して、患者の会「全国ポルフィリン代謝異常症患者の会(さくら友の会)」や学術研究組織「ポルフィリン研究会」を創設しました。研究会では、ポルフィリンに関する研究成果を学術研究論文誌「ポルフィリン,Porphyrins」(国会図書館寄贈)を季刊定期発行雑誌として刊行しました。
そして、本格的に診断法の開発、発症機序解明などの一連の研究活動を行い、1990年代から2000年までには各病型の発症機序、鑑別確定診断法、診断基準、臨床統計などの研究をほぼ完成させました。
そして、2013年には患者会協力のもと、急性ポルフィリン症治療薬の未承認薬「ヘミン製剤」の認可を得、保険適用となり、急性ポルフィリン症の治療の道が広がりました。さらに、2015年、指定難病制度が法律として新たに立ち上がると同時に、ポルフィリン症が指定難病として承認されました。厚生労働省元職員として嬉しく思うと同時にポルフィリン症に対する思いを叶えました。
ここでは、「ポルフィリン症研究への思い」として以下のPDFにまとめました。(近藤雅雄、2025年5月20日掲載)
PDF:ポルフィリン症研究への思い
急性ポルフィリン症の精神症状に対する昔の治療法と今
指定難病ポルフィリン症の中で、急性ポルフィリン症は腹痛・嘔吐などの消化器症状で急性発症し、四肢のしびれ・脱力などの末梢神経障害を伴う遺伝性の疾患です。腹痛はほとんど必発で激しいわりに圧痛・デファンスなど他覚的所見に乏しく、イレウスやヒステリーと誤診されることが多いことが報告されています。神経症状は、末梢神経障害がほぼ必発で四肢のしびれ・脱力などからギランバレー症候群などと、また、意識障害・痙攣などの中枢神経症状や不穏・うつ症・せん妄・幻覚など精神症状を来すことから統合失調症と、それぞれ誤診されることが多いことが報告され、その誤診率は平均67%です。私が研究を始めた1970年頃は発症後の致死率は90%以上で、何人かの患者さんは、親は「気がふれて死んだ」と言っていました。国内患者数の70%以上の患者さんを診てきた私はこの「気がふれて」が気になって本症の病因解明、早期診断法、治療法の開発などの研究を行なってきましたが、2000年以降の致死率は0となりました。
一方、統合失調症や双極性障害、急性ポルフィリン症などの精神症状に対する治療法は、1950年代に精神神経安定剤クロルプロマジンが発見されてから大きく変わりました。それ以前は、瀉血療法、水責め療法と旋回椅子療法、発熱療法、インスリン・ショック療法、カルジアゾール痙攣療法から電気痙攣療法など現代では信じられない非科学的で驚くべき身体的療法などが行われていたようです。しかし、この中で、瀉血療法は肝臓に鉄が沈着・蓄積する晩発性皮膚ポルフィリン症などでは鉄除去を目的とした治療として現代でも用いられています。
瀉血療法
瀉血とは患者さんの静脈を切開して血液を抜く「血抜き」で、18世紀以前に行われていた療法です。血液量が減少すれば血圧は下がり、めまい・ふらつき・意識レベル低下などが起こり、大人しくなるのは当然です。似たような療法で大量の下剤や嘔吐剤を飲ませることも行われていました。これは下痢・嘔吐による脱水のため電解質バランスが崩れ、見かけ上大人しくなっただけです。これらの療法は現在行われていません。しかし、瀉血療法はヘモクロマトーシス、慢性C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎や晩発性皮膚ポルフィリン症(肝組織には鉄沈着、脂肪変化、壊死、慢性の炎症性変化および繊維化が見られ、肝硬変および肝細胞癌を起こすことがある)などの鉄過剰症における鉄除去を目的とした有効で安価な方法として適用されています。
過去に精神科で行われていた驚くべきさまざまな治療法が知られていますが、精神疾患はそれほど謎の多い病気であったことを伺い知ることができます。それが、1952年にクロルプロマジンが開発されてから現在に至るまでに新しい向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬が次々と開発され、精神疾患の治療法が大きく変わりました。そして、精神医学は精神薬理学、精神病理学、神経病理学、神経化学、遺伝子学、再生医学など、脳科学の著しい発展により新たな領域へと展開しています。なお、クロルプロマジンは急性ポルフィリン症の疼痛、有痛性のしびれ、不眠などに対する治療薬として広く用いられてきましたが、現在は禁忌薬として分類されています。(近藤雅雄、2025年5月16日掲載)
文 献
1.越智和彦 (1959) 精神分裂病の身体療法と予後について、脳と神経11(9):749-763.
2.天野直二(2015)精神医学における創造性について~歴史を踏まえて~、信州医誌63(1):3-7.
3.近藤雅雄(1995)日本臨牀 特集 ポルフィリン症、日本臨牀社.
4.Solomon H Snyder (1990) 脳と薬物、東京化学同人.
一方、統合失調症や双極性障害、急性ポルフィリン症などの精神症状に対する治療法は、1950年代に精神神経安定剤クロルプロマジンが発見されてから大きく変わりました。それ以前は、瀉血療法、水責め療法と旋回椅子療法、発熱療法、インスリン・ショック療法、カルジアゾール痙攣療法から電気痙攣療法など現代では信じられない非科学的で驚くべき身体的療法などが行われていたようです。しかし、この中で、瀉血療法は肝臓に鉄が沈着・蓄積する晩発性皮膚ポルフィリン症などでは鉄除去を目的とした治療として現代でも用いられています。
瀉血療法
瀉血とは患者さんの静脈を切開して血液を抜く「血抜き」で、18世紀以前に行われていた療法です。血液量が減少すれば血圧は下がり、めまい・ふらつき・意識レベル低下などが起こり、大人しくなるのは当然です。似たような療法で大量の下剤や嘔吐剤を飲ませることも行われていました。これは下痢・嘔吐による脱水のため電解質バランスが崩れ、見かけ上大人しくなっただけです。これらの療法は現在行われていません。しかし、瀉血療法はヘモクロマトーシス、慢性C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎や晩発性皮膚ポルフィリン症(肝組織には鉄沈着、脂肪変化、壊死、慢性の炎症性変化および繊維化が見られ、肝硬変および肝細胞癌を起こすことがある)などの鉄過剰症における鉄除去を目的とした有効で安価な方法として適用されています。
過去に精神科で行われていた驚くべきさまざまな治療法が知られていますが、精神疾患はそれほど謎の多い病気であったことを伺い知ることができます。それが、1952年にクロルプロマジンが開発されてから現在に至るまでに新しい向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬が次々と開発され、精神疾患の治療法が大きく変わりました。そして、精神医学は精神薬理学、精神病理学、神経病理学、神経化学、遺伝子学、再生医学など、脳科学の著しい発展により新たな領域へと展開しています。なお、クロルプロマジンは急性ポルフィリン症の疼痛、有痛性のしびれ、不眠などに対する治療薬として広く用いられてきましたが、現在は禁忌薬として分類されています。(近藤雅雄、2025年5月16日掲載)
文 献
1.越智和彦 (1959) 精神分裂病の身体療法と予後について、脳と神経11(9):749-763.
2.天野直二(2015)精神医学における創造性について~歴史を踏まえて~、信州医誌63(1):3-7.
3.近藤雅雄(1995)日本臨牀 特集 ポルフィリン症、日本臨牀社.
4.Solomon H Snyder (1990) 脳と薬物、東京化学同人.
鉄芽球性貧血の新たなポルフィリン代謝異常の発見と病態解析
鉄芽球性貧血は,血清鉄,フェリチンおよびトランスフェリン飽和度の高値と環状鉄芽球(核周囲に鉄で満たされたミトコンドリアを伴う赤芽球)の存在を特徴とする多様な一群の貧血疾患です。遺伝性鉄芽球性貧血と後天性鉄芽球性貧血に大別されます。最も頻度の高い遺伝性鉄芽球性貧血はX連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA)で、現在までに100種類程度のδ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の変異が確認され指定難病(286)に認定されています。鉄-硫黄クラスター形成不全などによりミトコンドリアでの鉄代謝に異常が生じ、ALAS2活性の著明な低下によるヘム合成不全を起こします。
われわれは鉄芽球性貧血患者46例のポルフィリン代謝について検討しました。その結果、ALAS2活性の低値に対してポルホビリノゲン脱アミノ酵素(PBGD)活性の高値等の酵素異常とポルフィリン代謝物の異常、とくにプロトポルフィリンの増量を世界に先駆けて見出しました。さらに、遊離赤血球プロトポルフィリン(FEP)量が1mg/dl RBC以上を示した4例の患者には指定難病ポルフィリン症(254)の一病型である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)と同様の皮膚の光線過敏症を合併していることを見出しました。
そこで、ALAS2活性の低下にも関わらず、FEPが増量することに注目し、FEP値の変化と他のポルフィリン代謝関連因子、肝機能、血液検査データとの相関関係を追及しました。その結果、FEPとALAS2活性およびフェロキラターゼ活性には有意な相関(p<0.05)が認められました。また、ALAS2活性とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(p<0.01)およびASTとフェリチン、血清鉄(p<0.05)に有意な相関を認めました。さらに、因子分析の結果、FFPの変化が、尿中δ-アミノレブリン酸(ALA)、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン(CP)Ⅰ、CPⅢ、ALAS2活性、網状赤血球数、フェリチン、AST、ALT、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の変化と関連性のあることが明らかとなりました。とくにFEPの変化はフェリチンとMCHの関連性が大きいことが示唆されました。さらに、ASTやALTにも関連性も見出されたので、ALAS2活性の異常は赤芽球内鉄代謝、肝機能および肝内ポルフィリン代謝との関連性が示唆されました。
さらに、最近ALAS2活性およびFEP量の両者が異常高値を示し、EPPと同様の皮膚光線過敏を診る新しい型の遺伝性ポルフィリン症、X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)が見出されましたが、ALAS2活性の上昇並びに本研究にて示したALAS2活性の減少の両者においてFEPの増量を見ることは興味深く、各種赤血球造血性疾患の病態機序を追及する上で重要な知見と思われます。(論文:近藤雅雄、網中雅仁:ALA-Porphyrin Science 2(1,2)19-26.2013から引用しました)(近藤雅雄、2025年5月11日掲載)
PDF:鉄芽球性貧血とポルフィリン代謝
われわれは鉄芽球性貧血患者46例のポルフィリン代謝について検討しました。その結果、ALAS2活性の低値に対してポルホビリノゲン脱アミノ酵素(PBGD)活性の高値等の酵素異常とポルフィリン代謝物の異常、とくにプロトポルフィリンの増量を世界に先駆けて見出しました。さらに、遊離赤血球プロトポルフィリン(FEP)量が1mg/dl RBC以上を示した4例の患者には指定難病ポルフィリン症(254)の一病型である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)と同様の皮膚の光線過敏症を合併していることを見出しました。
そこで、ALAS2活性の低下にも関わらず、FEPが増量することに注目し、FEP値の変化と他のポルフィリン代謝関連因子、肝機能、血液検査データとの相関関係を追及しました。その結果、FEPとALAS2活性およびフェロキラターゼ活性には有意な相関(p<0.05)が認められました。また、ALAS2活性とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(p<0.01)およびASTとフェリチン、血清鉄(p<0.05)に有意な相関を認めました。さらに、因子分析の結果、FFPの変化が、尿中δ-アミノレブリン酸(ALA)、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン(CP)Ⅰ、CPⅢ、ALAS2活性、網状赤血球数、フェリチン、AST、ALT、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の変化と関連性のあることが明らかとなりました。とくにFEPの変化はフェリチンとMCHの関連性が大きいことが示唆されました。さらに、ASTやALTにも関連性も見出されたので、ALAS2活性の異常は赤芽球内鉄代謝、肝機能および肝内ポルフィリン代謝との関連性が示唆されました。
さらに、最近ALAS2活性およびFEP量の両者が異常高値を示し、EPPと同様の皮膚光線過敏を診る新しい型の遺伝性ポルフィリン症、X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)が見出されましたが、ALAS2活性の上昇並びに本研究にて示したALAS2活性の減少の両者においてFEPの増量を見ることは興味深く、各種赤血球造血性疾患の病態機序を追及する上で重要な知見と思われます。(論文:近藤雅雄、網中雅仁:ALA-Porphyrin Science 2(1,2)19-26.2013から引用しました)(近藤雅雄、2025年5月11日掲載)
PDF:鉄芽球性貧血とポルフィリン代謝
先端素材関連物質のポルフィリン代謝系への影響と評価
先端技術産業の進展は著しく、これら先端技術を支える素材には数多くの物質が検討され、過去にほとんど用いられてこなかった新しい物質が広く利用されるようになりました。とくに、ホウ素族元素化合物はガリウム・ヒ素(GaAs)およびインジウム・ヒ素(InAs)などとして半導体や超伝導物質などとして広く有用されています。さらに希土類元素においてもその特異的な物理化学的特性からその単体および化合物はスマホはじめ先端技術産業における合金、エレクトロニクス、セラミックス、触媒、原子炉材料のほか、磁性や誘導性を利用した超電導物質の素材として、また、医用材料として各種先端機器や人工歯根材料に、さらに、農業用肥料としても広く利用されています。
これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていません。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残ります
そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験を行いました。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認しました。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われました。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝
これら元素のうち、ヒ素の毒性については古くて新しい問題であるが、いまだに健康障害の機序がはっきりしていないし、その生体影響評価指標も確立されていません。また、先端産業において開発・利用される上記元素化合物については、生物・生体影響が殆どわかっていないものが多い。先端産業によって生産される各種製品はヒトが生活習慣的に接触を受け、最終的には生活環境中へ放出されることから、新たな環境問題も引き起こしかねないという危惧が残ります
そこで、これらの各種元素や化合物がポルフィリン代謝酵素に及ぼす影響並びに各元素間の生体内相互作用についてin vivo、in vitroの実験を行いました。その結果、この代謝系が鋭敏に影響を受けることを確認し、生体影響指標となることを確認しました。また、ポルフィリン代謝系の感度は良く、低濃度の生体影響指標として有用と思われました。(近藤雅雄、2025年5月10日掲載)
PDF:先端素材とポルフィリン代謝
本邦36例目の先天性赤芽球性ポルフィリン症の症例報告
尿中ポルフィリン分析によって確定診断されたCEP
指定難病、ポルフィリン症は急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症に分類されます。先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)は1911年にGüntherによって報告されて以来、世界で約200 例しか報告されていない極めて稀な疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝であり、9病型から成るポルフィリン症の中で最も激烈な皮膚光線過敏症を呈する難治性疾患です。本邦では1920年にはじめて東北で報告されて以来、2010年までに35例しか報告されていません。
CEPはウロポルフィリノゲンⅢ合成酵素遺伝子の異常によって、本酵素の活性が正常の2~20%に減少しているため、生体内では利用されないⅠ型ポルフィリンの過剰生産・蓄積・排泄が起こり、その結果、皮膚症状をはじめとする多彩な症状が出現します。われわれは、高速液体クロマトグラフィーを用いたポルフィン異性体分析法を新規開発し、元慈恵医科大学皮膚科、上出良一教授(現在、ひふのクリニック人形町院長)より皮膚ポルフィリン症が疑われた患者の検査依頼があり、尿中ポルフィリン解析によって、36例目の新たなCEP患者を見出しました。詳細は以下のPDFを参照して下さい。
追記:現在、日本国内の臨床検査会社ではポルフィリンの異性体分析が行われていません。したがって、これら疾患の診断が困難な状況が長年続いています。例えば、Dubin-Johnson症候群では測定5分以内で尿中のコプロポルフィリンの1型とⅢ型異性体の比率が正常と逆転する(文献:近藤雅雄ほか、医学のあゆみ、144(7)631-632,1988)ことから、確定診断が可能ですが、筆者が厚生労働省を退職した2007年以降測定の報告はありません。診断に重要な検査であり、早急な整備が望まれます。(近藤雅雄、2025年5月8日掲載)
PDF:先天性赤芽球性ポルフィリン症症例
指定難病、ポルフィリン症は急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症に分類されます。先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)は1911年にGüntherによって報告されて以来、世界で約200 例しか報告されていない極めて稀な疾患です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝であり、9病型から成るポルフィリン症の中で最も激烈な皮膚光線過敏症を呈する難治性疾患です。本邦では1920年にはじめて東北で報告されて以来、2010年までに35例しか報告されていません。
CEPはウロポルフィリノゲンⅢ合成酵素遺伝子の異常によって、本酵素の活性が正常の2~20%に減少しているため、生体内では利用されないⅠ型ポルフィリンの過剰生産・蓄積・排泄が起こり、その結果、皮膚症状をはじめとする多彩な症状が出現します。われわれは、高速液体クロマトグラフィーを用いたポルフィン異性体分析法を新規開発し、元慈恵医科大学皮膚科、上出良一教授(現在、ひふのクリニック人形町院長)より皮膚ポルフィリン症が疑われた患者の検査依頼があり、尿中ポルフィリン解析によって、36例目の新たなCEP患者を見出しました。詳細は以下のPDFを参照して下さい。
追記:現在、日本国内の臨床検査会社ではポルフィリンの異性体分析が行われていません。したがって、これら疾患の診断が困難な状況が長年続いています。例えば、Dubin-Johnson症候群では測定5分以内で尿中のコプロポルフィリンの1型とⅢ型異性体の比率が正常と逆転する(文献:近藤雅雄ほか、医学のあゆみ、144(7)631-632,1988)ことから、確定診断が可能ですが、筆者が厚生労働省を退職した2007年以降測定の報告はありません。診断に重要な検査であり、早急な整備が望まれます。(近藤雅雄、2025年5月8日掲載)
PDF:先天性赤芽球性ポルフィリン症症例



