平成21(2009)年12月,東京都世田谷区は福祉の発展・充実を期して,区内の福祉関連施設や事業所,大学,行政及び区民が自由に参加できる学術団体,「せたがや福祉区民学会(以下,区民学会)」をわが国ではじめて創設しました。その後16年経ち,大学,企業,団体の加盟が増え、産官学(行政・大学・企業)が共同で福祉に関わる諸問題を提起,研究し,その成果を区民に還元する学術組織となりました。創設メンバーの一人として誇りに思います。
1.区民学会設立
区民学会の会員は世田谷区内の福祉施設や事業所で働き,学び,研究する人々で構成されています。目的は、福祉の向上と発展を目指し相互に対等平等な立場で,福祉実践活動の工夫や抱える課題などについて研究を行ない,その成果を発表,討議します。大会は,区内大学の福祉系学部が持ち回りで会場校となり会員と学生ボランティアが一体となって開催する。こうした福祉関係者と住民,学生と行政が一緒になって研究発表する学術会議(学会)は,国内では初めてと思います。そこで、創設時のメンバーの一人として,過去を研究回想しました。
2.区民学会加盟
2009年4月、区内の武蔵工業大学と東横学園女子短期大学が統合され、総合大学として5学部からなる東京都市大学がスタートしました。新設の人間科学部には児童福祉関連の児童学科があり、開設後、世田谷区社会福祉事業団、世田谷区福祉人材育成・研修センターの職員2人が来訪、面会しました。来訪目的は「区民学会」設立に関する同意と施設校としての参加要請でした。職員から学会の主旨、内容についての説明があり、初代会長は自閉症研究の第一人者石井哲夫先生、そして運営委員長が昭和女子大学教授の永山誠先生といった福祉関係の大御所でした。職員の強い熱意と誠意にこころ打たれ、そして地域貢献、社会貢献及び教育の観点から学会設立に同意し、参加することを承諾しました。
3.区民学会の運営と学会開催
学会の運営会議はいつも忙しい時に小田急線成城学園前駅近くにある福祉人材育成・研修センターの研修室Aに午後7時から開催。第1回の運営委員会は10名の委員がそれぞれ福祉の現状と将来を考え、熱心に議論したことを覚えています。当時大学の加盟校は4校(昭和女子大,日大文理,駒大,都市大)でしたので、区民学会の開催頻度は高かったと記憶しています。
開催校を経験して、当時は予算が無く、スタッフはすべてボランテアなので、開催に当たって大学の施設利用許可申請手続きおよび学生の動員が大変でした。また、発表演題も新設校でまだ整わなかった状態でしたが、山岸道子先生ほか沢山の先生方、学生の協力があって何とか開催校としての責務を果たせました。とにかく開催校の負担は大きく、大変であったことを覚えています。しかし、学生への教育、地域貢献、社会貢献と自分に言い聞かせ、無事責任を果たしました。また、学会開催及び運営に多大なるご支援・ご助力・ご協力頂いた区の人材育成・研修センター職員の皆様にはこころより感謝を申し上げたことを思い出します。
おわりに
現在,区民学会は139団体,10大学が加盟し,設立時とは比較にならない程発展しました(詳細は学会ホームページを参照)。そして,世田谷区の福祉政策・行政は科学的根拠に基づいたさまざまな新しい取り組みが行われ,行政機関や福祉関係から注目されているとのことです。福祉関連の仕事に従事している人や学んでいる学生にとっては,世田谷区は働き・学び甲斐のある地域のようです。この様な活動は,地域で学び、地域で育ち、地域の発展に貢献すると言った連鎖が起こります。地域創生が求められる現代,このような活動を考えてはいかがでしょうか。
もはや福祉文化都市となった世田谷区および区民学会の益々の発展と学会関係者各位のご活躍を祈念します。
2025年11月8日、東京都市大学にて第17回大会が開催されました。そこで、下記PDFに13年前に同校で開催された第3回大会の総括を回想しました。(近藤雅雄、2026年5月18日掲載)
PDF:第3回全体総括2012.2.10



