健康情報15.運動により分泌される筋マイオカインの健康効果

 筋肉には骨格筋(横紋筋)、心筋(横紋筋)、内臓や血管の平滑筋の3種類存在する。この中で、骨格筋は体重の約26~36%を占める人体最大の臓器で身体活動を支えている。
  骨格筋には①運動作用、②姿勢保持作用、③熱の発生、④張力の発生、⑤筋ポンプなどの作用がある。しかし、近年、運動によって骨格筋から血液中に分泌される物質、マイオカインが次々と見出されている。いわゆる運動ホルモンで、運動による健康効果として注目されている。

Ⅰ.マイオカインとは
 マイオカインは骨格筋細胞内で生産され血中に分泌される物質の総称で、多くの種類が報告されている。生活習慣によってマイオカインの分泌量に個人差が見られ、日常的によく動く人は「善玉」が多く分泌される。一方、動かない人は「悪玉」が増え、筋の萎縮・老化を速める。つまり、運動(からだを動かすこと)は善玉マイオカインの分泌を促進し、健康を維持する鍵となる。

Ⅱ.マイオカインの主な生理作用
 マイオカインは脳、肝、膵、皮膚、血管、筋、骨、脂肪細胞など、ほぼ全身を標的組織として作用する。その主なものは脂質代謝の改善、白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への変換、内臓脂肪減少、糖代謝の向上、糖尿病の予防、抗炎症作用、脳神経細胞の活性化、海馬の神経細胞新生、学習記憶力強化、認知症予防、食欲抑制、抗がん作用、免疫増強作用、全身エネルギー代謝の調節、血管の健康維持、筋肥大促進、筋増強促進、骨形成、骨粗鬆症予防など多様な効果が報告されている。
 運動による健康増進や生活習慣病、がん、神経変性疾患サルコペニアなど各種疾病の予防、健康と若さを保ちフレイル予防アンチエイジング健康寿命延伸に期待されている。

Ⅲ.マイオカインを増やす生活習慣
マイオカインの分泌に欠かせないのが健康増進の3原則(運動,栄養,休養)。各個人にあった心身のケアを考えたい。
1.運動:運動の種類や強度によって分泌されるマイオカインの種類や量が変わるため、さまざまな種類の運動を行うことを心掛ける。継続的な運動は持続的にマイオカインの分泌を促すため、体力や生活環境に合わせて軽い運動(ウォーキングやストレッチなど)を習慣化すると良い。とくに高齢者ではウォーキングに加え、身体を細目に動かすよう気を配る。
 一方、競技用スポーツや激しい運動(全力のランニングなど)は免疫力低下、筋の疲労、酸化ストレスなどさまざまなリスクがあるので注意する。
 筆者は、下記PDFに記載したように独自の運動を計画的に、楽しく、習慣化している。

2.栄養:筋の維持には、体重1kgにつき1日1g以上(筋量を増やす場合は1.2~1.5g)の蛋白質摂取が推奨され、同時にビタミン、ミネラル、糖質、脂質の5大栄養素をバランス良く摂取するのが基本です。また、酸化ストレスから心身を守るためにポリフェノール、ビタミン、そして牡蠣、レバー、海藻、ナッツ類などに多く含まれている抗酸化ミネラル*(セレン、亜鉛、銅、マンガン、鉄)を含むさまざまな食品摂取に心がけ、楽しく運動後のケアを行う。
*抗酸化ミネラルとは体内に発生した活性酸素を分解するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は亜鉛、銅、マンガン、グルタチオンペルオキシダーゼはセレン、カタラーゼは鉄を、各々構成元素として含むことから、これら必須元素の摂取が注目される。

3.休養:質の高い睡眠と入浴は心身のリフレッシュに有効です。筋線維は運動によって傷つくが、それを修復するには、十分な休息が必要です。アクチンとミオシンという筋フィラメントが修復されれば、より強い筋を得ることができる。(近藤雅雄、2026年5月9日掲載)
詳細は下記PDFを参照して下さい。

PDF:骨格筋運動ホルモン:マイオカイン