某有名私立大学医学部附属病院(大学病院)には「がん相談支援センター(以下、センターと略)」があり、「がんに関する治療や検査、療養と就労、教育との両立についてなど、さまざまな心配事や不安についてご相談をお受けします」とあります。そこで、早速相談してみました。
内容は、自宅療養中に約1週間発熱が続き、外来に電話したが医師がいないため、センターに電話をしました。相談内容は、①治療法について主治医以外の医師の意見を聞きたい、②悪性リンパ腫の患者会の存在、③現在の病状の対応について、の3点です。
電話に出たのは看護師で、医師はいないという。①については、「病院内で他の医師の意見を聞くことはできない。他の病院に行けばよい」ということでした。②については患者会はなく、センターではその実態はわからないという。また、③の現在の病状について、発熱に対する対応については全く相手にされませんでした。外来に電話しても担当の医師がいない。また、主治医とは連絡ができないシステムになっているため、センターに相談したのですが、話を聞いてもらえず、精神的苦痛だけが残りました。がん患者にとっては全く理解できない内容でした。
「がん相談支援センター」への期待
厚生労働省では「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」センターの業務を12項目挙げています。大学病院にはこの項目を基本とした業務の強化を期待します。
センターが患者のために機能していると、患者は安心して在宅療養できます。「がん最前線」の情報を持つ大学病院のセンターが中心となって、患者との意思の疎通を十分に行い、患者からアンケートを取り、統計学的に患者の意見を集約し、チーム医療を引っ張っていくよう期待します。そのためにも組織と業務の改革を行ってほしい。例えば、センター長は病院長の下、副院長として教授相当の人材を配置し、医師・看護師・薬剤師などがんに関わる医療関係者を統括し、患者のための相談支援機能を持った組織にする。さらに医師・看護師などの治療を評価・監督できる機能を持つよう期待します。
また、特定機能病院や日本医療機能評価機構の認定を受けた大学病院ではがん患者のQOL向上と死亡率の減少に繋がるよう日常的な自己点検・評価と第三者による点検・評価、並びに病院間の情報の共有を行い、同時にチーム医療に関わるスタッフの卒後研修ならびにリカレント教育などを徹底して取組んでほしい。(近藤雅雄、2025年10月15日掲載)



