論文「ハルデロポルフィリン症が疑われた症例」の紹介

 ヘム合成経路の第6番目の酵素coproporphyrinogen oxidase (CPO,EC 1.3.3.3)はharderoporphyrinogen (HARDERO)とprotoporphyrinogen (PROTO)の生産を触媒し、ミトコンドリア内膜の間壁に局在する。
 患者は尿中HARDERO が2.14mg/l,糞便中は14.8μg/g dry という、通常健常者では検出されないポルフィリンを大量に排泄し、さらに、尿中uroporphyrin, heptacarboxyl porphyrinと赤血球および糞便PROTOの異常高値を示した。血小板減少症と骨髄異形性症候群(myerodysplastic syndrome, MDS) を合併し、ハルデロポルフィリン症が疑われた。しかし、晩発性皮膚ポルフィリン症、赤芽球性プロトポルフィリン症または肝赤芽球性ポルフィリン症との鑑別がつかず、同時に、MDS,RAEBを合併し、確定診断がつかないままMDS (RAEB)に伴う血小板減少のため消化管出血により急死した、本症例はわが国で初めての報告であった。
(掲載論文:近藤雅雄ほか、ポルフィリン5(4):363-374, 1996)
PDF:骨髄異形症候群に合併したハルデロポルフィリン症が疑われた特発性ポルフィリン症