生体必須ミネラルが豊富に含まれている海洋深層水とは

 海洋深層水は、太陽光の届かない水深200mより深い層にある海水を刺します。水質は表層水に比べ、微生物や人工汚染物が少ない(清浄性)、周年を通して水温が低い(低温性)、海洋生物の生産力に必要な窒素やリン、ケイ酸などの無機栄養塩類に富む(富栄養性)水質の変動が小さい(水質安定性)という特徴を持っています。国内では北海道、山形県、富山県、千葉県、高知県、沖縄県など、国外ではハワイ島で採水されています。
 海洋深層水から製造した塩には、生体必須微量元素である鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデンが多く、また吸収され易い形態で含まれているようです。海洋深層水を原料とする飲料水(飲用海洋深層水)は、逆浸透膜方式による脱塩、脱ミネラルなどの処理を行って製品化されています。公正取引委員会は、飲用海洋深層水の表示のガイドラインとして、製造方法やミネラル成分の調整方法、採水地について適切な表示をするよう製造事業者に要望しています。
 海洋深層水の利用は塩、飲料水だけでなく、発酵・醸造品、水産加工品などの食品や化粧品、衛生用品さらにエネルギー分野、水産・農業分野へと広範囲に研究・開発が行われています。(近藤雅雄ほか、2003年8月30日「健康・栄養」第三版,p109,第一出版)