鶏の卵殻の色、卵の鮮度・栄養価・無精卵と有精卵の違い

 卵殻は昔から白が定番でしたが、最近は赤、青、ピンクなどと購買意欲を掻き立てるきれいな色の卵が店頭に並び、値段も異なっているため消費者を惑わせています。しかし、鶏卵の中身はどれも同じで栄養価は変わりません。因みに、蛋白質12%、脂質10%、各種ミネラルやビタミンを含みますが炭水化物やビタミンCが非常に少ないのが特徴です。卵黄と卵白の比率は31:69ですがそれぞれに含まれる成分は異なります。うずらの卵は鶏卵よりも脂質、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。

 卵殻の色は、鶏の品種(鶏腫)によって決まります。卵殻の色素は、卵が産まれる直前に卵殻腺部粘膜上皮の繊毛細胞が分泌するプロトポルフィリンという色素骨格に起因します。この色素は白色レグホーンにも存在します。このプロトポルフィリンという物質は太陽光や蛍光灯などの光(だいたい波長390nm~650nmの光線)照射によって分解しますが、暗室にて遠紫外線を照射すると美麗な赤色蛍光を発しますので、卵の鮮度を簡単に調べることが可能です(「卵は新鮮な程,紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発する」2025年5月3日掲載参照)。つまり、新鮮なほど蛍光が強く、古くなるほど弱くなります。

 有精卵と無精卵とでは栄養価が異なるのではないかということがよく言われますが、成分的には差がないようです。無精卵は雌のみでできますが当然温めてもヒヨコは生まれません。有精卵の方が値段が高いのは、栄養価に対するものではなく飼育コストの問題と思われます。(近藤雅雄、2025年5月3日掲載)