1998(平成10)年「21世紀の管理栄養士等のあり方検討会報告」において管理栄養士業務の在り方、国家試験の在り方などの検討が行われた。2000(平成12)年4月に栄養士法の一部改正が行われ、管理栄養士は登録資格から免許資格とされ、その業務についても従来の「複雑困難な栄養の指導等」から「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等」と明文化された。
この趣旨を踏まえ、管理栄養士養成施設の教育カリキュラムの検討が行われ、2002(平成14)年、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)が発表されたのを受けて、従来の「栄養学各論」を「応用栄養学」と名称変更した。内容も成長・発達・加齢といった生涯における栄養管理として、新生児期から高齢期までの各ライフステージ別に、また妊娠期、授乳期および運動・スポーツ、環境と栄養について項目ごとにまとめた。
本書は、2006(平成18)年3月の新しいガイドラインに沿って、応用栄養学の「教育目標」及び管理栄養士国家試験「出題のねらい」に準拠して2010年暮れに作成し、2011年4月に出版する予定で準備を行った。しかし、2010(平成22)年12月24日に、厚生労働省よりガイドライン改定検討会の報告書が提出され、項目(大、中、小項目)の修正が図られたのを期に直ちにこの新ガイドラインの各項目に従って改訂を行った。したがって、2010年の新改訂版としては最も新しい教科書であると自負する。
本書は栄養士・管理栄養士等養成校の学生は勿論のこと、保健・医療・福祉などに関わる領域を勉強している学生、一般社会人にもわかり易く「コンパクト」にまとめた。本書を読まれた読者は、ヒトの生涯に関わる栄養問題を学修し、保健・医療・福祉・文化・環境などの幅広い分野との関連性を理解し、社会にしっかりと貢献して欲しいと願っている。 (近藤雅雄ほか編著:コンパクト応用栄養学、朝倉書店、2011年4月25日)
