ポルフィリン症は古くから(世界最初の報告例は1874年、日本では1920年)知られ、その特異的な症状および代謝から臨床医学と基礎医学の両方から注目されてきました。ポルフィリン症とは「病気の主座がポルフィリン代謝の異常にある一群の遺伝性疾患」と定義しますが、遺伝性が認められない病型もあります。
病型によって異なりますが、本症の発症には日光、ストレス、性ホルモン、ダイエット、アルコール、薬剤、感染などの生体内外の環境要因が必ず存在し、それが誘発因子となります。したがって、発症した場合には直ちに誘発因子を除去することが重要であり、その後の治療・予後に大きく影響を与えることとなります。
本疾患の分類は酵素並びに代謝異常の違いによって9病型(障害臓器別に骨髄赤芽球型4病型と肝臓型5病型に、または臨床症状別に急性型5病型と、皮膚型4病型)が知られ、世界中に分布しています。ヒト以外でも馬、牛、豚などで報告されています。
急性ポルフィリン症ではその特異的・多彩な症状(神経障害、精神障害、消化器症状、内分泌症状、皮膚症状、造血障害、赤色尿、肝障害など)と発症年齢(思春期~更年期70歳)に特徴があります。これに対して、皮膚ポルフィリン症は光線過敏症が主症状ですが肝障害を合併することがあります。発症年齢(0~70歳)は様々ですが、これら急性及び皮膚ポルフィリン症の症状と代謝異常との関連は未だに不明の部分が多く存在します。
本疾患は2015年5月12日に国(厚生労働省)によって指定難病に認定されました。
下記のPDFにてポルフィリン症の総説を掲載しました。(近藤雅雄、2015年6月3日掲載)
PDF:ポルフィリン症総説



