急性ポルフィリン症の治療薬,ヒトヘミン承認までの過程

 海外では希少疾患である急性ポルフィリン症の治療薬としてヘム製剤が使用されています。しかし、わが国では未承認薬であるため個人輸入するしかなく、また、保険適用ではないので月に約40万円という高額な費用となります。輸入した患者家族は「個人輸入して病院で使ってもらったが、総額100万円を要した」と言っていました。
 そこで、海外で用いられているが、日本では承認されていないヘム製剤が使用できないために起こる不幸が無くなるよう、いのちを守るための運動を開始しました。まず、厚生労働大臣宛に「ヒトヘミン(海外商品名:NORMOSANG)への承認申請及び健康保険適用のお願い」と題して、請願を行いました。
 一方で、シミック株式会社は急性ポルフィリン症の治療に対して理解を示し、Orphan Europe (Paris, France, 以下「オーファンヨーロッパ」)と国内未承認医薬品NormosangⓇの国内開発に関するライセンス契約を締結しました。この締結には我が耳を疑いましたが、大変ありがたい話でした。
 そして、同社は「日本人急性ポルフィリン症患者に対するヒトヘミン(Heme Arginate)の安全性および有効性の検討」を治験目的として国(厚生労働省)の医薬食品局審査管理課に「ヘミン薬品第Ⅰ相試験開始前相談。第Ⅰ/Ⅱ相試験、日本人急性ポルフィリン症患者におけるヘミンの安全性、有効性および薬物動態の検討を目的とした多施設共同オープン試験」の内容を提出し、医薬食品局審査管理課と10回以上の照会に対する回答およびヒアリングを行い、第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相安全性確認試験を経て、医薬品の国内適用に対する未承認薬の承認が2013年3月6日、得られました。
 この承認に至るまで7年と言う長い道のりでしたが、ヘミン製剤が急性ポルフィリン症の治療薬として使用でき、同時に保険適用となりました。大変素晴しいことです。詳細は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2013年5月25日掲載)

PDF:未承認薬認可までの長い道のり