赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)とX連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)は共に骨髄赤芽球細胞内におけるポルフィリン・ヘムの合成障害として、指定難病ポルフィリン症に認定されています。
両者は共に血液中のプロトポルフィリン(PP)の増加が起こり、臨床像もほぼ同じです。いずれも乳幼児期に発症し、日光に曝露すると掻痒感または灼熱感伴う皮膚疼痛を呈する。晩年には胆石が良く見られる。疼痛を伴う光線過敏症を有し水疱形成や瘢痕化を認めない小児および成人ではEPPおよびXLPPを疑う。小児に胆石がみられる場合は,EPPおよびXLPPの鑑別を目的とした検査を行う。
両者の鑑別はヘム合成の最初の赤芽球δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の遺伝子異常があるかどうかによって決まります。そして、酵素活性および生化学診断を行うことによって病態把握が可能です。
1.赤血球中および血漿中のPP測定
赤血球中および血漿中のPP値の上昇が認められれば診断が確定する。また赤血球PPのFP(赤血球遊離プロトポルフィリン)およびZP(亜鉛結合プロトポルフィリン)分画測定を行います。EPPではFPの比率は85%を超えますが、15%超のZPが存在すればXLPPです。
2.酵素活性の測定
骨髄細胞または白血球細胞のミトコンドリア内のヘム合成系酵素活性を測定します。EPPはフェロキラターゼ活性の低下、XLPPはALAS2活性の上昇を確認します。
3.FECHまたはALAS2の遺伝子変異に関する遺伝子検査
赤血球中PPの増加が認められ,また発端者で変異が同定されている場合には遺伝子検査を行い,近親者の潜在的キャリアを同定して早期診断を行います。
(近藤雅雄、2025年5月4日掲載、2025年9月8日更新)



