ポルフィリン症患者の診断・治療後の無治療経過観察調査

 ポルフィリン症を「病気の主座がポルフィリン代謝の異常にある一群の疾患」と定義する。ポルフィリン症は希少性および多彩かつ重篤な症状から国際的に注目され、我が国では2015年5月に「指定難病」として認定された。本症については診断・治療についての報告は多いが、診断・治療後の実態については不明の点が多い。
 そこで、遺伝性ポルフィリン症の確定診断・治療後、自宅にて社会生活を送っている患者61名(急性ポルフィリン症:AIP 16例、VP 9例、HCP 2例、分類不明の急性ポルフィリン症(AP)および皮膚ポルフィリン症:EPP 28例、CEP 2例、3例、PCT 1例)の同意を得て、病型別に性、年齢、出身、発症要因、自覚症状、家族歴、身長、体重、血圧、糖尿病、肝臓障害の有無、飲酒、喫煙、日常の食生活および運動習慣等についてのアンケート調査を行い、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が分かった。
 今回の調査によって、ポルフィリン症自体の多彩な他覚症状に加えて、さらに多彩な合併症および自覚症状を有することが分かった。また、自由意見から、本疾患の障害は診断・治療後においても深刻であり、いつまた発症するのかについての不安、いのちの不安、遺伝の不安、社会復帰の不安、生活の不安、学習環境の不安、人間関係の不安等々、治療後のケアーがいかに重要であるかが理解された。
 以上の結果、我が国で初めてポルフィリン症の治療後の病態および生活習慣等の実態が確認された。
本研究の内容は以下のPDFを参照されたい。(近藤雅雄、2025年5月2日掲載)

PDF:ポルフィリン症患者の治療後の生活調査