言葉はなかったが癒された。私は忘れない「リヴの物語」

 ロングコートチワワ犬(雄、「国際公認血統証明書」)生後2か月が家族となり、息子がリヴと命名した。しかし、12歳10カ月、近くの動物病院にてその小さないのちが消えた。
 悲しみ癒えぬ間にリヴの物語を執筆した。この物語は、日常生活の中でのさまざまな場面での触れ合いによって、私たち家族にたくさんのこころの安らぎと楽しさ、癒し、励まし、笑い、幸せをプレゼントしてくれたことに感謝し、短い生涯を写真と文章で追憶した47ページにわたる犬の物語。

 リヴは散歩や車に乗るのが怖く、1日中家の中にいた。外に出しても、車に乗せても体を震わせて怖がり、すぐに帰る。家の中では走り回り、いつもそばにいて、楽しませてくれた。 リヴとの思い出から、改めていのちの大切さと生きることの大切さ、そして感謝するこころを学ぶ。物語を作成中に、リヴの写真と病歴から、これまでに実に多くのからだとこころのサインを家族に送っていたことに気づく。そして、さまざまなサインに気付かなかったことを悔やむ。  また、犬の死因を究明することは、私たち人間においてもいのちとは、救急医療とは、について考える機会となった。それは、本来まだ生きたであろういのちを救うことができなかったことに対する自分への憤りであった。しかし、そこから「いのちを大切にするこころ、生きるこころ、他者を思いやるこころ」といった、人間としての「こころ」の基本を学ぶ。そして、「健康と病気」について考える良い機会が与えられる。生き物は病気になる時には必ず、何らかのサインを心身から出していることを見逃さないようにし、早め早めに対応することが大切だ。とくに言葉がない動物への日頃の感謝を忘れないことである。

 リヴの死から学んだことは多い。今後残された人生にプラスになるよう、前向きに歩み続けよう。この地球に棲むすべての生き物は、いずれは死を迎える。それが早いか遅いかではなく、いかに生きたかどうかが大切だ。たとえ、短いいのちであっても、一生懸命生きれば、それでよい。家族として、共に歩んだのだ。
 私はこの物語を作成してから、日々を懐かしく、回想している。(近藤雅雄、2025年5月1日掲載)