遺伝性ポルフィリン症患者の発症予防と健康管理・指導

 指定難病ポルフィリン症は臨床症状の特徴から急性ポルフィリン症(4病型)と皮膚ポルフィリン症(5病型)に分類され、症状は重症です。ここでは、症状軽減と発症予防を目的に、日常の健康管理について紹介しました。

1.急性ポルフィリン症
 急性ポルフィリン症では遺伝的に当該酵素活性が50%以上減少していますが、日常生活に支障はありません。しかし、薬の服用、月経、妊娠・分娩、飢餓、ストレスなどによってヘム利用が高まり、ヘム量が減少すると発症します。したがって、発症を誘発する因子は男性よりも女性の方が圧倒的に多いのです。そこで、健康管理を目的として考えておくべきことは
1)発作の誘発因子 (ストレス、女性の性ホルモンバランスの変化、食事、肝臓に負担をかけるような生活、急性ポルフィリン症を誘発させる生活用品の使用)を除去する。
2)予防策(ストレスに対する予防策、水分や糖質の摂取、女性の問題、薬の問題)を考える。
3)急性発作症状が出たときの対応。
4)妊娠・出産(妊娠・出産、LH-RHアナログ製剤、ピルと避妊)に対する対応。
の4つです。この内容については下記のPDFに纏めました。

2.皮膚ポルフィリン症
 患者さんが日常生活習慣で気を付けることは、遮光と体内に蓄積したポルフィリンを尿や便として排泄を促すと良いです。何もしないよりはましです。また、晩発性皮膚ポルフィリン症赤芽球性プロトポルフィリン症は光以外に誘発因子がある場合は取り除いてください。具体的には下記のPDFに示したので参考にして下さい。

 急性、皮膚ポルフィリン症の患者さんの発症予防とQOL向上を目指した健康管理として最も重要なことは前向きに生活することです。ピンチもチャンスに変える気分が大切。明るくおおらかに、「前へ」踏み出しましょう。その勇気も大切です。誰か相談できる相手を見つけ、いつでも困ったことがあれば相談することが大切です。一人で悩まないことです。 (近藤雅雄、2025年4月29日掲載)

PDF:予防と健康管理・指導