遺伝性ポルフィリン症の患者把握及び診療体制の問題点

 2015年、本疾患は「指定難病」として認定されたが、以下の問題について検討を要する。

1.臨床検査室並びに検査機関の不備
 ポルフィリン症は研究者の興味や善意で遺伝子検査や診断・治療が行われてきた。これら善意の研究者がいなくても継続的に診断可能な医療(検査)体制の構築を願う。また、急性ポルフィリン症を含め多くの病型が発症時に赤色尿を診る。しかし、採尿はトイレで行い、トイレの「尿置き場」に提出するので、医師が尿の色を観察することはない。
2.専門外来の開設
 ポルフィリン症の認知度が低く、多数の患者が未診断のまま症状や合併症に悩まされている。診療できる医療機関も少ないことから早急に疾患の啓発とともに診療体制の整備が必要である。
3.薬剤情報の徹底と公開
 急性ポルフィリン症は発症の誘発・増悪因子としての薬剤は重要な位置を占めている。筆者らは1999年「ポルフィリン症と薬剤」について纏めたが、その後、新薬がどんどん開発されているにもかかわらず、安全性に関する評価研究情報はない。薬剤の安全性・禁忌などに関する情報を早急に調査し、その結果を的確に伝える手段・システムの整備が望まれる。
4.患者把握の困難性
・稀少疾患であり、症状が多彩であることが診断を困難にしている。
・診断の検査体制が日本にはなく、病型別鑑別診断が困難である。
・症状の多様性から多くの患者が誤診されている可能性が高い。
・未発症の不顕性遺伝子保有者が多く、遺伝性を検査・証明することが困難である。

等の問題があり、個人情報を保護した法律に基づいた患者把握の整備が必要と思われる。詳細は下記PDFに示した。(近藤雅雄、2025年4月28日掲載)

PDF:ポルフィリン症の診療体制の問題点