指定難病 ポルフィリン症に限らず、すべての疾病はヘム合成障害、すなわちポルフィリン代謝障害が起こるといっても過言ではない。ヘムは酸素の運搬・貯蔵など呼吸・循環調節、筋肉の運動、ATPの生産、代謝調節、薬物代謝、内分泌調節、神経調節、細胞間シグナル伝達、活性酸素の除去など、広く生命現象の根幹反応に関与している。したがって、各種疾病の病態解析にポルフィリン代謝産物の測定は重要不可欠である。
遺伝性ポルフィリン症は早期診断が重要である。急性間歇性ポルフィリン症(AIP)、ALAD欠損性ポルフィリン症(ADP)を除いた他の7病型は光線過敏症を発症するため、光線過敏症を診たらポルフィリン症を疑うべくポルフィリンの生化学検査を実施する。皮膚症状のないAIPでも発症期には赤色尿が出現し、尿中に大量のポルフィリンおよびその前駆物質δ-アミノレブリン酸(ALA)、ポルホビリノゲン(PBG)が出現するので早期診断が可能である。ポルフィリン症の疑いに気付いたなら、尿、便あるいは血液に波長400nm付近の遠紫外線を照射し、赤色蛍光を診たらポルフィリン代謝異常症である。直ちに、精査としてポルフィリン代謝産物のパタ-ン解析を行い、鑑別確定診断する。
ここではポルフィリン代謝に関わる代謝物と酵素について、筆者の実験に基づいた具体的な方法(測定法、診断法)を述べた。溶媒抽出法や簡便検出法に比して、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法はポルフィリン代謝異常症の鑑別診断・確定診断だけではなく、病態機序についても多くの情報が得られる。
一方、障害酵素の活性測定が診断に重要である。酵素活性の測定には主に血液細胞、肝細胞、皮膚培養細胞など微量の組織細胞が用いられるが、測定法および活性値は統一されていない。確定診断するためには必ず対照値が必要となる。
本症の診断には、病理学的検査、遺伝子診断、酵素診断、生化学診断などがあるが、最も鑑別・確定診断として有効なのが生化学検査である。詳細は以下のPDFを参照されたい。(近藤雅雄、2025年4月21日掲載)
PDF:ポルフィリン症の診断法(生化学診断、酵素診断)