赤芽球におけるδ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)の遺伝子はX染色体上に位置し、赤芽球ALAS(ALAS2,赤芽球性, ALAS-E)の遺伝子が変異する疾患としてX連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)と遺伝性鉄芽球性貧血症(XLSA)の二つが知られている。
XLDPは指定難病、ポルフィリン症の中で最も新しい病型で、極めて稀なポルフィリン症である。フェロケラターゼ遺伝子(FECH)に変異が同定できない赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)の一部症例において、赤芽球でのみ発現するALAS2の機能獲得性変異が同定されたことから独立疾患として分離された。すなわち、ヘム合成系の最初の酵素ALASの活性上昇と最後の酵素フェロキラターゼ(FeC)の活性低下が起こるX染色体プロトポルフィリン症(X-EPP)である。ALAS2はX染色体上に位置するため遺伝形式はX連鎖であるが、機能獲得型の変異なので女性にも発症する。臨床像、治療はEPPとほぼ同じ。
症状はEPPとほぼ同じである。幼児時期から光線過敏症が見られ、日光曝露後に露光部に疼痛を伴った発赤、腫脹を示す。顔面の虫食い状小瘢痕、色素沈着、手指関節背の苔癬化、多毛、肝機能障害などが診られる。
EPPとの鑑別は、EPPとXLPP共に赤血球中プロトポルフィリン(PP)が健常値の平均値の15倍以上増加するが、XLPPではこのPPはZPであることが異なっている。また、赤芽球細胞内のALAS2活性が高値または遺伝子の異常を確認する。(近藤雅雄、2025年4月19日掲載)
ALAS2遺伝子異常症,X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)