指定難病ポルフィリン症の中で、皮膚(型)ポルフィリン症は晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、肝赤芽球性ポルフィリン症(HEP)、先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)、およびX連鎖性プロトポルフィリン症XLPP)を指す。また、急性ポルフィリン症の多様性ポルフィリン症(VP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)も皮膚症状が出現する。したがって、急性ポルフィリン症の場合はすべて肝臓由来であるが、皮膚型の場合は肝臓と赤芽球(骨髄)の型がある。肝由来の急性ポルフィリン症ではポルフィリン前駆物質δ-アミノレブリン酸(ALA)とポルホビリノゲン(PBG)の生産が増加し、体内に蓄積する。これに対して、赤芽球由来の皮膚ポルフィリン症ではALA、PBGは増加しない。
皮膚ポルフィリンでは紅斑や水疱を伴った特徴的な光線過敏性皮膚症状が出現するため、誤診率は急性ポルフィリン症ほど高くはない。CEP、EPP、PCTは皮膚科領域からの報告が多く、HCP、VPは内科領域(神経内科、消化器内科)からの報告が多い。
皮膚型に共通して紫外線、可視光などの光、飲酒、各種ストレスなどの因子に注意する。日本のPCTでは慢性的な飲酒後に発症・増悪した報告が圧倒的に多い。
皮膚症状は直接光(日光)曝露を受けるとポルフィリンによる光毒性反応(酸化反応)を起こし、その結果、皮膚病変が生じる。皮膚症状には急性、慢性のさまざまな変化と蓄積するポルフィリンの種類によって異なり、各病型の特徴的皮膚病変を形成する。皮膚症状の程度はCEPで最も激しく、次いでPCT、EPPの順である。ポルフィリンの作用波長は遠紫外部から可視光(350~650nm)と広く、窓ガラスや車内や学校などにおいても光線の防御を行うことが望ましい。
皮膚ポルフィリン症の治療は遮光と外用薬、PCTでは瀉血、ビタミンE,除鉄などが治療の主体をなしている。しかし、効果については必ずしも一定しない。(近藤雅雄、2025年4月16日掲載)
PDF:皮膚ポルフィリン症(概論)