血液の稀少がん「原発性マクログロブリン血症」の概要

 難病の研究者として、血液のがんである超稀少疾患「原発性マクログロブリン血症」の発症率が100万人に2~3名という殆ど知られていない疾患であるが、診断されずに放置されている症例あるいは死亡例、診断されても医師が報告しない症例が多いのではないかと思われます。そこで、本症の診断、病態、治療、予後、Q&Aなどについて、総論として纏めました。
 血液学では、骨髄で生産されるB細胞(リンパ球)は形質細胞に分化し、ウイルスなどの異物に対する免疫グロブリン(抗体)を生産します。ところが、原発性マクログロブリン血症ではB細胞から形質細胞へ分化する途中のリンパ形質細胞ががん化(遺伝子変異)し、体内にて異物(抗原)を攻撃する免疫蛋白(IgGやIgAなどの抗体)が出来ず、攻撃能力のないIgM型M蛋白が異常に増加する疾患です。したがって、免疫力が低いため、感染予防には十分な配慮が必要です。

本原稿を執筆するに至った経緯は、患者数は意外と多いと思われ、早期発見を促したいことと、発見された場合に医師は情報公開を必ずするよう求めるのが目的である。
1.100万人に数人という超稀少疾患で、5年生存率が36~50%で根治は望めないことから、早く治療法が見つかるように様々なデータを記録として残さなければならない。
2.70歳以上の高齢者に比較的多く、合併症が死因となることが多い。しかし、早期診断によって合併症を防ぐことができる。
3.超稀少疾患のためか本疾患についての成書が見当たらない。そこで、筆者は患者向けの一般書を出版(下写真)したが、その一部を下記のPDFにて紹介した。
4.超稀少疾患は情報が少なく、標準治療法、臨床統計、疫学データが確立していない。医師は患者データを広く医学会や論文として公表していく義務がある。公表していない症例数も意外と多いと思われる。
5.病院の選択は重要で、がんは治療による副作用が多いため、多分野の専門医がいる総合病院に罹ることが望ましい。また、がん患者に対するチーム医療及びがん相談センターの取り組みが充実している病院を選ぶ。
6.原発性とは原因が不明ということである。しかし原因が不明である病気は存在しない。その原因を明らかにすべき研究の推進を期待する。特に、遺伝子治療薬の進歩が著しく、パンデミックで有名な新型コロナウイルスmRNAワクチン接種も本症の発症の誘因となることは否定できない。このワクチンについて、多くの事故、副作用、死者がでたが、政府・医療行政・マスコミは遺伝子医薬品バイオ医薬品)のリスク評価・総括がないまま感染症法5類に移行した。

 以上、医学研究の進展を期待して。内容は以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2025年4月10日掲載)。
PDF:原発性マクログロブリン症(WM)