32歳時(1982年2月26日)、職場で40℃を超える高熱を出し、職場内の診療所で「インフルエンザの疑いがある」と言われ、自家用車で首都高速を突っ走り、帰宅した。その足で、近所の開業医に受診したところ、「風邪ですね」と言い、解熱剤を左腕に注射し、絆創膏(1982年時は滅菌されてない)を貼った。
帰宅して、しばらくして、針を刺した部分が発赤・腫れてきた。放置するもどんどん広がったので再び受診すると、医師は腫れている部分にシップを貼り、「大丈夫だから帰ってもよい」と言った。帰宅して今度は貼った部分が炎症(発赤、腫脹、疼痛、高熱、機能障害)を起こし、さらに炎症部位に氷枕を当てるとすぐ溶け、湯気を出す。炎症の勢いが早く、注射したところを中心として拡散し、数日間で左腕が太ももの様にパンパンに張れ、鎖骨を叩くと痛みが出たので生命の危険を自覚した。菌が心臓に入ったら終わりだ。しばらくすると、突然、早朝に開業医の院長と息子の2人が自宅に来た。診察し、院長は診ているだけで、息子が入院を勧めた。しかし、入院の手配はなかった。
そこで、直ちに知人がいる都立病院に電話し、緊急入院した。しかし、手遅れで敗血症となり生死を彷徨った。主治医はさまざまな抗菌剤を投与し、漸く炎症が止まったが約2か月間感染症病棟に入院した。途中意識が低下したが、明らかに開業医の医療過誤による感染症であった。その後、絆創膏からアシネトバクター属菌(グラム陰性菌)が発見され、これが原因菌ではないかと主治医は説明した。診断名は「蜂窩織炎」であった。左腕に5㎝位の自然に破裂した傷跡が痛々しく残っている。退院間近になって、開業医が病室に突然フラーっと現れ、何も言わず手を握っただけであった。謝罪と賠償はなかった。小学校の校医をしていたことから告訴はしなかった。
その後、約40年振りに新型コロナウイルスワクチン接種のため、開業医(息子の代に変わった)に行ったが、当時のことを「元々感染症があったのではないか」と述懐していた。親が大変な過ちを犯していながら、反省すらない息子に開いた口が塞がらなかった。
一部の医者と政治家は自分の過ちを認めないことで共通している。どちらも国民のいのちに関わる大切な役職であるのに。(近藤雅雄、2025年3月31日掲載)