7病型の皮膚型ポルフィリン症に共通した特徴的な皮疹

 指定難病ポルフィリン症の内、光線過敏性皮膚症状を診る7病型のポルフィリン症、先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)、X連鎖優性プロトポルフィリン症(XLPP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、肝赤芽球性ポルフィリン症(HEP)、多様性ポルフィリン症(VP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)に特徴的な皮疹を以下に示した。赤芽球性ポルフィリン症のCEP、EPP、XLPPでは皮疹以外に肝腫、脾腫、溶血性貧血あるいは鉄欠乏性貧血などの合併症も多い。
(1)紅斑、水疱、紫斑:他の光線過敏症と同様、日光被曝後、露出部に一致して日焼け様の紅斑が生じ、炎症が強ければ大小の水疱が発生する。また、EPPでは露出部に紫斑が診られる。
(2)色素沈着:日光被曝による紅斑が消退し、露出部に限局してびまん性の茶褐色の色素沈着が生じる。
(3)多毛・剛毛:毛深く、眉毛、まつげ、髪の毛などが太く、濃くなることが多い。
(4)皮膚の脆弱性:EPP、PCTの場合は特徴的に診られ、顔面や手背などにひっかき傷などができやすく,線状の瘢痕が確認される。
(5)瘢痕:水疱治癒後の類円形瘢痕や皮膚脆弱性による線状瘢痕が認められる。
(6)変形、破壊、拘縮、その他:とくにCEPにおいては、EPPに比べて瘢痕形成や顔貌変形、肢端脱落などの症状が著しく、爪の変形、耳、鼻や指の部分的欠損、赤色歯牙、強膜病変などが多く見られる。人工光源でも皮疹などを誘発することがある。
(7)その他、EPPでは長時間の日光曝露後に口唇周囲や手背に痂皮が形成される場合がある。しかし,他の皮膚型ポルフィリン症(PCT、VP、HCPおよびCEP)に診られるような水疱形成および瘢痕化は生じない。また、EPPとXLPP以外のポルフィリン症では赤色尿を診る。
(近藤雅雄、2025年3月30日掲載)