ポルフィリン代謝異常症の診断には血液、尿及び便中のポルフィリン測定が不可欠です。しかし、国内ではこの測定を行っている検査会社がありません。ポルフィリン代謝異常症の患者数が少なく、測定依頼数が少ないのが理由です。筆者が研究室を持っている時には国内外の検査はほとんど診断・治療目的で測定を行っていましたが、退職すると同時に測定機関は無くなりました。現在、ポルフィリン症をはじめ多くのポルフィリン代謝異常症の診断が困難な状態です。
筆者らは、かって高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたポルフィリン代謝産物分析法を確立し、分析データとコンピューター解析を利用して世界で初めて8病型の遺伝性ポルフィリン症を自動鑑別診断できる方法を開発しました(特許番号:第2657345号(1992年9月24日))。本内容は1993年1月元旦、日刊工業新聞の朝刊一面に「HPLCとコンピューター利用、簡単に鉛中毒診断」と題して紹介されました。
このシステムを用いるとポルフィリン症の鑑別診断は勿論のこと、Dubin-Johnson症候群などの肝疾患、鉛、ヒ素、水銀、タリウム、ダイオキシンなどによる化学物質中毒症、溶血性貧血症、鉄芽球性貧血症などの血液疾患など、ポルフィリン代謝異常を起こす疾患の診断を高い確率で決定するだけでなく、これら疾患の病態解析・治療法の確立にも重要です。治療できたかどうかの判定指標になるのです。今後、早期に測定の復帰が成されることを願っています。以下のPDFの自動診断法を参照して下さい。(近藤雅雄、2025年3月26日掲載)
PDF:ポルフィリン症の自動診断