骨髄赤芽球細胞内のALA脱水酵素インヒビターの諸性質

 ヘムは生命の根源物質であり、8つの酵素によって次々に代謝され、最終的に細胞ミトコンドリア内で合成されます。その第2番目の代謝を司るのがδ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)であり、δ-アミノレブリン酸(ALA)からピロール物質ポルホ(フォ)ビリノゲンの生産を促進するヘム合成の鍵酵素です。1977年、この酵素活性が骨髄赤芽球細胞のみにて加齢に従って著明に減少するのを見出し、それと逆相関してALAD活性を特異的に阻害する蛋白質を発見しALADインヒビターと命名しました。このインヒビターの活性は人でも見つかっていますが、種差があります。
 ALADインヒビター活性がカルシウムによってその阻害力が強力になることから、特に老人にとっては貧血の原因となるでしょう。また、亜鉛やビタミンBによってインヒビター活性は阻害されることから、ヘム(ヘモグロビン)合成を促進するにはこの2つの栄養素は必須となります。
 この報告は約50年前ですが、血液学においてヘモグロビン合成上、重要なことなので紹介しました。当時の論文や講演のプレゼンターション方法なども今と異なっていたことも併せて紹介しました。以下のPDFを参照してください。(近藤雅雄、2025年3月21日掲載)
PDF:ALADインヒビター