こころとからだの健康(19)社会の急速な変貌と大学教育

 戦後の急速な発展に伴い、大家族の「集団」から核家族の「個」の社会へ、住居は木造建造物から鉄筋コンクリートへ、さらに、食生活は日本型食生活から、欧米など世界中の料理を自由に取捨選択できる豊かな自由型食生活へと時代はおおきく急速に変化しました。
 このような「家族」「食」と「住」という生活の根源的な部分だけでなく、日本は世界でもまれな食品ロスが多く、自殺率の高い国となると共に国家や組織に対して無関心で、脆弱な国民が増加してきています。また、格差が増し、超少子・高齢社会という少数単位での生活環境がこころとからだをさらに脆弱化しています。
 こうした現実は、とくに次世代をになう子どもたちの「対人技術の発達の遅れ」など各種脳力の低下が起こり、日本の未来において計り知れないほどの損失が生じるという危惧感を抱きます。
 一方で、遺伝子を用いた治療法の開発や日常生活の中にITAI技術が急速に発展し、今まさに「こころとからだの健康」を重視した教育が必要になっています。
 大学教育が全入時代となった今日、大学の質保証向上に対するさまざまな改革、グローバル化が行われていますが、教養の空洞化が年々大きく拡大し始めているように感じてなりません。人間社会と科学技術の発展との間に大きなラグが生じているのが現状であると思われます。 (近藤雅雄、2025年3月15日発表)
PDF:社会の変貌と大学教育