ALA投与による脳腫瘍内ポルフィリンの過剰生産とその機序

 悪性脳腫瘍患者に5-アミノレブリン酸(ALA)を経口投与すると、ALAは腫瘍組織に取り込まれ紫外線照射によって赤色蛍光を発するプロトポルフィリン(PPⅨ)が大量生産されることを見出しました。
 そこで、蛍光ガイド下摘出術によって得た腫瘍部位をポルフィリン・パターン分析した結果、非蛍光部位(非腫瘍部位)に比してコプロポルフィリンⅢおよびハルデロポルフィリンが4倍、PPⅨが6倍といった有意な増量(P<0.01)を見出しました。この機序を検討するために、ポルフィリン代謝関連酵素活性を測定した結果、腫瘍組織のミトコンドリア内の鉄導入酵素活性とPPⅨとの間に有意な負の相関関係(r=-0.412, P<0.05)を認めました。さらに誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にて腫瘍組織を元素分析した結果、鉄含有量の減少を確認しました。鉄とPPⅨとの間には有意差が認められませんでしたが、負の相関関係(r=-0.321)を確認しました。
 以上の結果から、脳腫瘍組織にALAが取り込まれ、鉄不足による鉄導入酵素活性の低下によってPPⅨの蓄積が生じるものと示唆されました。詳細は下記PDFを参照して下さい。
 現在、悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化として「アラベル内服剤」がSBIファーマ株式会社で開発され、販売さています。(近藤雅雄、2025年3月14日掲載)
PDF:脳腫瘍の光線力学的診断法及び治療法の開発