漢方薬に関心のある人が多いと思います。西洋医学で治らない病気であれば、中医学を調べようと言うことでしょうか。
漢方薬も薬(クスリの反対はリスク)ですので必ず副作用はあります。これまでにも多くの事故、副作用事例が報告されています。
約35年前に経験した実話です。某開業医より漢方薬を処方された患者が腹痛・嘔吐など急性腹症はじめ急性ポルフィリン症と同じような消化器症状、精神・神経症状などが発症したため、確定診断を目的に某国立大学医科学研究所附属病院の医師から検査依頼を受けたことがありました。検査の結果、尿中の5-アミノレブリン酸(ALA)が高値で、ポルホビリノゲン(PBG)は正常でした。また、尿中のポルフィリン排泄パターンおよび血液中のポルフィリンパターン、ALA脱水酵素活性が鉛中毒と一致、さらに、血液検査を行った結果、鉛が大量出てきたので急性ポルフィリン症ではなく、急性鉛中毒と診断しました。患者は鉛のキレート療法で治療したそうです。
鉛を含む漢方薬を処方した開業医は2名いましたが、両者共偶然に同じ某有名私立大学医学部出身でした。2人は大学から厳しく指導されたそうです。
漢方薬もクスリですので副作用はあります。漢方薬を服用するときには複数の医師や漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を持つ薬剤師と相談することをお勧めします。
(近藤雅雄、2025年3月13日掲載)