3.11、東日本大震災から14年。被災された方々並びに関係者にこころよりお見舞い申し上げます。決して風化することのないよう、次世代に伝えてまいります。1日でも早い復興とご健勝を祈っています。
原油中のポルフィリン類は、生命の起源と関係していると推測されています。その構造は実に頑丈で巨大、しっかりしています。これが細胞内の酵素反応で簡単に生産され、酸素の運搬と貯蔵、酸化還元反応、エネルギーの生産、活性酸素の分解、薬物代謝など、生命維持及び働きの根幹に関わる働きをしています。今回は、このポルフィリンの生化学についての情報をまとめました。
ポルフィリンは4個のピロールが4個のメチン橋(-CH=)で結合した環状化合物の総称です。26個のπ電子共役系におけるπ電子の遷移に基づいて、紫外~可視波長領域に強い吸収スペクトルを持つ赤色物質で、波長400m付近(Soret帯、吸収極大)の遠紫外線照射により美麗な赤色蛍光を発します。
ポルフィリン類は長い進化の過程を経て、広く動植物界に分布しています。その大部分は遊離の形ではなく、Fe(ヘム)、Mg(クロロフィル)、Co(ビタミンB12)などのように特定の金属をキレートし、さらに特定の蛋白質と配位的に結合した形で、酸素の着脱や光合成でのエネルギー生産、変換という生命現象の根幹反応に関与しています。
遊離のポルフィリンおよびその前駆体はこれらが生合成されるときの中間体であり、体内での存在量は極めて微量です。しかし、ポルフィリン症や鉛中毒などのポルフィリン代謝に関わる酵素障害によって体内に著しく増量・蓄積します。(近藤雅雄、2025年3月11日掲載)
ここでは、「ポルフィリン・ヘムの生化学」として
1.ポルフィリンの化学構造と命名法
2.ヘムの化学
3.ポルフィリンの美麗な赤色蛍光
4.ポルフィリンの一般的性質
5.ヘム生合成中間体
6.ポルフィリンの前駆体
について以下のPDFに記述しました。PDF:ポルフィリン・ヘムの生化学