健康と病気シリーズ9.ALAによる健康増進と病気治療

 長い間、5-アミノレブリン酸(ALA)の人工合成は難しく、回収率や純度を挙げることが不可能でした。
 それが、コスモ石油(株)の田中徹博士が光合成菌を使い、大量培養に成功してから、ALAの大量生産が可能となりました。この発見によって、多方面への研究が行われるようになりました。

 その最初の研究は2004年、筆者の職場であった国立健康・栄養研究所で行われ、その後、東京都市大学総合研究所内に移動し、そこでSBIアラプロモ(株)研究所が設立されました。現在はSBIアラファーマ(株)として川崎のナノ医療イノベーションセンター内の研究所で研究が行われています。
 ALAは健康食品、医薬品、化粧品、また、動物の飼料や植物の肥料などといった様々な分野で注目されています。ALAは脳腫瘍や膀胱がんなどがんの診断・治療、植物では光合成を促進すると共に収量・品質向上、健苗育成、ストレス耐性、耐塩性・耐冷性向上、都市および砂漠の緑化、ポリフェノールの増量など、また、健常者への投与はヘム合成を促進すると共に免疫力増強、運動機能向上、健康機能向上、疲労回復向上などとして保健・医療・環境など多様な分野で応用されています。

 なお、ALAは急性ポルフィリン症や鉛中毒時に体内に蓄積するALAと全く同じものです。したがって、これらの患者さんが摂取すると病気が悪化することがあります。注意してください。(近藤雅雄、2025年3月9日掲載)
 ALA関係のパワーポイントは500枚近く作成しましたが、その一部15枚を以下のPDFに示しました。ご参照ください。 PDF:健康と病気9.ALA