健康と病気シリーズ8.病気理解のための「血液生理学」

 「血液の病気」に限らず、病気を知るには、血液の生理作用を理解することが不可欠です。患者が治療効果を理解し、自らの治癒力を向上させるためにも重要です。そこで、拙著「生理学講義」(下記写真)から抜粋しました。

 生体の内部環境は血液によって常に恒常性が保たれています。血液は血管内を循環する流動性の組織で、体重の7~8%(男性で体重の8%、1/13、女性は体重の7%,1/14)存在し、呼吸、循環、調節、栄養、排泄、生体防御など生命維持に不可欠な役割を果たしています。細胞成分は主に赤血球が存在し、その容積は血液全体の約45%を占めます。血液が赤いのはヘモグロビンの赤い色素成分で酸素と結合して全身体細胞に供給する「ヘム」を含むからです。ヘモグロビンのことを血色素とも言います。
 血液は細胞成分と液状成分から成ります。赤血球は酸素の運搬を行い、生命のエネルギー物質の生産に不可欠な細胞で、骨髄で生産されます。白血球は生体防御機能として自然(受動)免疫と獲得(能動)免疫に関与します。血小板は血管が破れた際に直ちに止血し、血液の凝固、血管の修復に重要です。
 さらに、血液中液状成分の血漿の水分量は91%、残り1%は、蛋白質7%、糖質0.1%、脂質1%、ミネラル0.9%、その他生命活動に不可欠な成分を含みます。栄養成分は各種細胞の働きに取り込まれ、不要な水溶性成分は腎臓でろ過され尿となります。
 以下のPDFに「血液の生理学」を示したので参照して下さい。(近藤雅雄、2025年3月9日) PDF:血液の生理学