季節の変わり目は、気象の変化による持病の悪化や自律神経の乱れなどによってさまざまな症状がでます。そこで、この間を健康で乗り切るための一例を紹介します。夏バテ等の疲労回復に効果がある「にがうり」を紹介します。
「にがうり(苦瓜)」は、ゴーヤとも呼ばれていますが、このゴーヤとは沖縄地方の方言。ゴーヤには蛋白質、炭水化物、脂質、ビタミンC、ビタミンB1、B2、B6、K、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、ビオチン(B7)、葉酸(B9)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などの機能性栄養素および食物繊維を豊富に含んでいます。
ゴーヤは疲労回復、血糖値の調節、脂質代謝の調節、貧血予防、血圧調節、むくみ・便秘の解消、ダイエット、老化防止・美肌、紫外線・シミ対策、肌荒れ・ニキビ予防などに有効であると言われています。とくに、ビタミンCはキュウリの14mgやトマトの15mgに対して5倍以上も含まれ、野菜の中でピーマンと同様、加熱に強いという特性を持っています。また、鉄分はほうれん草の約2.3倍含まれ、葉酸とともに貧血の予防になります。ビタミンB群は生体エネルギー(ATP)の生産に不可欠で、疲労回復、皮膚や粘膜の正常化に、カリウムは腎臓でナトリウムの排泄に働くので血圧の低下にそれぞれ役に立ちます。
苦み成分としてチャランチンとモモルデシン、コロソリン酸が含まれています。チャランチンとコロソリン酸は植物インスリンとも言われ、糖尿病の血糖値改善に役立つと古くから注目されています。ヒトのインスリンと同様に肝臓や筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、グリコーゲンの合成を促すことが報告されています。
動物実験では糖尿病改善効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗がん作用、免疫調節なども報告されています。チャランチンやモモルデシンには活性酸素を還元して無毒化する作用も報告されています。
食物繊維は100g中水溶性0.5g、不溶性2.1g含まれ、腸内の善玉菌の増殖を促進し、糞便量を増やし、腸内環境を整えることでしょう。便秘改善に役立ちます。サポニンはコレステロールや老廃物の排出を促進し、動脈硬化、糖尿病、がんの予防、胆汁酸の分泌や産生を促します。
ただし、ゴーヤには血糖低下作用のある成分が含まれていますので、子どもや高齢者、糖尿病患者の食べ過ぎには注意してください。(近藤雅雄、2025年3月8日、掲載)