健康情報12.冬至は「かぼちゃとゆず湯」で乗りきる

 季節の変わり目は、気象の変化による持病の悪化や自律神経の乱れなどによってさまざまな症状がでます。そこで、この間を健康で乗り切るための一例を紹介します。

 冬至とは24節気の一つで、1年で昼が最も短く、太陽の光が弱まって、夜が長い日になります。そして、冬至の日には冬至かぼちゃや冬至粥(小豆入りのお粥)を食べると風邪や中風(現在の脳出血、脳梗塞に当たるもの)にならないという言い伝えがあります。
 かぼちゃは本来夏の野菜です。切ったり、傷を付けたりしなければ長期保存が出来るので、夏の太陽を浴びたかぼちゃを大事に保存し、風邪が流行したり緑黄色野菜が不足したりする冬期にかぼちゃを食べるという先人の教えもあります。

 かぼちゃは「南瓜」とも書き、別名「唐茄子」、「南京」、「ボウブラ」とも呼ばれますが、原産地は中央アメリカです。日本には戦国時代の末期頃にポルトガル人によってカンボジア経由で持ち込まれました。このときにカンボジアがなまって「かぼちゃ」になったそうです。かぼちゃは野菜の中でも栄養価が高い優れた野菜であり、β-カロテン、ビタミンC,ビタミンEといった抗酸化ビタミンを大量含んでいます。したがって、体内に蓄積した酸化毒(活性酸素)の除去と感染症予防には不可欠な野菜です。寒い日にはかぼちゃを食べて風邪を予防しましょう。次は柚子(ゆず)です。

 ゆず湯というのは、お湯に入り、病気を治す湯治(とうじ)=冬至という語呂合わせからきているそうです。また、柚子(ゆず)=「融通(ゆうずう)」がききますように、という願いも込められているそうです。柚子の高貴な香りと酸味は邪気を避け、運を呼び込む前の厄払いの目的でも使われています。
 「ゆず湯に入ると、一年間風邪をひかない」と昔から言われています。柚子には血行を促進して冷え性を和らげ、身体を温めて風邪を予防する働きがあります。果皮、果肉、種のすべてに効能があり、果皮にはビタミンCやクエン酸が含まれていて美肌効果があります。果肉にはヘスペリジンというポリフェノールが柑橘類の中では極めて多くミカンの20倍、レモンの3倍で、血管の強化、血流、高血圧、脂質代謝、肩こりや冷えの改善などの効果があります。種にはペクチン、ピネン、リモネン、ナリンジンなどが含まれ糖・脂質代謝調節、抗炎症作用など多様な効果が知られています。
 捨てるところがない柚子はまさにSDGs (Sustainable Development Goals)に適した柑橘類の王様といえます。(近藤雅雄、2025年3月8日掲載)