病気の90%以上は酸化ストレスによって発症すると言われています(日本抗酸化学会)。そこで、野菜と果物の同時摂取による病気の予防と健康増進を目指して調査研究しました。
これまでの栄養研究は単独の食品や栄養素に関するものばかりでした。しかし、実際に私たちが食事をするとき、私たちの体内では複数の栄養素によるさまざまな相互作用が生じ、単独栄養素の作用が強められたり打ち消されたりしていると考えられます。すなわち、単独の栄養成分(因みに健康食品が相当します)を摂取するより、食品そのものを摂取することによって相乗効果、相殺効果が生まれ、体に不足している必要な成分が利用されていきます。
さて、現代人の食生活調査を行った結果、野菜と果物摂取量が全年齢で不足していることがわかりました。厚生労働省、文部科学省、農林水産省は野菜1日350g以上、果物は200g以上摂取することが望ましいと提言しています。そこで、多くのメーカーが野菜ジュースなどの開発を行い市販していますが、そのほとんどが大量の糖質(蔗糖)を含み、肥満や糖尿病などの生活習慣病を加速させる不健康飲料ばかりです。
しかし、野菜の中で抗酸化成分が優れている「赤ピーマン」と「にんじん」、そして、果物ではさまざまな病気の予防・健康増進に効果がある「りんご」を日常的に摂取している人は多くが健康であることがわかりました。
さらに、これら野菜および果物の同時摂取は相殺効果、相加・相乗効果も加わって栄養状態が改善され、からだに不足している抗酸化力、免疫力が一層高まり、日常不足しがちな食物繊維、カルシウム、カリウムが増え栄養状態が改善されます。
野菜や果物の同時摂取は量よりも質も大切です。
参考文献
1.近藤雅雄:第6回健康食品フォーラム報告書「食育と健康食品」p.26-41, 2005
2.近藤雅雄ほか:高齢者の食生活と免疫強化、日本抗加齢医学会雑誌、Vol.2No.3, 2006
3.近藤雅雄:食品成分による高齢者の免疫機能調節、食品技術総合辞典、朝倉書店、p.94-99, 2008
4.近藤雅雄ほか:高齢者のQOL向上のために免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析、食品の安全性および機能性に関する総合研究、平成14-17年度、農林水産省農林水産技術会議資料
(近藤雅雄、2025年3月7日掲載)
PDF:ベジフルP