運動は動物にとって生命を維持する上で不可欠な仕事ですが、激しい運動（競技用スポーツ）の場合はそれなりの管理が必要となります。そこで、日常的に激しい運動を行っている男子大学駅伝選手および女子高校バスケットボール選手の体内ミネラルの影響について、とくに汗や代謝によって失われる微量元素の血液中の変動について検討しました。
その結果、選手群は男女共に日常的に運動をしていない対照群に比してモリブデン(Mo)量の著明な減少を世界に先駆けて見出しました。また、男子選手群では対照群に比してマンガン(Mn), ガリウム(Ga), スズ(Sn)の有意な減少(p<0.05)とニッケル(Ni), カドミウム(Cd)の増加傾向を見出しました。女子選手群では亜鉛(Zn)が対照群に比して有意に減少(p<0.05)しましたが、男子では有意差は見られませんでした。
以上の結果、激しいスポーツ活動が血液中のミネラル量に与える影響は男女で異なることがわかりました。しかし、Moについては男女ともに選手群で著明に減少しており、激運動によってMo量が減少することが明らかとなりました。（近藤雅雄、2022年4月21日掲載）
PDF:運動とミネラル