ALAを合成する酵素の新しい測定法とミトコンドリア内様態

 δ-アミノレブリン酸(ALA)を生産する酵素、ALA synthase(ALAS)はsuccinyl-CoAとglycineを基質として活性測定されることが世界的に広く知られています。このALASはヘム合成(ポルフィリン代謝)の律速酵素として最も重要な酵素です。
 肝性ポルフィリン症などのヘム合成系の酵素障害があるとALAS活性が増量してALAの生産を高めることが指摘され、ポルフィリン代謝異常で最も中心的役割を果たす酵素です。しかしながら、実際に肝臓のポルフィリン代謝障害を起こす晩発性皮膚ポルフィリン症の肝ALAS活性は増加しないことが広く知られ、この矛盾を説明することがこれまでにできませんでした。
 そこで、肝性ポルフィリン症患者の生検肝微量組織からα-ketoglutarateとglycineを基質としてALAS活性を測定した結果、succinyl-CoAとglycineを基質とした値よりも高値が得られ、ポルフィリン代謝をより反映していることを見出しました。すなわち、肝ALAS活性の測定にはこれまでの方法と異なって、α-ketoglutarateとglycineを基質として測定した値の方がより肝性ポルフィリン症の病態を反映していることが示唆されると同時に肝ALAS酵素の作用機序がほぼ分かりかけてきました。
 その内容は2015年9月の学術雑誌ALA-Porphyrin Scienceに掲載されました。以下のPDFを参照して下さい。(近藤雅雄、2015年11月10日掲載)
PDF:肝性ポルフィリン症の肝ALAS活性