アミノエタンスルホン酸(H2NC2H4SO4H)というアミノ酸の一種で、細胞内アミノ酸の中では最も多く、細胞内の浸透圧の調整や、活性酸素から生じる有害物質の中和、細胞膜の安定など重要な働きをする。したがって、心臓、筋肉、肝臓、腎臓、肺、脳、網膜、卵巣、精子など広く局在している。タウリンは生体内で重要な働きを示す分子であり、含硫アミノ酸から合成される。体重の約0.1%を占め、この内50~80%は筋肉に存在すると言われている。
タウリンは中国の明時代に出された薬学書「本草綱目」に記されている牛黄(ごおう)という生薬の成分の一つでもあり、ヒトでは母乳(初乳)中に豊富に含まれている。血圧や血中の脂質量などを正常にコントロールする働きを持ち、肝臓でコレステロールを分解し胆汁酸生成を促進することから高血圧改善、動脈硬化予防、心臓病予防、肝臓病予防、糖尿病改善などの効果があるといわれている。そのほか、血小板凝集抑制作用や脳神経の興奮を抑え、精神に落ち着きをもたらし、α波(瞑想の脳波)を誘発するといわれている。
生理作用として、からだの組織細胞の機能を正常に保つ恒常性維持(ホメオスタシス)機能がある。例えば、血圧上昇に対する低下作用などがこれに該当する。肝臓に対しては機能を強化させ、代謝や解毒、胆汁の生成を助ける働きをする。①胆汁酸の分泌を促成し、肝臓の働きを促す作用。②肝細胞の再生促進作用。③細胞膜安定化作用などがある。また、タウリンは抑制性神経化学伝達物質として想定されていることから、脳の機能維持に重要である。その他、コレステロール値の低下、動脈硬化予防、高血圧予防、視機能の改善、むくみを予防・改善、便秘を解消するなどの多様な効果が知られている。
含有食品としては、サザエ、トコブシ、牡蠣、ハマグリ、ホタテ貝、マグロ、タコ、ズワイカニ、ヤリイカ、ナマリ、アサリなどが知られている。